◆第2話「俺たちはここにいる」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)
OPの入り方が少し変更。また、揃って走っているシーンで転ぶのが青になりましたが、幾つかの細かいバージョン違いを回すのか。黄と緑は転びそうにないけど、どうするんだろう。
敵幹部陣は今回もチラ見せながら、ノア夫人は娘のドレスの採寸に夢中、娘はシュバルツ様に夢中、と前回今回合わせて、それぞれ作戦行動とはまた別に、生きている感じが良し。基本の部分ですが、行動理念がはっきりしているのも、戦隊との直接対決にこだわらない理由付けになりますので、安心して見られます。
ノア男爵にはサソリの意匠が見て取れましたが、今回の怪人にも尻尾ついていたし、敵は今作、動物モチーフが入っているのかしら。でも前回はどちらかというとガマグチ法師というか『五星戦隊ダイレンジャー』っぽいデザインだったけど、全体ではなく幹部−部下の関係でモチーフがあるのか。
『ダイレンジャー』ぽいといえば、雑魚戦闘員もそこはかとなく『ダイレンジャー』を思い出すのですが、たぶん配色とマスクのせい。デザインがどちらも篠原保さんなので、単純に篠原ラインという話もありますが。
今回も、Aパートでは意味も無く乗り替えバトル。賑やかしとしては斬新ですが、別にパワーアップするわけではないので
「乗り換えを何だと思ってるんですかね?」
て、こちらが聞きたい(笑)
「俺たちは今、過去も未来もなくて、ただ列車で漂ってるだけ。言ってみれば、幽霊列車の幽霊だよ」
死んだも同然……おぼろで足りない記憶……社会生活が描かれず、電車をベースにシャドーラインに乗っ取られた駅から駅へ、というのが基本構造になるなら、『仮面ライダー電王』で微妙に仕込んでいたネタを(作品的な類似という意味ではなく)露骨に使ってきて怖いなー……と思ったのですが、「幽霊列車」などのキーワードはストレートに早めに出してきました。
「幽霊列車か……いいな、それ! ほら、幽霊ならお盆に家に帰るだろう。街の事覚えてなくても、自動的にそうなるのかもしれない。いや、帰れる、って俺が今決めた。ヒカリ、これは根拠のある想像だと思うぞ」
そして、真っ当な理屈はキチガイには通用しなかった(笑)
幽霊部分は肯定でいいのか。
ここでキチガイ成分だけだと困るのですが、怪人に勝っている所を想像しろ、と少年を励まし、
「よーし、そのイメージ、貰ってく」
というのは格好いい所で、ちゃんとヒーローしているのはいい。
「大人になっても変わらないな。結局ライトのペースになる」
「変わらないのは、ヒカリもだよ」
「え?」
「ライトって、どんどん風船みたいに飛んでっちゃうから、私たちもついつられるんだけど。ヒカリがちょっと、重しになってくれるでしょ」
ここで、緑の背中に黄色が肩を合わせて会話する、という距離感が絶妙。
「……ここだけの話、俺、ホントは高いところ苦手だから。あんまり飛ばれてもねえ。幽霊飛行機じゃなくて良かった」
「私たち幽霊じゃないよ! こんなにクッキリしてるもん」
「うん! 街の記憶は曖昧でも、ここだけはハッキリしてるよ」
「そうだね。――俺たち5人は、確かにここに居る」
幼なじみという便利設定はあるものの、人間関係をさくさくっと入れてくる手並みは鮮やか。
後こう、オーディションのレベルも上がっているのでしょうが、各メンバーしっかりアフレコこなしていて、きちっと台詞に感情のニュアンス込められているのは、ポイント高い。
結果、一番違和感あるのが、どうしても関根勤になるのですが(^^; どういう成り行きでのキャスティングだったのかわかりませんが(普通にベテランの役者を配置するのとはちょっと違いますし)、微妙に不安だったので車内に山口勝平と堀江由衣を配したとしか思えない(笑)
クライマックスは、電車上バトル。まあどうしてもCGの上の戦闘は浮いてしまうのですが、色々やって、なんとか盛り上げました。そしてロボ戦は2話にして合体解除回避から、豆鉄砲みたいな射撃系必殺技・フミキリトッキュウショットで撃破。これはもう少し何とかならったのか(笑) 特撮班、電車上バトルで、エネルギー使い切ったのか。
そして途中の少年との会話などから、自分達が幼い頃に住んでいた街はシャドーラインによって闇に沈み、その影響で自分達は現世から切り離された「死んだも同然」の状態に置かれているのではないか……という推測に辿り着く5人だが、「当たり」「外れ」と車掌とチケットくんの答は正反対。
さすがに毎度こんな感じのオチで引っ張るのは難しいと思うのですが、いつまで行くのかこの構成。
まあ追加戦士を考えた場合、幼なじみ追加するのも無理があるのでは、と思っていたのですが、この設定なら、闇に沈んだ他の街の人、という事で幼なじみ以外でも加えられますが、さてさて。
後まあ、切り離されているから烈車に乗っているのではなくて、烈車に乗っている間だけ夢の続きに居る、という因果関係が逆の可能性もありますが。そちら行くと重くなりそうだなぁ。
引き続き、好印象。
我ながらちょっと謎なぐらい、ツボ。
現状の感触が良すぎて、後で落胆するような展開になった場合の反動に、今から身構えているレベル(笑)
ところで、『特捜ロボジャンパーソン』(1993)から数えると、厳密には去年だけど、小林靖子は脚本家デビュー(およそ)20周年なのですね。脳天気であっけらかんとしているようで、根っこの所で「ヒーロー」を組み立てようとする気配のある今作、その辺りの想いもこもっているのかな、など勝手に考えてそういう点でも期待しております。
……こっそりジャンピーネタとか挟んできても、心の準備は出来ているから大丈夫ですよ!(待て)
今回でいえば、「よーし、そのイメージ、貰ってく」というのは、(70年代的無意識な)正義と背景としての子供の応援を取り込んだという形に見えなくもなく、1話2話とスマートに“子供を助ける”という構造を入れてきたのを含め、「子供達のイマジネーションから生まれたヒーロー」というメタ要素はやはり意識的に持ち込んでいる気がするので、どう使ってくるのかも楽しみです(テーマに関わらないニュアンスとしてだけでも、それはそれで面白い)。
次回、グリッタ嬢、早くもシュバルツ様にアタック……?! シュバルツ様の紳士度が、今、問われる……!