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『仮面ライダーブレイド』感想19

先週分。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第31話「ダークストーカー」◆ (監督:長石多可男 脚本:會川昇
改めて後半戦という事で、OPチェンジ。映像の大幅変更はありますが、主題歌ごと変わったのは初?? 新主題歌のイントロが格好いい事もあり、各ライダーの頭部アップから打ち合わせた4つの拳にタイトルが重なる導入部はかなり格好いい。全体的に曲・詞とストレートに合わせた作りですが、広瀬さんが一応メイン扱いでビックリです(おぃ)
後ある程度前期OPの雰囲気を残したかったのかもしれませんが、どうしても、“踏ん張って武器を振る”というのはやりたかったのか(笑) さすがにどうにも、格好良くならないゾ。
タイ焼き伝説の最中、基本存在をスルーされていた睦月は、夜の街で補導されそうになった所で、いきなり変身。警察官を叩きのめすが、その姿を携帯電話で写真に収めて笑う、少年の姿をした上級アンデッドと遭遇する。一方剣崎は橘の元を訪れ、睦月を探すのに始の手を借りよう、と持ちかけていた。
「上城睦月を見つけるのに手を貸せ?」
ばっかじゃないの、みたいな顔で2人を出迎える始さん(笑)
剣崎は始の協力を得る事に乗り気だが、不審顔の橘。
「おまえの戦う目的はなんだ?」
31話にしてようやく、そこを問う人、登場。
「全てのアンデッドを封印しておまえはどうする? 何が起こる?」
始の脳裏に浮かぶのは、凄惨な廃墟のイメージ……そしてその中に倒れる、栗原母子。口をつぐむ始を信用できないと切って捨てる橘さん、やたらに始さんには攻撃的。……まあ前回の接触の時にバトル寸前だったのではありますが、基本的に登場人物がそういう因縁を次に会った時には忘れている作品だったので、えらく橘さんだけが性格悪く見えます(笑)
小夜子さんの件があるのでアンデッド全体に攻撃的……というには、嶋さんはすんなり受け入れていたし、正直、その辺りはちぐはぐ。つまる所結局、手土産か、手土産持ってこいやという事なのか!!
橘はその場を去るが、あくなき始ルート攻略を目指す剣崎。「そろそろ秘密を教えてくれよー」と迫るが、「誰にだって秘密の一つや二つあるだろう」と当然のごとく拒否される。
「でも俺こういう性格だから、秘密ねぇ……」
一瞬、動きを止める剣崎、は伏線か。
1階に上がった橘は、喫茶店で睦月彼女と遭遇。そこへ広瀬から、急報が入る。虎太郎のPCに差出人不明のメールで、“仮面ライダーレンゲルの写真”が送られてきたのだ! ぽんこつトリオ+橘は写真のアップロード元であるネットカフェを探しに都内に散らばり、よりにもよって広瀬&虎太郎コンビが、写真のアップロード主である少年アンデッドと遭遇する。
携帯電話とインターネット……かつてなく現代文明に興じる謎の少年は金色のアンデッド(スカラベアンデッドらしい)を呼び出し、連絡を受けて駆けつけた剣崎が目にしたのは、まるで彫刻のように固まる広瀬と虎太郎の姿だった。2人は、範囲指定の時間停止という出鱈目な能力を持つスカラベにより、一時的に時間を凍結させられていたのである。
キングを名乗る少年に対して変身しようとする剣崎だったが、キングの「ストップ!」の声に応えてスカラベが姿を見せると、一時停止。その間にベルトとカードを奪われてしまう……!
一方、橘は街でナチュラルを発見。何かに導くように飛ぶカナリアについていくと、変な建物の中で強面の男達を従えた睦月と再会する。
黒いジャケットを羽織ってシルクハットを被り、耳にピアスをつけて怪しげな建物に居座る……と立派な変態紳士への道を歩み始めた睦月は、トランプを広げる。
「七並べしませんか?」
ベルトを持ち逃げしたキングを追う剣崎だが、そこに通りすがりの始が参戦。
「これはこれは、ジョーカー」
「俺をその名で呼ぶな」
ダイビング変身する始だったが、時間を止められてカウンターパンチを浴びると、そのままスカラベに捕まってしまう。
剣崎はキングから、橘は睦月から、いよいよここで、ジョーカーについての説明を受ける。
「ジョーカーがどんなカードの代わりにでもなるように、どんなアンデッドの姿にでもなれるアンデッドがいます」
あらゆるアンデッドの能力を身につけられる存在、そして冷酷な殺戮者――それが、JOKER。
アンデッド大戦そのものに興味は無く、ただこの戦いをメチャメチャにしたい、というキングの挑発に乗り、投げ捨てられたベルトで変身したブレイドだが、その攻撃はキングが生み出す謎シールドに全て弾かれてしまう。
「僕を傷つけられるものはいない」
ブレイドを嘲弄し、瞬間退場するキング。
時間停止に完全防御と、トンデモバトル化が一気に進行。前半戦のアンデッドが地味だったといえば地味だったので、差別化を図る意図もあるのか。……それにしても、最強系の能力が一気に出てきましたが(^^;
後半戦、怒濤の開幕スタートダッシュで、まさかのヒロインレース参戦を果たした始を探す剣崎は農場へ帰ってアンデッドサーチャーを起動してみるが、反応はない。――だがその時、何故かサーチャーに反応しないアンデッドが、剣崎を急襲する。
「けんざきかずま……」
(なぜおれの名前を)
ブレイドはスーパー稲妻キックで謎アンデッドを倒すが、封印カードが何故か効果を示さずに吸い込まれ、アンデッド復活。
「おまえは……許されない……」
「許されない?」
果たして、この謎のアンデッドは何者なのか。そして、そのアンデッドを操っているとおぼしき男が闇の底で蠢いていた……。
後半戦のスタートは、新キャラに新情報の大盤振る舞いで情報量が多く、ちょっとごちゃあっとした展開に。画面の明度が全体的に低いのも、印象として輪を掛けています(^^; 今作、謎施設が出てくる度に画面が暗くなるのですが、経済的な問題なのか。
そして、ヒロインレースが急変。
剣崎がいきなり始ルートに入り、これまでヒロインレース参戦をそれとなく回避していた始さんが、一気にオッズ急浮上。現時点でのオッズは、以下。

  • 栗原天音 5.5倍
  • 嶋昇 8.9倍
  • 相川始 12.7倍
  • 虎太郎 13.2倍
  • 睦月彼女 18.6倍
  • 栗原母 24.3倍
  • 橘朔也 31.1倍
  • 烏丸所長 58.5倍
  • 広瀬栞 272.1倍


相変わらず決定打に欠ける乱立状態でオッズが割れてますが、烏丸所長がだいぶ後退。
睦月彼女は、なんとなーくオチが読めるんだよなぁ……。


◆第32話「バトルそしてファイト」◆ (監督:長石多可男 脚本:會川昇
ああ、キャストのクレジット見てわかったのですが、前回登場の剣崎のストーカーは、広瀬父(春田純一!)か。暗くてよくわからなかった……(^^;
謎アンデッドに殴られまくれるブレイドだったが、ギャレンが駆けつけ、謎アンデッドはゲル状のスライム化して消滅。割れたガラスを片付けながら、それぞれが聞いたジョーカーについての情報交換中、ネットカフェの件で警察に拘束されていた虎太郎と広瀬が帰還する。
「奴は人間の味方じゃない。自分が最強の存在になる為に、アンデッドを封印しているだけだ」
他のアンデッドを封印してその姿と力を得るジョーカー……ならば始の今の姿は、人間を倒して得たものではないのか? 前回から目が据わりっぱなしの橘は、剣崎に始を助けに行くなど考えるな、と釘を差す。
「僕は見たいんだよ、君の本来の姿を。ジョーカーの姿を」
一方、タイムベントによるイジメを受けていた囚われの始は、全てのカードをキングに奪い取られていた。アンデッドの精神を支配する力を持つキングの目的は一つ――
「滅茶苦茶にしたいんだよ、この戦いを」
アンデッド同士が覇権をかけて殺し合い、そこに加わった仮面ライダーがアンデッドを封印する……そんな人知れぬ闇の中の戦いではなく、人間社会を大々的に巻き込んで世界を滅茶苦茶にしたい。その為にキングは、相川始――ジョーカーを支配して手駒に加えようとしていた。始の変身途中の写真を喫茶店にEメールしようとするキングに、怒れる始は遂に真の姿を発動する。
ここは始の叫びから遠景のエフェクトにしてジョーカーの姿は見せないのですが、やたら大がかりなエフェクトで、思ったより凄い存在らしいジョーカー。
「ジョーカーにまで辿り着いたようだね。橘くん」
殺風景な部屋に帰宅した橘は、広瀬父と遭遇。どう考えても家宅不法侵入されているのですが、ビックリした為か割とすんなり受け入れる(笑) 相手は忍者だから仕方ない。
「橘くん、ジョーカーは危険だ。そして剣崎くんは、それに飲み込まれる運命にある」
娘設定で死んだ事になっていた広瀬父、その目的はあくまでも、アンデッドの不死の秘密を解くこと。その為に今は娘と会う気は無いという忍者は、橘にあるキーワードを伝える。それは、「black&white」。そのキーワードで言われた通りにボードの機密情報にアクセスした橘は、隠された所長の秘密日記に辿り着く……。
「運命と闘え」という言葉を残して橘部屋を去った忍者は、変な施設に戻る。そこでは、スライム化したアンデッド?が箱の中に戻ってきていた。サーチャーに反応しなかった事や封印できなかった事などから、忍者の研究成果である疑似アンデッドとかっぽいですが、剣崎を狙う理由は不明。忍者が「お帰り」とか態度が柔らかいのですが、生死について言及されていない広瀬母との関係や如何に。
その頃、剣崎はいじけ中。
「君らしくないなぁ、こうしてじっとしてるなんて」
「え?」
「うじうじするのは、僕の専売特許。今はっきりしている事は、相川始が敵に捕まってる、それだけじゃない?」
虎太郎の言葉に自分を取り戻した剣崎は、へたれ野郎が何を言おうが構わねえぜ! と出撃。広瀬に伝えられた微弱なアンデッド反応の元へとバイクを走らせる。
「たとえ相手が何でも……誰かを助ける為に走る。それが仮面ライダーよね」
なんか毎度毎度、再構築が大変そうだなぁ(^^;
一方、ジョーカーの力によりキングの元から脱出に成功した始は、人間の姿でぼろぼろの体を引きずりながら歩いていた。
「二度とあの姿に……なるな……」
鏡を見つめて自らに強く告げる始の前に、変態紳士見習いにクラスチェンジした睦月が現れる。
「完全にカテゴリーエースに取り込まれたか」
「ああ、俺は闇の中にいる。いい気分だよ。そして……闇の支配者は、1人でいい」
以前に少し触れましたが、睦月(レンゲル)は中途半端な状態でうろちょろしているぐらいなら、きっぱり悪役にしてしまった方がわかりやすくて面白いと思っているので、こうなってむしろスッキリ。要するに今井さんが睦月に何かこだわりがあったのだろうなぁ……今井脚本の時に比べて、會川脚本におけるこの睦月のバッサリぶりよ(^^;
レンゲルは変身して始に襲いかかるが、そこへ走ってきた剣崎、躊躇無くレンゲルを轢く。
以前にもギャレンをバイクの前輪ではたいていましたが、剣崎はバイクに跨がるとちょっと性格変わるタイプなのか。仮面ライダーは少しぐらいバイクでぶつかっても大丈夫だろ♪ぐらいのノリなのか。
「知ってるのか、そいつの正体を。最後の一匹まで、アンデッドを追い求めるだけの、冷酷な殺戮マシンだぞ」
「今は君がそう見える!」
ここは決して剣崎が一方的な友情に暴走しているだけではなく、その存在の本質を見ようとしている、という表現にもなっており、良いやり取り。
剣崎は始をバイクに乗せて逃走し……
「あのさ……えーと……しばのゆうこ!」
「なんだ」
「俺が小一の時に好きだった子の名前。色々考えたんだけど、俺の秘密ってこれぐらいしか思いつかなかった」
前回の話を持ち出し、そんなどうでもいい情報と、始の重大な秘密の等価交換を迫る。
「おまえの正体なんてどうでもいい。俺にとっておまえは、相川始だ」
人間を害して得たかもしれないカード、ハートの2の秘密だけ知りたい……と重ねる剣崎に、存在の揺れるアイデンティティを認められた始は、遂にその重い口を開く。

「あのカードに封印されているのは、一万年前の……バトルファイトの勝利者だ」
「俺たち人類の始祖たる、ヒューマンアンデッド……?」

……て、今は亡き伊坂さんが口走っていた「バトルファイト」公式採用なのか。
なんか色々おかしい気がするんデスガ。
「奴を封印して以来、俺はジョーカーに戻る事が、忌まわしく感じるようになってしまった。そして、何故か人間を……」
2年前、カードの封印が解かれた事で現在に解放された始は、その本能の赴くままに次々とアンデッドを狩り、その身に封印していた。そして戦いの中でヒューマンアンデッドと遭遇し、何故か一切の抵抗をしなかったヒューマンアンデッド(見た目、相川始)を封印して以来、その性質に変化が生じていたのだ……て、なんか悪性のウィルスでも仕込まれていたのでは。
遂に始の秘密が解き明かされ、この後、キングとお伴と戦う2人。スカラベによる時間停止状態の中でもなぜキングは動けるのか……戦闘を監察した始は、キングがわざとらしく右手に巻いていた布きれが、スカラベの身につけているものと同じである事に気付く。恐らくそれが鍵、とスカラベにダイブした始は布を奪い取ってブレイドへと渡し、それを身につけたブレイドは時の止まった世界へと入り込む。
「おまえに俺の時間は、止められない!」
理屈はよくわからないけど台詞は格好いいけと理屈はよくわからないのですが、スカラベの体の一部を共有しているとか、そういうニュアンスなのか。ブレイドはスーパー稲妻キックでスカラベを撃破・封印するが、始のカードを手にしたまま、キングは姿を消す……。
一瞬ちらっと、キングがアンデッドの姿を見せるのですが、コーカサスオオカブトアンデッドとかそんな感じか。
ダメージの大きい始はまずは回復が必要。始のカードは自分が取り戻す、と約束する剣崎。
「俺たち仲間じゃないか」
「そんなこと言っていいのか。俺の実体は……」
「相川、始だろ」
…………うーん……剣崎が始を信頼するに至る流れは、充分に描かれているような描かれていないような、微妙なところ。“わかり合えるアンデッドも居る”という決定打として、嶋さん回が作品全体のスプリングボードという流れだったのでしょうが、その嶋さん回の出来がアレで……アレだったので……表現不足の感はぬぐえません。
この流れなら各キャラクターと嶋さんの関わり方はかなり重要だったわけで、描いておくべき要素はもっと色々あったし、28話はあんな空虚な内容にしている場合では無かった筈。また逆に橘さんに関しては、嶋さんと馴染ませてはいけなかったような(^^;
「剣崎、俺の敵はまだそこにいる。そいつは――ジョーカーだ」
そんな橘が、そこへ据わった目でやってくる。
背景に飛行機飛ばすのは、きっと監督の趣味。
烏丸日記に辿り着いた橘は、ライダーシステムがジョーカーの能力分析から開発されていた事、そしてアンデッド大戦にジョーカーが勝利した場合、世界はあらゆる生命の失われた不毛の荒野になるという結末を知ったのだった。そう、53枚目のイレギュラーであるジョーカーはいかなる生物種の繁栄にも関係しない、ただ死を呼ぶだけの存在……。
弱り気味の始を封印しようとする橘だが、始を「ジョーカー」ではなく「相川始」と捉える剣崎は、その前に立ちはだかる。誰も犠牲にしない戦いの為に、もはや剣崎にとって、相川始は守るべき仲間なのだ。
ブレイドギャレン、互いの信念を懸けて対峙した2人の仮面ライダーは、いきなり本気のジャックフォームで、ぶつかり合う……!
そろそろ剣崎が、アンデッド大戦というシステムそのものに疑義を挟む展開になるのかなぁ。剣崎の「人間」の捉え方がちょっと踏み外し気味なので、「人間/ヒューマン」の定義付けも作品の中で行わないといけなくなっている気もしますが……この辺り、會川昇が前年にアニメ版『鋼の錬金術師』にメインライターとして関わっていた影響はあったのかなかったのか。