◆Episode.33「スワットモード・オン」◆ (監督:辻野正人 脚本:横手美智子)
「おまえたちはただの訓練生だ。腐った性根をたたき直してやる」
「「「「「ロジャー!」」」」」
「ロジャーじゃない。サー・イエッサーだ!」
「「「「「サー・イエッサー!」」」」」
「聞こえん」
「「「「「サー・イエッサー!」」」」」
「もう一度!」
「「「「「サー・イエッサー!」」」」」
「なぜスペシャルポリスになった?」
「犯罪者を捕まえる為です!」
「戦闘の顔をしろ」
「サー……」
「デリートする時の顔だ!」
「サー・イエッサー!」
「これがデリートする時の顔だ。やってみろ!」
「サー・イエッサー!」
「それでデリートできるか! 気合いを入れろ!」
「サー・イエッサー!」
「貴様らグズノロは宇宙警察を愛しているか?」
「「「「「生涯忠誠! 命懸けて! ガンホー! ガンホー! ガンホー!」」」」」
「草を育てるものは?」
「「「「「「熱き血だ! 血だ! 血だ!」」」」」
「俺たちの商売は何だ、ウスラトンカチ?」
「「「「「デリートだ! デリートだ! デリートだ!」」」」」
そんな感じでバン達がSWATカリキュラムを受けている頃、地球署にテツが帰還。押収品を本部で精査したところ隠されていたギュータニウムが無事に発見されるが、それを知らないサノーアとゾータクがデカベースを直接攻撃してくるかもしれないと、警戒レベルを引き上げて待ち受ける事になる。だがアブレラが、ギュータニウムが本部へ移動済みだという情報を両者へと流し、宇宙警察との交換取引を持ちかければいい……と悪魔の微笑を浮かべる。
走り込みを中心としたハードなしごきに、ぐったりとして食事も喉を通らないセンちゃん、ジャスミン、ウメコ。
体力馬鹿のバンはともかく、しっかりついていけている辺り、やはりホージーさんは肉体派エリート。
訓練中、SWATモードの習得に気が逸るあまり、ウメコとジャスミンが倒れたのにも気付かず1人で走るバンは、制限時間に間に合うも、教官から他の4人がやってくるまでの腕立て伏せを課される。絶対に宇宙一のスペシャルポリスになってみせる、というバンに教官は問う。
「なら、宇宙一のスペシャルポリスとは、なんだ?」
「サー・イエ……」
「一つだけ教えてやろう。答はおまえが進む先には、ない。答があるとしたら、おまえのようなヤツには決して見えないところだ。わかったか?」
「わかりません! サー!」
「わからなければ、おまえは宇宙一のスペシャルポリスなどには、なれん。未来永劫、金輪際な!」
一方地球では、アブレラから情報を得たサノーアとゾータクがデカベースではなく街を無差別攻撃し、出動するデカマスター&ブレイク。2人が名乗って揃い踏みはここまでにない取り合わせであり格好良く、ちょっと前までなら文字通りの最凶コンビだったわけですが…………わけですが……あれ、おかしいな、最近どうも、夜明けが……霞んで、見えにくい……な…………なんか前が暗いけどこれは涙? 涙なの? エリートだから、涙が出ちゃうの?
光速拳ライトニングフィストがあっさり止められているのは何者かの幻術攻撃でありこれはきっと現実じゃないんだ多分そうだスタンド攻撃なんだ嘘だと言ってよ特凶!
マッスルゾータクはデカブレイクを軽くひねり、Dソードベガの攻撃さえ受け止める。更に、潜んでいたマッスルサノーアの銃撃により変身の解けたテツが人質にされてしまい、マスターも変身解除。2人はその身柄を抑えられてしまう……。
その頃、訓練中の5人は大量のトラップの仕掛けてある洞窟へと向かっていたが、相変わらずバンは暴走気味。そしてホージーをかばったセンちゃんが足を負傷してしまう。制限時間に間に合わなければカリキュラムは不合格で地球へ強制送還されてしまう……
「おまえだけでも先に行け。宇宙一の、スペシャルポリスになるんだろ」
ホージーに促されたバンは独り洞窟の奥へと向かうが、落とし穴に落下。ギリギリで縁に捕まって助かるが、たった独りで先行したバンを助けてくれる仲間は、誰もいない……。
「そうだよな、俺だけ先に来たんだから……」
(答はおまえの進む先にはない。おまえのようなヤツには決して見えないところだ)
「そうか、俺は見ようとしてなかったんだ……」
宇宙一のスペシャルポリスになるとは、どういう事なのか。
バンはタイムオーバーを覚悟で仲間達の所へ駆け戻り、制限時間には45分オーバーするものの、ミッションを終えた5人は揃って教官の前に並ぶ。
「1人なら間に合った筈だ。なぜ戻った?」
「答が見つかったからです。サー!」
「ほーう。では聞こう。宇宙一のスペシャルポリスとは、なんだ?」
言葉と意識だけが先行して、その本質を考えようとしていなかった自分に気付くバン。
「宇宙一のスペシャルポリスとは、宇宙一のチームの一員になることです、サー!」
たった1人で出来る事には限界がある。スペシャルポリスの真の力とは、ずば抜けた個人ではない。悪を憎み、正義を愛する心を持ち、メンバーそれぞれの個性で補い合う事でこそ、どこまでも強くなれるのだ。
「只今を持って訓練を終了とする! ――SWATモードを認めるということだ。もはや、教える事はなにもない」
折角の特訓展開だったのですが、バンに焦点を合わせすぎた為に、“バンが真のチームプレイを身につけた”ら、それでSWATモードに合格してしまい…………主な問題はバンだった? みたいになってしまったのは、少々残念。出来れば各人が自分の弱点を見つめ直し、チームの連携によって難関を乗り越える、ような展開が欲しかったですが、それやるともう1話増えてしまうので、そこまでは出来なかったか。
端折られた数日間に色々あった、という事にしておきたい。
苦難の末、SWATカリキュラムに合格した5人だったが、そこへ地球のスワンから緊急通信が入る。なんとサノーアがボスとテツを人質に取り、宇宙警察本部にギュータニウムとの交換を要求してきたのである。
「おまえたちのライセンスにSWATモードのデータを転送しておいた。全員速やかに地球に戻り、敵のケツを吹っ飛ばしてこい!」
「「「「「サー・イエッサー!」」」」」
「違う! ロジャーだ」
「「「「「ロジャー!」」」」」
ここは冒頭のパロディをもう一回転させて、面白く使いました。
地球では、囚われの2人が時限爆弾を仕掛けられていた。
……なんだろうこの、テツの絶望的足手まとい感(笑)
にしてもサノーアさんは、鉱石一つのために宇宙警察全てを敵に回すとか、いい度胸すぎます(^^; 仮にこの取引に成功しても、絶対に文字通り宇宙の果てまで追い詰められて、犯罪史に名を残すような最期を迎える事になると思うのですが。
――しかし勿論、宇宙警察は犯罪者の要求になど応じはしない!
大量のメカ人間と共に待ち受けるゾータクの元へ、正面から壁をぶち破り、今、デカレンジャーSWATモードが突入する……!
SWAT参上! SWAT解決!
人呼んで、殺戮の、ヒーロー!!
デカレンジャー・SWAaaaaaaT!!
デカレンジャーSWATモードは、演出といい、見た目といい、殺意しか感じません。
テーマ曲も、女声コーラスからメタルに繋がるという、ゲームだったら間違いなく、ボス敵との戦闘BGMですし。
SWATモードだけで使用を許可される、スペシャルポリスの誇る強力かつ高性能兵器Dリボルバーで、メカ人間に鉛玉の雨を降らせるデカレンジャー。
……リボルバーではなくて、アサルトライフルですよね、それ。
SWATモードは圧倒的な火力と追加装備の性能で、瞬く間に
ヒャッハー、テロリストどもは消毒だ!
逃げるヤツはアリエナイザーだ!
逃げないヤツは訓練されたアリエナイザーだ!
メカ人間どもは動きがのろくさいから殺しやすいぜ!
HAHAHA!!
SWATモードは、通常のスーツの上からSWATベストを身につけ、マスク周りにも装備が追加されるのですが、インカム好きとしては、ほぼ意味も無くインカムがついているのがときめきます。
圧倒的火力、そして暗視や透視装置で次々と敵アジト内部を制圧したデカレンシャーは、ボスとテツが囚われている部屋に突入。先行した赤を青と黄がフォローする形で、見事にマッスルスーツの光学迷彩を打ち破る。
「SWAT、S、W、A、TのTはタクティクス! 戦術だぜ」
更に逃げようとしたサノーアとゾータクの後方から緑と桃が窓を突き破るという両面作戦も展開。今回は惑星カダのミッションなどでもロープアクションを入れるなど、溜まっていた鬱憤を解消する編でもあるので、アクションも派手かつ凝っています。
「チームは命令したりされたりじゃねえ! 全員で動くからこそ、凄い事ができるんだ!」
……まあ、指揮系統も大事ですけどね(笑)
「宇宙マフィア、ズンダーズファミリーのドン、サノーア、ならびにその一味ゾータク。組織犯罪による大量殺人、及び宇宙警察官略取の罪で、ジャッジメント!」
判決:もうギュータニウムも回収したし、さくっと消し炭にしちゃってOK☆
Dリボルバーマックスパワーによる一斉射撃で、両者まとめて塵殺。デカレンジャーを子供扱いだったマッスルスーツをものともしない事で、SWATモードのひたすら凶悪なお披露目となりました。
マーフィー? 知らない犬ですね……。
「これにて一件……」
「「「「「コンプリート! いぇい!」」」」」
一つのチームとして更なる進化を遂げ、拳を打ちあわせる5人。
テツ? 知らない子ですね……。
「おのれデカレンジャースワットモード!」
その姿を苦々しげに見つめ、飛び去るエージェント。わざわざ正式名称を言う所が、割と丁寧(笑)
案の定、旧知の仲だったらしいブンター教官からは、ボスに通信。
「俺とおまえは犬猿の仲だ。スワンならともかく、おまえに礼など言われたくない。だが、なかなか面白いクズどもだったよ」
そのネタがやりたかったのか!
でも相棒は犬型ロボット・クラレンスK9という、微妙な距離感。
そして、先輩達のパワーアップを遠くから見つめる真エリート。
「格好いいなぁ、SWATモード……」
切ない……(笑)
次回、マーフィーと一緒に自分探しの旅とか出そうな勢いです。
大惨敗から特訓を経て超強化という、正統派のパワーアップ編。尺の都合で特訓部分が物足りない所は鉄板の『フルメタル・ジャケット』ネタで誤魔化しましたが、装備品の強化とチームとしてのレベルアップを繋げ、あくまで警察官としてのスキルアップである、という今作らしい構造となりました。
個人的には、もう少し物語として特訓と成長に力点を置いて欲しかった所はありますが、後半のSWAT無双は必要な部分なので、バランスとしてはまあ、仕方ないところか。
緑「やったね」
桃「これで、あの子との約束に一歩近づいた、って感じ?」
黄「宇宙一のスペシャルポリスに、なれそう?」
赤「ああ。だけど俺1人じゃない。みんなで、宇宙一のチームになろうぜ! なあ、相棒」
青「ふん……相棒って言うな」
ホージーさん、火力を手に入れ、やっぱり相棒を解消する。
「本日をもって貴様らはウジ虫を卒業する。本日から貴様らはスペシャルポリスである。兄弟の絆に結ばれる貴様らのくたばるその日まで、どこにいようと宇宙警察は貴様らの兄弟だ。多くは辺境の治安維持へ向かう。ある者は二度と戻らない。だが肝に銘じておけ。スペシャルポリスは死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが宇宙警察は永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!」
次回、テツ&マーフィー、路線バスの旅へ。(予告には妄想が含まれる場合があります)