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『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想28

◆GP−45「初夢キカク!?」◆ (監督:竹本昇 脚本:波多野都)
7人+ボンパー、着物姿で視聴者に新年のメタ挨拶。そしてピカピカ兄妹をスポンサーに、新年会へ。炎神達は別行動で、年に一度開くという、謎のリフレッシュ空間・リフレッシュホールでオーバーホール中。とりあえず全員喋って、そこから回想へ……というお正月総集編。
いまいち覚えていなかった連の前職ですが、サーキットの送迎バスの運転手でした、そうでした。なるほど、大型免許持っているので、普段ぎんじろう運転しているとか、そういう事なのか。老舗旅館の跡取り息子が、「メカニックになりたい」と家を出て、バスの運転手していた筈が、何の因果か無職ヒーローと、なかなか凄い成り行き。
まずは初期メンバー3人の見せ場ですが、よりによって走輔の見せ場は、道ばたの岩を掴んで蛮鬼獣を殴った所か(笑)
炎神達がくつろいでいる頃、人間達は豪華宴会料理に舌鼓。
中継は、熱海後楽園ホテルから、お届けいたします。
一方、ヘルガイユ宮殿ではケガレシア様が、どこかの本屋で買ってきたとおぼしき黒魔術のテキストを手に、3分でヨゴシュタインを甦らせようとしていた。
「妾が魔法の水を入れたら、ヨゴシュタインの格好いい所を、思い出すでおじゃる」
もうもうと立ちこめる煙の中、ヨゴシュタインの活躍を思い出そうとする、キタネイダスとケガレシア。最初は蛮鬼獣の活躍シーンを思い浮かべていたが、段々と逆転負けの映像を思い出してしまい……黒魔術、あえなく失敗。
と、あの手この手で回想シーンに繋げてきます。
思うに大臣ズは、ヨゴシュタインが戦力的に必要というよりも、“3人揃っていないと調子が出ない”のだろうなぁ(笑) ガイアークの追い詰められ感は、純粋な数字の問題というより、ノリの問題な気がしてきました。
その頃、走輔はスポンサーの2人のご機嫌伺いに、隠し芸のどじょうすくいを披露していた。
「独自の解釈は勝手だが」
「とにかく、凄く……格好悪いわ」
不評。
ほらほら、軍平君と範人君も芸の一つぐらい披露したまえ、といった所で、走輔が楽しみにしていた海老が消失。7人は、海老をくわえた座敷童と接触する……。
豪華なホテルに興奮しているという事なのでしょうが、今回、走輔と軍平の演技が、テンション高すぎて少しおかしい(笑)
軍平と範人の活躍シーンを挟み、ヘルガイユ宮殿では黒魔術続行中の大臣ズだったが……今度はゴーオンジャーのロボットにやられるシーンを思い浮かべてしまう、黒魔術は大失敗。ケガレシアは心と体を癒しに出かけてしまい、キタネイダスは、魔術失敗の爆発のどさくさで落ちてきたどこかで見たようなゴミ箱を拾って、とりあえず部屋の隅に置いておく。
ホテルに伝わる座敷童の物語を聞いた7人は、座敷童を探して回り、ピカピカ兄妹が発見。歌の好きな座敷童の為に、特別コンサートを開く事に。ところで美羽は、いつもの髪型より今回の髪型の方が可愛い。
心と体を癒しに温泉でくつろいでいたケガレシアが合流し、G3プリンセス、奇跡の再結成。
皆が普通にケガレシアを受け入れているのは、正月ノリというより、もはや脅威だと認識されていないのでは疑惑。がっつり1曲歌い上げるG3プリンセスだが、ノリノリの男性陣とは対照的に座敷童には不評。
「……おばちゃんが、嫌だ」
恐るべき感想にケガレシア、激怒して沸騰。勢いでそのまま巨大化(おぃ)
「おばちゃん……おっきくなっちゃった」
「おばちゃんではおじゃらん。偉大なる機械生命体の、乙女でおじゃる」
……まあ、アレルンブラ家の乱の頃から健在など設定を考えると、人間視点ではけっこうな歳の筈ではありますが。
巨大化したケガレシアはゴーオンジャー達を踏みつぶそうとするが、そこでリフレッシュを終えた炎神達が炎神王G12の姿で登場。哀れ巨大ケガレシア、G12で夜空の星に。危うく、正月総集編でまさかの殉職かと思われましたが、さすがに死なずに良かった(^^;
どさくさでケガレシアを撃退したゴーオンジャーだが、座敷童を楽しませるというミッションは果たせていない。
「私達では駄目だった。だから……」
野郎共を見つめる、美羽と早輝。
「え?!」
「でも俺たちには曲がないっス」
「あるよ。――曲なら」
「マジか」
やたらに歌いたがる兄、用意していた(笑)
ここに急遽、G5プリンス結成。ジャニーズ……というか、『戦国鍋TV』の世界に。範人だけ、ズボンちょっと短くて、スネをちらちらさせているのがあざとい、あざといなっ!
座敷童に大受けで笑顔を取り戻す事に成功した7人は、新年骨休みも済み、翌朝、帰路へつく。その前に姿を見せたのは、赤い振り袖姿の座敷童。
「あなた、女の子だったの?」
だから、プリンスの方が受けた……というオチなのですが、どう見ても、最初から女の子でしたよ! 一応、軍平が「坊主」と呼びかけたり、男と誤解している扱いではあったのですが、どう見ても女の子でしたよ!
ラスト、EDはプリンスバージョンで、どこまでも遊び抜きました。
正月総集編なのですが、G3プリンセスとG5プリンスの歌を唄いきっている為、回想シーンは少なめ。衣装替えからダンス振り付けまで考えると、年末進行対策だと思われるのに、普段とあまり撮影の手間が変わらないのではないか、という(笑)
ここに来て初参加の脚本家でしたが、そつなくまとまった悪くない総集編。特にガイアークサイドの挟み方は、今作らしさが出て、良かったです。


◆GP−46「家出ボンパー」◆ (監督:竹本昇 脚本:吉本聡子)
ここに来て2話連続で、新規の脚本家。前回は総集編だからまだわかるとして、ちょっとビックリ。内容的にも、内部で脚本コンペでもあったのだろうか。
自ら運動して二酸化炭素を吐きまくる蛮鬼獣・ダンベルバンキが街に出現。ウイングスが現れて戦いになるが、重すぎる腕を動かせず、ウガッツを呼んでもやって来ず、飛び道具を撃って撤退。
「何しに来たんだ」
「そういえば来なかったね、ゴーオンジャー
「あいつら……」
ぎんじろうへクレームに行くピカピカ兄妹だが、当のゴーオンジャーもこれに驚き、ガイアーク反応を見逃したというボンパーに凄む赤と黒。黄色、緑、青はボンパーをフォローするが、ボンパーさん、変な方向へ爆発。
「本当は、僕なんか居ない方がいいって思ってるんでしょ」
赤「今、なんつった?」
「僕なんか、居ない方がいいよね! どうせ僕はポンコツで、何の役にも立たないよね!」
いやいや、ボンパーさんを「ポンコツ」呼ばわりしたら、世の中にはもっと立ち直れない人達がうずたかく……!
そんな東映ヒーローの残念な歴史を知るよしもなく、あまりに活躍の場が少ないからか、急にキレたボンパー、ぎんじろうを飛び出し、まさかの家出。
最終章を前に、物量的都合でどうしてもスポットの当たりきらなかったナビゲーションロボット、ボンパーに焦点を当てる展開に。
このままではガイアークが出現した時に困ると、走輔と軍平は強引に範人を連れて、第六感を持つピカピカ兄妹の元へ。最近どことなく様子のおかしかったボンパーを心配していた早輝と連は、家出したボンパーを探しに行く。
実はボンパーが突然やさぐれたのには、小耳に挟んだ連と走輔の
「なんか、うまく働かないみたいなんスよ」
「使えねえなぁ。ポンコツだし、もう駄目なのかな」
という会話を自分の事だと勘違いしたという事情があったのだが、ベアールVとバスオンから、最近元気の無いボンパーが夜中にこっそり自分で自分を修理していたという話を聞き、早輝と連は慌てる。ボンパーの部品は特別製であり、もし壊れた場合はマシンワールドに戻らない限りは、完全に修復は出来ないのだ……。
一方、ヘルガイユ宮殿にすごすご退散してきたダンベルバンキ。ダンベルには重すぎる両腕を動かす操縦役として選抜されたウガッツLとRが付けられていたのだが、業務に不満を持って退職していた事が判明。急遽、操縦係を再選抜するガイアークだったが、なかなか適任者が現れない。
「よし! こうなったら、妾達で操縦するしかないでおじゃる」
「ええっ?!」
ケガレシアとキタネイダスのリモコン操作(それぞれ、片腕ずつを担当)により再び街で暴れ回るダンベルは、駆けつけた赤・緑・黒・金・銀を薙ぎ倒す強さを見せつけるが、宮殿から遠隔操作の電波が届かず、撤退(^^; 脱力系のネタですが、一応、強敵が力を出し切れない理由としては、なかなか面白くまとまっています。
ガイアークのセルフ追い詰められ感が、凄い勢いで上昇していますが!
なんだろうこのガイアークの、未だにおふざけレベルで強力蛮鬼獣を繰り出せるのに、明後日の方向で駄目な感じ。
その頃寂しく彷徨っていたボンパーは、海辺で黄昏れているウガッツL・Rと出会っていた(笑) 自らの意志で職場を捨ててはきたものの、どこか胸に空虚を感じる3体。ボンパーの「言いたい事をちゃんと言えば良かった……」という呟きを聞いたLRはヘルガイユ宮殿に帰っていくと、上司に待遇改善を訴える(笑)
ゴーオンジャーでは走輔と軍平が、ボンパーを気にして戦闘に集中できなかった事を認め、“居て当たり前”だったボンパーの存在を改めて噛みしめる5人。
うーん今回、主題自体は好きなのですけど。さすがにどうにも、唐突すぎた感は否めません(^^;
以前にボンパーが少し目立った21話(フーセンバンキ回)は、「今更、そのネタ?」というシリーズ通してもかなり駄目な回でしたが、なにぶん、普段あまりにもボンパーに焦点を当ててないので、何をやるにも積み重ねが足りません。
またボンパーって実は、“役に立たなかった事がない”、ごく普通にゴーオンジャーの生命線なので、あくまで本人の意識の問題とはいえ、急にやさぐれるのはさすがに無理を感じます。せめて、ボンパーの不調を何話か伏線として敷いておければ、終盤にやる意味も出てきたと思うのですが、特にそういう描写があったわけでなく、元々ドジキャラなわけでなく、やさぐれ展開のトリガーが、小耳に挟んだ連と走輔の会話、だけなのはどうにも厳しい。
というかむしろ、未だにそれで誤解する程度の関係なのか?! みたいな(という所に走輔は怒った、という展開にはなるのですが、ボンパー側が家出に至る心理としては、どうしても厳しい)。
そこを“そういうボンパーの性格”で理由付けしているのですが、肝心のその“ボンパーの性格”がさして描写されてきていない、というありがちにして致命的な矛盾(^^; これは今回の脚本の問題というより、シリーズ全体の問題でありますが。改めて1回ぐらいボンパーをフィーチャーしようと思ったけど、やっぱりなんか無理があった、という。
全体の構成で言えば、フーセンバンキの時のようなネタを1クールの内にやっておいて、今回は2クール後、中盤の新展開前に挟んでおくような内容。とはいえ、今作に関しては、炎神優先が圧倒的に正しいので、ボンパー回があっただけマシ、と見るべきではあるかもしれませんが(^^;
ただ最終盤に持ってくるエピソードには、なるべくここまでの物語的積み重ねを活かしてほしいので、活きているようで活きておらず、ちょっと勿体ない。
労使交渉に勝利したLとRの再就職により、ダンベル、三度、街へ。
「ようやく僕ちゃんの本当の力が戻ったベル!」
背後の高層ビル屋上でリモコンを操るLとRの華麗なスティック捌きにより暴れ回るダンベルは、駆けつけた赤・緑・黒・金・銀を、軽々と圧倒する。その戦いを見つめるヘルガイユ宮殿に響く、重く低い声……
「ウガッツに屈するとは、情けないなりな……」
「今、なにか言ったでおじゃるか……?」
「いや……。なんか、聞いたような声ゾヨ」
ダンベルがゴーオンキャノンボールさえ弾き返す恐るべき強さを見せている頃、早輝と連はようやくボンパーを見つけ出していた。走輔が怒っているのはボンパーが役に立たないからではなく、仲間である筈のボンパーが自分達の関係を信じていないからだ、と諭す連。そして早輝は、ゴーオンジャーとして最初の戦いの後、ボンパーがゴーフォンにつけてくれたストラップを見せる。
「私、これのお陰で笑顔になれた。みんなも同じ、ボンちゃんが居るから、笑顔になれるんだよ」
「僕も、僕も同じだよ。だから僕、本当はみんなに言いたかったんだ。一緒に居てくれて、ありがとうって。僕、直らないかもしれないから。最後ににみんなに、ちゃんと……」
「大丈夫。俺が絶対直す。これからも、ずーっと一緒だ」
連、真面目モード。
最初の3人だった頃の回想が入ったり、今回、最終章を前に原点を見つめ直す、という要素も含んで青と黄のコンビ行動だった模様。赤い人は居ませんが!
「でも……」
「うん。だから帰ろう、ボンちゃん」
「ボンパー」
「連、早輝……」
手を伸ばす2人、それを握り返したボンパーは、ダンベルバンキのガイアーク反応に気付く。
真の力を発揮するダンベルの攻撃に追い詰められていた5人を助けに入る青と黄だが、強靱無比な両腕の前に、やはり手も足も出ない。更に超ダンベルミサイルが炸裂し、吹き飛ぶ7人。倒れた7人にとどめの攻撃が迫ったその時、追いかけてきたボンパーが赤の満タンガンを構えて、その前に立ちはだかる。
「やめないよ、ボンボン! 僕は、みんなと一緒に居たいから。みんなは、僕の大切な仲間だから。僕がみんなを守るんだ!」
色々、物語としての積み重ね不足に不満は言いましたが、ここは格好良くなりました。一つ前の連と早輝とのシーンも含め、地味な役回りながらしっかりボンパーに可愛げを与えていた、中川亜紀子さんの声優力による面が大きいですが、お見事。
ボンパーは満タンガンを構え、迫り来るダンベル……ではなく、背後のビルからその両腕を操るウガッツLとRを、超精密狙撃で無慈悲に抹殺。
…………え、あれ? …………えーと……先程なんとなく、“心の交流”とかしていませんでしったけ……?
ボンパーさん、マジ鬼畜

俺は涙を流さない ダダダ!
ロボットだから マシーンだから ダダダ!

ここからOPかかって全員の名乗りで反撃開始。ジャーとウイングスが完全合体ではないものの、そこはかとなく混ぜて、最後の揃い踏み立ちポーズは、7人+ボンパーさんで。
リモコン操縦の電波に気付いたボンパーさんの必殺の一撃により、文字通りに両腕をもがれたダンベルバンキはもはや7人の敵ではなく、合体攻撃で滅殺。
「ビックリウムが満ちるゾヨ……腕は上がらんが」
産業革命に対し、ぎんじろうに誰も居ない為にキャストが転送できない……となるが、ゴローダーGTが久々に大活躍。腕の上がらないダンベルバンキをハイスピードアクションで叩き伏せ、ピカピカ兄妹が青空王をテイクオフ。腕の上がらないダンベルバンキを青空インパルスで射殺してタッチダウン、とここに来てもロボットを使い切り、敵の弱体化理由も含めここは流れが綺麗に収まりました。
こうして改めて、絆を取り戻した、ゴーオンジャーとボンパー。連と走輔がポンコツ扱いしていたのはぎんじろうであった事が判明して誤解も解け、ボンパーさんの故障は思いこんでいただけ、ガイアーク反応に気付かなかったのは気にしすぎてそれどころでは無かった為、とざっくり一件落着。
……次回多分、心を持ったぎんじろうが大脱走
序盤に悪魔ぶりを見せつけた後、どうしてもスポットを当てられなかったボンパー回。1エピソードとしては悪くなかったのですが、物語全体で見ると、どうにも勿体ないという思いが先行してしまいます。作品コンセプトとして手が回らないのは仕方ない(そしてその路線で上手く行っている)のですが、もう幾つか途中途中で踏み込んでおけばもっと盛り上がったのにとは思われます。
まあ、終わってみれば仕込んでどうこう、というよりは、一回ぐらいボンパー回やっておくか的な単発エピソードではあったわけですが。単発エピソードとしてしか成立しなかったのは勿体なかったな、と(この辺りよく引き合いに出しますが『タイムレンジャー』最終盤のタック話はサポートメカ回として素晴らしかった)。
その辺り、物語の積み重ね不足をねじ伏せて、最後を盛り上げた中川亜紀子さんの声優力には、感嘆。
今頃気付いたけど、思うにゴーオンゼミナールって、ボンパーさんの出番をさりげなく確保する重要なコーナーだったんですね……。
ウガッツLとRに関しては、しょせん欲得で悪の道に戻ったという事でフィクションの因果応報としては踏み外していないのですが、結局は機械生命体のドライな繋がりであり、ボンパーさん、マジ悪魔マジ外道マジ鬼畜という、最終的に何もかも真っ黒になるところが、物凄い今作らしい(笑)
そして――またも作戦に失敗し、キタネイダスとケガレシアがやけ酒をあおるヘルガイユ宮殿に、不気味な声が響いていた……。
「いったい何をしておるナリか」
2話引っ張った末、遂にゴミ箱の中から登場する、もやもやした漆黒の影!
次回、大臣ズ解任?!
いよいよヒューマンと炎神とガイアークの戦い、最終章へ。
の割には予告見るとどうも、軍平と範人のコンビ話も交えるようですが、これも一つの原点振り返りか。ここまで充分に楽しませてもらった作品なので、後はどうまとめるか、楽しみです。