はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『特捜戦隊デカレンジャー』感想29

◆Episode.40「ゴールドバッヂ・エデュケーション」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子
ボランティアで「火の用心」の夜回りに参加していたバンとテツは、火事を目撃。それは、アリエナイザーによる放火であった。2人は変身し、デカブレイク、噴射拳インパルスフィストによる、高圧噴射で消化活動。そこに4人も駆けつけ、姿を見せた銀色ボディのアリエナイザー、コラチェクと激突する。
桃「火事を起こすなんて、酷い危ない許せないわ!」
黄「火遊びで許されるのは、夏の恋だけよ」
緑「……え? 夏だけ?」
おい、センちゃん……。
やっぱり、センちゃんの女性関係は油断なりません。
割と強いコラチェクに苦戦する5人。赤は戦闘中、放火の被害にあった車の中に要救助者を発見し、その救助をブレイクに任せる。ブレイクがなんとか救助者を逃がしたその時、突然現場に降り注ぐ白い閃光――そして降り立つ、まばゆい光のスペシャルポリス。
「あれは……」
「金バッジ……」
「並み居る悪を、白日の下、暴き出す。光の刑事・デカブライト
「チーフ!」
そもそもそういう設定の作品でありますが、これでデカレンジャー5人・デカマスターデカブレイクデカスワンデカブライトと、とうとう9人目のスーツが登場。
女性型の特凶スーツに身を包んだデカブライトは、コラチェクを1人で圧倒。
…………おい、テツ……。
やはりダメなのは、装備でなくて中身なのか。
まあ実際、特凶スーツよりSWATモードの方が装備が強いと、宇宙警察として特凶の位置づけがおかしいので、つまり、これが真の特凶の実力です。すなわち、真真エリート(もう何が何だか)。
コラチェクは炎を放って撤退し、素顔を見せるデカブライト。特凶1班チーフ、その名をリサ・ティーゲル。
演じるは、七森美江さん!!
薔薇のタトゥの女!!!
仮面ライダークウガ』(2000)放映当時、一条さんと薔薇のタトゥの女に狂っていたので、私、大興奮(笑) というわけで今回の感想は、だいぶ七森さん補正が入っているので、ご了承下さい(笑)
宇宙各地で4107件の放火事件を起こしてきた、自由に炎を操る神出鬼没の放火魔コラチェック。惑星全体を炎上させた事もある、この特別指定凶悪犯を追って地球にやってきたチーフは、初登場の頃のテツのような態度。
「本件は、特凶扱いです。よって、手出しは無用。――鉄幹、来い」
「私達って、なんとなーく……ちょっと、たぶん、嫌われてる?」
「いや。Perfectに嫌われてる」
まあ、チーフから見ると、腐ったリンゴだし。
テツを廊下に連れ出したチーフは、いきなりの平手打ちを一閃。
「鉄幹、夕べのあれはなんだ?」
なぜ本庁のエリートである金バッヂが、所轄のノーマルバッヂの指示で動いているのかを厳しく問い詰める。
「いいか、鉄幹、特凶は選ばれた人間だ。大きな権限を持つ代わり、果たすべき責任も大きい。我々のなすべきは、特別指定凶悪犯の逮捕であって、断じて、単なる救助活動ではない」
…………すみませんチーフ、一番弱いの、そいつなんで、適材適所なんです……。
「見るところ、おまえはここで、ろくな事を学んでいないようだな。あんな奴等と馴染んでどうする」
すみません、ホント、すみません。
「馴染むのは悪い事じゃないと思います。あんな奴等って発言は、取り消して下さい」
「おまえが私に口答えするとは。何を熱くなってる? 任務中は感情を出すなと教えただろ」
チーフ、棒読みなのか、「機械的に喋ってください」という演技指導だったのかいっそ悩ましいレベルになっていますが、よく考えると『クウガ』の時、グロンギ語しか喋ってないので、日本語で演技しているの見るの、初めてかもしれない(^^;
でも、テツを冷たく見下ろす視線が素敵。
「俺はここに来て、気持ちが、不可能を可能にする事があるって学びました」
格好良く拳を固めて熱弁をふるうテツだが、鼻で笑われる。
「ふっ……気持ちか。そんなものは劣等生の論理だ。気持ちなんて頼らずとも、任務を遂行するのが我々特凶だ。――コラチェクの件が終わったら、おまえを本部に戻す。もう一度最初から鍛え直してやる」
嗚呼、楽しい(笑)
チーフに徹底的に説教されたテツは、屋上で体育座り。
「チーフ……本気だよな……。そろそろ地球とお別れなのか」
そこへいつでも無駄に前向きなバン、やってくる。
「どうした後輩!」
「俺、わかんなくなっちゃいました……」
一方、事件を調査中のチーフにハーブティーを出してみるスワンさん。チーフは一応頭は下げるが、ハーブティーには手を出さない。
どこで残念が感染するかわかりませんからね!
「生憎、休んでいる暇などありませんが」
「少し、テツのやり方に任せてみれば?」
テツをフォローしてみるスワンさんだが、ばっさり却下。あと正直、視聴者目線でも、テツに任せるのはどうかと思うんです(笑)
「テツはちゃんと頑張ってるわ」
「頑張る? 気持ちとか頑張るとか、下らない事を鉄幹に吹き込んだのは、貴女ですか」
吹き込んだのは、恋の魔法についてです。
「そういう曖昧な言葉が、彼を駄目にするのです。私は血気に逸って死んでいったスペシャルポリスを、嫌というほど見てきました。鉄幹には、そういう風になってほしくないんです」
「でも……」
「口出しは無用です。鉄幹の事は私が決めます」
おお、スワンさんに勝った!
スワンさんへの勝者が出たのは、劇中初でしょうか(笑)
またここの会話で、チーフはチーフなりにテツを心配しているというニュアンスが出ているのはいい所。実際テツに最も影響を与えているのはバンなわけですが、チーフの「うちのテツに変な事を吹き込んだのは誰?!」レーダーが、スワンさんに激しく反応しているのは、いっそ微笑ましさも感じさせます。テツ、マザコンの気があるし。
部屋の外では通りすがりのボスが立ち聞きして唸ってますが、デカベースの壁が薄いのか、アヌビス星人の耳がいいという事なのか、色々と問題だ。
「……俺、何もかもチーフに教わったんです」
屋上で体育座りしながら、特凶での厳しい訓練を思い返すテツ。
「感情は往々にして、攻撃の計算を狂わせる。だから戦いにおいては気持ちを出すな、って事も」
……まあ向き不向きがあるというか、明らかに計算しなくなってから弱くなってるしな、テツ(笑)
「けど、先輩達を見て、気持ちで戦う事も大事なんだって」
「そう、その通り!」
「でも、やっぱり冷静さの方が大事なんでしょうか?!」
「うーーん…………大事なのは、冷静さじゃない。そして気持ちでもない。――正義だ!」
「……はぁ?」
「一番大事なのは正義だ。だから正義は必ずかぁつ!!」
「……やっぱりナンセンスかも」
人々を守り悪を倒す、という最終的な勝利が大事で、それを支える信念が「正義」という事なのかと思われますが、まあうまくバン語になっています(笑)
逆に言えば、物語中盤から持ち込まれた
「正義は勝つ」
というキーワードに、改めて意味づけを付加しているともいえ、この辺りの流れは達者。この再確認は、作品全体のフォローとして、良かったと思います。
コラチェクが昼日中から街に出現して団地を大炎上させ、出動するチーフとテツ。
「光の刑事・デカブライト」「夜明けの刑事・デカブレイク
2人はダブルインパルスで炎を鎮火。姿を見せたコラチェクはブレイクのトルネードフィストを跳ね返し、しゃしゃり出てきた5人のSWATモードからDリボルバー一斉射撃すら防御。反撃の炎で5人を燃やす……と、やたらめったら強く、SWATモードも、なんか短い春でした(^^;
「ノーマルバッヂ、手出し無用と言った筈だ」
コラチェクの追撃から、5人を防御拳・バリアフィストでかばってくれるチーフ、なんだかんだでいい人だ。
逃げたコラチェクを追うブライトとブレイクだが、その逃走に市民の少女が巻き込まれてしまう。咄嗟に少女を守ってコラチェクに体当たりを敢行するブレイクだったが、無視して戦えというチーフと、火傷を負った少女を病院に連れて行かなくては、という板挟みで惑っている内にコラチェクに逃亡を許してしまう。
「半人前の特凶など、ノーマルバッヂにすら劣る。先にデカベースに帰って、本部へ戻る準備をしておけ」
鉄幹を置き捨てコラチェクを追ったブライトは、追い詰めた倉庫で、至高拳・なんとかハンマー(何言ってるか聞き取れず)でコラチェクを倒したかに思われたが、背後から襲いかかる炎がその体を包み込む!
一方、少女を救急隊員に預けたテツは、思わぬ目撃情報を得ていた。
「あの悪い人は、火傷しないの? お洋服の中に火が、入っていったよ?」
ブライトを追ったブレイクが目にしたのは、ダメージによって変身が解けて倒れるチーフと、悠然と立つコラチェクの姿であった。ブレイクはコラチェクに拳を向けると見せかけ……背後から迫っていた炎に振り返る。
「おまえの本体は、こっちだ! 噴激拳・スーパーインパルスフィスト!!」
迫り来る炎に向けて放たれた高圧噴射を浴び、悲鳴をあげるコラチェク。そう、コラチェクの正体は炎を実体とするパイロー星人であり、銀色のボディは地球上で活動する為に炎の体を納める特殊スーツにすぎなかったのだ。
「チーフ……犯人を逃がして人助けしている俺は、特凶として、半人前かもしれません。でも……バッヂの色がどうであろうと、俺は人を守りたい。――だって俺、刑事ですもん」
迷いを乗り越え、自分の立つべき場所と、それを支える信念を見つけ出すテツ。
だがその時、大地を揺らす振動とともに、パイロー星人用特殊スーツ・フレイムギア〔超LLサイズ〕が出現。アブレラさんが、角のところにぶら下がっているのがお洒落。
「早く着替えて、宇宙警察どもを蹴散らすがいい!」
コラチェクは超LLサイズの中に入り込み、実質的な巨大化。テツとチーフは倉庫の外へと逃げだし、超LLコラチェクにはデカウロボが立ち向かうが、その放つ超高熱を浴びてピンチに陥る。
「あの炎には耐えきれない。機体はともかく、中の人間が危険だ」
――だが。
心頭滅却! ちっとも熱くねえ! 何故なら、俺たちの胸ん中には、もっと熱い炎が燃えているからだ。正義って名前のな!!」
「え?」
これが、地球署名物、計算を超える力。正義の思いとド根性で高熱に耐えたデカレンジャーは、ウイング高速突撃パンチでコラチェクを吹き飛ばす。
「呆れたな。これが奴等の言う気持ちか」
横で、テツが凄い顔になっている(笑)
心の声を翻訳すると、(このタイミングで先輩達それかよーーー!! なんか「計算通り、ニヤリ」みたいに言って逆転してくれれば、俺まだ地球居られるかもしれないんですけどーーー)みたいな感じでしょうか。
「だが……悪くない」
「え?」
「なんかいい」
特凶だめだーーーーーーッ
ヌマ・O長官は、本格的に宇宙警察の組織再編を考えた方がいいと思います!
「そうなんですよ!」
笑顔になるテツの前で、舞い上がるデカウイングロボ。
「燃えるハートで行くぜみんな!」
「「「「ロジャー!!」」」」
恒例の大気圏離脱から、キャノン変形。ジャッジメント前から銃口向けているけど、細かい事は気にするな!
パイロー星人コラチェク。23件の惑星放火を含む、4103件の放火の罪によって、ジャッジメント!」
デリート許可が下り、ファイナルバスターが炸裂。フレイムギアを破壊されたコラチェクは、宇宙空間の冷気に耐えきれず、消滅するのであった。特別指定凶悪犯は削除され、本部へ帰還するチーフは、去り際、スワンに問いかける。
「……鉄幹に、特凶の前に刑事だと教えたのは、貴女ですか?」
明らかに、スワンさんをライバルだと認識しているのが、素敵(笑)
「いいえー」
スワンから水を向けられたボス、犬なりにニヤリ。
「誰も教えてはいない。テツが自分で学んだ事だ」
「そうですか」
そこへ入ってくる6人に、チーフは軽く頭を下げる。
「皆さん。これからも鉄幹を、よろしく頼みます」
こうしてテツの地球署居残りが決定。これ幸いと、先輩達から雑用を押しつけられるテツの「ナンセンス!」が響いてエンド。
エリートキャラの考えを変えようとするとどうしても、ミスさせたりピンチにしたりになりがちなわけですが、今回、テツがテツのやり方の結果、計算外で思わぬ情報を得る、という要素があったので、出来ればブライトをあそこまで追い込まずに、しかしテツが逆転の鍵になる、という展開に収めて欲しかったところ。まあ、ヒーロー物としてピンチ感をあおったりわかりやすい構図優先という判断だったのかもですが、“こちらを上げる為にあちらを下げる”、という展開にどうしても陥りがちのは残念。
その点で今回、締めのナレーションが
スペシャルポリスとは何か? 特凶とは何か? けっして答の出ることのない問い。だが、問いかけ続けることに、意味がある。悩め、迷え、デカレンジャー。そして、戦え、特捜戦隊デカレンジャー
と、本編よりはもう少しフラットな位置からまとめたのは良かったところ。
エピソードの構成はテツがオカルトに染まってしまう23話とほぼまんまなのですが、その中でブレイク登場編から持ち込まれた「正義は勝つ!」というテーゼを補強したのは、面白かったと思います。
そーいえば結局、ブレイクは何のパワーアップもしなかったけど、テツが特凶スーツを使いこなせばもっと強くなれる、という事でいいのか、いいのか。バイク……は、まちょっと覚悟はしておけ。
チーフ役の七森美江さんは、スタッフ側でも特別ゲストの扱いだったのか、おまけコーナーにもちらっと登場。ただテツは、あんまりMっぽくないよなぁ(何の話か)。