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『仮面ライダーブレイド』感想29

先週分2。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第46話「聞け万国の労働者」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇
前回派手に弾け飛んだように見えたケルベロス、奥に大の字で寝ていた……と思ったら、それを封印してカードにする天王路。その後にはケルベロスの奪ったカードが散らばり、睦月がそれを回収する。
遂に表に出てきて秘めた悪意を振りまいたと思ったら、秘密兵器があっさりと撃破され、怒れる仮面ライダー達に囲まれて大ピンチの理事長。いったいどうやってこのピンチを切り抜けるのかと思ったら……
「お、おまえ達がちゃんと仕事しないからなんだからね?!」
と、説教スタート。
大人のずるさを見せつけてきました(笑)
何のバックアップもしていなかった事は棚にあげ、いつまで経ってもアンデッドの封印作業を完遂できないばかりか、一般市民の鬱陶しい思春期まで巻き込んで全くもってなってない、この役立たずのプロレタリアートどもめ、という事で
「君たちは、退職処分とさせてもらった」
「それってクビって事ですか?」
「何故ですか? 私達は今までアンデッドを封印してきた。それを今更」
橘さん、あなた前回、偉い人に向かって
「奴を止めろ! やめさせろ!」
とか暴言はいてたよーな。
かくして、めでたく正真正銘の無職となった2人に、本来ボードの所有物であるライダーベルトと集めたカードを渡してもらおうと要求する天王路。色々な点で何を今更感が漂いますが、前回を汲んでここで「仕事」要素がねじ込まれてきました。
「それは……出来ません」
だが、橘はそれを拒否する。
ここは剣崎ではなく、かつて自分探しの旅に出る為にベルトを返却した過去のある橘さんに言わせる事で、桐生編を経た後の橘さんの覚悟と責任感が出ました。
「俺の知っているボードは、人類の平和の為に作られた組織だ。あなたのやっている事は、まるでその逆だ!」
色々とまとめに入って、前半戦を思い出す機会も増えてきましたが、20代前半〜半ばぐらいの男が叫ぶ青臭さというのは、このぐらいが限界だよな、と。また、前半からもっとしっかりと「仕事」の要素が描かれていたら、この対立項にも面白みと盛り上がりがより増したと思うのですが、どうにも勿体ない。
「おまえがケルベロスで何を企んでいたかは知らない。だがそれは葬られた。おまえの負けだ!」
「俺たちはこれからもアンデッドを封印する。それが、俺たちの使命だ」
そう、我々はブルジョワジーに屈しはしない!
長き搾取に悩みたる 無産の民よ決起せよ
今や二十四時間の 階級戦は来たりたり
起て労働者奮い立て 奪い去られし生産を 正義の手もて取り返せ!
仕方ないので理事長、黙って帰る。
これは、次は法務部から正式な書類が来る→裁判→有罪→服役コース。
「それじゃあ、本当に天王路理事長が生きていたの」
天王路との遭遇を聞いての広瀬さんの反応なのですが、いや別に、理事長は死んだ事にはなってなかったよーな(笑) アンデッド解放の責任を取って理事長の座を退いた事には言及されていましたが、広瀬さんの中では、しばらく連絡の取れない人はみな死んだ事になるのか。
で、どうしてわざわざ夜に屋外で話しているのかと思ったら、ジョーカーを運び込んだ小屋の外でした。剣崎はジョーカーのベルトにスピリットのカードを通し、姿は人間に戻る始だが、目を覚まさない。
一方、家に帰った理事長は、ケルベロスを倒されたにも関わらず、余裕の表情を浮かべていた。
ケルベロスよ、おまえの本当の力を見せる時が来た! ライダー達を越える、真の力を」
そこへやってくる出来るクワガタ。このバトルファイトを始めた者に興味があったという金居に対し、ケルベロスのカードを見せる天王路。
「これが欲しいのか?」
「そのカードを使えば、アンデッドを封印できる」
封印の石が現れなくとも、ライダーシステムを用いずとも、ケルベロスの力があればアンデッドを封印する事が出来る。金居はその力を得ようとするが、天王路が欲したのも、まさしくその力であった。ケルベロスの力があればクワガタもジョーカーも封印する事が出来……
「そして神が顕れて、ケルベロスに祝福を与える。……バトルファイトの、勝利者に。ふふふふふふ、はっはっはっはっはっは」
ここで天王路が恍惚と、封印の石を撫ですさるのが気持ち悪くて素晴らしい。
あくまで天王路主観の発言ですが、「バトルファイトの勝利者の前に神が顕れる」と、ちゃぶ台返しのもう一回ひっくり返し。封印の石がアンデッド同士の戦いに際して出現しなかった理由は謎ですが(ボードが確保しているから?)「封印の石が現れない」「事故で始まったものだから」という根拠によるイレギュラーな「偽りのバトルファイト」という見方は間違いだという事になりました。この点に関してはあくまで登場人物それぞれの主張なので、まだ幾らでもひっくり返せてはしまいますが(^^;
そしてどうやら、それを見極める為に表立って動いていなかった様子の金居は、ケルベロスカードがあれば自分がジョーカーを封印して最後の勝者になれる、と天王路と対峙、アンデッドへと変身する――。
「さあ、カードをよこせ」
目を覚まさない始を農場へ運び込んで看病していたぼんくら軍団だが、サーチャーがキングの変身に反応。橘と睦月が出撃し、ジョーカーを見張るという名目で剣崎は残る事になる。
「始……起きてくれよ」
――起きた(笑)
駄目師弟が居なくなった途端に速攻で目覚めたのですけど、何か、目に見えない役立たずフィールドでも発生していたのでしょうか。
そして、光った。
「みなさん、初めまして」
突然、その場に居る、剣崎、広瀬、虎太郎の脳内に響く声。
「私は、相川始でも、ジョーカーでもありません。あなた達の言う、カテゴリー・2」
「ヒューマン、アンデッド……」
おおお、ここでこう来ましたか。
研究所では、正体を露わにしたギラファクワガタアンデッドに対し、ただの人間である筈の天王路が余裕の笑みを浮かべていた。
「ふふふ……君はまだ、ケルベロスの本質を理解していないようだね」
「なに? ぬ?!」
天王路がスーツの袖をまくると、その左腕からは、金属製のスロットが醜く突き出していた。
「――変身」
ケルベロスのカードが天王路の左腕へと吸い込まれ――天王路はケルベロスアンデッドへと変貌、更に強化された姿となる。そしてケルベロスの胸に浮かび上がる、天王路の顔が超気持ち悪い。
「ふふへへへへへへへへ」
「アンデッドと、融合しただと?!」
「いーや。私はアンデッドになったのだ! ははははははは」
成る程。
天王路の真の目的は、“自ら”をバトルファイトの勝利者にする事だった、と。
そもそもライダーシステムがその前段階のだったと思うと、最初からきちんと話は繋がりました。
ずっと、なぜライダーシステムはアンデッドとの擬似的な融合という手段を取っているのか、という疑問があったのですが(劇中では度々「アンデッドの力を借りる」という表現を使っていましたが、カードギミックの描写不足の為もあり、リスキーな部分の方が目についていた)、これで腑に落ちました。
こういった「実は凄い黒幕が居て全てその陰謀でした」という展開は、しばしば「どうしてそこまで遠回りして時間をかける必要があったのか」という疑問が浮かんでしまいがちですが、アンデッドを分析しつつ封印する必要もある周到かつ遠大な陰謀、としては納得のいくレベル。
胸に輝く天王路ヘッド、ケルベロスアンデッドゴールデンは出来るクワガタを圧倒。レーザー光線まで放ち、大爆発を引き起こす。どちらが格好いいかといえば実に戦闘栄えするクワガタの方が格好いいのですが、格好良くても負ける時は負けるのだ。
出来るクワガタとケルベロス理事長がド派手に戦っている頃、留守番組はヒューマンアンデッドの話を聞いていた。始がジョーカーの力によって獣に戻らないようにと自己催眠をかけて意識を深く深く沈めた事により、始の中に封印されていたヒューマンアンデッドの意識が表に浮上したのである。
「私は、彼の内部から働きかけてきました。そして今では彼は、人間になりたいと願っています」
て、やっぱり、おまえのせいか。
これ、ジョーカーの僅かな感情の部分に訴え続ける事でジョーカーの中に理性と良心が芽生えてきた……とかそういうニュアンスなのかもしれませんが、どうしても、ヒューマンアンデッド自体がある種のウィルスプログラムとしか思えません(笑) なんか話し方が、機械的だし!
「アンデッドが最後の一体となった時、何が起こるんですか?」
自分達の始祖に問う広瀬。
「バトルファイトに勝利した時、統制者の声が聞こえました」
遂に明かされる、1万年前のバトルファイトの結末。
バトルファイトの管理者が、その勝者に与えるもの――それは、望み通りに世界を変える力。勝者の種族を繁栄させる、と伝えられてきたそれは、世界を思うがままに組み替える、神のごとき万能の力であった。
剣崎「それで貴方は、何を望んだんです?」
「――君なら、何を望みますか?」
そこで時間切れして、意識を失うヒューマンアンデッド。
いい質問が出た所で、引いてきました(笑)
実は今作、後半戦に入って大きく盛り返してきた中で一つ欠けている要素がありまして。それは、“人間の守る価値”“人間の勝つべき理由”という部分。人間が主人公の物語なので、当然の前提であるが故に描かれていなかったというのはあると思いますが、種族対立の概念や部分的な共感を描いてしまった以上、物語としてはそこに触れる必要があると思っています。
ここに来てのヒューマンアンデッドの登場や、統制者への望み、というのはその布石かと思うので、うまく取り込んでくれる事に期待。
一方、サーチャーの反応に向かっていた橘と睦月はぼろぼろになった金居を発見し、それを追ってきたアンデッドが天王路である事に気付く。情報を得る為に金居を農場へと連れ帰り、天王路がケルベロスと融合したという、衝撃の事実が皆の知る事となる。
「人間が、アンデッドに……?」
天王路博史にとって、社会に多くの被害をもたらしたこの凄惨な戦いの全ては、自らがアンデッドとなり、バトルファイトの勝者となって統制者に出会う為の踏み台に過ぎなかった。
登場自体は最終盤になってからの天王路理事長でしたが、これまで物語に散りばめられていた数々の要素を統合し、実に立派なラスボスになりました。森次晃嗣さんの、どんどん気持ち悪くなっていく演技も素敵。
始が目を覚まし、雰囲気悪いので傷ついた体のまま去って行く金居。怪我による傷と体液の表現で緑色のスライムみたいなものを顔につけていたりするのですが、何となく格好いいという二枚目力。目覚めた始は、仮面ライダー達を始末するべく迫る、ケルベロスアンデッドゴールデンの気配に気付く。
「天王路? そうか、やつがアンデッドと」
起きたばかりの始さん、超理解早い(笑)
「カテゴリーキングの事は後だ。天王路を止める」
バイクで並んで出撃した4人は、黒塗りの高級車と擦れ違い、お互いに停止。後部座席からゆったりと降り立つ理事長。……運転手、健在なのか。
「ライダーシステムを返還する気になったのかね?」
剣「おまえがバトルファイトの勝利者になった時、何を願う?」
ここで少し離れてバイクを停めた4人が、天王路の方を振り向く事なく、背中を向けたまま、というのが非常に格好いい。
「むろん平和だ。二度と人間が、互いに争ったりする事のないように」
始「その為に、現在の人類を全て滅ぼす……」
「当然だ! 今の人類は、邪悪な心に満ちている! 全てを滅ぼし、新たな平和を求める人類を、誕生させる」
睦「そして、おまえがその支配者となる」
万能の力を得て新人類を想像し、支配する――よく居る誇大妄想的悪役となりましたが、天王路の場合は、ここまでの設定の統合が大事だったので、この辺りの思想的背景などに関しては、おまけ程度で構わないと思います。
橘「なぜボードを作った!」
「全ては計画通りだ。広瀬はアンデッドを解放し、君たちは効率良く、封印してくれた! お陰で私は、ケルベロスを完成させる事ができた。感謝してるよ」
橘「俺たちは最初からおまえの欲望の為だけに動かされていたというのか。俺たちの理想は……正義は……」
とうとう、就職の時点から騙されていた事が判明した橘さん、人生裏目すぎて、手の施しようがありません。
「全て幻。ふ、ふふひはははははははは!! 変身」
ケルベロスアンデッドゴールデンへと変貌する天王路。4人はベルトとカードを構えるとバイクをスタートし、ターン。
「「「「変身!!」」」」
バイクで走りながら仮面ライダーへと変身し、真っ直ぐの道路の先で待ち構えるケルベロスゴールデンへ突っ込んでいく、とここは、気合いの入った演出。
「まもなく、カテゴリーキングとジョーカーを封印する。その時、神が降臨するのだ。その光景を見るがいい。人間とアンデッドが完全に融合した私こそが、最強なのだ」
レーザーで吹き飛ばされ、戦闘場所、移動。遠雷の音が響く中、ケルベロス理事長は4人のライダーを叩きのめし、投げ飛ばされたレンゲル……を受け止めたのは出来るクワガタ。ここで、走ってくる時のシルエットが無駄に格好いい。
「さっきはこの坊やに助けられたんでねぇ。頑張ってくれよ。実現させようぜ、君が望んでいた平和ってやつを」
奮起したレンゲルケルベロス理事長に冷凍ステッキアタックを直撃させ、よろめくケルベロス
「私を……私を封印するつもりか。君たちをライダーに選び、その力を与えてやった私を」
「全てのアンデッドを封印する。それが俺の仕事だ!」
「違う! 私という新たな神を生み出す。それが、君たちの仕事だったんだ」
どだい、2話の時点でほぼ破綻していた仕事ネタに関しては前回、「もうこれ以上はどうにもなりません、というか無理」みたいな感じでジャイアントスイングで投げ飛ばし気味になりましたが、ここは綺麗に繋げました。脚本家の、プロとしての意地を見る所です。
「誰に命じられたわけでもない。俺は、全ての人を守りたい。そう願った!」
エボリューションしたキングブレイドは装備を構えるが、黄金ケルベロスのビーム攻撃を受けてしまう。その時、飛び出したカリスがダッシュしながらエボリューションし、ジャンプ攻撃を決めながらケルベロスの背後へ回る。
「やれ、剣崎!」
叩きつけるように降り出す雨。キングブレイドは5枚のカードをセットし、嵐の中、ケルベロスアンデッドゴールデンを挟む形で、ロイヤルストレートフラッシュとワイルドずんばらりんスラッシュがクロスで炸裂する。二つのキングフォームの攻撃を同時に受け、大ダメージを受けたケルベロスは逃げ出し、それを追った4人は、人に戻った天王路の姿を目の当たりにする。
「馬鹿な……」
理事長、視聴者の気持ちを代弁(笑)
ラスボスではなかったのか天王路、そして2話連続で実質瞬殺なのか、ケルベロス……。
「なんという事を……貴様達、何をしたのか、わかってるのか!」
このままでは、バトルファイトの勝者は出来るクワガタかジョーカーになってしまう。待ち受ける結末は、世界の破滅かクワガタワールドかの、二つに一つ。自分の正当性を主張する理事長だったが、その時背後に立つ、クワガタ王子。
「封印されるのは……おまえだ」
金居は変身すると、恐慌状態の天王路を一刀両断。
「ジョーカー、最後に勝ち残るのは、俺だ」
アンデッドを封印可能な力、自分を最後の勝者へと導くケルベロスのカードを入手する、出来るクワガタ。人間の時の容姿や台詞回し、変身後の声のトーンなど、最終盤に来て実にいいキャストを当てました。
睦「なぜだ! なぜ無駄に人の命を奪うんだ!」
ク「奴はアンデッドだったんだぞ。それだけで充分だ」
橘「もう……戦う力は無かった」
剣「ただの人間だ!」
一斉に出来るクワガタを責める3人ですが、ついさっきまで、封印する気満々だったじゃないですか貴方がた(^^; クワガタにぶった切られた天王路が赤い血を流しているので、カードと分離した事で人間に戻ってはいたようですが、その辺りの判断基準というか、切り替えはさすがに早すぎるような。
仮にアンデッドとしての力を失っていても、財力と組織力と悪意を兼ね備えている困った人なわけですが、一体全体、どうやって始末をつける気だったのか。まあそこで私刑に走ると桐生さんになってしまうわけですが、しかし劇中でそれ以外のルートを提示しているわけではない(それこそ、単体で1年やれるようなテーマ性なので、踏み込む余裕は当然ない)。
勿論、クワガタさんの行為を肯定するわけにはいかないのですが、逃げを打つのは仕方ないとしても、あまりに条件反射的な綺麗事になってしまった感はあります。睦月と剣崎はともかく、特に橘さん。
始「無駄だ。ヤツはケルベロスを倒す為に、俺たちに力を貸したにすぎない」
実際は睦月に爽やかにエールを送っただけで、特に手伝ってもいない(笑) 
睦「そうなのか……? 嘘だったのか! 平和を実現させようって!」
ク「嘘じゃないさ。俺はジョーカーを封印し、万能の力を得る。俺の平和に、人類など不要だ!」
出来るクワガタに詰め寄った睦月ははたかれますが、まあ当然。
簡単に、自分達の理屈と倫理観で異種族とコミュニケーションが取れるなど思いこんではいけないのです。
というわけで、すっかりラスボスかと思われた天王路、まさかのリタイア。出来るクワガタ自体は好きですが、天王路がこれだけやった後だと、ラスボスとしてはちょっと弱いのですが、さてどうなりますか。
次回、ジョーカーを巡って激しく争う4人の男達!
高まり続ける始さんのヒロイン力の明日はどっちだ?!
……よくよく考えると、ジョーカーが目覚めだしてから始さんのヒロイン力が激増したので、つまり、ブレイド』に全体として薄かったヒロイン力は全て、ジョーカーの中に眠っていたと。
最終話目前にして結論:真ヒロインはジョーカー。