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『機動刑事ジバン』感想5

◆第5話「三大メカ出動!アイドルロボを救出せよ!」◆ (監督:宮坂清彦 脚本:杉村升
ノーベル物理学賞と平和賞を同時受賞した板倉博士が海外遊説から帰国する。博士が作り、世界的に子供に大人気のパンダっぽいマスコットロボット・ハリーは高度な人工知能を搭載しているのだが、どうやら階段を降りられないらしく、そんなハリーくんを抱えて走る博士(笑)
「可愛いじゃないか! あのハリーってロボット!」
ハリーは可愛いアピールをするならまゆみちゃんに喜ばせれば良かったと思うのですが、何故かまゆみちゃんよりはしゃぐ直人。そして、ハリーに搭載されているのが自分達と同じ未来世代コンピュータであると分析し、まるで兄弟が出来たみたいだと喜ぶボーイを初めとするサポートメカ軍団(車、バイク、ヘリ)。その勢いでハリーにアクセスを試みようとするボーイを止める直人、警官らしく良識のある所を見せました(笑) というか、ボーイが自由すぎて怖い。
ところが、そのボーイがハリーと博士の異変を察知する。研究室からの迎えを装った車に博士が拉致されそうになり、救出に向かったジバンはレゾンで体当たりを敢行。
博士ごと殺す気か。
「やはりバイオロンか」って言えば何しても許されると思うなジバン。
警察もやってきて怪人タコノイドは退却。メディカルチェックの結果、2時間以内にハリーを修復しなければいけないが、博士は催眠ガスで12時間は意識を失っている為、仕方なくジバン、ハリーを誘拐(笑)
直人の手によって無事に修理されたハリーはサポートメカの数々の武装を目にして、
「どんな悪い人でも話せばわかるじゃないか」
と、地下組織の存在意義にきついダメ出し(笑)
まあこの地下組織、いっけん非合法のようで、実は闇の公権力の手先なので物凄いタチ悪いのですが!
どうやら博士が研究しているエネルギー蓄積チップが何者かに狙われているようだ、と博士をガードする警察だが、バイオロンの強襲で博士の身柄を奪われてしまい、それを目撃したハリーは車を追っていく。
秘書ーズ、よくわかりませんがヒトデ状の物体から人間体へと、凄い変身が出来る事が判明。
そして直人は、「意識回路ストップ」と、偽装システムを丁寧に作りすぎたのか、催眠ガスで倒れてしまう困った仕様である事が発覚。
博士を追うハリーとコンタクトを取るボーイだが、「君たちみたいな頭からっぽの武闘集団とは手を取り合えない」と協力を断られてしまう(笑) 
大枠では“主人公達の善意と正義を信用せずに協力を拒むゲストキャラ”のパターンなのですが、そのゲストキャラが嫌な奴でも無ければ何か背景や信念を抱えているというわけでもなく、プログラムされた言葉を繰り返すあざとい外見のプロパガンダマスコットロボ、なので、何だか酷くねじくれ曲がった事になっています(笑)
直人が役に立たないので、まゆみちゃんの指示で発進するメカ軍団。レゾンはハリーを発見し、ハリーが追っているのが、ハリーが迷子にならないようにと、板倉博士が歯の中に仕込んでる無線発信器の電波である事を知る。
マスコットロボットの為に自分を改造するとか、板倉博士、結構クレイジー
なおも協力を拒むハリーはレゾンに花火を投げつけて逃走。まゆみちゃんにハリーを見失った理由を問われて、「ハリーに花火を仕掛けられて頭にきました」って、サポートメカ軍団がフリーダムすぎる。
ハリーはとうとう博士を発見し、バイオロンに対して話し合いで博士の解放を求めるが、度重なる攻撃を受けて大ピンチに。そこへジバンとロボ軍団が飛び込んでくるが、博士を人質にされて滅多打ちにされてしまう。
「どうしたらいいの、このままじゃ、みんなやられちゃう。……そうだ――戦うんだ。戦うしかないんだ」
あ、あれ?
ハリーは不意を突いてタコノイドに電撃を浴びせ、ジバン反撃。タコと秘書ズは外へ逃げるが待機していたヘリの爆撃を喰らい、タコをジバンにけしかけている内に、秘書ズ逃亡。タコは毎度お馴染みジバンエンドでずんばらりん。
「博士ぇ……ぼくは、武器を使ってしまった。ごめんなさい」
「いいんだよ、ハリー、それでいいんだ」
えぇーーーーーーー。
暴力反対を訴えまくるマスコットロボットに、怪人がひるむレベルの高出力のスタンガン仕込んでいた上に、その行為を全肯定。結局、命あっての物種、という意味では間違っていませんが、物語としてはどうなのか。結論として今回のテーマは、「話し合いで解決なんて幻」という事でいいのか。要するにハリーは平和大好きなマスコットロボの皮を被った、自爆装置内蔵の護衛ロボだったという事か。全てはフォーピース、ではなく、フォージャスティス。
「僕は、もう、だめ……機能が、停止する……さよなら……」
駆けつけたまゆみちゃんらの前で沈黙するハリーだったが、メモリーチップが無事だから大丈夫、と安定のオチ。
シンプルにバカシナリオだった3話はともかく、1・2・5話と、杉村さんが何を書きたいのか、この作品はどこへ行きたいのか、さっぱりわからないのですが、シンプルな構造に戻したのに、どうしてここまで混乱しているのか『ジバン』。基本構造をシンプルにしたが故の迷いなのかもしれませんが、それにしても、ちょっと酷い(^^;
2話の「ジバンを誘き出そうと警察に時限爆弾を仕掛けたけどジバンが出てこないのでミサイルを撃ってみた」も凄かったけど、今回の「マスコットロボットが暴力反対を訴えるも誰も話を聞いてくれないので加速をつけて殴ってみた」も大概。
高名な科学者が出てくるとナチュラルにクレイジー、という点では凄く杉村脚本だけど。
サブタイトルに大きく扱った割にはメカは目立たず(出動はしたので嘘はついていないけど)、特にヘリはほとんど役に立ちませんでした(^^; まあどうしてもヘリは別撮りのミニチュアや合成になるから仕方ないですが。その中で、無人の車やバイクに演技させるのは面白かったです。面白かったけど、エピソードの焦点が散漫なので、メカ回ならもっとはっきりとメカ回をすれば良かったのに、という内容。
敢えていえばあれです、ノーベル平和賞とはいったい」を問う、物凄い風刺作。


◆第6話「割れた恐竜の卵のひみつ」◆ (監督:宮坂清彦 脚本:高久進
前作『世界忍者戦ジライヤ』で2本書いた杉村升にスタートを任せたというのは、ライター陣の代替わりを意図しての事だと思われますが(『ジライヤ』も当初、中原朗がメインを務める予定だったらしい)、藤井邦夫に続いて、高久進が登場。
高久先生のノリなのか、作品全体としてそういう方向に舵を切る事にしたのか、秘書ズの言動と行動がギャグ寄りとなり、バイオロン基地のクリーチャーの出番も増加。言動はともかく、恐竜の卵だと思ってダチョウの卵を盗んでくるなど、秘書ズが一気に頭悪そうな感じになったのは、若干心配。もともと頭悪かった刑事達のやり取りもより頭悪くなり、全体に緩い感じが増しました。
今回バイオロンが狙っているのは、とある動物園に密かに隠されている恐竜の卵。ドクター・ギバは卵を入手・孵化させ、甦った恐竜をバイオ技術で改造、巨大恐竜により人間社会を破壊しようと目論んでいた。
「これが思い上がった人間に対する、俺の復讐だ」
……突然、ギバ様の動機が判明がしましたが、1話で語ってましたっけ……?
泥棒が入ったとの通報を受け、動物園に向かった直人と先輩だが、既にそこにはバイオロンの戦闘員が入り込んでいた。直人と先輩は戦闘員と生アクションを披露するが、不意打ちを受けて倒されてしまう直人。
戦闘員にガス吹きかけられた上に、上段蹴りくらって気絶した主人公、はもしかして特撮ヒーロー史上初では。
銃を抜いた先輩はさんざん威嚇射撃をした後に「手向かうと撃つわよ」とわけのわからない事を言い出すが、増援のサブマシンガン部隊に追い詰められてしまう。先輩刑事の命、風前の灯火……というかここでリタイアしても特に問題は無い気がする! と思ったその時、ジバンが登場して先輩刑事をガード。
ジバンはこのまま、直人が間抜けに倒れる→ジバンが格好良く現れる、というパターンになるのかしら。
その後、園長からこっそりと保管されている恐竜の卵を見せて貰う直人だったが(物陰から戦いを覗いている時にジバンの正体だと知った?)、飼育係として入り込んでいたハゲタカノイドによって、卵は奪われてしまう。
ハゲタカは首が長くて覗きが顔ではなく首の根元の方だったり、両腕が極端に大きかったり、と面白い着ぐるみ。
直人は物陰に引っ込んでジバンに早替わり。ジバン基地からボーイとまゆみちゃんがアメリカの軍事衛星に違法アクセスして映像をチェック、という変化をつけてのトラック追跡は『ジバン』らしさを出そうという意図が見えて、面白かったです。
卵を強奪したバイオロン部隊を追い詰めたジバンは、物凄く宇宙刑事なテーマ曲と共に戦闘員を次々と滅殺。が、調子に乗ってデストロイしている内に、撃ち殺した戦闘員が卵の保存ケースの上に落下して、卵が割れてしまう。
じ、ジバンさん?!
…………まあとりあえず、目前の敵の抹殺が最優先事項なので、飼育係にサーチバスター。
この、丸わかりの上に隠してもいない相手(既に目の前で一回変身済み)にサーチバスターを撃つ必然性は全く感じないのですが、当初はもっとこう、社会に潜むバイオロンを炙り出して闇の底で抹殺していく、みたいな予定だったのかなぁ(^^;
構造としては、直人が敵の前で変身できないので、その代わりに敵が変身するという、クライマックス入り口の代用なのですが、物語がそこ(サーチバスター)に繋げる形で書かれていない(正体判明する所で盛り上がるという流れになっていない)ので、今のところ正直うまく行っていません。
ハゲタカは空中からの毛針攻撃でジバンを追い詰めるが、撃ち落とされてジバンエンド。
卵を奪われてがっくりと落ち込む園長の元へ、割れたはずの卵を持ってやってくる直人。実は割れた卵は、いつの間にか直人がすり替えていたダミーだったのである。バイオロンは卵が割れたと思いこんでいるからもう動物園が襲われる筈もない筈……直人さん頭脳派ぁ! みたいなオチなのですが……えー……本当は、あの時割れたんですよね? 今、博士に渡した卵は、急遽アジトでボーイに偽装させたダミーなんですよね? 博士も「孵化するかわからないけど頑張ってみます」と言っているし、夢があるからいいじゃないか、みたいなオチですよこれ。
2話続けて、子供の好きそうな要素を軸にしながら、パンダ似のマスコットロボットは高圧スタンガンを放ち、恐竜の卵はおっさんの夢にしか繋がらないという、『ジバン』クオリティ。何故かラストはナレーションが秘密捜査官の宿命をハードボイルドに語りましたが、どうしてそうなった。