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『仮面ライダーキバ』感想1

◆第1話「運命・ウェイクアップ!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹
1986年――葬儀会場で棺の中から目を覚まして、蜘蛛の怪人と化す男。
パイプオルガンがBGMとして響く中、ステンドグラスを体表面にあしらったような怪人のデザインが格好いい。列席者達が次々と襲われる中、怪人に燭台を投げつけ、戦いを挑む喪服の女。
「神は、過ちを犯した。おまえのようなファンガイアを此の世にあらしめた過ち。あたしがただす!」
女は、分割された刃が鞭状にしなって伸びる、みたいなファンタジーな武器で怪人に戦いを挑むが、蜘蛛怪人は姿を消す。
2008年――協会の扉に残された蜘蛛怪人の爪痕に触れる1人の青年……。
完全武装で花粉症?
はさておき、かなり格好いいアバンタイトル
パイプオルガンの響く中、鞭状の特殊武器で怪人に挑む女戦士、と一風変わった入りで独自色を強く押し出す事に成功。……まあ、前年がイマジン祭だったので、雰囲気の変更はかなり意識したと思われます。そこから繋がるOPの前奏も格好いい。
OP最後の怪獣城は微妙に不安をあおるけど(笑)
マスクとゴーグルで完全武装の青年は、紅渡。魚の骨を回収して歩く謎の変質者であり、屋敷から漂う人でも埋めているのではないかという異臭で警官を呼ばれる近所迷惑な困ったさんであり、装備を外すと激しく苦しむ自称「この世アレルギー」の社会不適合者であった。
ただし、女子高生に優しくされているので、特に人生に困っている風ではなかった。
一方、1986年――…………2年続けて、面倒くさい基本設定のパイロット版をやらされているなぁ、田崎監督(^^; そういえば、ミラーワールドを出たり入ったりする『龍騎』の1・2話も田崎監督だったので、面倒くさいパイロット版担当なのか、田崎監督(笑)
「君は、バブルという言葉を知ってるか? 今の日本の異常な好景気をそう言うらしい」
『島○作』的後知恵展開(笑)
そのバブル景気に乗って絶好調の不動産会社社長。彼の周辺で、5人の秘書が行方不明になっているという。
「ファンガイア……」
2008年――感想の書き方を何か上手く考えないと、この先面倒くさい気がしてきた(^^;
22年後の同じ喫茶店で、食事を終えた皿からこっそり魚の骨を回収していった件を問い詰められている変質者。どうやらモデルらしいその女に、強引に眼鏡とマスクを剥がされ、深呼吸させられる。
1986年――ターゲットの社長をマークしていた女は、馬のファンガイアである社長のお食事を邪魔したところ、普通にボディガードに追われる(笑) まあ、はたからみると、青年実業家への襲撃犯なので仕方ない。通りすがりの男と恋人のふりをしてボディガード達をやり過ごすが、「人生は短い。けど、夜は長い」とナンパされ、突き飛ばして社長を追跡。しかし馬社長との戦闘中に何故かナンパ男が乱入してきて、結局社長を逃がしてしまう。
「寂しかったろう。1人にさせて、悪かった」
「あんた……何? 自分が何したかわかってる? この、馬鹿!」
ここまで、鞭使いの女が一番言動も行動もヒーローっぽく、過去も未来も男はわけがわからないという、かなりひねった展開。
まあ、この女もやっている事けっこう酷いので若干の自業自得な感じも漂うのですが、よりによって物凄い変質者を釣り上げてしまった大当たり感。
そんな中で、馬社長の車を強襲するバイクアクションはかなり気合いが入っていて格好良かったです。
また、倉庫内で1階から、2階通路の馬社長の腕に鞭を引っかけ、その高低差のあるアクションを引いたカットで撮ったのは面白かった。
2008年――モデル女の強制深呼吸により、もしかして自分は真人間なのではないかと気付いてしまった社会不適合変質者(通報案件)は、風呂場で体育座りをしていた。
「問題は、実は僕がこの世アレルギーじゃないかもしれないって事なんだ」
「それならそれでいいじゃねえか」
「そうかなぁ……こんな汚れた世界の空気を吸っても生きていけるってことは、僕も汚れた人間だったんだ。そう思うとなんか、ショックで」
「あほ」
話し相手は、こぶし大のメダルっぽい形をベースにしたコウモリ的生物・キバット(CV:杉田智和)。前作の人気を受けて、ユーモアもシリアスも出来る相棒役という所でしょうが、それでアメデオ・モディリアーニの描く女性の絵が好きだ、とか設定付けてしまう辺りが井上敏樹っぽい(笑)
ご近所を騒がせている異臭の元は、魚の骨その他を煮詰めたものであり、バイオリンのニスの材料……の実験であった事が判明。
「一体いつになったらこんな色が出せるのかなぁ……」
部屋に飾られたバイオリンを見つめる主人公……と、OPで強調されていたバイオリンがキーアイテムという事なのか、ここで本編にもバイオリンが登場。主人公がバイオリンを奏でるのに合わせバイオリンソロ……と音楽もクラシック調のものが使われています。
その頃、22年後の世界にモデルとして生き延びていた馬社長が、ひっかけた女を襲おうとしていた。
ここで、急に緞帳が落ちて暗闇になる演出も格好良かった。
「よく来てくれました……歓迎しますよ。君の美しさに、乾杯」
しかしファンガイアは、こういう変態ばかりなのでしょうか。
否が応でも、某黒岩都知事閣下を思い出さずには居られないわけなのですが。
知っているか! 『超光戦士シャンゼリオン』は1996年に放映された特撮TVシリーズであり、全39話中、全37話の脚本を井上敏樹が執筆したという。なおヘルプで入って第30話を書いた木下健が荒川稔久の変名であるのは、当時は禁則事項だったようだが、現在は公式に認められている……という!
馬社長に食われるかと思われた女だったが、至近距離からの銃弾が馬に炸裂。
「残念だったわね。人間だったらデートぐらいしてあげても良かったのに」
「貴様、何者だ」
「神は過ちを犯した。あなたのような存在を赦した過ち。あたしがただすわ」
どこかで聞いたような台詞と共に、女は銀の小銃を構える。
なおここでようやく、この女が、変質者に魚の骨を取られて怒っていた女と同一人物だと気付きました(^^; 初回から登場人物が多すぎて、髪型とか変えられるとさすがに何が何だか(Youtubeの画質と画面の大きさの問題もありますが)。
そして……まるでその戦いに呼応するかのように、紅家に飾られたバイオリンの弦が自然に震え出す。
渡の世話を焼く女子高生がキバットの存在を知っているのかどうかはまだ描写されていませんが、キバットが顔を出し、場面変わると、倉庫街にやってきた渡、キバット変身。特殊装備を駆使しつつも追い詰められていたモデル女と馬ファンガイアとの戦いに、割って入る。
キバは動くと鎖がしゃらしゃら鳴るのと、デザインがスマートな割に、体型は筋肉質なのが格好いい。
1話という事もあってか、戦場ギミックなどを活かし、迫り来る車のボンネットを転がったりと、かなり凝ったクライマックスバトル。
過去と未来を行ったり来たりする構成の複雑さと話の分かりにくさは意識があったでしょうから、その分、目を引く為の戦闘には全体通してかなり力が入っています。初回のアクションシーンの凝り方と面白さは、歴代で見てもかなりのものではないかと。右を向いても左を向いても変質者ばかりだけど、盛り込まれているアクションがやたらに格好いい、という、実に風変わりなスタート(笑)
馬ブレードをベルトで受け止めたキバは、「ウェイクアップ!」。
〔ベルトのパーツをキバットにセット→へーい、ばっちこーいばっち!ファンガイアぶるってるー?のポーズ→周囲が闇夜に包まれ空に浮かぶ月→それをバックに大リーグボール2号のフォーム→キバットが右足の鎖を解放→エビ投げハイジャンプ魔球→飛び蹴り→壁に叩きつけて浮かび上がる紋章→ビルに偽装していた怪獣城が覚醒して飛翔→粉砕された怪人の魂?をぺろり〕
と、物凄く大がかりな必殺キック。
そして、野球。
怪人を倒し、満足して帰って行くキバの背に、モデル女は銃を向ける。
「キバ……!」
ファンガイアとは何か、キバとは何か、紅渡とは何者か、過去と現在は如何に繋がるのか、ナンパは成功するのか――。山盛りの謎と変態を抱えながら今、運命が目覚める!
1986年と2008年、22年の間を置いて過去と未来の同時進行、という大胆な構成で初回から登場人物も多いですが、テンポ良く進んでそれほどややこしさは感じませんでした。人の顔と名前を覚えるのがあまり得意ではないので、過去と未来を繋ぐ人物などがあまり出てくるようだと、「これ誰だっけ……?」となるかもしれませんが(^^; 初回の感触としてはかなり上々で、どんな風に転がっていくか楽しみ。