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『魔法戦隊マジレンジャー』感想2

◆Stage.3「魔竜に乗れ〜マージ・ジル・マジンガ〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:前川淳
早朝ジョギング中、地底に飲み込まれる男。森で行方不明事件が続発しているという噂を耳にした次女が家に帰ると、兄者主導で隠し部屋の大掃除が行われていた。
魔空空間な扉とか、映ったものが中で勝手に動く鏡とか、前回に続いて、魔法部屋の不思議ギミック見せ。こういうのは素直に楽しく、モチーフ的にも、引き続き色々やってほしい(まあ途中で消えていくとは思いますが)。そして赤が、母が密かに飼っていた魔法植物……マンドラ坊やを発見する。
駄目母から、万が一の時は兄妹の事を託されていたが、気まぐれなので今まで惰眠をむさぼっていた、という飼い主にそっくりな駄目魔法植物は、マジトピアを築いた5色の魔法使いの伝説を、兄妹になぞらえるように歌い出す。
ここのミュージカル風演出は、N教的ともいえますが、非常に秀逸。
マンドラ坊やの声を務める比嘉久美子さんの歌も素晴らしい。
伝説の魔法使い達の歌を聴き、末弟は赤の魔法使いが突撃役だった事に喜ぶが、兄者は緑の魔法使いが後衛の抑え役だったことに不満。……意外と、前のめりだった。長兄として魔法戦隊のリーダーは自分がふさわしい、と兄者は暑苦しく責任感を主張するが、次女以外は冷たい反応。その時、森のインフェルシアが感知され、5人は出撃する。
何かと前にしゃしゃり出ようとする赤に緑はイラっとし、怪人を狙う先駆け争いで揉めた挙げ句、遂に怪人を前に本格的な喧嘩を始める赤と緑。
……魔法使いというか武士の家系な気がする、小津家。そう考えると、家の存続の為に、戦いを前に一人だけ生き延びさせようとした事にも、そこはかとなく納得です。
怪人と戦闘員のスクラム攻撃に、息の合わない赤と緑はピンチに陥るが、黄色がボウガン攻撃を浴びせ、怪人撤退。しかし変身解除した長兄と末弟は、とうとう素で殴り合いを始めてしまう。
一方、怪物から助けた少年に気付いて駆け寄った次女は、
「お姉ちゃん達、魔法使いなの?」
と問われ、相手の唇に人差し指をあてて、
「秘密だよ」
と、華麗に口封じ。
割と怖いなこの娘。
貴女今、確実に一人の少年の、人生の新しいルートを解放してしまいましたよ。
初回から、姉の言う事ハイハイ聞いている大人しい優等生っぽい描写がされていましたが、まず間違いなく、計算尽くでポジション確立しつつ内心で「モテない女は、これだからやーねー」ぐらいの事は考えていると見ました。
責任感が空回りし、うまくいかない苛立ちをアニキ農場の開墾にぶつけていた兄者は、長女が勝手に収穫してしまったイチゴを食べながら野菜を育てる苦労に思いを馳せ、末弟は我が儘なイチゴなので、真っ赤に育てるのが畑(長兄)の役目、となんか悟る。
赤と緑の喧嘩を軸にしつつ、自由人だけど一応みんな仲良くしてほしい桃、他人は他人の黄、細かく気を遣う役の青、と他の兄妹もそれとなく色づけして、この辺りはうまく回りました。
兄弟喧嘩の後、ぶらぶらしていて怪人を目にして変身するも、巨大ミミズに食われそうになっていた赤を助ける、緑と桃。
「おまえは、真っ赤なイチゴだ!」
「は?」
「そして、兄ちゃんは、畑だぁーーーーー!!」
悟りの一端に辿り着き、法悦の境地を垣間見た高揚で、歌いながら雑魚を薙ぎ倒していく緑。
……マジやばいよ、この一家。
兄ちゃん、畑で何を育てているのか。
再び戦闘員とスクラム攻撃を仕掛けてくる怪人だが、今度は緑が自ら弟の踏み台となり、赤のハイジャンプ攻撃で撃破。そこから魔法で呼び出した空中ブランコによるマジレンジャー連続攻撃が炸裂し、怪人は爆死。
いまいちよくわからなかったのですが、今回の怪人は、戦闘員強化版みたいな設定だったのでしょうか。
空中ブランコ攻撃は、中の人達がひたすら凄い。
だが、怪人を倒した事で、地下に潜んでいた巨大ミミズ・冥獣ワームの本体が地上に出現。その時、新たな呪文がダウンロードされる。
「お兄ちゃんの勇気に、魔法が応えたんだよ」
要するにレベルアップしたという事なのでしょうが、なかなかいやらしいなぁ、マジトピアサーバー。
5人は魔人化(巨大化)、更に緑・桃・青・黄が魔竜合体によりマジドラゴンへと変形合体し、赤を乗せてワームへ剣と翼を向ける。
人型でないワーム(ほぼ固定砲台・攻撃時は先端部分だけCG)とドラゴンライダーの戦いは、怪獣映画っぽくて、なかなかの迫力。最後はドラゴンの吐き出した火球を赤が蹴り飛ばすマジカルドラゴンシュートで、チェックメイト
かくて事件は解決し……買い出し中に「森の化け物が退治されたらしい」という噂話を耳にした次女は、インフェルシアの被害から出来る限り人々を助けるべく、魔法をみんなの役に立てられないか? と提案し、インフェルシアの悪事に苦しむ人々の声が聞こえる(具体的にどうなるのかは、今回の範囲では不明)魔法110番が、マンドラ坊やの手により設置される。
「森に化け物が居るらしい」というのはともかく、「森の化け物が退治されたらしい」と近所の主婦が噂しているのはかなり苦しいですが、まあそういう世界観という事で(^^; 次女が、冒頭−少年の口封じ−ラスト、と単独シーンを3点置く事で、赤緑の話と二重構造でキャラ立てしつつ、今後への基礎構築が綺麗に繋がりました。
注目点としては、冒頭の演出に加え、次女の「少しでも被害者を減らし」という台詞で、インフェルシアにより一般人に被害が出ているのが、明確にされている事。よくよく考えると2話で母が消滅していますし(構成が悪かった為に、衝撃、というよりは、呆然、になってしまいましたが)、全体的に陽性の雰囲気の割には、シビアな要素も挟み込まれています。
というよりも、ライトな感じを前に押し出して扱っている魔法という設定(とにかく魔法のシーンは明るく楽しくやってください、みたいな話があったのかと思われる)と、実際にそれを転がす物語のマッチングが巧く噛み合っておらず、パイロット版の1−2話はそれが顕著だったのだなと。
そういう点で、1−2話に比べるとだいぶ流れが改善され、魔法戦隊の基盤も確立。出来ればここまでの要素を2話までに圧縮してほしかったところですが、正直1−2話の感触は底に近かったので、希望の見える3話になりました。
ちょっと気になる部分としては、喧嘩を乗り越えて成長したのが兄者だけだった事ですが、いずれ弟にもしっかり試練を与えてほしい。