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『魔法戦隊マジレンジャー』感想4

◆Stage.5「恋をしようよ〜マージ・マジーロ〜」◆ (監督:竹本昇 脚本:前川淳
街で行方不明事件が続発。麗の水晶玉占いにナナフシやコノハチョウの映像が浮かんだ事から、蒔人は冥獣が何かに擬態しているのではと推測する、と……参謀分の不足している5兄弟、今回は兄者が頭を使いました。なお、次女はナナフシの名前さえ出てこないというのは、兄者の畑属性の強調の為か。
その頃、食事当番で買い物に出ていた芳香は、サッカー部のマネージャー・山崎由佳と部の買い物中の末弟を発見し、ラブエキスパートとして弟の恋路を応援しようと、盛り上がる。
奥手な弟を助けようと、変身魔法でミツバチに変わって由佳を驚かせようとするが、末弟が振り上げたメガホンは由佳の頭部を直撃し、大失敗。
……しかし危うく、メガホンが直撃した所に追い打ちの踏みつけが入って、桃色の魔法使いの轢死体が100円ショップの床に転がってしまう危機でした。
今度は小型扇風機に変身し……うんもうそれ、オチ見えたよ姉さん!
案の定、北風作戦どころか、スカートめくりで変態行為となり、男子高校生が紳士として振るまいきる事など出来よう筈もなく、いい笑顔を浮かべて末弟は轟沈するのであった。
一方、事件を追う3人は占いで見えた建物に向かっていた……あなた方、現有戦力で分散行動は危険だと、早く学習して下さい。そして案の定、占いが少々、便利すぎるなぁ(^^; 一応、ヒントに限定はしているようですが。
冥獣を探す3人はナイとメアに遭遇し、合体したバンキュリアの攻撃を受ける。小悪魔×小悪魔=年増、というのがどういうアイデンティティで成立しているのか、とても気になります(笑)
その頃、末弟と由佳が入った甘味屋に何故か流れ出すムーディな音楽。怪しいピンクのラジカセを目にした末弟はここで姉のお節介に気付き、怒りのあまりその後を追う。
「芳香姉ちゃんだろ?!」
「いえ、私はただのポストです」
「ふざけんな! バレバレなんだよ!」
が、これにより甘味屋に放置を受ける事になった由佳は、先に店を出てしまい、放課後デートイベントは無残なバッドエンド。明日から学校で話しかけると、「噂になると困るから、話しかけてこないで」とか言われてしまう、灰色の青春が待ち受けている事でしょう。
「嫌われた。完璧に、嫌われた……」
引っかき回すだけ引っかき回しておいて、「どうせ俺なんかじゃ山崎さんには釣り合わないんだ……」といじける弟に、「そんな事を言わずに勇気を持って玉砕しろ」と焚き付ける姉のマッチポンプぶりが実に酷いのですが、あの母の血を継いでいるのだと思うと、実に納得です。
「勇気を出して! 貴方達の武器は、勇気。いつだって、勇気が魔法を教えてくれる」
回想シーンで出てくる母親の、改めて修理が必要な感じ。
戦いが怖かったけど、母の魔法メッセージと5人の魔法使いの歌を聞き、今は勇気と魔法でみんなに夢を運びたいと思っている、という姉に対して末弟は「何も考えてないと思った」宣言。まあ間違いなく、この姉が、母の血を一番濃く受け継いでいるのでしょう(笑)
その頃、大荷物を抱えてとぼとぼと帰路についていた由佳は怪しげなタクシーと遭遇し、そのタクシーがトランスフォーム。それこそが、擬態して人を襲っている冥獣であった!
人を襲うタクシー、ってどちらかというと妖怪寄りだよなぁ……と思ったら、それが変形してミミック、というのは面白いアイデアと秀逸なデザイン。なお今回も冒頭で、酔っ払いがタクシーに襲われる描写が入っており、マジレンジャーと繋げた都市伝説的な要素の強調かと思われますが、作品のラインを一つ作る事に、成功しています。1−2話の出来は悪かったけど、渡辺勝也−中澤祥次郎−竹本昇は、00年代戦隊では一番信用出来るローテ。
由佳の悲鳴を聞きつけた魁と芳香が駆けつけ、ミミックから由佳を救うマジレッド。そこにバンキュリアを追ってきた3人も合流するが、バンキュリアミミックには逃げられてしまう。果たしてどうやって広大な都市と膨大な車の中でミミックを見つけ出せばいいのか……そこで芳香が一計を閃き、バンキュリアに変身する事で、ミミックを郊外へ誘き出す事に成功する。
戦闘では、桃の変身した人間大砲で撃ち出された赤が必殺剣・レッドファイヤースラッシュでミミックを撃破するが、ウルザードさんが今回も魔法で再生巨大化。前回で基本パターンが確立しましたが、敵の最強幹部が巨大化係なのか。……珍しい? と思ったけど、遡ると『ダイナマン』とかもそうか。むしろ00年代に入ると、巨大化係が居るのが珍しいか?
巨大戦では、合体前の人型形態を活かして、赤魔人がタクシーの上に捕まってのカースタント。アイデアとしては面白かったのですがやはりどうしても、巨大ロボと巨大タクシーには見え辛い(^^; 最後はピンク球を赤魔人がオーバーヘッドキックしてダメージを与え、マジキングに合体して瞬殺。
この顛末に、地底冥府では怒りのブランケンが大暴れして、剣をウルザードへと突き付ける。
「もう我慢ならねえ! 限界だぜ!」
この人達も組織的な動きの見えない困った人達ですが、そろそろ目的意識の見える行動をしてくれるのか。
地上では、勇気を奮い起こした末弟が由佳に告白。姉に焚き付けられてとはいえ、玉砕覚悟でアタック仕掛けるのは、男らしいといえば男らしい。
「私も、小津くんの事が好き」
まさかの、5話にしてカップル成立?!
だがしかし。
だけど、他に、もっと好きな人が出来ちゃったの。
私を怪物から助け出してくれたあの人……。きっと、あの人が噂の魔法使いなのよ。私、その魔法使いさんに恋しちゃったの。だから……ごめん小津くん。じゃあね、さよなら。また明日ね」
男の純情、もてあそびやがってぇぇぇぇぇぇ!!
フリーズする末弟。
マジトピア鉄の掟により、魔法使いは一般人にその正体を知られるわけにはいかない(やはり、バレると毛虫とかにされるのか)。つまり、この恋、袋小路。マジレッドの姿でスカートめくりなどをして山崎さんに幻滅してもらう、という非常手段もありますが、多分そんな事をした日には、マジトピアから刺客が送り込まれてくるに違いありません。
「でもさぁ、マジレッドの姿なら、彼女も、付き合って、くれるんじゃーなぁい? いひ」
戦隊では過去に『タイムレンジャー』の「タイムイエローの中身はきっとイケメン」という酷い誤解と擦れ違いがありましたが、なかなか面白い仕込みをしてきました。メンバーに高校生を入れているという事を拾って、学生の青春ぽい要素を入れてきたのは良し。
そして勇気を与えてくれる魔法の草とか茸とか色々キメてる疑惑のある小津家の中でも、長女はフルタイムでラリっている事がはっきりしました。それは自ら、ボールにもなるわけです。
ところで、告白の行方を隠れて見守る兄姉の中、黄色い魔法使いが気のない素振りをしながら、弟がフられた途端に物凄い勢いで鼻で笑ったのは、さすがに酷いと思います(笑) あれ絶対、内心で(お、俺より先に彼女だと!? ……ま、待て、早まるんじゃない…………けっ、やったぜ、ざまーみろ。セーフ、セーフ)という顔だ。
ここまで、末弟と兄姉がそれぞれ揉めて和解、という構成で一回り。話の内容自体は良くも悪くも月並みなのですが、支離滅裂だった1−2話からすると、悪くないレベルで落ち着きました。監督は実績あるし、脚本家も3−5話のレベルぐらいは書けるなら、どうして1−2話はあそこまで破綻したのだろう(^^;
前回書いたように、劇中におけるマジレンジャーの立ち位置設定は好みなので、これから、面白く転がってくれると嬉しい。あと、黄色い魔法使いが早く色々レベルアップしてくれると嬉しい。
次回、ウルザードさん再出張で、果たしてどうなる。
ゲストヒロインの山崎由佳って、名前に聞き覚えがあると思ったら、『ゴーカイジャー』クライマックスのゲスト出演で、凄くいい台詞を貰っていたキャラか。


◆Stage.6「闇の覇王〜ウーザ・ドーザ・ウル・ザンガ〜」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
引っ越しが遅々として進まず苛つくブランケンは、ウルザードと喧嘩。ナイとメアによると、どうやらインフェルシア→地上のエレベーターに搭載限界があり、現状、インフェルシアは大軍を地上に差し向けられない模様。また、バンキュリア(ないしナイとメア)は、単独でのマントル層突破能力を持っている事が判明しました。
「すぐに策を講じろ! さもなくば、おまえを斬る」
「焦るな。見苦しい」
相手が落ち着いた所ですかさず反撃を入れるウルザードさん、割と根に持つタイプ。
延長戦に突入するかと思われた喧嘩だが、「おまえらうるせーよ」と偉い人が出てきて水入り。大統領命令でウルザードが再び地上に出張し、「喧嘩しようぜ」という声が、眠りこけていた末弟の脳裏に響き渡る……。
が、5人の魔法使いに向けて発されたウルザードの言葉は、何故か末弟にしか聞こえなかった。
「魁ちゃーん、寝ぼけるのは別に、恥ずかしい事じゃないよ」
いつもふわふわ夢の中の長女にフォローになってないフォローをされ、兄姉から次々と、ちょっとキメすぎているのでは? と小馬鹿にされた魁は1人で飛び出し、ウルザード接触
「そうか、おまえだけが感じたか……」
怒りの魁はウルザードに立ち向かうが、かなうべくなく一蹴される。まあ、磯部勉さんといえば洋画吹き替えならまずボスクラスですから、当然です。だが、母親を馬鹿にしたウルザードの言葉がその怒りに火を点け、赤はバースト。
「なんだあの力は」
燃える魔法力を身に纏ったマジレッドは、ハイパー魔法斬りでウルザードを吹き飛ばす。
「フッ。赤の魔法使い。やはり貴様、意外な力を秘めているな。面白い」
主役格の赤が、個々の特殊能力とは別に、明確に他のメンバーとは差別化された力を持っている、というのは、戦隊ではなかなか珍しいでしょうか。少年マンガ的な基本設定というか、前回に続いて、ちょっと面白い仕込みを入れてきました。
赤の思わぬ力に反撃を受けたものの、まだまだ余裕なウルザードはシールドから繰り出す魔犬ビームで赤を吹き飛ばし返し、戦いに巻き込まれた少年をかばった赤に対し、何故かその剣を途中で止める。
赤は足がすくんで動けない少年のランドセルをロケットパックに変えて逃がし、今回の魔法ギミック見せ。
兄姉が駆けつけ、5人揃ったマジレンジャーに対し、ウルザードは巨大化。再び大馬神形態になると、VSドラゴンライダーで、片や半人半馬、片や竜騎乗、となかなか凄い絵の巨大戦。『デカレン』は細かいギミックと瞬間的な動きに力を入れていましたが、今作は画面を広く使って、人型形態から離れたデザインでの巨大感、怪獣感を見せる形で、前作と違う方向性を打ち出しているのは面白い。
壮絶な戦いの末、ドラゴンファイヤーがウル馬神を消し飛ばし、母の仇を討ったと喜ぶ兄妹達。だが、ひとり魁は、ウルザードに対して何かすっきりしないものを感じていた。
ウルザードが、子供をかばった自分にトドメを刺さなかったのは、正々堂々とした戦いを望む、一つの勇気なのでは? 何故なら、ウルザードも魔法使いの筈で、それなら何らかの勇気を力の源にしている筈……。もう少し、ウルザードと話をしたかったという魁に対し、闇に落ちた魔法使いの事を「魔道士」と呼ぶ、といきなり説明を始めるマンドラ。
……なにか、ほぼ変わらない気もしますが、色々紙一重、という隠喩なのか(笑) 実際の所は、「邪術士/ソーサラー」とかにしたかったけど、字ではともかく、台詞だとわかりにくい(上に言いにくい)とかあったのでしょうが。
魔道士、或いは、黒の魔法使い。闇に作用する魔法は、勇気とは違う何かを力の源にしている、という。
えーつまり……課金?
ウルザードさんは、マジトピアで幾らガチャ回してもスーパーレア魔法が出ないので、インフェルシアに移籍したのか。
そのインフェルシアでは、どうやら力が強すぎて地上に出る事が出来ないらしいブランケンが、ウルザードの敗北に荒れに荒れていた。しかしそこに、消し飛んだかと思われたウルザードの声が響き渡る。
「慌てるなブランケン。全ては計画通り。何もかも、これからだ」
再び魁の脳裏に響く、ウルザードの声。兄妹はその呼びかけに応え、生きていたウルザードと相対する。
「まず聞かせろ! どうしてあの時、俺に剣を振り下ろさなかったんだ」
「フッ……武器を持たず、戦う意志の無い者に手は出さん。魔道騎士たる者の当然の心得だ」
格好良く語っていますが、恐らく「魔道騎士」自体がこの世に1人ウルザードの自称っぽいので、一言でまとめると、俺ルール、だと思われます。殴りかかってきた相手が冷静になって「よし、そろそろ話し合おうぜ」という時に不意打ちするのはアリみたいですし。
「魔法は力。俺は力で、この地上界をインフェルシアのものにする」
ウルザードはまたも巨大化し、対抗してドラゴンライダー形態になるマジレンジャー。もう一度倒してやる、と意気上がる5人だが、ウルザードの先程の敗北は、実は計画されたものであった。
「甘いな。俺はお前達のお陰で、闇の覇王になる力を得たのだ」
ウルザードはドラゴンの攻撃を受けた際に、5色の魔法力を闇の力と融合させ、自らに吸収。その力を馬に与え、新たな変形合体を成し遂げる――その名を、魔人合体・ウルカイザー! ……凄く、格好悪いです。
マジレンジャーが二段階変形合体なのに対し、敵方も2パターンの変形合体を繰り出してきました。ドラゴンにざっくりやられたウル馬神形態に、この先出番があるのかは疑問ですが(^^;
ウルカイザーにはドラゴン火炎が通用せず、さらにマジキングになる時の魔法力も吸われてしまう。ウルザードはその魔法力を用いて、巨大ブランケンを地上に召喚。念願の穴蔵脱出でテンション高いブランケンはドラゴンを豪快に首投げし、赤魔人も圧倒。しかし、ウルザードに虚仮にされた赤が、魔人状態でもNT−Dモードを発動。あふれ出るその魔法力により、ブランケンは強制送還されてしまう(笑)
ブランケンはだいぶ可哀想な人になりましたが、まあ、勢いでいきなり退場よりマシか。今回、冥獣出てこなかったし、今回の冥獣扱いで、SR魔法を手に入れたウルザードにざくっと刺し殺されたりしないか、少々ドキドキしていました。
「面白いな、貴様の力は」
魔力を使い過ぎて膝を付いた赤魔人に対し、ウルザードは余裕の台詞で退場。マジレンジャー5人は完膚なきまでに敗北を喫するが、魁の秘めた力に興味を示したウルザードにより、見逃されるのであった……。
敵方パワーアップ&主人公特性見せ回。また、ここまで言及の足りていなかったインフェルシアの輸送力不足が判明し、大規模な軍事行動が取れない理由がわかりました。その上で、単独で地上に出てマジレンジャーを撃破できる人が手抜きを決めてしまった為、組織としてのインフェルシアは、1歩前進5歩後退(笑)
当面せせこましく人間に嫌がらせするしか出来なさそうで、ブランケンの胃の調子が心配です。