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『機動刑事ジバン』感想12

◆第15話「オオカミ男はピアノ好き」◆ (監督:岡本明久 脚本:扇澤延男)
「音楽で愛と平和を訴えるだと?! この生意気な人間を、我がバイオロンの怪物に、改造してやる!」
慈善活動に熱心な天才ピアニスト・立原修一郎の紹介をTVで見たギバ様、嫌がらせをする事にする(笑)
ギバ様は絶対、コーラとポテチ用意してぶつぶつ文句言いながらTV見て、こういう感じでたまに思いつきで作戦実行している。
シルクハット+黒マント+タキシード+仮面+ステッキ、という怪盗ルック、まあ2000年代にわかりやすく言うとタキシード仮面様の格好をした怪人(文字通りの)が登場。秘書ズによって攫われた立原は、怪人オオカミノイドの体組織の一部を移植され、怪物へと改造されてしまう。
両親を早くに亡くして立原に引き取られていたその姪っ子がまゆみの友達だった縁で、立原が行方不明になった事を知る直人と先輩。立原を探そうとした矢先、鉄パイプを振り回して暴れる男を取り押さえる。その男によると、ピアノの音色を聞いたら突然、わけもなく暴れ出したくなったのだという。
倉庫の中に響くピアノの音色……人気のない倉庫の真ん中でグランドピアノを奏でるオオカミ怪人、はなかなか頭おかしくていい絵面。しかも、作曲していた(笑)
作品が落ち着いてきたら、迷走気味だった岡本監督の演出も落ち着いてきました。
直人は今日も物陰でジバンに変身して戦うが、苦しみだしたオオカミが立原の姿へ変わる。
「ここはどこなんだ……? 僕はどうしてこんな所にいるんだ?」
「とぼけるなバイオロンめ! 立原さんに化けて何を企んでる!」
胸ぐらを掴みあげるジバン、そうか、そちらへ行ったか(笑)
そこへ秘書ズと怪人が出てきて、立原はオオカミノイドの呪文一つで怪物に変身するのだと種明かし。相手がバイオロンでなければ現場判断で死刑執行できないという弱点を突かれて苦戦するジバンは、先輩の射撃からオオカミ立原をかばうと、とりあえず気絶させて基地へと運び込む。
一方バイオロンは、オオカミ立原が作曲中の悪魔の賛美歌が人間の暴力衝動を高める事に気付き、それを完成させてレコードにして全世界に売りさばく事で 一山当てようとしていた世界を暴力の蔓延る世紀末ディストピアにしようとしていた。
ただの嫌がらせと思いつきだった筈なのに、流れるように巧妙な作戦計画だった事にすり替える、ギバ様、かっこいー。
秘密基地で立原を調べた直人は、立原の耳の奥にオオカミ細胞が埋め込まれている事を発見する。それがオオカミノイドの呪文に反応して立原を怪物に変貌させるのだが、音楽家にとって極めて大切な聴覚を傷つける可能性がある為、外科手術による切除は難しい。そこでボーイは、呪文と逆の波形をぶつける事で、それを無効化させる音波発生装置を作成する。
ジバン一味の事なので、しごくあっさりと「背に腹は替えられない」と手術してしまうのかと思いましたが、意外な気を遣いました(笑)
逆音波発生装置を完成させて立原を家へ返す直人だったが、今度は姪っ子がさらわれそうになる。が、それはバイオロンによる陽動で、姪っ子を助けようとしている間に、さらわれる立原。パトロール中に連れ去られる立原を発見した先輩はそれを追いかけ、直人に連絡をすると、単身、オオカミノイドのアジトへと踏み込む。
アピールタイムという事で、得意の射撃でばったばったと戦闘員を撃ち殺す先輩。もともとトリガーの軽い人でしたが、戦闘員に対しては確実に殺りにいっているので、さすがにその辺りの事情は対バイオロン委員会から特命で伝えられたりしている様子。また今回は、射撃ばかりではなく手錠格闘術も披露し、これが格好良かったです。加速をつけて頭を使わない方向へ行ってますが、手錠格闘術は格好良かったので、また見たい。
戦闘員を始末した先輩は、タキシード仮面と激突。切れ味抜群の回し蹴りを放つタキシード仮面は、キャストクレジット見る限り、岡本美登さんか。オオカミノイド人間体は何故どちらかというと『ジライヤ』寄りの素っ頓狂な見た目なのかと思ったらこのアクションの為だったようで、マントを翻しながらの戦いは格好良く、思わぬ所でアクションが充実。
先輩が追い詰められた所にバイクで走ってきたジバンは逆音波発生装置で立原を元の姿に戻すが、露骨に掲げていた為に、秘書ズの指示で壊されてしまう(笑) 意図したのかどうかわかりませんが、これ丁度、先輩が秘書ズの幻覚装置を破壊してジバンを助けたのと同じ構図です。
「音楽で、愛と平和を訴える希望の、戦士なんだ!」
とポイント割り振ってない説得機能を使用してみた結果、微妙にズレたジバンの言葉は、オオカミに戻った立原には届かない。だがその時、まゆみちゃんと姪っ子が持ってきたラジカセから、かつて立原が、両親を亡くして生きる希望を失った姪の為に作った勇気の曲、「ピアノコンチェルト・デイザイア」が流れ出す。その調べと、姪の叫びに、人間の姿に戻る立原。
「「「馬鹿な!」」
「どういうことだ?!」
「どんな科学技術をもってしても、人間を怪物に作り替える事など不可能なのだ」
オオカミ立原オリコン1位作戦を諦めたタキシード仮面は立原の体内に移植していた自分の細胞を取り戻すと、高い所にジャンプ。マントを投げ、シルクハットを投げるとそれが満月のイメージとなり、ひたすらハッタリを効かす怪盗紳士は、真のオオカミノイドへと変身する。いきなり口から火炎弾。更に爪の攻撃と胸からビームにより、火薬大奮発の猛攻を受けるジバン。反撃の「ディスクローズショック!」(意味は不明)が炸裂すると何故か月が消え、弱体化したオオカミにジバンエンド。
立原は正気を取り戻し、姪っ子達に囲まれていい話で大団円。大団円なのですが、流れている変なノリの挿入歌が凄く気になります(笑)
ジバンの強さを 君知ってるか♪
そして立原は新作を発表し、ピアノリサイタルを行う。新作のタイトルが
光の天使 智子のために
て、なんだこの叔父馬鹿(笑)
ベタもベタな大団円ですが、話としてのミソは、逆音波発生装置が破壊された後に、立原がピアノの調べで人間に戻った事で、バイオロン側に限らず、「どんなに優れた科学よりも、人間の心の方が強いんだ」というテーマ性が強調されているところでしょうか。
扇澤脚本の一つの武器は、クライマックスに至る積み上げの丁寧さと、その為の濃密な要素を詰め込む技術の高さなのですが、まだまだ、後の切れ味は無いごく普通の一本。
で、一つ言語化できたのですが、『ウインスペクター』以降の扇澤脚本は、「愛と勇気で救われる」というヒーロー物のテーゼは一応抑えつつも、では「愛と勇気って何か?」という部分を描く事にかなりウェイトが置かれていたのですが、今回はごくシンプルかつストレートに「愛と勇気で救われる話」であり、その違いがわかりやすく見て取れるな、と。
これは同じ扇澤脚本で、割と秀作ながら最後に綺麗事でまとめてしまうのが物足りなかった『世界忍者戦ジライヤ』第33話「ギターかかえた渡り鳥 雷忍ワイルド」(ジライヤと再登場したワイルドの決闘編)も思い起こす所。
今回も、叔父と姪の愛情について段階を踏んで積み上げており、クライマックスに最低限の説得力を持たせていますが、その踏み込み具合と劇中の要素の詰め方は、後年に比べるとまだ物足りません。
作品としてそこまで求められていなかった、という部分もあるかと思いますが、その踏み込みが、『ジバン』の途中で起きたものなのか、『ウインスペクター』から出てきたものなのか、引き続き興味深い部分です。
今作、途中から堀長文がプロデューサーに参加する筈なので、変化があるとすれば、それ以降か。
ところで、ED映像にダイダロスが追加されている事に気付いたのですが、登場回以降、影も形もないけど、どうしたのかダイダロス落として壊したのか、直人。