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『魔法戦隊マジレンジャー』感想9

ところで今更ですが、緑兄=「兄者」なのは、私の中で緑兄が、中国物の山賊の頭とか武将みたいな顔だからです。「あにじゃぁぁぁぁぁぁぁ!」みたいな(だから結局何が)。
◆Stage.13「お母さんなら〜ジンガ・マジュナ〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:前川淳
兄者が今月の集金袋を落とし、経済危機に陥るマジレンジャー。一家の母親代わりを自認する麗は、小津家節約大作戦の指揮を執る事に。芳香が麗から美容院代を貰おうとするのですが、この家は、個人の財布は存在しないのか。
芳香は如何にも無職オーラ全開にしても。
一方インフェルシアでは、ヤカン男が戦い続ける事で強化を遂げた蟲毒房三冥獣の一体、オーガを地上へと派遣する。バンキュリアと同じく、単独で地上へ移動可能なオーガは高速回転でビルを薙ぎ倒して大暴れ。冥獣反応に出撃する兄妹だったが、買い物へ出ていた麗と連絡が取れない。麗は1人……福引きと戦っていた。
1ヶ月1万円やりくり計画に悩み商店街の福引きの特賞・お米1年分に目がくらんだ麗は、1万円を全て買い物に費やして10枚の福引き券を手に入れるが、気合い全開で挑んだものの、手に入れたのは10個のポケットティッシュのみという凄惨なエンディングを迎えてしまう。
そこでコールに気付いて5人揃うが、オーガに蹴散らされるマジレンジャー。生存報告に現れたバンキュリアが<門>の鍵に言及し、鍵は地上の人間に紛れ込んでいる事が判明。これまでインフェルシアが場当たり的に人間を襲っていた事と鍵の捜索が、これで一応、繋がりました。
このタイミングでこの内容なら、もっと早くて良かった気はどうしてもしますが(^^;
<門>の鍵を手に入れる事によりインフェルシア全軍を総動員できる……というバンキュリアの話が長かったのか、オーガは帰社。特殊な冥獣なので「扱いにくい」と理由はつけましたが、これは悪い意味でご都合。
青が“みんがのお母さん”にこだわっていた理由……それは、母との、この家は駄目な子ばかりなのでよろしくという約束によるものだった。だが麗は麗、お母さんではなく、麗として兄妹を支えればいい……兄者、5人それぞれの役割をまとめ、皆を超持ち上げ、5人は改めて結束する。
ギャグっぽい筋で始まって、思わぬ流れで1クールの切れ目として兄妹の関係をまとめてきましたが、凄く持ち上げすぎだと思うよ兄者!(笑)
そして、誉められてへへーんみたいな顔になっている黄色、ホント駄目な子。
再びオーガが出現し、出撃する5人。ここで5人が走っていった後、魔法部屋の壁の5色のタペストリーにズームする、というのは良かった。結束を新たに、絆を勇気にした5人は強敵オーガへと立ち向かい、新魔法・マジカルカーテンで回転攻撃を打破。
5人の絆の力という流れは悪くなかったのですが、結局さっくり新魔法ダウンロードで片付けるというのは、今ひとつ勿体ない所。いやそれがコンセプトであるのですが、どうしても、マジトピアに弄ばれている感じがつきまといます(^^; 強化が“内側”からではなく常に“外側”からで、その形が見えない、というのは今作の個人的にどうもノリにくいところ。
たまにはこれまでの魔法の応用から5人のコンビネーションで撃破、とかでもいいのになぁと。
自力で巨大化したオーガは回転攻撃でマジキングに突っ込んでくるが、カウンターの魔法斬りで瞬殺。マジキング、強し。そして、オーガ……弱い。
兄妹の絆を描く方を重視した結果、苦戦から逆転への描写が雑になり、もう一つメリハリの弱い展開に。また、蟲毒房三冥獣もとりあえず、「単独で地上に出張できる」特異体質、の理由付けにしかなりませんでした。今回はウルさんと喧嘩したブランケンからマジレンジャーへの刺客、という事なのでしょうが、個々のエピソードにおけるインフェルシアの「目的」の明示がおざなりで動機付けが弱いので、敵方の行動が物語と繋がるダイナミズムが薄いのは、今作の欠点の一つ。善玉サイドさえしっかり描いておけば悪玉サイドの物語は後付けでどうにでもなる(と思っている)、という構成なのですが、あまりに偏りが過ぎて物語展開のバランスが悪い。
なお小津家崩壊の危機は、黄色が福引き外れ10回のダブルチャンス・1回おまけで特賞のお米を獲得、そして集金袋も発見されて無事に回避。……黄色が強運の持ち主、というのは設定になるのかどうなのか(お米を担いで帰ってくる演出の都合があったのでしょうが、軽い気持ちで特賞当てて違和感ないのは、どちらかといえば芳香)。


◆Stage.14「燃えろパンチ〜ジージー・ジジル〜」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
三冥獣の2体目、グールが地上へ出張。ヤカン男から解雇通告を受けたウルさんは荒野で何かをし、末弟は、今日も前を見ないでドリブルしていた。
反省しない男が浮かれ騒ぐ理由は……赤の魔法使いと再会できずに落ち込みモードの山崎さんの心の隙間に、ケチな手品で忍び込んでデートの約束にこぎつけた為だった。
かたや、当然、赤の魔法使いとして山崎さんの前に顔を出すのは極力避けるつもりの中の人(魁)、かたや、本命は赤の魔法使いだけど映画ぐらいなら付き合ってボトルキープぐらいはしてやらんでもない、という山崎さん。
割と、どっちもどっちで駄目な感じです(笑)
デートを翌日に控えて心ここにあらずの魁だったが、グールが地上に出現。ボクシングスタイルで戦うグールの強烈なパンチで兄者が足を負傷。高校時代、ボクシングで全国大会出場経験のある黄色は同じくボクシングスタイルでインファイトに持ち込むが、ナイとメアの横槍もあり、拳の打ち合いの末に右手を骨折してしまう。
前回の回想でボクサーグローブを探しているシーンが入りましたが、割と引き締まった体をしていた黄色、ボクシング経験者であった事が判明。
そして拳の打ち合いの末に撤退したグールは、高校インターハイレベルであった事が発覚。
駄目すぎるぞ三冥獣!!
グールを打ち破るにはボクシングスタイルしかない、と魁を特訓する翼だが、肝心の魁は溢れ出る思春期のストロベリー妄想でそれどころではなく、怒りの翼は特訓を諦め、負傷をおして自分で戦う決意をする事に。
……なお魁は、前回お米の為に福引きに夢中だった姉に対して、後付けの情報からかなり身勝手に激怒していたのですが、青春真っ盛りなのでそんな事はすっかり忘れ去っている模様。
一方インフェルシアではブラさんが、オーガの無念の思いがこもった金棒で1000回叩けばその念がチャージされて弱点のボディが強化される! とグールを叩いていた。
て、精 神 注 入 棒 !!(笑)
駄目だ、インフェルシアはみんな駄目すぎて、ン・マ様は早く、新しい幹部を探した方がいい……!
もう怪我は大丈夫、という翼の言葉を信じていそいそと精一杯のお洒落をしてデートへ向かおうとする出来の悪い苺男。マンドラにそんな筈はない、と言われるのを振り切ってデートへと向かうが、その気持ちは乱れだす。
ちょっとこう、脚本間の連携が取れてないというか、前回の福引き激怒が無ければ赤がデートか特訓かで悩んでも良いのですが、前回の今回で赤が自分のデートを少しでも優先では、あまりに身勝手すぎます。もろもろ反省の足りない赤が後で大きなしっぺ返しを喰らう、とまで意図的な仕込みには見えないしなぁ……。
「あの馬鹿……女にうつつぬかしやがって」
兄姉に負傷を隠して対グールの調整をしていた翼だが、そこへ、魁が戻ってくる。
「デートなんかいつでも出来る! けど……ちい兄が俺に期待するなんて、滅多にねえだろ!」
「なんだとこいつぅ!」
デートなんて、デートなんて、いつでも出来るだとぉッ?!(血涙)
「覚悟しろ! びしびしいくからな!」
特訓を終える魁、そして精神注入を終えるグール、両者は何故かウェスタン村で向かい合う(笑) この何故か決闘ノリは、たぶん渡辺監督の趣味。
ナイとメアがラウンドガール調でノリノリでゴングを鳴らし、激突する両者。特訓の成果を見せた赤のパンチがグールのボディを砕くかと思われたが、精神注入を受けたグールは立ち直り、反撃の拳が赤に突き刺さる。ボディの強化されたグールには勝てないのか……だが赤は特訓を信じて立ち上がり、黄色の携帯に新たな魔法がダウンロードされる!
「おまえの勇気だ。初デートを断って、戦おうと決めた勇気に、応えて与えられた、奇跡の拳。マジパンチだ!」
悲しい、悲しい勇気だ……マジトピア、非道すぎる。
両手に魔法のグローブを装着した赤はグールとの殴り合いを制し、最後はファイヤースクリューアッパーで撃破。勇気が、精神注入を、打ち破った瞬間であった。
アンパイの男にデートを直前キャンセルされ、失意の帰宅中の山崎さんが、たまたまこの、勝利シーンを目撃。
「山崎さん、来てくれたの?!」
勝利に浮かれて色々忘れている赤の魔法使いは、つい親しげに呼びかけた上に、抱き合って回転してしまう。
「魔法使い様!」
(――俺今、マジレッドじゃん!)
「運命の再会」
ぴたっと抱き付く山崎さん、「命を助ける」イベントで大幅に好感度上昇しているにしても、えぐい(笑)
ところで、兄姉、魔法使いと素顔で一緒に居る所を目撃されているけど、大丈夫なのでしょうか。マジトピア鉄の掟により、ミジンコとかに変えられてしまわないか、少々、心配です。恋する乙女モードの山崎さんの眼中に入ってない可能性もあるけど。
黄色、クールにしつつもそこはかとなく弟を応援して帰宅。
割と強引にロボ戦を入れる今作としては珍しく、巨大戦は潔く無しで落着し、真っ白になった魁、でエンド。
……まあこれは少々、しっぺ返しを受けたと言えるのか(笑) 一応、このエピソード上での因果応報は成立しているのがミソ。