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『仮面ライダーキバ』感想13

◆第18話「カルテット#心の声を聴け」◆ (監督:石田秀範 脚本:米村正二
「ファンガイアが警察に逮捕されちゃった場合って、どうしたらいいんですか?」
「何らかの手は打つ。警察の上層部にも、素晴らしき青空の会のメンバーは居る」
ハイここ、重要な証言なので、各自、録音の上で複数のメディアに記録を分散して保存しておくように。
ひーーーはーーー状態でキバを滅多切りにしていたイクサ、銃撃の追い打ちを決めた所で、横からフラワーファンガイアのビームを喰らう(笑)
だから名護さん、ファンガイアを無視するのをやめなさい、てあれだけ言ったのに……。
キバとファンガイアはその間に姿を消し、すっかりバーサーカー状態で柱を叩く名護さん。……さっぱりよくわからないのですが、ボタンを奪えなかったショックで大事な回路が故障したという事で良いのか。それにしてもあんまりすぎますが。
そして渡は、「やだ、もうやだ……もう、戦いたくない」と地面に転がっていた。
1986年――音也と次狼はビリヤード勝負中。ビリヤードでも華麗なダンディぶりを見せつける次狼だったが、音也、折れたキューで奇跡の逆転勝利。これで少女に見直されるかと思ったがゆりがやってきて、これまで散々出鱈目を口にしていた事がバレてしまう。
前回今回と、過去編は次狼をギャグの世界に引き寄せつつのドタバタなのですが、どうも、音也と少女の絡みが面白くなりません。
2008年――フラワーファンガイアに狙われる倉沢。戦いを嫌がる渡はブラッディ・ローズの響きに耳を塞ぎ、男らしく単独出撃しようとしたキバットさんは、体調不良で床に転がる。
男を見せ損ねたキバットですが、単身でも戦おうというほどに、ファンガイア退治に使命感を持っている模様。……こんなナリなので失念していましたがもしかしてキバットも、二枚目の人間体を持った異種生命体だったりするのでしょうか。……うむそれは、見たいかもしれない。
倉沢の危機に駆けつけた恵は、久々に本領を発揮して、一方的に叩きのめされる。
ええそれでこそ、我らが恵さんです(おぃ)
そこへ妖怪ボタンハンターが現れ、イクサ変身。
「おまえの命、神に返せ!」
決め台詞も乱暴にラッシュ攻撃を叩き込んで追い詰めると、人間の姿になったファンガイアのボタンを奪おうと殴る蹴るの執拗な暴行を加えるが、そこへ警察がやってきて、ファンガイアは強盗として逮捕されてしまう。
「ボタン、俺のボタン……!」
止めようとする警官を殴り飛ばし、公務執行妨害でまたも逮捕されそうになる名護、そして今回も、名護さんのフォローを全くしない恵であった(笑)
この後、暴走状態の名護は覆面姿でパトカーを襲撃し、強盗ファンガイアの身柄を確保すると、遂に念願のボタンを入手。喜んでいる所を殴り飛ばされて地面に転がる。
えー…………名護さんの優先順位が、
キバを倒す >>> ボタンを手に入れる >>> ファンガイア退治
になっているのですが、キバに敗北したショックで、ボタンフェチがレベルアップして、奪ったボタンにしか欲情できない体質とかになってしまったのでしょーか。
渡はファンガイアに襲われて怪我をしても練習を続ける倉沢から、かつてある人から貰った言葉をきっかけに、誰かに「やれ」と言われた事ではなく、自分の「やりたい事」をやるようになったのだ、と聞かされる……。
1986年――オーディションに合格した少女の為に、音也はバイオリンを弾く。
「俺からの最後のレッスンだ。これからは本当にやりたい事だけをやるんだ。心の声に、耳をすませろ。心の声に」
なお、ゆりさんとのデートはこぶ付きでノルマ達成されました。合掌。
2008年――
「心の、声……僕の、本当にやりたい事……」
ここで、1986年のバイオリン少女と、2008年のアーチェリー倉沢が同一人物であり、倉沢は音也の言葉で今の道に進んだという事が判明。
判明、といっても最初から見え見えでひねらず、ですが。
別にひねらないのは構わないのですが、外見変わらないファンガイアではなく、過去編の人間がそのまま年齢を重ねて現代編に登場する、というのは今作これまでメインでは無かったシチュエーションだったので、正直、もっと面白く使ってほしかった所。
そして計算上、30歳前後の倉沢さんを「おばさん」呼ばわりしていた事がハッキリしたわけですが、恵さんは10後に物凄く後悔すると思う。
倉沢の言葉を聞き、自分の戦う意味と改めて向かい合う渡。自分が本当にやりたい事はバイオリン作りなのは間違いない。だが、キバとしての戦いは、ただただ強制されたものだったのだろうか……?
「……僕は、戦えって声がするだけで、戦ってきたのかな。ねえ、父さん」
「そうじゃねえだろ。ようく、思い出しな」
「そうだ……僕は、僕の心の声は……」
震えるブラッディ・ローズの弦に、さっぱりした顔で走り出す渡。
「僕は自分の心の声で戦ってきたんだ! これまでも、そしてこれからも、大切なものを守るために!」
えー、あー、うーん…………。
湖岸では、トラウマを振り切った倉沢が、ファンガイアをアーチェリーで狙い撃ち。割と思いっきり、矢が突き刺さっている絵は面白い(笑) だが所詮はただの人間、フラワーに追い詰められる倉沢だったが、そこへキバが参上。体調不良のキバットは出血大サービスで3体を同時召喚し、3つの召喚獣を同時に憑依させたキバは、CLIMAXフォームに!(違います)
同時召喚により、右腕緑・左腕青・胸紫になるのですが…………不細工。
胸部装甲のとってつけ感が非常に良くないと思う(^^;
見た目残念だが、3つの特殊装備を使いこなすカルテットフォームは連続攻撃でフラワーを追い詰め、前ダッシュ野球キックで撃破する。
……それにしてもフランケンは、片言なので台詞は少ないし、そもそも出番が少ないし、フォームチェンジは2回目にしてまとめられてしまうしで、扱いが残酷すぎる。
色々あったけど、間接的に父の言葉に救われ、渡すっきり、というエピソードなのですが、どうにも首をひねる内容。
渡の戦うモチベーションは、明示されずにだいぶ引っ張ったネタだったのですが、幾つかかき回した末に、「戦えという声に言われるがままに戦ってきたつもりだったけど、本当は自分で戦いたいから戦ってきたんだ!」と、何の回答もなく1周ぐるりと回ってしまいました(^^;
その「心の声」、渡の「大切なもの」が肝心な筈なのですが、描いているようで実は全く描いていません。
渡が人間社会大好きならともかく、自称“此の世アレルギー”だったわけで、人間社会に思い入れの乏しかった筈のバイオリンキチガイの引きこもりにとって、何が大切なものなのか、そこは抜け落ちたまま。
ここ数回の渡の変化、積極的な他者との関わりによって“大切なもの”が生まれて……という流れならまだわかるのですが、それなら、「過去の自分は言われるがままに戦ってきたけど、今の自分は自分の意志で戦っている」という“変化”の部分を重視した流れになる筈で、その意図も含んでいるのでしょうが、物語構造の中に組み込みきれていない。
物語としては、“大切なものが出来た”ではなく、“大切なものがあった”という構成になってしまっています。そして後者であるならば、“大切なもの”(これは、1話以前からの、という事になる)を劇中で描き出さなければ、このエピソードの意味がありません。勿論、“実は大切だったもの”が何かというのは汲み取れない事はありませんが、今回に関して言えば、構造上それをもっと前に押し出さないと、劇的なクライマックスに繋がりません。
その上で、「心の声」という安易でファジーな単語をキーワードに使ってしまったのが、ますます中途半端。
だいたい、「人間はみんな音楽」という奇天烈な名言を生み出した音也が、「心の声」では、まともすぎます。まともな上に、面白くない。
メインライターが16話連続で書いた事もあり、登場人物に強い癖がついていてサブライターの書きにくさというのはあったかと思いますが、それなら何故、主人公の再起と改めての動機付けを描く重要エピソードを、ここで初参戦のサブライターが担当したのか。
まあ、2巡目から演出の変化、ここ数話は物語構成の立て直しがあったので、作品全体の変化の一環なのかもしれませんが、すっきりしない形になりました。
そしてさっぱりよくわからなくなったのが、名護さん。
結局、誰からもフォローが入らないまま妖怪ボタンハンターと化していましたが、何がしたかったのか。キバに負けたショックでああなってしまったというならわかりますが、前回パワードイクサで気持ちよくファンガイアモンスターを撃破した筈なので、そこからどうしてぷっつんしてしまったのか、まったく繋がりません。
単純にトラウマの暴走という事なのかもしれませんが、そうだとしたら、あまりに積み重ねと描写不足。
どうにも怪訝な顔にならざるを得ないエピソードになってしまいました。