◇『白銀の意思 アルジェヴォルン』 第1話
好みっぽい設定と、佐藤竜雄が関わっているという事で、割と楽しみにしていたのですが……………………べたもべたな展開なのに、ありえないほど下手。
というか、正義感が強く少々無鉄砲な主人公が民間人を助ける為に命令違反で暴走した事をきっかけに新型ロボットの操縦者になる、というべたべたな展開だからこそ、演出の腕を問われるわけなのですが、びっくりする程ど下手。
とにかく、全体通して彼我の距離感とかスケール感が全くわかりません。ロボット出したら、ロボットだから人間より大きいに決まっている、という“前提”で進めてしまって、それが“表現”されていないという、非常に駄目なパターン。
加えて、作戦上の意味がわからないまま、ロボットと歩兵、戦車などの混成部隊が展開されている為に、戦場そのものの距離感も混乱。なんとなく絵が置かれているだけで、難攻不落の要塞で戦争している感じが全くありません。そこで多分新兵器っぽいものを敵が繰り出しても、戦闘の流れが見えない為、学芸会状態。
とどめに、“上層部が最前線の要塞を視察に来たけど敵の新兵器で最前線を突破されたので視察も激励もそっちのけですたこらさっさと退散する”という流れの緊迫感が0%。
現実の見えていない腐敗した上層部が、難攻不落の要塞に安心して「どんぱちしている真っ最中にのんびり視察にやってくる」のはいいとして、「その最前線が突破されたのにのんびり逃げる」のは、のんびりの種類が全く違うのですが、それを全く同じように描写してしまっています。
後者に関しては、いつ敵がやってくるかわからない状況なのに、全く平静を保っている上層部の人達はいっそ軍神レベル。
映像的には、難攻不落の要塞どころか、そこらの平城ですし。
ロボットと歩兵の混成部隊だったり、それとなく歩兵が吹っ飛んでいたり、そこそこハードな戦場の雰囲気を描きたいようなのですが、その割には、主人公が戦場のど真ん中で高い所に棒立ちだったり、まるで自殺志願者みたいな動きをしていて、ちぐはぐ。全てがリアルである必要は全くないけれど、作品世界に合わせて抑えなければいけない要所、というものはあるのですが、それが見えていない。
全体通して、銃弾が飛び交っているとか、ロボットが迫って攻撃してくるとか、そういったものに対する緊張がほぼ一切描写されていない為、致命的に戦場の雰囲気が描けていません。
立ち位置に応じて、それらしい人達が動いているだけで、悪い意味でゲームのシナリオだけを読んでいるような作品。要するに、物語に対して、演出が血肉を与えられていない。
あまりに酷かったので監督の経歴を見たら、遡ると『ゾイド』などの演出をしていたものの、近年はラブコメ系作品の監督中心で、少々ロボット物は畑違いのようですが、うーん。とりあえず次も見る予定ですが、演出が改善されないと厳しいなぁ……。
◇『トーキョーグール』 第1話
お医者さんが全然責任取ってないよ……。
原作が10数巻出ているようなので、何か背景があるのかとは思いますが、とりあえず主人公は病院に文句言いに行ってもいいと思うなぁ(笑)
ラストのインパクトを作る為に、物語としては完全に前振りといった形で、盛り上がってきたのもクライマックス入ってから。少々物足りない所はありましたが、好きなテーマをやってくれそうなので、2話以降の転がし方に期待。
感触としてはぼちぼち。
……ところで、『アルジェヴォルン』では主人公がヒロインにパンチされていたけど、こちらでは人肉を叩きつけられていた。