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『魔法戦隊マジレンジャー』感想12

◆Stage.19「魔法のランプ〜メーザ・ザザレ〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子
「最高に大切で貴重な宝物」が、
「どんな男も魅了するビーナスミスト」
とか
「飲んでも飲んでも酒が減らないバッカスのツボ」
って、
それでいいのかマジトピア。
……いや、それでこそマジトピア感も凄くしますが。
そんな、色々ダメなマジトピアお宝大図鑑に芳香と魁がギラギラした視線を向ける中、麗は水晶玉占いで、暗く禍々しい気配と、太陽みたいな光の二つを感じていた。
そこへ強力な冥獣反応が感知され、ナイとメアの山中ライブに誘導された5人は、洞窟に張られたマジトピアの結界を破ってしまう。バンキュリアは洞窟の奥に眠っていたミイラを、5人は砂に埋もれていた魔法のランプを回収。魔法のランプから出てきたのは、何でも一つだけ願いを叶える魔法猫・スモーキー。
3話以来のミュージカル調演出で、歌って踊るスモーキー。5人は「インフェルシアをやっつけたい」と告げるが、帰ってきた答は、「無理!」。
これはいわゆる、魔神の力を越える望みは叶えられないというやつかと思われますが、労働に対する対価としての報酬を求めるスモーキーを、もてなす兄妹。アニキ農場特製最高級マタタビ……って怪しすぎますが、本当にマタタビなのか、それ。
「インフェルシアがどんだけ強いか知ってんのかぁ?」
「どれだけ強かろうが、俺たちには勇気って武器がある。だから絶対勝つ!」
彼我の戦力の検討と、それに基づいた戦略の構築ぐらいしような!
まあ兄妹に関しては、何の前情報も無しに気がつくと最前線に立っていたので、概ね、クズ母が悪いのですが。……色々境遇を考えると、戦略とか戦術とか考えている場合ではなく、マジでハイになるものをキメながら、「勇気があれば絶対勝てる!」とか言い続けていないと正気など保っていられない、というかむしろ正気では無理だと、同情すべきであるのかもしれません。
「俺たちの武器は勇気だ!」とか言い出すのも、その「勇気」が何なのかよくわからないのも、フロントラインで興奮剤投入しまくりな人々の発言と思考だと思うと、納得できない事も無い気がしてきました(おぃ)
……多分、作り手の意図とは違うけど(笑)
で、作劇論で言えば、スモーキーの台詞に説得力が無いと、返す魁の台詞も活きないのですが、今作、実は全体的に苦戦描写がゆるめの上に、多少苦戦しても大体その回の内に勇気承認による新魔法配信で適当に片付けてしまう為、あまりインフェルシアの脅威には説得力がありません(^^;
まあ、ここまでインフェルシアは戦力を小出しにせざるを得ない事情があったので、総合力では遙かに強いという事なのでしょうが、それを言い出すと魔法の配給元は何をしているのかという話にもなってしまいますし、この辺りは今作の、総合的な戦力ヒエラルキーの見せ方の下手さがまた出てしまった所。
「勝てにゃいケンカは最初からするにゃ」と、インフェルシアとの戦いに及び腰でやる気の無いスモーキーだが、そこでかつてない強力な冥獣反応が検知される。
嫌がるスモーキー入りランプを強引に連れて反応の元へ向かった5人の前に現れたのは、インフェルシアの新たな幹部、魔導神官メーミィその正体は、15年前の戦いでマジトピアを裏切り、ある天空聖者によってミイラの姿で封印されるも、ン・マの魔力によって甦った元天空聖者ライジェルであった。
「魔法は欲望をかなえる為のもの。欲望が強ければ強いほど、ン・マ様はお力を分けてくださる。で、あれば、我はこの地上界を、ン・マ様に差し出しましょう」
メーミィはベースデザインは包帯巻いたミイラながら、扇やマントは派手という、アンバランスを狙ったデザインで、口調が若干おかまっぽいのが特徴。口が両頬の辺りまで、裂けた様に歯が並んでいるのが格好いい。
天空聖者であるメーミィは、圧倒的な魔法力を振るい、マジレンジャーを叩きのめす。
新幹部のお披露目なので前幹部比2倍ぐらいに強いのですが、そういえば自力で地上に出ているし、騒ぐだけ騒ぎ、自力では地上に出られず、挙げ句先走って帰らぬ人となったヤカンとは、本当に何だったのか……。
5人は巨大化したメーミィにマジキングで立ち向かうが、何と巨大メーミィの大きさはマジキングの十数倍で、マジキングは軽く足蹴にされ、天空魔法斬りも指先一つで弾き返されてしまう。
冥獣トロルや5人の魔人化に始まって、スケールをずらした戦いを随所で盛り込んでいるのは、今作の面白い所の一つ。
巨大メーミィの攻撃に絶体絶命の危機に陥るマジキングだが、5人は勝利の為に、勇気を振り絞る!
「そうだ、勇気を持って、諦めない限り!」
「「「「「負けじゃないんだ!!!」」」」」
繰り返しになりますが、しっかりと物語の流れを組んでさえいれば土壇場で勇気で踏みとどまったり大逆転するのは構わないのですが、今作の場合、1から10まで勇気なので、どうしても安っぽくなってしまいます(^^;
ちょうど前年の『特捜戦隊デカレンジャー』も、中盤以降に若干の軌道修正で「正義は勝つ」理論が猛威を振るった事がありましたが、それでも、フォーメーション訓練の成果を見せるなど「正義は勝つ」以前の手段を描いていたのに対し、今作は「勇気は勝つ」以外の手段を全く講じないので、パワープレイ、パワープレイ、更に、パワープレイ。
折角色々出来る「魔法」というギミックを持ち込みながら、むしろその魔法の存在ゆえに構成が単調になるという、非常な悪循環に陥っています。
まあ、企画的には、前年よりシンプルにしよう、という流れがあったのかとは思いますが、シンプル通り越して大雑把になってしまったという(^^;
「たく、しょうがねーにゃー。おまえらの勇気、受け取ったぜぇ!」
強大な敵に屈しないマジレンジャーの勇気に感じるものがあったのか、スモーキーが巨大化。スモーキーの猫騙しからの天空魔法斬りでマジキングは一太刀を浴びせ、ミイラにされた体が完調ではないメーミィは一時撤退するのであった。
スモーキーは「インフェルシアをやっつけたい」という5人の願いを叶える為に協力する事を約束し、敵方に新幹部、味方に魔法猫が参戦。――そしてカエルが、5人を見ていた。
どうやら誰かの飼い猫らしいスモーキー。流れと予告を見る限り、どうやらその飼い主が追加戦士のようですが、とりあえず、スモーキーの使われ方次第で、マンドラ坊やが大ピンチだ! 気まぐれで情報の出し惜しみとか、している場合ではない!
なお今回、残念騎士は前回の戦いの後に帰ってきていない、という事で、出社拒否によりお休み。多分今頃、ニンジン持って馬を探している。