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『烈車戦隊トッキュウジャー』感想22

◆第22話「女帝の誕生」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子
見所盛りだくさんでしたが、一番面白かったのは
「ダメだよ。ほっといたら明くん、ダメになる」
ダメな子だからと流しているとますますダメになるのを心配する、優しさ。
TVの前のみんなも、友達が浮き世離れした事を言い出したら、そっと気付かせてあげるのが本当の友情だ!
というわけでトカッチはこれからも、くじけずにツッコミ続けて下さい。
明が何か言う度にトカッチがツッコむ、というのが少し面白くなくなりかけていた所で、ミオがクリティカルヒットを叩き込んでくるというのは、実にお見事でした。
ミオが思い出した“星に関する祭り”の記憶から、故郷の街を絞り込もうと調べるトッキュウジャー。その頃、シャドー城ではとうとう陛下とグリッタの婚礼が行われようとしていた。
(シュバルツ様……この式が終われば、私はもう、今の私ではなくなるかもしれません。……それでも、貴方さえご無事であるなら、いつまでもグリッタの心は、お側にあります)
“シュバルツ様に咎めが及ばぬように”と前回ラストで迎えに来た陛下に素直に従って婚礼の日を迎えたグリッタが、ひたすら乙女。
しかしこの、初期は「憧れの先輩の為に……」程度だった慕情が、乙女心はそのままに、徐々に狂気を孕んでいく流れは、実にお見事。宮廷ラブロマンス風味でカモフラージュしていた中にさらっと織り込まれていた狂気――というか、シャドーラインで一番キラキラしているグリッタが、一番狂っている、というのはどういう事なのか『トッキュウジャー』(笑)
ところで前回今回で強調されていてやっと気付いたのですが、シャドーラインの幹部陣は、闇の中で光る瞳が
ネロ=赤 ノア=青 シュバルツ=黄 グリッタ=白
で色分けされていたのか。
キラキラを求めるゼット、乙女の狂気に酔うグリッタ、陛下を心配するネロ、ほくそ笑むノア……それぞれの思惑が交錯する婚礼のその瞬間、陛下、食べられる。
結婚する相手をぱくっと食べる能力、は如何にも唐突でしたが、一応あれか、ハンマーシャドー回でシュバルツ様のイメージ映像をぱっくり食べてしまったのが、伏線だったのか(笑)
ノア夫人の真のもくろみ――それは自らの血族に伝わるこの力を使ってグリッタに皇帝陛下を飲み込ませ、闇の皇帝の力を手に入れた女帝グリッタを誕生させシャドーラインを支配する事にあった。
夫人の言によると自分の結婚相手もおいしく丸呑みしたようですが、つまり、そうやってより強いオスを取り込む事で力を強めていく、女王の血統なのか。
そして皇帝不在の混乱を突き、グリッタの思慕の念を利用していたシュバルツは、烈車軍団による地上征服を目指して出撃する。
ここ数回、「あれ? もしかしてまともに陛下に忠誠誓っているのこの人だけ?」と思わぬ忠臣ぶりで面白くなっていたネロ男爵は、まさかの事態に狼狽しつつ、消えた陛下の足下に残されていた首飾りを拾って姿を消す。
普段、基本としてセットが嘘っぽく見えないように空間的広がりを感じさせるように撮るのですが、このシーンでは
〔画面奥の玉座に腰掛け瞼を伏せる女帝グリッタ→カーテンが降りて姿が見えなくなる→画面手前、結婚式の後片付けをするクローズと、周囲を見回すネロ男爵→ネロ男爵、首飾りを拾って上手に姿を消す〕
と恐らく意図的に狭く切り取った上で舞台的な演出をしており(周囲のクローズがスポットライト外の扱いになっている所とか)、これが非常に印象深くなって、面白かった。
あとネロ男爵は、ゼットが飲み込まれた時の「陛下ぁぁぁぁぁ!!」が素晴らしかった。ここまでのところ地味な役回りだったネロ男爵ですが、さすが福山潤、伊達に幾つも主人公を演じているわけではない、という力のあるいい芝居でした。
地上へ繰り出したシュバルツ様は、改札破壊技でまさかのトッキュウレッシャー乗っ取りを敢行。そしてトッキュウジャーの前には、目覚めた女帝グリッタが姿を見せる。
シュバルツの操るトッキュウオーに対し、ビルドダイオーとディーゼルオーが激突。久々に5人で乗り込むと、改めて嫌な席割りです、ディーゼルオー。
初めて操るトッキュウオーを一人で扱いこなしてみせるシュバルツ様、烈車大軍団による地上征服を目論んで、長年あーでもないこーでもないと妄想を逞しくしていただけあって、イマジネーション強し。合体時にしっかり薔薇まで舞うし。
更に女帝グリッタが高級クライナーを暗闇変形させて参戦し、圧倒的な力でトッキュウジャーを追い詰めていく。「理由はありません。戦いたくなっただけです」と、無慈悲かつ傲岸に力を振るう女帝グリッタが放ったダークネスフォールが、トッキュウオーとビルドダイオーを飲み込む――!!
女帝グリッタが誕生し、陛下登場による幹部総出撃編を越える、トッキュウジャー最大の危機。そして祭りの記憶に繋がる“不安”とは、故郷が闇に飲まれた日なのか――?! と、両サイドの物語が激動し、実に盛りだくさんでした。陛下がこれでリタイアするとは考えにくく、流れとしてはシュバルツ様がちょっと危ないか。後はネロ男爵がどんな動きをするのかも今後の楽しみです。