◆第41話「ララバイ#心を解き放て」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
渡がブラッディローズの響きに耳を塞いでいる間にイクサは爆散し、変身の解けた名護だったが辛くも健吾に救われる。なぜ急に健吾をクビにしたのか? という名護の問いに首領Sは「クビを宣告して態度を見たんだのっぴょろぴょーん」と相変わらずの適当な事を言い、名護にキバの始末を一任する。
かつての経験からファンガイアの血を持つ者との相互理解はあり得ないと告げる首領Sに対し、あくまで「紅渡を救いたい」と宣言する名護。
ここに来て、名護さんが一番、人間とかファンガイアとか関係なく、「紅渡」という個人を(それこそ渡以上に)見ている、というのは面白い所で、過去で音也と接触した影響でしょうか。
一方、若社長は真夜に、キングが残した筈の闇のキバについて問い、段々と悪い顔になっていた。
1986年――キングとの取引により音也暗殺をはかる妖怪三銃士だが、友情ゆえに手を下す事が出来ず、逃亡。だがその前にキングが現れ、ラモンと力が次々と封印されてしまう。
現代編における召喚獣(フィギュア形態)は、もともとダークキバの、希少種族をオブジェに封印する能力であった事が判明。フィギュアから力を取り出して強化するのは、そもそも受け継がれたキバの能力という事で、繋がりました。
2008年――便利な花びらワープ能力で部屋の中に侵入し、渡に手料理を振る舞う深央。
……サイコ気味なのに鍵が通用しないとか、超デンジャー。
深央の通い妻アタックに揺さぶられそうになる渡だが、何とか精神力判定に成功し、太牙を倒して新たなキングになってほしい、という約束を改めて拒否する。
誰とも関わる事なく、ただバイオリンを作って生きようと引きこもりを徹底する渡だったが、今度は玄関で響き渡る大音量のエレキギター。
凄く、近所迷惑です。
「渡、おまえに話したい事があるんや」
せっかく改善されたご近所との関係にまたヒビが入ってはたまらないと招き入れられた健吾は、渡に土下座。才能の限界を感じながらもロックにしがみつき、それを認めたくがない為に悪の戦闘員となり、憎しみを渡にぶつける事で自分を誤魔化していた事を認め、謝罪する。
「なあ渡、もっかい俺と友達にならへんか」
ここは、思わぬレギュラー化した健吾の意味が出て、とても良かった。
健吾の本心を知り、涙ぐんで笑顔を浮かべながらも、渡は首を左右に振る。
「……出来ません。それは。僕は誰とも友達になってはいけないんです。人間でもない、ファンガイアでもない、中途半端な存在だから」
「中途半端な存在?」
流れるように時間が少し飛んで、渡の前に立つのは若社長。『キバ』特有の吹っ飛ばしが、演出として綺麗にはまりました。今作だけに、本当に演出だったのか、単に途中カットされただけなのか、びみょーに謎ですが(^^;
「だから僕はずっと、1人で居なければならないんだ」
ファンガイアとして人間を管理しよう、という太牙の言葉からも、渡は必死で耳を塞ぐ……。
後半戦に入って好感度を上げ続けていた深央と太牙が、ここに来て薄暗い方向に行っているのは意図通りでありましょうが、実に今作のねじれた所です。
“正義”なんて胡散臭いし、人の規範は所属する共同体に縛られるし、世の中は白と黒では割り切れないし仮に塗り分けても簡単にひっくり返る、というのが徹底していて、作品として性格悪い(^^;
1986年――ブラッディローズを弾こうとしたゆり、冒涜的行為を真夜に止められる。戦わなければバイオリンを壊す、とゆりはイクサに変身し、ファンガイアの姿で応じる真夜。
音也不在の家で、正真正銘の修羅場が展開。
……幸い、被害は裏口の扉1枚で済みました。
どう考えても真夜をつけていたっぽいキングが戦いに介入し、イクサは超吹っ飛んでゆりは逃走。遅れてやってきた音也は落ちていたイクサナックルを拾い、遂に旦那と間男、☆ご対面☆
「なぜ真夜に関わる? 知っているんだろう、真夜はクイーンで、俺はキング」
「ああ。よーくな。そしてもう一つ、わかった事がある。――俺は真夜に惚れている」
ゆりさん、遂に、物陰で捨てられる。
「ファンガイアと人間に愛などありえん」
「人間だのファンガイアだの、そんな事関係ない」
2008年――幼い日の記憶と、母・真夜の言葉を重ねる渡。
「関係ないわ。人間もファンガイアも」
1986年――
「大切なのは、魂だ。真夜は俺の音楽、魂を理解した。俺も真夜の、魂の音楽を聴いた」
2008年――
「もういちど自分を信じなさい。自分の姿を信じなさい。そうすればおまえの音楽が聞こえてくる。信じなさい。自分を」
人間でも、ファンガイアでもなく、自分自身がどうしたいのか。
イクサとクラゲの戦いに反応したブラッディローズの響きに、渡はキバット達を檻から解放すると、戦いの場へと向かう――!
名護イクサはまたも現れたビショップをフライングイクサスマッシュで撃破し、ビショップは逃亡。ルークと比べると戦闘力で圧倒的な描写はなかったビショップですが、絶好調時の名護ライジングイクサよりは弱い、という格付けになりました。
ビショップを倒したイクサを吹き飛ばすクラゲだっが、その前に渡が立ちはだかる。その変身を止めようとする太牙。だが、渡はそんな兄の誘いを断ち切り、キバットをその手にする。
「兄さん……僕は生きてみたいんだ。人間とかファンガイアとかじゃなくて。僕は僕として。僕は、僕として、変身」
何よりも紅渡である為に、父の想いを受け継ぎ、渡はキバへと変身する。
ここは凄くカタルシスの集約される所なのですが、うーん、もう一歩、『キバ』はこの辺りがピンと来なかったというのが、正直。
「渡……どうやら少し甘やかしすぎたか」
太牙はサガへと変身すると、クラゲを抹殺。
ここで渡がクラゲを倒してしまうと、結局“人間の正義”に基づいてキバがファンガイアを殺戮する、という構図になってしまうので、太牙がクラゲを始末する、というのはポイント。これにより、人間やファンガイアという立場に関係なく、用済みの仲間を身勝手に抹殺する、という“普遍的な悪”の行為が太牙の側に成立しました。
サガが巨大サガークを召喚すると、続けてサガーク円盤軍団が登場。キバはザンバットソードを振るって円盤軍団に立ち向かう……って、どうしてこんな事に(笑) 唐突な『宇宙戦争』の末に、ザンバットソードは巨大サガークを一刀両断。そして再び、運命の兄弟は敵として対峙する――。
なお、キバドラゴンには変身しませんでした。
ええ、変身しませんでしたとも。
1984年――
「キングの命令だ。紅音也を殺せ、真夜」
だが、真夜はその命令に従わない。
「やはり貴様、クイーンでありながら人間を……もういい。喜べ。キング自ら貴様を地獄へおくってやる」
音也はイクサソニックブームで先制攻撃をしかけるがキングはそれを弾き返し、吹き飛んだ音也に悲鳴をあげてすがりつく真夜。涙を流すその表情を見て、大ショックな顔をするキング、ちょっと可愛い(笑)
キングは
趣味:絶滅
だけど、特に“男として駄目な所”はこれまで描写されていないので、最近、“男として駄目さ全開”の音也より、もしかして男らしいかもしれず、どちらを応援していいのか、少し、悩みます(おぃ)
まあ、小さい赤ん坊が居る嫁を置いて、世界絶滅ツアーとか出ている時点で、駄目男の可能性は高いですが!
その時、屋根からキングを強襲する次狼!
だがその動きはキングに察知され、音也と真夜を逃がそうとした次狼も、ダークキバによって封印されてしまう。怒りの音也は真夜の制止を振り切り、イクサ変身。ダークキバの哄笑が大爆発を引き起こす中、果たして音イクサの蹴りはキングに届くのか――?!