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『仮面ライダーキバ』感想29

◆第43話「結婚行進曲#別れの時」◆ (監督:舞原賢三 脚本:井上敏樹
1986年では凄い蛾を真夜が撃退し、2008年では渡が変身を解除して戦闘を拒否。太牙は帰宅し、嶋は渡に護衛を依頼する。
嶋の異変……それは太牙により、ファンガイアの力を移植された為であった。
「貴方に学んでいただきたかったんですよ。ファンガイアである事がどういう事か。僕を育ててくれた貴方への、せめてもの恩返しですよ」
「酷いよ兄さん……」
「おまえになにがわかる! これもファンガイアを守る為だ。人間が人間を守るように、俺はキングとして、ファンガイアを守る義務がある!」
前回、人格を持って出てきたのに、さくっと嶋と同化させられてしまったセンザンコウファンガイアは可哀想(^^;
それにしても、渡はいったい何がしたいのか。「人間とファンガイアの共存」を目指し、「ファンガイアは絶対悪ではない」というスタンスの渡には、嶋センザンコウに対する独自のアプローチがあると思うのですが、そういう気配は全くありません(太牙の行為そのものは人間視点でもファンガイア視点でも酷いけど)。
育ての親であり仇敵に凄絶な意趣返しを行った若社長は、深央から「なるべく早く式をあげたい」とか言われて、どっきどき。
「いずれ、渡もきっと僕の側に来てくれる。そこからが僕の本当の人生なんだ」
「私も、新しい人生を始めたい……」
ここに来て、若社長の本音の部分がクローズアップされてきましたが、どんどん弱い男になっていきます……(^^;
まあ、育ての親がアレだから、仕方ない。全部リセットしたくなっても、仕方ない。本当に、仕方ない。
嶋は喫茶店で最後のコーヒーを飲むと、そこへやってきた名護と対峙。イクサへ変身した名護は無抵抗の嶋に拳を向けるが――戦う事ができない。
「甘いな君も。戦士失格だ」
夕陽の沈む中、凄いロングのカットで盛り上げようとはしているのですが、重ねて渡の立ち位置を考えると、ここまで切羽詰まらなくてもいい気がして仕方がありません(^^; 嶋が切羽詰まるのは仕方ないとして、周囲はそんな嶋をどう支えていくのか……という考えになるのが“渡の存在による転機”だと思うのですが。まあ、イクサが首領Sを殴り倒さなかったのが渡の影響という事なのかもしれませんが、主人公が世界に与える影響としては、少々弱い。
そしてとうとう、二人だけの結婚式を挙げる太牙と深央。だがその儀式の最中、深央の手が深々と太牙の腹を突き刺す!
そっちが刺されたか(笑)
逃げ出す深央の前に陰で見ていたビショップが立ちはだかるが、太牙は「彼女は何もしていない」と深央をかばい、その間に深央は逃亡する――。
1986念――生命力の尽きかける音也は最後の頼みを聞き入れられバイオリンを弾くがキングのお気に召さず、始末されそうになる。しかしその音色は真夜の耳に届き、ギリギリの所で駆けつけるゆりと真夜。
ダークキバとクイーンが戦闘となり、その間に音也を連れ出したゆりの前には凄い蛾ファンガイアが立ちはだかるが、傷だらけの音也はイクサに変身すると近距離イクサ火炎ハンドで凄い蛾を撃破。しかしその一方で、真夜はダークキバに為す術もなく倒されていた。
「ファンガイアの力を抜き取った。もはやおまえはクイーンでなければ、ファンガイアでさえもない。亡霊のように生きろ。それが死よりも重い刑罰だ」
ここで現代編に繋がる形で、真夜はクイーンの力を失う事に。この流れだとそもそも渡の体の中のファンガイアの血はかなり弱くて、それ故に食性なども人間に近いという事でしょうか。ただその渡はキバとしての強い力を秘めている、という事で残るキーパーソンはここまで焦点が当たりそうで当たらなかったキバットバット親子か。
2008年――海辺のお墓の前で暴れる嶋センザンコウの前に、重傷を負った太牙が現れる。
「太牙、決着をつけよう」
咆吼と共にセンザンコウに変身する嶋だったが、サガはこれを秒殺し、首領Sは見事な爆死を遂げる。…………あ、あれ?(^^; これから過去編で背景が明かされるのかもしれませんが、二つの時代に跨がって登場し、1話から登場する主要キャラにも関わらず、様々な因縁が語られる事もなければ末期の台詞の一つも無く飛び散ってしまいました。
まあ、状況的にほぼ自殺であり、太牙がキングとしての激情を吐露した時の表情を見るに、どうせ死ぬなら太牙に殺されよう……という考えだったのかもしれませんが、それが怨念を浄化するどころか、憎悪を加速させている辺り、最期まで役立たず。
渡を裏切って謀略により嶋を追い詰め、挙げ句の果てに爆殺した太牙に対する怒りで覚醒した渡はエンペラーキバへと変身。キバとサガは激しくぶつかり合い、それを見つめる深央。出血多量のサガは本調子でないままキバに追い詰められ、躊躇無くフィーバーキバまっしぐらを発動するエンペラー。太牙が自分をビショップからかばった事に動揺する深央は発作的に飛び出し、サガを守ってその直撃を受ける――。
……渡には、「殺る」「戦わない」かの2択しかないのか。
渡は吹き飛んだ深央を抱き起こし、あの指輪を手にすると、深央は二人だけの幸せな結婚式の幻を見ながら砕け散るのであった……。
後半戦を引っ張ったクイーン深央、リタイア。
うーん……ここに来て、渡が何をしたいのかが致命的にわからなくなってしまいました。
ハーフファンガイアである事を自覚し「人間とファンガイアとの共存を目指したい」と口では言うものの、別に誰と話し合うわけでもなく、対処療法に終始した挙げ句に殺意全開の必殺技を発動。
勿論ここの所の太牙の行動、特に前回−今回の嶋への所行は非道と言っていいものですが、しかし、これまで戦う事すら拒否していた太牙に殺すつもりのキックを放つ動機としては、正直、「嶋が殺害された」は弱すぎます。
一応和解はしましたが、別に嶋さん、長く渡を支えてきた理解者とかそういうわけでもないですし。怒りの感情そのものは自然ですが、「共存を目指す」筈の渡が憎しみの連鎖を全く止める気がなく、自ら言うように“中途半端”な位置で暴れているだけで、とてもタチが悪い。
そんな渡の未熟さゆえの悲劇、という所まで織り込み済みなのかもしれませんが、迷いに迷いを重ねた挙げ句にこの最終盤に至ってもまだ主人公が延々と未熟、というのは辛い。
せめて渡が共存を目指す為の行動を取っていて、能力不足ゆえにそれが巧く行かない、という展開ならわかるのですが、渡の行動も言動もどこを取っても共存を目指しているように見えないのが、極めて厳しい点。
また今作は、音也の性質、渡の立ち位置、ガルルさん達の描写など諸々見るに、「ファンガイアである事=悪」、という世界観ではないと思うのですが、そのファンガイアを「邪悪」と言い切る嶋の死を渡覚醒のスプリングボードに使うというのも、物語の積み上げとしては納得がいきません。非常にひっかかります。
はっきり言えば、殺しやすい人物を殺して強引に渡の動機付けをした、という下策(勿論これは、なら例えば静香が不幸な目に遭えば良かった、という意ではありません)。
……ふと今、思いついてしまったのですが、これは、物語上の下策ではなく、登場人物による下衆の策であったらどうしよう。
墓前で太牙と出会った事など(この墓自体は、まだ伏線が隠れているっぽい雰囲気ありますが)色々と偶然の要素が多かったですが、わざと目の前で太牙(サガ)に殺される事で渡(キバ)の怒りをファンガイアに向けさせる、という首領S最後の謀略!
最後の最後まで吐き気のするほどの邪悪。
今回でリタイアとなった深央さんは、同じ刺すなら煮え切らない渡を刺して二人の世界フォーエバー派かと思いましたが、太牙を刺して渡に強制的に覚悟を決めさせにいきました。トドメを刺しきれなかったり、直後に激しく動揺したり、徹しきれない辺りが、良くも悪くも渡と“似たもの同士”という事でしょうか。あと、残念ながら、渡はそんな切羽詰まった女を無自覚に見捨てそう。
お父さん(ビショップ)はどうして物陰から覗き見しているのだろうと思ったら、信用できない深央にすっかり転がされている若社長を心配していたのだろうか、と考えると涙ぐましいですが、育て方を間違った気はします。育てた人は……爆死して責任を取ったのでもう追求できない。
次回、魑魅魍魎跋扈するこの地獄変に素晴らしき青空を取り戻す為、名護啓介はラスボスになる!(?)


◆第44話「パンク#バックトゥファーザー」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
前回のあらすじから続いて冒頭、砕けた深央の欠片を手に取る渡、はなかなかえぐい。
1986年――退院しようとした音也を止めた医者……の顔はどう見ても渡であった。退院した音也に「このままだと不幸になる」と告げる占い師……もどう見ても渡であった。
「必ず、運命を変えてみせる」
深央を殺してしまったショックで彷徨っていた所を宇宙人ジローによって回収され、22年前に送り込まれた渡は、度重なるトラウマ案件の末、よくわからない方向に弾けていた。
恵に襲いかかる、など鼻で笑って吹き飛ばして忘れてしまうレベルの惨事だったのでどうなる事かと思いましたが、また鬱々とするのではなく、まがりなりにも渡が主体的に動いている、というのは良いと思います。
渡は荷物をまとめて自ら同棲解消したゆりの前に立ちはだかると、音也とゆりをどうにかくっつけようとする。
「貴女は、紅音也と結ばれるべきです。貴女は魅力的です。自信を持ってください」
それやると、恵さん、消えないか。
まあもう、ほぼ錯乱状態で、深央さえ助かれば他の人の運命がどうなろうが知った事ではない、という事なのでしょうが、それにしても酷い(^^;
渡に誉められてその気になったのか、音也を呼び出すゆり。
「あんたにプレゼントがあるんだ」
「なーんだ、おう、くれるものなら、なんでも貰うぞ」
「別れをあげる。返却不可能だ」
「ゆり、俺は……」
「いい。何も言わなくていいんだ。私はあんたと出会って幸せだったし、今でも幸せだ。音也だってこれから、もっともっと幸せになれる。だから……これでいいんだ」
むしろハッキリと別れを宣言したゆりは、去り際、音也の足を思いっっっっっっきり踏みつける。
「ごめん。――わざとだ」
落としたネジをつけ直したゆりさんは、ひたすらいい女であった。
ヒールの踵でないだけ、加減したしな!
ここで、しめしめと盗み聞きしていた渡が、ゆりのお別れ宣言に思わず机を叩いていたのは、普段の渡らしからぬ仕草が、好演出。
その頃、力を失ったクイーンに迫る、北極熊ファンガイア。
「会いたい、音也、会いたい……」
その危機を助けたのは、ゆりさんだった。
音也と話せと言い置いて、去って行くゆりさん、格好良すぎる……(笑)
だが、男女の機微などわからない渡はそんなゆりを強引に連れ戻し、音也と真夜の元へと戻る。
「とにかく駄目なんです、父さん、母さん」
もう、面倒くさくなった。
「二人がラブラブになっちゃったら、僕が生まれちゃうんです。僕は生まれちゃいけないんです。この世から消えなきゃいけない」
どうして、この局面で、その単語チョイス。
「僕が生まれると深央さんが、深央さんが死んじゃうんです」
ここで、握りしめていたガラスを見せる、というのも良かった。
その後、未来から来た証拠として呪いのアイテムもとい名護さんのボタンを見せたり、鍵を使って紅家に侵入したり、紅家秘伝の特技を見せたりして音也に受け入れられた渡は、北極熊から母を守る為、キバ変身。イクサ変身した音也と親子共闘で北極熊を撃破すると、そのまま第二ラウンドで親子喧嘩へ突入。音イクサが貫禄勝ちを収めるが、そこへジェラシーキングが現れ、音也を殺すべくダークキバへと変身する……。
2008年――
嶋の後釜に座り、世界に恒久的平和をもたらす為に戦うとラスボス宣言をした名護が、大いなる意思の声を聞く為に体脂肪率を落とそうとトレーニングしていた所、ビショップと遭遇。
「出来損ないのクイーンは死に、紅渡はもう立ち直れない。キングの邪魔をするものは、青空の会だけだ。イクサの装着者よ、ここで死んでもらう」
「貴様に言っておく。青空の会は永遠に不滅だ」
絶好調のライジングイクサは、ほぼワンサイドでビショップに勝利。逃亡するビショップは、正直、実力差を見誤りすぎて何をしにきたのかわからないレベル。貴方この前も、正面から思いっきり負けていたじゃないですか(^^;
そして深央を殺された悲しみから、太牙は憎しみの炎を渡に向けてたぎらせていた……。
前回の今回で渡が過去へ跳ぶという展開でどうなる事かと思いましたが、いい女として再起動したゆりさんが格好良く、話が締まりました。やはりこう、“格好いい”というのは必要な要素だと思うわけです。
「私はあんたと出会って幸せだったし、今でも幸せだ」
は素晴らしい名台詞。