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『仮面ライダーW』感想8

◆第10話「Sな戦慄/名探偵の娘」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
「ビギンズナイト」って自分達の過去の体験にえらく気取った呼び名を付けているなぁと思ったら、映画のサブタイトル的なものありきだったようで、納得。
ナスカは背中のマフラーを伸ばしてダブルを拘束するが、メトロンに殴られ、戦いは乱戦模様に。だがその時、屋敷の壁や地面から漆黒の闇が染みだし、汚染物質のようなそれの危険すぎる気配に、全員撤退……とテラードーパントの力見せ。
「僕たちは見たのかもしれない」
「何をだ?」
「敵の……根源を」
亜樹子を心配する翔太郎は、依頼人を危険にさらした事をおやっさんなら決して許さない、と亜樹子の無茶を叱り、珍しくしょげる亜樹子。その姿に、おやっさんの背中を追いかけている者同士のシンパシーを感じてしまった翔太郎は、自分が過去に同様に叱られた事を語り、勢いでビギンズナイトの真実を話そうとするが……いつの間にか亜樹子は姿を消していた。
「俺、ちょー大事な話してんのにぃ!」
自分を頼ってきた依頼人の為に……父の過去の言葉に、翔太郎の期待したのとは逆方向に盛り上がってしまった亜樹子は園咲家当主・琉兵衛(りゅうべえ)に、スイーツタイムに屋敷の使用人を集めてほしい、と頼み込む。
琉兵衛が館長を務める風都博物館の展示物が、これまで遭遇したドーパント達を示しているようで気になる翔太郎は、ここで琉兵衛と初接触
「素晴らしいよねぇ。地球に刻まれた記憶というものは」
寺田農、圧倒的貫禄。
このクラスの役者さんを悪役に配置できると、書く方も撮る方も、とても楽しそうです。
そして翌日――集められる使用人、食堂を外で見張る翔太郎、そこへ現れたのは、モップを持って仁王立ちする美少女メイド探偵・鳴海亜樹子!
「ただのメイドではございません。美少女メイドは仮の姿。その実体は、名探偵・鳴海亜樹子! この中に、連続誘拐事件の、犯人が居ます!」
「あいつ、やっぱ無茶しやがったぁぁ」
その指名した真犯人は……ぽっちゃりメイド。
なお、証拠は無し。
亜樹子のあてずっぽうから事態は出来の悪い喜劇の様相を呈し始めるが、使用人を集める為に亜樹子が適当に作ったお菓子を食べさせられた眼鏡のメイドが怒りを露わにし、その本性を剥き出しにする。
同時刻、星の図書館の検索によりフィリップが辿り着いた真犯人、それは風都パティシエ特集のランキングをつけた雑誌ライターだった。お菓子好きが高じてガイアメモリを手にしたライターは使用人として園咲家に雇われ、一流のパティシエを監禁する事で、その味を自分だけのものにしていたのだ。
メトロン星人の正体は、スイーツメモリ。……す、スイーツ……(笑) 実に何でもありですドーパント。そしてスイーツも、風都博物館に飾ってあるのか。
ここの画面分割の演出は、少々やりすぎた感じ。あと極めて私的な事情として、ヘッドホンで聞いているので、音声を左右に分けられると、聞こえ方が気持ち悪くなって苦手(^^;
眼鏡メイドはスイーツドーパントに変身するとパティシエ娘と亜樹子を呑み込んで逃走。それを追って変身した翔太郎は冴子と霧彦にそれを見られ、2人はタブーとナスカに変身。
1話冒頭にもタブードーパントが出ていましたが、どうやらフィリップの居た施設は冴子の管轄のようで、ダブルドライバーについて何か個人的な思惑がある様子。
タブードーパントは、メデューサ+ラミアみたいなイメージなのか、足が無いという一風変わった着ぐるみ。戦闘中は基本CGになりますし、それ以外の時は吊ったり角度が限定されたりと撮影が大変そうですが、思い切った異形デザインで面白い。また、猫がドーパントになると二足歩行になり、人が変身したドーパントが足が無くてふわふわ浮いているというのは、ちょっとひねっていいスパイス。
タブーとナスカの夫婦攻撃に苦戦するダブルだが、フィリップ、車で2人を轢く。
ドーパントだから、大丈夫。
3つ目のアタッチメントであるターボブースターをつけたWバイクは追走してきたナスカドーパントを振り切り、さらわれた亜樹子とパティシエの元に駆けつける。
「私の依頼人に、指一本触れるな!」
パティシエ娘を人質に取ろうとしたスイーツに椅子を叩きつけ、依頼人を力尽くで守った亜樹子の姿に、おやっさんを重ねてしまう翔太郎……それでいいのか(笑)
ドーパントを煽る割にドーパントに襲われると「聞いてないよー」となる亜樹子の見せ場ですが、急に力技になって、やや強引(^^; パティシエ娘を体を張って守って殴られる、とかでも良かった気はしますが、それだと見せ場として弱いという判断だったか。ただ、亜樹子を単なる賑やかし要員にせず、しっかり物語と絡めて3人目のメインキャラとして扱っているのは、今作の良い所。
「「さあ、おまえの罪を数えろ」」
ダブルはヒートジョーカーとなり、スイーツと交戦。粘液状態になって隠れたスイーツを、コウモリにルナメモリを差し込んでのフラッシュで炙り出すと、ヒートージョーカーによるマキシマムドライブ・ジョーカートルネードを発動。右手から炎、左手からハードボイルドなオーラを噴き出すと……
飛んだー!
凄くズレたーーー!!
割れたーーーーー!!!
左右の乱打でメモリブレイク。隠れ家に監禁されていたパティシエ達も助け出され、事件は無事に解決を迎える。
そしてダブルを取り逃がした霧彦さんは、冴子さんからお仕置きを受け、お尻を出していた。
反省。
亜樹子の中に確かに流れるおやっさんの血を見た翔太郎は、亜樹子を子供扱いしていた事を改め、亜樹子には亜樹子の強さがある事を認める。
(強くならなきゃいけないのはこの俺の方だ。いつか……あの日を受け入れなきゃいけない時が来る。あの夜、ビギンズナイトを)
お菓子が大好きなので一流のパティシエを次々と誘拐する怪人、と中心のネタは割と間抜けながら、おやっさんの背中を追いかける2人の半熟卵の話にまとめ、ギャグとシリアスのバランスの取れた1本。またそこに、ビギンズナイトと園咲琉兵衛――テラードーパントの存在を絡める事で、エピソードとしての厚みが増しました。特に、戦闘抜きでのテラードーパントの脅威の見せ方は、良かった。
一方心配なのは、元より“前半のライバル臭”が全身から漂ってはいたものの、現状、ライバルとして認識されていないどころか、2クール保ちそうにない霧彦さん。冴子さんを「運命の人」としてキラキラした瞳で語っていたので、もとよりM属性だと思われますが、…………あれ? それだと、お仕置きではなくてご褒美?? ………………以下、夫婦の間には余人にはわからない色々な関係があるという事で、あまり触れない方が良さそうなので次回へ続く。