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『侍戦隊シンケンジャー』感想3

◆第5話「兜折神」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子
侍、休暇。というわけで、毎度お馴染みの後楽園ゆうえんち回……というほど遊園地が出てきませんでしたが、これでノルマ達成なのかどうなのか。
主に流ノ介とことはの為に、家臣4人が遊園地をブラブラしている頃、殿は1人で秘伝の円盤を使いこなす為の稽古に励んでいた。そんな殿を見守りつつ、幼い日の遊園地での思い出を回顧する爺。
相変わらず殿は、家臣の居ない所で萌えポイントを提供する事に余念がありません。
ガトリングガンを振り回すアヤカシが出現し、4人はいちはやく立ち向かうが、アヤカシは侍殺しの《斬撃無効》能力を持っていた。4人が追い詰められた所で殿参上するが、アヤカシには殿の剣すら通用しない。
殿、躊躇なく背後から斬りつけるのが素敵(笑)
乾燥で撤退したアヤカシを倒すには、モヂカラを乗せた属性攻撃しかない。使いこなすには現在の2倍のモヂカラを必要とする秘伝のディスクを扱えるようになる為、殿はひとり特訓を行う。
いっけん天才肌だけど見えないところでひたすら稽古を重ねている、という殿は、陰気な長嶋茂雄、とでもいった感じでしょうか(長嶋茂雄は現役時代、スターが必死に練習している姿をファンに見せるべきではない、と自主トレ中は旅館の室内で素振りをしていたという逸話の持ち主)。
そして殿が無理は承知で困難な強化に挑むのは、実戦経験を積んだ自分の強さで皆を引っ張る事で、家臣達が精神的に不安なく戦えるようにする為でもあった……と、当主としての殿、の姿を爺を通して描写。
順番通りの殿話なのですが、ここまで、小うるさい爺にして設定の説明役であり、殿に対しても滑り気味だった彦馬の存在感、殿との間にある互いの信頼関係が合わせて深められたのは良かった所。徹夜の訓練で倒れた殿を起こすべきか一瞬躊躇い、殿の手が烈火大斬刀を握りしめたままなのを見てきっぱりと起こす所など、細かい芝居が挟まれていて良かった。
強いモヂカラの反動により傷だらけになりながらも、なんとか秘伝ディスクの起動に手応えを得た殿は、ぶっつけ本番、ガトリングアヤカシとの戦いでカブトディスクの力を発動させ、烈火大斬刀が大筒モードに変形。5人のディスクをはめこんで放つ「兜五輪弾」により、アヤカシを撃破する。
大筒モードは合体武器かと思いきや、家臣4人は背後に片膝を付き、殿が1人で撃つという、実に今作らしい武器(笑) 2014年現在放映中の『烈車戦隊トッキュウジャー』とは、くしくも真逆のスタンスです(笑)
巨大化したガトリングアヤカシにはシンケンオーの刀も通用しないが、殿はカブトディスクを用い、兜折神を召喚。兜折神の回転する角でアヤカシをシザーホイップすると更に角からビームを放ち、シンケンオーに侍武装で合体する。その名を、カブトシンケンオー!
……なんか、兜というか、エビを被ったみたいに(笑)
(※実際に、海老の意匠をつけた兜とかあったりもしますが)
アヤカシは巨大ナナシを召喚し、巨大ナナシがここで弓を構えて攻撃してくるのが格好いい。 エビ カブトシンケンオーは巨大ナナシをばったばったと薙ぎ払うと、追い打ちのビームで撃滅。刀の通用しないアヤカシにも、頭からのビームでダメージを与え、最後は角が回転して放つ「カブト・大回転砲!」で成敗。…………えっと、侍……?
――いや違う。これこそが、真のサムライの姿。
そう、人々を守る為、勝てばよかろうなのだッ!
秘伝ディスクの発動による新折神登場編でしたが、“刀が効かない”というアヤカシが、その為だけの踏み台、ギミックの為のギミックになってしまったのは残念。作っている方もわかっていたのか「無駄」という口癖で個性はつけていましたが、アヤカシの能力が物語と主体性を持って噛み合わず、せっかく前回少しひねったアヤカシの行動が、またシンプルな破壊活動に戻ってしまったのもマイナス。
……外道衆は、基本ヒャッハーなのしか居ないのか。
そんな世紀末爆走集団な外道衆サイドでは、薄皮太夫(それにしても朴さんは巧い)が少し他のアヤカシとは毛色が違う所を見せ、この辺りの細かい仕込みは、小林靖子の得意とする所です。
戦い終わって、休日をやり直しましょうと流ノ介から遊園地に誘われるが、それを断って一足先に帰っていく殿。
「なんだかなぁ。やっぱとっつきにくいよな」
「ていうか、掴まれないようにしてるのかも、ね……」
「は?」「え?」「あ?」
「別に。なんとなく、てだけ」
殿、悪魔の女に捕捉される(笑)
弱ってる男センサー、恐るべし!
カブトディスクの使用を躊躇う殿の様子に茉子だけが気付くのですが、まあ、忠義一徹で視野の狭い流ノ介、殿の見方にバイアスが強い千明、純朴な小娘であることは、となると殿の些細な変化に気付けるポジションは茉子ぐらいしか居ないのですが、一番、反応されてはいけない人に反応されてしまった気がします。
殿、逃げて(待て)
……いや、殿、なんか、甘やかすと底無し沼に沈みそうな感じがするので、凄く、駄目な組み合わせがする(笑)
姐さんの天使センサーから辛うじて逃れた殿がひとり疲労困憊で帰った所を爺が迎え、爺の顔を見て気の抜けた殿は倒れ込み、それを抱き留める爺。
「正直……かなりびびった。もし失敗したら、終わりだからな」
「お見事でした。お見事でしたぞ、殿」
殿話にかこつけて、爺の好感度をかなり上げに来ましたが、爺もその内、家臣と親しめるようになってほしい所ではあります。……殿は……殿はまあ、長い目で見守っていきたい。


◆第6話「悪口王」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子
侍、稽古中。その様子を監督とコーチのように見守る殿と爺。
「ことはの剣はいいですな。素直で迷いが無い」
「千明じゃまだ、歯が立たなくて当然か」
「ただことはは……武術以外、さっぱりですからな」
「まあ……確かになぁ……」
どじっこ属性を追加したことは、稽古中に負傷させた千明にお手製小麦粉シップを貼ろうとして、小麦粉をひっくり返すなど、大騒ぎ。
「茉子ちゃんなんて、綺麗で賢くて、料理も出来んのになぁ」
「いや、料理はちげえだろ」
先日の衝撃発言は、ことはのレベルが低すぎる故に、茉子の料理でも憧れの対象に見えてしまう、と判明(笑) 良かった、茉子に洗脳されていたのではなかった! ただ、修理不能なだけだった!!(あれ?)
「ううん、ほんま。でも、しょうがないわ。うち、アホやし」
「なんだよそれ……」
すぐに自分を卑下する言動が目立つことはに、千明が苛立ちを見せる、というのは納得のいく絡め方。殿は我関せずだし、流ノ介は細かい機微とかわからない上で素直に受け止めて前向きに励ましそうだし、姐さんは姐さんで土壇場ではフォロー入れるけどそういう事もあるよねと見守ってしまいそうだし。
劣等感というのは下手に使うと面倒くさくなるだけですが、千明のそれは、今作におけるキャラクターの階層化の形成にあたって、巧く使われています。
そんな時、「デブ」「プチ整形」「穀潰し」など、本人が言われたくない言葉を告げる事で、精神的ダメージをそのまま物理的ダメージとして及ぼす、という性質の悪いアヤカシが登場。対峙するシンケンジャーだが……
「落ちこぼれ」
千明、綺麗な弾道で吹っ飛ぶ。
ファザコン
流ノ介、更に高く飛ぶ(笑)
「一生独身」
姐さん、ちょっと耐えるけど、やはり吹っ飛ぶ。
この辺り、姐さんはやはり、ストレートに落としにくい気配が窺えます。
「嘘つき――大嘘つき」
そして、最初の一言には耐えるも、思わぬ言葉で吹っ飛ぶ殿。丈瑠は意外なトラウマを色々と隠し持っていそうではありますが、先に繋がるっぽいネタを仕込んできました。
4人が次々と吹き飛び、残るはことは。
「おまんは、ドジ」
だが、シンケンイエローは吹き飛ぶ事なく、アヤカシへと攻撃を繰り出す。
「アホ」「バカ」「間抜け」「これでどうだ、鈍くさ女!」
続けざまに罵声を繰り出すアヤカシだが、イエローには一切効かず、撤退。
「うち、慣れてるから」
要領の悪さで小さい頃からイジメられ、他人からバカにされる事の多かったことはは、罵詈雑言への耐性が強く、またそれをその通りだ、と自ら受け入れてさえ居た。しかしその態度に、千明は苛立ちを露わにする。
「笑ってんじゃねえよ。おまえすぐ自分のことアホとか言うけどさ、それでへらへら笑ってんのって信じらんねぇ。なんか苛つく。私はアホです、て誰かに言い訳してんだ。謙遜ならイヤミだし……本気で思ってるなら、マジで馬鹿だ」
なお、「ファザコン……だったのか私」とがっくり落ち込む流ノ介を、珍しく殿がフォロー。変な遺言を残された身なので、父子関係には思うところあるのか。
その頃、ことはに自分の技が通用しなかったアヤカシは、三途の川で薄皮太夫を練習台として吹っ飛ばしていた。前回、「太夫はアヤカシとそりが合わない」というネタがありましたが、ドウコクのお気に入りで三味線弾いているだけだからか、どうも太夫はアヤカシから軽んじられているらしい、というのが重ねて描写。まあ基本的に、忠誠心とか、組織だった上下関係はなく、外道衆はドウコクが強いから従っている、というシンプルな縦社会なのでしょうが。
出来ればついでにドウコクさんにも、「駄目人間」とか言ってみて欲しかった。
気にしてないかもしれないけど!
屋敷の庭に飛び出したことはは、追いかけてきた千明に、姉との思い出を語る。ことはが自分に対するどんな悪口も受け入れて受け流すのは、病弱な姉の為だった。自分の代わりに侍の道を歩む事になったことはを心配する姉を泣かさない為に、何があっても強くあろう、ということはなりの一つの決意と戦いだったのである。
「泣いたら、お姉ちゃんが心配して、もっと泣かはる。そやから、笑うんや。何があっても」
ことははホント、ぐいぐい攻めてくるなぁ(笑)
かつてここまで、健気押しの戦隊メンバーが居たでありましょうか。
まあ殿が複雑骨折している分、ある程度、元来レッドが担当する事が多い“真っ直ぐな部分”というのを、流ノ介・千明・ことはに、配分している感じでありますが。その上で、各個人にそれぞれの屈折を与えている(流ノ介は侍の使命と歌舞伎や家への夢と愛情、千明は侍を否定したがりながら捨てきれない矛盾と力不足への劣等感、ことはは侍に依存している在り方そのもの)。
そう考えると茉子だけ少し変則なのですが、一人だけ普通の社会人経験があったり(流ノ介はやや特殊と見る)軸が強くて道が見えている、というのは意図的なものか。まあまだ6話なので、この後、茉子の揺れも描かれるかもしれませんが。単純なキャラ付けといえばそれまでですが、茉子が日常シーンでは大体雑誌を手にしていて、常に最も一般社会に近い位置に居る描写がされているのというも、深読みとしては興味深いところ。
「アホって言われたって、自分でわかってたら、何ともないし。でも、自分でアホって思う事が、ほんまのアホやっていうのは、気付かへんかったわ。うち、やっぱりあかんな」
「ごめん! バカなのは俺だ」
ことはの芯の強さ、自分とは違う劣等感への向き合い方を知った千明は、自分より年下で武芸に優れることはが「自分は駄目だ」という言葉に、立場を無くした苛立ちがあった、と謝罪。
「ごめん……八つ当たり」
とはいえまあ、劣等感を抱えつつも負けず嫌いな千明からすると、ことはの「アホだから仕方ない」という言い分が最初から負けを認めているようで受け入れがたいのは本音でしょうし、その辺りは千明のいい所であり、わかりやすいクラスのヤンキー未満の立ち位置でもあります(笑)
お互いの本音を知り、アヤカシ出現の報に駆け出す寸前、千明の袖を引くことは。
「千明、うち、千明の剣、好きや。真っ直ぐで千明らしい。きっと、もっと強くなる」
ナチュラルに、傷口に、塩を擦り込みにいきました。
天然、怖い。
「さんきゅ」
それはそれとして、年下の可愛い女子と距離感が縮まる今の環境も悪くない、みたいな空気が滲み出ているのも、千明のいい所です(笑) 青春中だから。
ところで、ことはは千明より年下という言及がありましたが、千明でギリギリ高卒なので、ことはは今度こそ休学中なのか。或いはそもそも、高校通ってない感じか(ありそう)。
陣幕張って揃い踏みしたシンケンジャーは、図星アヤカシと再戦に挑み、備えが出来ていれば大丈夫、と精神力で打ち勝とうとするが……
心頭滅却すれば、火もまた」
「マザコン
開始早々、流ノ介、吹っ飛ぶ。
図星アヤカシはナナシを呼び出して4人と戦わせ、黄色と一騎打ち。
「儂の言葉は絶対だ。必ずおまんを、言葉で倒す」
怪人の特殊能力が物語と密接に絡むという方がやはり好きなのですが、図星アヤカシは自分の技にこだわりを持っているのも、いい個性になりました。何故か土佐弁?なのは、このはと対決させる関係のアクセントか。
「姉ちゃんの補欠!」という言葉にわずかに動揺を見せるも、アヤカシの悪口に抵抗し、攻撃を続ける黄色。怒りの緑が救援に駆けつけ、連係攻撃でダメージを与えると、最後は殿のカブトキャノンで成敗。巨大化後は、シンケンオーが左手を個別に立方体に戻し、更に分離攻撃という荒技を見せ、最後は海老キャノンで滅殺する。
カブトシンケンオーは、折角だから余った足を両肩にちゃんと装備しているのと、割と後頭部が大きく余り気味なのが、けっこう好きです(笑)
かくして戦いはシンケンジャーの勝利に終わった……が、戦闘終了の直後に倒れて気絶してしまうイエロー。ことはは決して投げかけられた言葉に対して無傷であったわけではなく、封じ込んだ無意識の奥では、確かに傷ついていたのだ。
「おまえ、やっぱバカだな。けど、すげっ。おまえは凄えよ」
気絶したことはを千明が背負って運び、後ろでは流ノ介のマザコンを掘り返す姐さん。
「やめとけ。誰にでも、触れられたくない事だってあるだろ」
今日の殿は、流ノ介に優しい。
「ふ〜ん……嘘つきも?」
「――そういう事だ」
「…………まあ、そうだよね。殿様も、それぐらいはね」
姐さんの、天使センサーがこぇぇぇぇ。
それにしても姐さんは、弱っている男にはセンサーが感知して助けたくなるけど恋愛の対象外、という事は本質的な好みは強い男と思われるのですが、姐さんと付き合うと事あるごとにこんな感じで内角に直球を投げ込まれて耐久力を試されるのかと思うと、それは大抵の男は泣いて逃げ出すわけで、「一生独身」がクリティカルヒットしたのも、むべなるかな。
かくして年下組が交流を見せ、流ノ介は安定のお笑い要員、そして殿がじわじわセンサーに追い詰められていくのであった(笑) やはり、怪人の能力が物語に絡む方が面白く、今後のアヤカシのバリエーション付けには期待したい所です。
ところで今作、ここまでずっと帰り道エンドなのは意識的な被せかと思うのですが、演出陣で統一感を出す為のちょっとした仕掛けなのか、脚本指定で何か意図的なものなのか。
次回、お笑い要員はいい所を見せられるのか。フィーーーッシュ!