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『仮面ライダーW』感想11

◆第14話「レディオでQ/生放送大パニック」◆ (監督:石田秀範 脚本:長谷川圭一
バイオレンスは車にはねられて退散し、派手に吹き飛んだ土偶は、破片が集まってあっさりと再生。次の収録現場は9−10話に登場したパティシエの店だったが、そこにもまた、ミスタークエスチョンからの電話がかかってくる。フィリップは言葉の端々から、犯人が若菜の身近に居る人間と推定する。
何故か「若菜姫ー」と盛り上がり、亜樹子が翔太郎の応援に向かうというのは多分に展開の都合になってしまいましたが、若菜が犯罪者に狙われている事で義侠心に火が点いたというのは、性格設定としては許容範囲か。
収録現場から姿を消した若菜は再び探偵事務所に乗り込み、慌てて身を隠したフィリップは若菜から過去の話を聞く。
早くから琉兵衛にミュージアムの仕事を手伝わされてきた姉の冴子は幼い若菜に辛く当たる事が多かったが、そんな若菜を慰める、今はもういない弟の存在があった、と“もう1人の園咲”が回想で登場。また、前回はややどちらとも取れる演出でしたが、繰り返してきた事を見るに、“若菜はフィリップの顔を見ていない”という事で良いようです。
フィリップは若菜への質問から星の図書館を検索して犯人の名前を告げ、「事件が解決したら顔を見せて会いましょう」と約束した若菜は、収録現場へと復帰。
フィリップ、姫の残り香を嗅ぐ。
「なんなんだ、この、息苦しさ……こんな気持ちも、あるのか。若菜、さん……」
収録現場に復帰した若菜は代役で来ていた先輩からマイクを受け取ると無事に番組を終え、犯人の正体はマネージャーだと糾弾するが、開き直ったマネージャーが変身したバイオレンスドーパントにさらわれてしまう。
跳ね回るバイオレンス鉄球を追うダブルは、バイクスタントから、マリンメカに換装。メインにはしないけれど、ガジェットをちょこちょこ使ってくるのは良い所。個人的にCG全開になるのは、あまり好きではないですが(^^;
ダブルはルナトリガーによる投網で鉄球を確保し、解放される若菜。若菜にどんなに虐げられても好きだったというマネージャーは、ある人物にそそのかされてガイアメモリを手にし、その力に呑み込まれていたと告白。ダブルがバイオレンスと戦っている間に、若菜はその人物――先輩パーソナリティの元へ向かう。そう、ストーカーを裏で操っていたのは、若菜に仕事を奪われた女の逆恨みだったのだ。
相当不親切にひねりでもしない限り、ミステリ構造は成立させにくいので、犯人捜しよりも犯人にどんな物語を乗せるかとその見せ方が重要になるわけですが、そういう点では、可も無く不可も無くという出来。ただ、先輩の豹変ぶりは、女優さんが好演。
「なんで私を怒らせるの」
若菜はクレイドールに変身すると先輩を焼却しようとするが、弟の言葉、そしてフィリップの言葉に思いとどまる。
――駄目。そんな事するの、本当の若菜お姉ちゃんじゃないよ。
――とても優しい声でした。きっとそれが、本当の貴女です。
若菜は先輩を放置して立ち去り、このネタをどこかへ売り込もうとする先輩は、そこへやってきた霧彦さんによりデリート。
霧彦さんが………………凄く仕事した!!
ダブルが絡まない所では、霧彦さんがしっかり仕事をこなしている所を描いてくれたのは良かった。
霧彦さんからの情報を元に事件の大体のあらましを把握した冴子さんがこっそり有能なのですが、あっさりと先輩を捨て置く若菜、霧彦さんに販売相手を洗わせている時の冴子の態度、その後のあれこれ、を見るに、こういった若菜の尻ぬぐいはこれまでにもやっているという事でしょうか。
若菜はてきとーな性格というよりも、記憶や人格に何か、空白が出来ているようにも見て取れる演出。フィリップは元よりですが、若菜の回想も、今後信用していいのかどうか非常に不安な感じになってきました。
鎖でビル街を飛び回っていたバイオレンス鉄球(スパイダーマン?)は、ダブルがトリガーのマキシマムによる分裂ショットであっさり撃破してメモリブレイク。
こうしてストーカー事件は解決したが、フィリップは若菜が「ガイアメモリ」と口にした事を気にしていた。
「彼女は、ガイアメモリの存在を知っていた……」
改めて電話をかけ、「ガイアメモリ」という言葉への若菜の反応を確認したフィリップは、顔を合わせるという約束をやんわりと延期し、若菜もそれを受け入れる。果たして若菜とフィリップの関係は、そして若菜の正体は。
若菜が取り落としたクレイドールのメモリを琉兵衛さんが拾ってにっこり笑うラストなど、若菜の特別扱いはそれ自体が謎を秘めているようで、若菜姫のヒロイン度が急上昇。
そういえば3−4話のフィリップの回想シーンで、子供がもう1人居た気がしますが、その辺りも繋がるのか。現時点ではピースが少なすぎる上に、幾らでもどうにでもなるという段階ですが、初めて大きく焦点が当たった回で、若菜が今作においてかなりの重要人物として浮上しました。


◆第15話「Fの残光/強盗ライダー」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
若菜のラジオでボクシングについて興味を持ったフィリップは、モスキート級を目指して減量していた。
「あーもう! 暴走特急しかいねえのかよ、この事務所は?!」
倒れたフィリップは恐竜型の小型メカを一瞬目にするが、減量地獄による幻覚だと振り払う。そこにやってくる、銀行員を名乗る依頼人
仮面ライダーを探して欲しいんです」
これは元手いらずで依頼料をいただくビッグチャンスですよ! とニヤニヤする翔太郎と亜樹子だったが……
仮面ライダーはこの街の敵、憎むべき犯罪者です!」
「「ええ?!」」
仮面の怪人が職場である銀行を襲撃したのを見たと語る依頼人の女だが、えーそれ、ニュースになってないのか(笑)
「俺たちの、偽物……?」
久々にモノローグで事件を追う翔太郎は、コウモリカメラで現金輸送車を襲う偽物を発見し、ダブルに変身。
「さあ、俺の名前を当ててみなぁ?」
決め台詞とポーズまでそこはかとなく真似る偽物の正体は、赤いボディに右手マシンガンのドクロ仮面。前回今回と少々アメコミテイストの強いデザインですが、バイクがハーレーだったりサブタイトルからして、意識的に『ゴーストライダー』がモチーフなのでしょうか。
偽物に逃げられてしまい、銀行員というのは嘘だとわかった依頼人接触した翔太郎と亜樹子は、女の正体が指名手配中のコンビ怪盗ツインローズの1人だと知る。予告状を送り、血を流さずに綺麗な盗みを行うという古風な怪盗のツインローズだったが、女はたまたま目撃した銀行強盗を行う怪人の正体が相棒の倉田だと気付き、それを止めようと嘘をついて仕事を依頼したのだった。
依頼人の不自然極まりない言動の秘密が判明しましたが、今作は何か、女性の二面性を描く事に深いこだわりがあるのでしょうか(笑)
二面性というか、女の外面を信じるな!という、熱いメッセージとパトスを感じます。
指名手配犯からの依頼を断ろうとする亜樹子だが、翔太郎は調査の続行を宣言。
「ただし俺の欲しい報酬は一つ。奴を捕らえたら、2人で自首すること」
「あんた……」
依頼人はみんな訳ありだ。そんなの気にしてたら、探偵なんて出来やしねぇ」
3話ぶりの見せ場だし、相手は若い女の子だし、翔太郎、帽子に手を当て気取ったポーズで格好つける。ひたすら格好つける。
きっとローズ女は、(どうしてこの男は、斜めに立っているのだろう……?)と思っている。
ローズ女から新たに得た情報で検索を試みるフィリップだが答を絞りきる事が出来ず、苛立つ翔太郎。
「いいか亜樹子、「仮面ライダー」って名前はな、この街の人達が、自然と俺たちに名付けてくれた名前なんだ。けっこう愛着湧いてんだよ。その名を、遊び半分で汚す奴は許さねぇ! 絶対にな!」
ここで、劇中定義付けを行った「仮面ライダー」という言霊を、改めて強調。
サブキャラがヒーローを名付ける、というのは古来の手法ですが、そこで正義の基盤となる大衆の支持と名付けを紐付けし、その名前(ひいては大衆の支持)をヒーロー自身が大事にしている、という構造は、作り手のこだわりが見える所。
今作における、“もう一度、仮面ライダーを組み立て直そう”という意識が強く感じられます。
逃走した偽ライダーが落とした何かの部品を亜樹子が「形がリンゴのお尻?」と閃き検索してみた所、それがロッカーキーの一部である事が判明し、まさかのリンゴがビンゴ。
「インスピレーションの女王様とお呼び!」
ローズ男が潜伏している可能性が高いビルが判明し、もう少し事件の背景を調査しようというフィリップを振り切って、焦る翔太郎――この事務所には暴走特急しか居ない――はビルへと突っ込んでいく。
仮面ライダーは2人で1人! 俺とおまえなんだぞ。俺たちの名誉挽回しないでどうする。対策なんざ、動いてから立てりゃいいんだ」
その頃、園咲家では霧彦と冴子が、何やらそれぞれに秘密で暗躍していた。
「そろそろね、ショーの時間」
亜樹子とローズ女をともなってビルの地下駐車場で待ち受ける翔太郎の前に現れる、ドクロ仮面。その正体はローズ女の推測通りにローズ男であり、既にその精神はガイアメモリに浸蝕され暴走していた。
「ひゃははっ、メモリ捨てるぐらいだったらな、人間を捨てるぜぇ!」
ドクロ仮面は、アームズドーパントと判明。左腕はマシンガンだけでなく剣にも変わり、白兵戦を自在にこなすかなり戦闘向きのドーパント。その放つロケット弾を、駆けつけたW車がガードし、ヒートトリガーの射撃からヒートジョーカーの連続攻撃を決めるダブルだったが、アームズは堪えた様子もなく立ち上がるという強さを見せる。
「倉田、遊んでないでそろそろ本気出しなさい」
クライアント(冴子)から電話を受けたアームズが合図を送ると、亜樹子とローズ女を捕まえてぞろぞろと現れる、覆面の戦闘員達。前々回、若菜に求婚して焼却されたマスカレードドーパントは出オチ要員の省コスト怪人かと思っていたら、ミュージアムの戦闘員扱いでした。
人質を取られ、変身解除すると見せかけてルナジョーカーで逆転を狙うダブルだったが、メモリを入れ替えようとした所をアームズの鳥もち弾で妨害されてしまう。銃撃を受けて変身の解けた翔太郎は叩き伏せられ、アームズは視線をW車へと向ける。偽物による仮面ライダーの挑発、わざと落とされたヒント、全てはフィリップを狙う組織の罠だったのだ。
変身が解除された事で目を覚まし、翔太郎の叱咤でW車から逃げ出したフィリップの前に現れたのは――園崎冴子。
「私についてくればいいのよ」
一気の直接遭遇となりましたが、お菓子ドーパント回で翔太郎のダブルへの変身が冴子と霧彦に目撃されており、同時期に屋敷に居た亜樹子が堂々と「鳴海探偵事務所」を名乗っていたのを関連づけて考える可能性は高いので、これは納得のいく展開。
「さあ、いらっしゃい、来人(らいと)」
そして前回の、フィリップと若菜は姉弟? という引きを受ける形で、急展開。果たしてフィリップは“来人”なのか? 冴子の思惑とは――ハーフボイルド探偵は、再び2人で1人になれるのか!
ところで、スリット入りタイトミニスカとか冴子さんの人妻セクシー光線が朝から激しすぎるのですが、よくよく考えると、古典的セクシー女幹部の、現代風アレンジという事なのか。それは霧彦さんも、色々心配です。
園咲家では、「地球に選ばれた家族」という発言や、「新しいガイアメモリの研究開発」など、伏線がちらほら。そしてフィリップを狙っていた冴子さんに対し、婿殿はいったい何を目論むのか。
今回から予告に、テロップであおりが入るように。
そ、そういうのは、出来ればこちらで入れたいんですが!!(笑)
あと、映像だけでも見せすぎの時があるのに、テロップで説明を加えてしまうのはさすがにどうなのだろう(^^;
基本的に、ナレーション含めて次回予告には次回予告の芸があると思うので、次回予告って好きなのですが、これはちょっときついかなー。予告飛ばそうかなー。あおりそのものが面白かったりあおりを利用した予告詐欺とかもあるかもしれないけど。