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『侍戦隊シンケンジャー』感想4

◆第七幕「舵木一本釣」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
かつての戦いでディスクから解き放たれて野生化していた舵木折神が発見されるが、タイミング悪く外道衆が出現し、殿は流ノ介に舵木折神のゲットを任せ、4人でアヤカシに挑む事に。流ノ介は文字力で作り出した竿に空の ポケモンボール 秘伝ディスクをはめると、巨大な舵木折神とのスーパーフィッシングに挑む!
見所は、アヤカシの毒でよろよろしている勢いで、流ノ介を叱咤激励する殿。
「流ノ介! 爺は大袈裟に言ってるんだ! 余計な事は気にしないで、おまえはカジキだけに集中しろ!」
「いいか、俺は適当におまえを選んで行かせたんじゃない。おまえなら出来ると思ったからだ」
殿、この一週間の間に、ビジネス書でも読んで人材マネジメントに目覚めたのか。
文字力を酷使しながら釣りに励む流ノ介と、強烈な毒霧を吐くアヤカシに苦戦するシンケンジャーが交互に描かれるのですが、釣りは、どうしても、盛り上がりきれず(^^;
ぼろぼろの体で変身もままならないまま、少しでも被害を食い止めようとアヤカシに挑む殿の方は格好良くなったのですが。
文字力と侍について知り、先代に仕えて死んだ侍の友人、を名乗る漁師と出会った流ノ介は、侍の使命など親に刷り込まれたもので、その為に戦っても虚しいだけではないか、と問われるが、丈瑠の言葉と戦いに、自分の意志を見つめ直す。
「あの殿なら、命を預けて一緒に戦える。そう決めたのは自分です! 親じゃない」
と、最も家臣としての忠義に純粋であり、家と使命に縛られている流ノ介が、“殿という存在”ではなく、丈瑠個人に対して忠義を抱くに至っている、という立ち位置確認エピソード。その言葉を聞いた漁師は懸命にカジキに挑み続ける流ノ介に手を貸し、流ノ介は遂に舵木折神をゲット。
生身でアヤカシと戦い続ける殿の元には、同じく猛毒に冒されながらも3人が駆けつけ、更に4人の窮地を救った青が、カジキアローで毒を浄化。揃い踏みから反撃に移り、赤と青の2人で、舵木五輪弾を放ってアヤカシの一の目を撃破する。
烈火大斬刀の大筒モードは、兜専用ではなく、舵木でも発動可能と判明。また、その気になれば一緒に撃てる事もわかりました(笑)
マネジメント! イッツ・マネジメント! 遅ればせながら、帝王学
巨大化したアヤカシの噴き出した霧で相手の姿を見失い苦戦するシンケンオーだったが、青がカジキ折神を操って霧を払い、反撃。殿なら相手の姿が見えなくても殺気で攻撃を見切ったりできそうですが、ここまで特に見せ場の無かった青に活躍の場を与えようという心遣いです。ザ・マネジメント!
そして侍武装で、カジキも被る。
巨大ロボは、『百獣戦隊ガオレンジャー』以降の組み替え路線のようですが、頭部へのこだわりが新機軸なのか(笑)
カブト同様、余ったボディ部分が背中にバックパックとして付くのは、無駄な余剰パーツを出さずにいい所。
カジキシンケンオーは刀を薙刀モードに変形させると、バックパックから魚雷発射。シンケンオーは、兜を付け替えると、飛び道具に走るなぁ(笑) 最後は、薙刀を頭に刺して、そのままお辞儀で敵を切り裂く「カジキ一刀両断!」で成敗。
多分、上級技で、更に深く相手を切り裂く「ドゲザ一刀両断!」があるに違いありません。
カジキのイメージをそのまま技に組み込んだのでしょうが、てっきり突き刺すと思ったら、頭から切り下ろしたのには意表を突かれました(^^;
カジキというチョイスが既に変化球気味でもありますが。
新たなシンケンジャーの戦いに、かつての志を取り戻した謎の漁師は、黒子の一員として志波家に復帰。彦馬がわざわざ顔を合わせて迎え入れているので、凄い黒子なのでしょうか。今後出てくるかはともかく(そういう点で、顔が見えなくても、あれがあの漁師かもしれない、という事に出来る黒子を巧く活用)。
7話にして、遅まきながら、青、単独見せ場。浮かないように、という判断だったのか、割と早めに、流ノ介「個人」としての忠義の姿を描いてきました。この辺り、主要メンバーの好感度を下げないように、という配慮が今作には強く窺えます。また、流ノ介の忠義に足る人物である事を強調する為に、合わせて殿も見せ場。初戦で珍しく殿が正面からアヤカシに負けたのですが、それを乗り越え、言葉よりも行動で見せるという、殿らしい見せ場になりました。結果、微妙に流ノ介の見せ場が食われ気味なのは、流ノ介だから仕方ない。
そしてそんなシンケンジャーを見つめる、新たな外道衆の影。OPにのみ登場していた幹部がいよいよ姿を現し、次回……結婚。


◆第八幕「花嫁神隠」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
教会で行われる結婚式――ウェディングドレスに身を包むのは、白石茉子。隣に立つ新郎は、志波丈瑠。
……なんか殿、目が死んでないか(笑)
その時、教会を襲うナナシ集団……が狙って連れ去ったのは別の教会、別の花嫁。頻発するナナシによる花嫁誘拐事件を止める為、偽装結婚式で囮を仕掛けたシンケンジャーだったが、空振りに終わってしまう。
志波家の力では、さすがに付近の結婚式を全て中止させる事は出来なかった模様。
ちなみに、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003)では、闇のフィクサー疑惑のあるカレー屋店長・介さんが、同様の囮作戦の為に、「結婚式を全て中止してもらって」いました(笑)
マスコミに情報管制をお願いしたり、最後まで謎の人物でした、介さん。
シンケンジャーの囮作戦は一応、それまでの7件の事件のパターンから次に狙われそうな式場を推測して行っていた事が判明。さらわれた花嫁の居場所を突き止める為、もう一度囮作戦を行おうとするが、翌日に予定されている近隣一帯での結婚式はまだまだ多い。そこで丈瑠は一計を案じ、花嫁誘拐事件の危険性を大袈裟に騒がせる事で(恐らく黒子の大量活用による)式場に結婚式を延期させ、結果、行われる結婚式は一つに絞られる。
上で『アバレンジャー』の例をあげましたが(『アバレン』の世界観としてはこれで問題なかった)、「志波家の力」はあくまで大袈裟にしすぎず、作戦に作戦を重ねるという形で、結婚式場を絞っていくというのは、段取りを踏んで今作としてのリアリティを描きました。それでも結構大がかりですが、一足飛びしてやってしまうよりは良かったと思います。あと多分、黒子の皆さんは《忍者》スキルを持っていそうなので、流言飛語による情報操作の類いは得意分野でないかと想像されます。
一方、さらわれた花嫁達は古寺に集められ、薄皮太夫によって繭の中に閉じ込められていた。
「気持ちのよい声……きっとわちきにふさわしい仕上がりになる」
太夫はさらった花嫁達の涙で紡ぎ出した絹糸で、打掛を作ろうとしていた。
ようやく幹部クラスが真面目に仕事する気になったのかと思ったら、個人的趣味でした!
「打掛とは未練じゃないか。昔を忘れられないって事だろう」
三途の川では、他のアヤカシとは毛色が違う事が匂わされる太夫について、シタリが伏線言及。打掛というと元々は武家の婦人の礼服ですが、これは太夫が、武家に関わる出身という事なのか。
あ、ドウコクさんは、今日も元気にお酒を飲んでいました!
翌日、シンケンジャーは結婚式ジャックを行い、花嫁になりかわった茉子は予定通りにさらわれる。だが太夫シンケンジャーがこそこそ動いている事に勘づいており(まあ急に、結婚式が一つになったわけで)、茉子だけでなく、本物の花嫁も同時にさらっていた。太夫は茉子の書道フォンを奪うと、花嫁達を人質にして茉子に嘘の情報を流させ、4人は突入した倉庫で大爆発。
窮地に陥る茉子だが、その時、古寺に大爆死した筈の殿達が飛び込んでくる。
「引っかかったのはそっちて事。私はただの囮。――もう1人潜入していたのよ」
「その通り」
花嫁を捕らえる繭を中から切り拓いたのは、白無垢姿の流ノ介。
歌舞伎で培った《女形》スキルを用い、流ノ介が“もう1人の花嫁”ともすり替わっていたという、二重三重の囮作戦だったのである。
女装だけど、前回よりもむしろ見せ場だ!(笑)
というか、戦隊的には女装=見せ場だ!
事前に殿の「打てる手は打っておく」という台詞があり、流ノ介の女装も設定と特技を活かして、無理なくはまりました。
流ノ介から太夫のアジトの情報を聞いた殿達は、偽情報の倉庫には文字力で作り出した影を向かわせて外道衆をたばかり、本命の古寺へと急行。花嫁達を助け出した5人は、一筆奏上。8話にして初の幹部との対決という事もあってか、外へ飛び出した太夫を取り囲む形で、次々とシンケンジャーが登場するという、変則パターンで格好いい名乗り。
ピンクが木の上に居たり、グリーンが座った体勢から立ち上がったりとそれぞれ変化をつけているのも良く、対する太夫が三味線を片手に中央でぐるりと回る、というのも格好いい。
初アクションの薄皮太夫は、幻術や特殊攻撃など変則の戦闘タイプかと思ったら、凄く、肉弾戦でした。真っ向勝負で青と桃と火花を散らし、三味線の仕込み刀で花嫁2人を撃破。応援に来た殿と一騎打ちとなり、ここのバトル音楽が、ちょっと西部劇チックで面白い。
緑と黄が雑兵ナナシを片付けて5人が揃い、連続の属性攻撃で崩した所にカブト五輪弾を放つが、謎の鬼面忍者がそれを阻む。
「おまえか、俺の裏正に見合う奴は」
前回ちらっと登場し、シタリ曰く“はぐれ者”のアヤカシは、オオナナシを放つと太夫を連れて撤退。……見た目忍者なのですが、バトルジャンキー系の患者さんでしょうか……?(笑)
多数のオオナナシに動きを封じられるカブトシンケンオーだが、キャストオフで囲みを破るとカジキ武装に切り替え、オジギ一刀両断でまとめて成敗。オオナナシは、一般怪人の出てこない特殊な回に、ロボット戦をねじ込むのに使える事が判明しました。
前回は、流ノ介が漁師の小屋を訪れて置き手紙を見つける→漁師は黒子に復帰、というオチでしたが、今回はいつもの帰り道エンド。
「結婚前に花嫁衣装を着ると、本当の結婚が遅れるって話、思い出した。二度も着ちゃったし、やばい……」
ノリノリの花嫁コスプレを今更悔やむ茉子、女形スキルをもっと磨こうと考える流ノ介、そして鬼面忍者の事を気にする殿は、いつの間にかケーキをおごらされる事になっていた……でオチ。そこは気前よくおごって家臣の心を掴むチャンスですよ殿! 1人2個まで!
OPに登場した忍者幹部が、いよいよ本格登場? CVの唐橋充さんというと、スネークオルフェノクか。
太夫の過去については、シタリの言及以上には触れられませんでしたが、
「これを着れば、昔のように……」
「これを着たわちきの姿に、アヤカシどもも皆ひれ伏すであろう」
という台詞があり、打掛をこのエピソードにおいて武家の婦人のシンボルと見るならば、太夫は零落した武家のお姫様、それを軽んじるアヤカシは元来は武家の者という推測も出来そうです。
三途の川が死者しか行く事が出来ず(今回の彦馬の台詞より)、ドウコク曰く「生きも死にも出来ずによ! ここに居るしかねえ、俺たち外道衆」という事なので、外道衆(アヤカシ)は成仏できない怨霊、それも武士に限られるという事なのか。「侍戦隊」だけに、その辺りが何らかの因縁を持って繋がりそうでもあり、心の隅に留めておきたい。
次回……縦ロール?