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『仮面ライダーW』感想16

◆第22話「還ってきたT/死なない男」◆ (監督:坂本浩一 脚本:長谷川圭一
「俺にメモリを渡せ。もう復讐は終わった。これ以上罪を重ねるな」
正体を見せた綾のメモリを回収しようとするアクセルだが、“組織”の存在を知った綾は、復讐の続行を宣言。
「私は復讐する。このメモリの力を使って」
「そうか……なら仕方ない!」
アクセル、またも生身の人間に切りかかる。
駄目だこの人ぉぉぉぉぉ!!
照井は報告書に平気で、「犯人を追い詰めましたが、自爆しました。ついでに10億円が燃えました」って書きそう。
慌ててダブルが止めに入り、その間に綾は逃亡。
綾に同情的な翔太郎は、綾の精神力ならガイアメモリを押さえ込めると考えるが、フィリップは照井の判断を支持。既に2人の人間を殺した綾を野に放ってはいけない、「僕たちには、彼女を止める責任がある」と諭された翔太郎(辛子色)は、綾を止める為の捜索へ向かう。
「私は全て無くしてしまった。だから生きる為の答が必要なの」
溝口が死んだ岬で綾と出会った翔太郎は自首するように説得を試みるが、組織を追い込む為にもう一晩待ってほしい、と言われて結局綾を見逃す事に。
一方、綾の行方を追っていた照井はWのメモリの持ち主から電話を受け、呼び出された工事現場で罠にはまり鉄骨の下敷きになってしまう。
冴子の会社に乗り込んだ綾は冴子を追い詰めるが、冴子を殺すのではなく、自分を阿久津の後釜に据える事を要求。……と、怪しげに変わってくる風向き。
最近、翔太郎の裏目ぶりが、某役立たずさんを彷彿とさせつつあるのは気のせいでしょうか。気のせいだと思いたい。まちょっと覚悟はしておけ。
冴子は綾を信用する条件として、同僚である刃野の始末を求め、自分に全く責任の無い所で、凄くどうでも良さそうに命を狙われる事になる刃野(笑)
翌朝、翔太郎と亜樹子は綾が風都署へやって来たのを見届けると、約束を守って自首しに来たのだと満足し、街へ。そこでクイーン&エリザベスと合流し、そのままカラオケに雪崩れ込む。事務所に飛び込んできたカブトムシの映像ファイルで照井を罠にはめたのが綾だと知ったフィリップは翔太郎に連絡を取るが、ノリノリでカラオケ中の翔太郎、電話に気付かず。超常課では昆布茶が切れて真倉を買い出しに向かわせ、自ら1人になる刃野。買い物へ向かった真倉はエレベーターがなかなか来ないので階段を使い、超常課へ向かう綾とすれ違う。
と、無駄に凝った展開で刃野に迫る命の危機(笑)
翔太郎と連絡がつかない為、やむなく自ら風都署へ向かったフィリップは、入り口で真倉と出会って超常課へ。そこでは綾が刃野を狙い、トリケラトプスドーパントへと変身(メモリは、「トライセラトプス」と発音)。刃野と真倉は吹き飛ばされてまとめて気絶し、フィリップはスライディング回避を見せると、翔太郎と連絡を取ってファングジョーカーに変身する。
「阿久津を始末した時に気付いたのよ。私が本当に復讐すべき相手は、こんな虫けらじゃない。風都という、街そのものだっていう事に」
「風都? 街に復讐するって……」
「溝口は、心からこの風都を愛し、守ろうとした。でもこの街は、彼を守ってはくれなかった。それどころか、彼の誇りをズタズタにし、蔑んだ。許せない。絶対に許せない。こんな街、無くなってしまえばいいのよ!」
綾の憎しみは、溝口を手に掛けた個人や、その背後に存在していた“組織”よりも、溝口を救えないどころか追い詰めた、雑多な人々の悪意――その集合体である“街”へと向けられていた。
人々(街)の善意と良心を信じて仮面ライダーをやっている翔太郎と、人々(街)の悪意を憎んでガイアメモリの力に呑み込まれた綾が対比され、そして同時に、“仮面ライダーの裁き”の正当性が問われる。
仮面ライダーに託された人々の思いは、本当に、翔太郎が美しく考える「罪を憎んで人を憎まず」なのか? そしてもし、人々が違う事を望んだなら、風都のヒーローである仮面ライダーはそれに応えるのか?
もっとも、溝口は最終的には街に追い詰められて自殺したのではなく、そう見せかけて氷室と阿久津に始末されたのですが、綾の中でその辺りが混濁しているのは、意図的なものと思われます。
その、憎しみの対象を見つける事こそが、「生きる為の答」であるが故に。
補足として別シーンの冴子の口から、ガイアメモリの毒素は負の感情に反応して人間を暴走させ、やがて心まで完全な化け物へと変貌させる、と説明。
完全に暴走して荒ぶるトリケラトプスは、ファングに猛攻を浴びせ、照井を罠にはめて始末した事を告白。復讐相手を装ったら、あれだけ用心深く、あれだけ死にそうにない男が簡単に引っかかった、と高笑いする、が――
「よくわかってるじゃないか。俺は死なない。まだやらなきゃならない事が……あるからな」
ボロボロの姿ながらも、照井竜、復活。
なんという、ヒーロー体質。
照井のモチーフはやはり、宮内洋っぽいなぁ(笑)
Wに対するV3というよりも、ズバットなども含めた宮内洋感。
「復讐に飲まれた悲しい女。俺が救ってやる。変――身!!」
まずいなぁ、翔太郎。何がまずいって、ハードボイルドは脇に置いておいて、ヒーロー体質で完全に負けています。翔太郎もそろそろ、“サブマシンガンの斉射を喰らって死んだと思われたが実は生きていた”、ぐらいの芸を見せるべき。
アクセルと戦うトリケラトプスは、風都タワーの破壊を宣言し、巨大化。肥大した憎悪に呑み込まれていく、とでもいった感じの巨大怪物への変貌は格好良かった。
「愛した男との、思い出までぶち壊すつもりか!」
アクセルはバイクに変形して後を追うが弾き飛ばされ、攻撃を受けそうになった所にアクセルメカが登場してガード。
「こいつが俺の、新しい力か」
シュラウドの姿を認めたアクセルは再びバイクに変形し、キャノン砲モードになったメカと合体。アクセル戦車へとトランスフォームし、すっかり、人間――振り切りました(笑)
「振り切るぜ!」
恐竜VS戦車、というトンデモ対決の末、最後は大型ビーム砲でメモリブレイク。
「おまえの心は、俺が背負って生きる……」
人の善意を信じる男――左翔太郎。
人の悪意を背負っていく男――照井竜。
何となく、劇中における仮面ライダーアクセルの立ち位置が、見えて来ました。
「こんな仕事をしていると、やりきれない事件にぶつかる事がある。人の悪意を見せつけられるような、そんな事件だ。でもこの仕事は多くの人の善意とも出会う。だから俺はこの仕事を続けようと思う。この風都の仲間達と――」
あ、真倉は生き延びました。むしろ、刃野さんが死にそうにというか、後半、違う意味で刃さんの方が目立った(笑)
次回、ぜーーーーーっと!