◆第24話「唇にLを/嘘つきはおまえだ」◆ (監督:田崎竜太 脚本:三条陸)
ライアーの攻撃によりダブルは「赤い仮面ライダーはドーパントだ」という暗示を受け、まさかのライダーバトル勃発。
亜樹子はスリッパでライアーに立ち向かおうとするが「私の正体は狸だ」に引っかかって信楽焼の狸にアタックを仕掛け、カオスな世界に。そのカオスの中で絶望に沈むジミーを嘲笑う性格の悪いライアードーパントは、ジミーの流した涙を紙にすくい取る。
「いーい色だ。青春の挫折の色だ。たまんないなぁ」
ひたすらエグい。
ジミーを絶望に落とし、すがりつくファン女を嘲笑うライアーの背景で、無駄に殴り合っている駄目なライダー2人。
ライアーは姿を消して暗示は解けるが、ジミーはどこかへ走り去ってしまい、とりあえず翔太郎達はファン女から詳しい事情を聞く事に。
「半人前でもいいじゃん」が額に入れて飾ってあるのですが、心に響いたのか(笑)
「私、間違った事、したのかな!?」
「ジミーはあんたの玩具じゃない。1人の人間だ」
その頃、井坂内科医院では井坂先生が冴子さんに迫っていた、
「君の体を見せてくれないか?」
「突然、何を……」
「そのつもりで、来たんだろう?」
井坂先生は唇をじゅるりと舐め…………タブードーパントにすりすり。
「ああ……君の肉体は、完璧だな。無限の可能性に満ちている」
「そう、でもなんだか、複雑な心境。女としての私には、興味が無いなんて」
「変身前の風体はどうでもいい! 私は、ドーパントの肉体専門のドクターだからね」
新しい、変態だった。
「冴子くん、君の力になりたい。また体を見せに来なさい」
いずれミュージアムの実権を握る、という冴子の野心を見透かす井坂先生……は、登場2話目にして強烈なインパクト(^^; またここではタブードーパントに頬ずりする井坂先生もさる事ながら、「え? 人間の私には興味ないの?」と言いながらもタブーの姿で恥じらう冴子さんとの対比が、井坂先生の変態性を際立たせています。
霧彦さんは、まあそろそろ、忘れてあげた方が幸せだろうか。
3週勝ち抜けのかかった『フーティックアイドル』の収録日、砂浜にギターを投棄するジミー。
「さよなら、僕の青春」
「それ、格好いいつもりか、ジミー」
前回の服装で白いギターを手にしていたら少々危なすぎた翔太郎は、砂浜で恥ずかしい追いかけっこの末に、ジミーを確保。
「どうして……僕が、ここにいると?」
「おまえ……形から入るタイプだろ? そういう奴はな、挫折したら細波海岸だ。俺も昔よくここに来た」
「探偵さん……」
ここで、夕陽をバックに恥ずかしい過去を告白する翔太郎……と思ったのですが、この後の時間経過を考えると、午前中の太陽か? 或いは、ジミー空間が時間すらねじ曲げるという、アニメ的な演出かもしれませんが(^^;
音楽を辞めるというジミーに、「一番の嘘つきはおまえだ」と、自分の弱さをファンの裏切りのせいにするな、と翔太郎は諭し、ジミーはファン女の嘘の中にも、真心があった事を思い出す。
「僕、どうすれば……」
「自分で決めろ。男の仕事の8割は決断、後はおまけみてぇなもんだ。俺の人生の師匠の教えだ」
一方、照井が記憶に留めていたジミーの涙をぬぐった和紙から、ライアードーパントの正体がようやく判明。それは、「半人前でもいいじゃん」の路上ポエム作家であった。
最初の活躍が終わったら落とされがちなポジションの照井ですが、暴走癖こそあるものの、ひたすら有能。有能な筈の人物を物語都合で落とすのは好きではないので良いのですが、お陰で翔太郎が、言いくるめ専門みたいになってきました(笑)
ガンバレ。
仮面ライダーに目を付けられた事で姿を消す“電波塔の道化師”路上ポエム詩人だが、ライアードーパントが「ハートがふるふる」というフレーズを使っていた事から『ヒーリングプリンセス』のリスナーに違いないと気付いたフィリップが、若菜姫に協力を依頼。番組内で「“電波塔の道化師”に会える事になった」と嘘のコメントを流して貰う。
井坂の事を考えて気もそぞろな冴子を見ていてニヤニヤしていた若菜姫は、フィリップからの電話への反応が、思った以上に恋する乙女(笑)
偽物出現に慌てたポエム詩人がライアーに変身して若菜姫を追うと、コンサートホールで若菜姫の前に現れた、間違ったN教番組的なアホ丸出しの格好をした偽“電波塔の道化師”が踊り出す。
「ポエムを書いてあげるよ。いまいち、街のみんなには、評判悪いんだけどね」
「こ、このやろぉ……」
「詩集も出てるんだ! 全っっ然、売れなかったけどね」
「いい加減にしろ! あんな本でもな、一生懸命書いたんだよぉ!」
思わず物陰から飛び出すライアーだったが、偽“電波塔の道化師”の正体は、翔太郎。若菜のマネージャーは照井と亜樹子の扮装で、そして若菜姫は……フィリップの女装だった。
視聴者に代わり、自ら、何故あの役割は私ではないのか、とツッコむ生物学的女性。
「あ、いや……俺は、亜樹子にやらせてくれ、て言ったんだけど……」
「俺が却下した。所長では無理だ」
一応、より危なくない役割を亜樹子に振った、と考えられなくもないのですが、照井の遠回しな気遣いなのか本気なのかは、謎(笑) そしてフィリップは割とノリノリ。3人はコスプレから変身し、バトルスタート。
「「さあ、おまえの罪を数えろ」」
サイクロンメタル+スパイダーで、風の鉄糸によりライアーの口を物理的に封じるダブルだったが、飛び道具を受けて吹き飛ばされ、高層ビルから真っ逆さまに落ちた所をバイクに変形したアクセルに拾われる。いずれやるだろうと思われていた、アクセルバイクに乗るダブル、ですが、早くも使ってきました。
アクセルとダブルは、共闘もコンビ攻撃もバイク合体も、出し惜しみもしなければ特に物語の山場に繋げるわけでもなく、ガンガン見せてくるというのは実に今作らしい所。先のネタを用意しているのかはさておき、各種フォームチェンジ同様の見せる路線なら見せる路線で、変に引っ張らないのがいい。またその上で、手抜きせずに格好良く見せてくれるのが、今作のいい形でのサービス精神を感じます。
溜めに溜めて物語と繋げて盛り上げてくれるのも勿論好きですが、『ダブル』はサービスを徹底しているので、これはこれでアリ。
ダブルを乗せたアクセルバイクはドーパントの攻撃をかわしながら高層ビルの壁面を疾走し、最後はサイクロンジョーカーが車輪加速型半分こキックでメモリブレイク。
一方、『フーティックアイドル』の収録会場にはジミーが遅れて登場し、客席に来ていたファン女を見つめ、覚悟を決めて歌い出す。
「愛を込めて、歌います。僕を信じてくれた、たった1人の為に」
その歌は審査員に酷評されるもハートを評価され、ジミーは楽屋裏でファン女と対面する。
「ジミーくん、今日、初めて気付いたわ。これって……ラブソングだったのね」
「遅いよ。……ファンのくせに」
2人は何となくいい雰囲気になってしまい、メタ引っかけであった「Love」を、しっかりエピソードの最後に絡めてきたのは、巧い所。
ところで、ファン女が最後に眼鏡を外すのは、野暮ったい30女だと思ったら眼鏡外したら美人で全日本の眼鏡ファン大激怒! みたいな感じでいいのか(笑)
こうして事件は解決し、ジミーはファン女の務める工場で一緒に働き出し、クイーン&エリザベスは番組関係者の口利きでCDデビュー。そして亜樹子は、心の叫びを書につづっていた。
女の子だもん
照井、次に仕事を持ち込んできたら、5割増し決定。