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愛国者の仮面――『Gのレコンギスタ』感想・第7話

◆第7話「マスク部隊の強襲」◆ (脚本:富野由悠季 絵コンテ:斧谷稔 演出:久藤瞬)
理由はわかりませんが、OPの文字フォントとクレジットの内容が変更。加えて、クラウンがナットを通過するシーンの絵が、カットシーに拾われるラライヤ、に交換。クレジットの方は凄く慌てて作り直した感があるのですが、何かあったのか(^^;
今回もアバンタイトルのおさらい有り。
本編冒頭、アーミィ側の戦艦が新たに登場し、飛び回る海鳥、歩いている人間、積載されたMS、といつものように丁寧なスケール対比から。
戦艦に乗り込んでいるのは、クンタラ仮面ことマスク大尉率いる、エルフ・ブルック部隊。甲板にまだ若い感じの部下を集めたマスクは、円陣を組んでおもむろに口を開く。
「私の真実を伝えよう。実は……
「私には、可愛い彼女が居る!」
「「「なんだってーーー?!」」」
……ではなくて、

「私はクンタラ出身だ。選ばれた諸君達も、全員クンタラ出身とわかった。クンタラとはなんだ?」
「今世紀以前、人に食われるような劣った人、という意味だったと、聞きます」

1話からそれとなく、被差別階級として描写されていた「クンタラ」ですが、その差別の由来は前世紀に遡る事が判明。
伝聞の形を取って遠回しに表現されていますが、ストレートに捉えると、人類絶滅の危機の時代に食糧難があり、いざという時の食料として選別された人々、という所でしょうか。
これが例えば最初から階級や人種で選んだのか、当時は抽選などによって無作為に選ばれたのだけど、歴史の中で歪んで伝えられて劣等種だったから……という扱いを受ける事に至ったのかまではわかりませんが(まあ、考えていてもそこまではさすがに描けない気もする)、かなり凶悪な設定が出てきました。
ただ、こういった要素が描かれてくる事で、ベルリの台詞だけではなく、実際に人類が崖っぷちまで追い詰められた後の世界なのだな、という世界観に厚みが出ます。
戦功をあげてクンタラの地位を向上させ、いずれはアーミィを手中に収めるのだ、と意気上がるマスク部隊。
地位向上を餌に被差別階級を最前線に立たせる……とか、ひたすら真っ黒になっていくキャピタル・アーミィ。まあこれは、アーミィに限らず、元よりキャピタルの暗黒面だった可能性もありますが。
ところでマスク先輩の正体があの人だとすると、階級がいきなり大尉なのは少々不自然ですが、アーミィの階級の与え方も大雑把ぽいけど、これは“クンタラの星”らしさを出す、如何にもな広告塔という事か。
補助装備というマスクも、部隊の他のメンバーはしていませんし(サブタイトルから、戦場では全員マスク装備の部隊だったら面白いのにと思ったのだけど、さすがにそんな事は無かった)、PR用のキャラ付けという要素もあるのかもしれない。
そう考えるとその内、チアガールと並んで戦時国債のCMに登場したりしそう。
愛国戦士、キャプテン・クンタラ! 君もキャプテンと一緒に、宇宙海賊をぶん殴ろう!
一方、デレンセン教官を手にかけてしまったベルリは、表向きはそのショックを抑え、海賊部隊への協力を続けていた。内面がどうなっているのかはともかく、生きているから動き続けないといけない、というのは方向性として徹底する模様。
メガファウナは宇宙からの目を誤魔化す為、巨大なダミーバルーンを展開し、次の作戦に備える。
その頃、ベルリ母は第1ナットへ。
前回に続いてナット内部の情景が描かれ、忍び寄る戦争との対比か、ナットの内部はどこまでも牧歌的にして、色彩豊か。だがそんな光景の中にMSという異物が紛れ込み、ベルリ母は一番大きなホールがアーミーに接収されている事を知る。
私室に入ったベルリ母は、どう見ても精神の平衡に問題の生じている人の笑みを浮かべると、ジュガン司令(今ひとつ立場のよくわからなかったジュガンですが、現状アーミィのトップという事で良い模様)の元へ向かい、そこでアーミィが超望遠でキャッチしたメガファウナの輪郭(恐らくダミーバルーンのもの)を目にする。ベルリ母の行動へ繋げる逆算からでしょうが、空気の歪みの問題で、張りぼてのダミーでもそれなりに役に立つ、という描写。
(あそこにベルが居る……)
ベルリ母の様子に不審を抱いたジュガンはベッカーに尾行を命じ、1話からなのですが、人間もMSも、リアリティ付加の要素として、ハンドサインを多用しているのは、ちょっと面白い所。
その頃、地上ではマスク部隊が戦艦から出撃。
「前進部隊の足場に軍艦とは、ジュガン司令も、はしっこいものだ」
ジュガンの台詞によると軍艦はクンパ大佐が調達してきたもの……との事で、G−セルフのバックパックを入手してきたり、色々便利な四次元ポケット状態のクンパ大佐及び調査部ですが、大佐がどこか別の国(例えばゴンドワン)と繋がっている、という可能性もありそう。
海賊部隊は総監直属の新たな補給部隊と接触し、アメリア軍の明らかにザクっぽいMSが登場。カットシーがジムっぽいのに対し、アメリア側はグリモアで個性を出した後、ドムっぽい、ザクっぽいと来ましたが、その内グフっぽいのも出てくるのか。
まあ、世界観としては過去のMSの資料はある筈なので、アメリア軍の開発会社のデザイナーが、「俺は今の技術で、ジ○ン製MSを甦らせたいんだ!」という人であっても、物語上、別におかしくはありません(笑)
ところでMSによる空中擦れ違いハイタッチはなんだか関節部に悪そうで後でハッパさんに怒られそうですが、2話でグリモア百烈拳があったように、関節部の柔軟性の高さのちょっとした表現だったりもするのか。
海賊部隊が更なる陽動作戦を行う事になる中、天才(笑)は、ラライヤにG−セルフを操縦させようとしていた
「チュチュミィも私も見たがっているんだよ。これをラライヤが操縦するのを」
中尉、甘い言葉を囁いてみる(笑)
ただしどう見ても、ラライヤはチュチュミィの方に反応……。
脳天気でマイペースな天才(失笑)の真意はわかりませんが、なんか悔しいじゃないか、というのと、自分に懐いているラライヤを手駒にして、取れるアドバンテージは取っておきたいという所か。
それはそれとして、どうしてわざわざ、武器を持たせるのか(笑)
海賊部隊は、ビームライフルの扱いが軽すぎると思います!
それで溶けちゃう人も居るんですよ?!
……まあ、海賊部隊というより、クリムが少しネジが飛んでいる、というニュアンスがあるのかもしれない。
一方、ネジの具合が心配されるベルリ母は、ナットに保管されていた骨董品の大気圏グライダーに乗り込むと、整備中の事故という猿芝居を装って発進させる。
透明キャノピーに頭をぶつけたり(空間把握が出来ていない)、「落ちているの!? 飛んでいるの!?」と混乱したり、宇宙空間に慣れていない描写が秀逸。
宇宙服が船内に無くて慌てるというのは、以前に確認した時には在った筈……とも取れますが、どちらかといえば発作的で無計画な行動であったというのを強調する意図かと思われます。そのくせ偽装の小芝居をする、というのも理知的というよりは支離滅裂で、配線の危険具合が示されている感じ。
この後、地球へ降下していくグライダーの中で、唐突に
「あぁ! ベルが好きなバナナとシナモンのビスケットを持ってくるのを忘れた!」
と叫びますが、緊張状態が続くと、突拍子もなく日常に関係する事を言い出すというのは、完全に、配線切れた人の描写ですし。
地上でマスク部隊がブースターを切り離した所でアイキャッチが入り、キャプテン・クンタラ、初のアイキャッチダンス。
敵襲が迫る中、マイペースな天才(苦笑)は、ラライヤのG−セルフがシールドを持つ動きにご満悦。先行していたグリモアが島の向こうに出ると、足からビームサーベルを伸ばしたエルフ・ブルック部隊が
∧ ∧ ∧ ∧ ∧
と並んでいる、というのは面白い絵でした。
迎撃の為、すっかり成り行きで、アメリア軍の制式MSに乗り込んでしまうベルリ。ずぶずぶです。
「使わせていいんですか?!」とか「こっから先は駄目」と途中でノレドを止めたり、アダム・スミスさんが貴重な常識人。
ザクっぽいのに乗り込んだベルリは、飛行メカのパイロットから、G−セルフにラライヤが乗り込んでいる事を聞く。
「クリム中尉の、ラライヤちゃん、て猫なで声を聞いているんだよ」
主に視聴者から愛されキャラの中尉ですが、下っ端からは捕虜の女にかまけていると思われても仕方ないよね、という描写が入ったのは面白かったところ。今作、序盤はメインキャラ以外はコックピットの中身がほぼ描かれず、無機質な感じも強かったのですが、少しずつモブに近いキャラクターにも顔が入るようになってきました。ここは特に、下っ端兵士の顔がある事で、感情の生っぽさが出たのが良かったところ。
まあそうやって互いに顔が出れば出るほど、死も生々しくなっていくのですが。
と考えると、この描写の変化は作画の都合よりももっと意図的な、ベルリが戦争の中に取り込まれていっている事を示す意味があるのかもしれません。
ラライヤのG−セルフとモンテーロは戦闘空域に入ってしまい、戦いの光に反応したラライヤがジャンプさせたG−セルフは攻撃を受けて海に落下。天才(爆笑)のモンテーロはマスクの攻撃を受けて今日も順調に武器を破壊される。
なんだか、中尉の日課のようになってきました。
海に沈みそうになるG−セルフだが、ベルリのザクっぽいのに拾われ、ここでパイロット交代。
飛んでいる鳥が一瞬スローモーションになって、「お目々は赤いんだ……」と呟くのは、ラライヤの並外れた動体視力の表現か。動体視力は、宇宙での必殺武器だ!(涙)
エルフ・ブルックはマスク機(頭赤色)と一般機(頭黄色)に分かれており、黄色ヘッドの方はマスク無しでも問題なく動かせるという差異が在るのか無いのか。さすがに黄色頭は華麗に撃墜する天才(笑)だったが、マスクの攻撃を受けて危うくなった所で、G−アルケインの救援を受ける。
「キャピタルアーミーが、 変態 編隊を持っているなんて」
プラモの発売が近づき、ようやく少し活躍するアルケインはちらっと飛行モードも見せるが、エルフ・ブルック隊の連携に追い込まれ、これをベルリが乗ったG−セルフが救出。
今回、空中で変形を繰り返しながら戦うエルフ・ブルックが作画的に大変だったのか、戦闘の出来は今ひとつ。状況が、出てくる→ピンチになる→助けに来る、の繰り返しになった上に、戦闘中の構図もあまり面白くなりませんでした。
謎バリアを発動したりしつつG−セルフも追い込まれた所で、ずがーんと、巨大なMAが援軍で登場。強力な砲撃を受けてマスク部隊は撤退し、ベルリ達は九死に一生を得る。戦闘はあまり面白く感じませんでしたが、最後に出てきたMAはインパクト大。そしてベルリの元には宇宙から、大きな荷物が近づいていた。
「あの島のどこかにベルが居る筈――」
お母さん、戦闘状況と全く関係なく、ベルリの知らない所で燃え尽きたりしたらどうしよう……とか考えていたのですが、そこまで惨い事にはならず。とはいえ、職場に居場所を失った親が子供に寄っかかりにやってくる、という構図は、ある意味で遙かにえぐいですが。しかも今のベルリに背負える荷物とは思えず、一体どうなる事やら。
薄い可能性としては、母さん存外まともで、自分の政治的亡命というカードでベルリの身の安全を保証させる、といった筋書きも考えられなくはないですが、発作的と思われる行動、配線の危うい描写が重ねられている事、などを考えると可能性は低そう。
また、今はおかしいけど、落ち着いた居場所を得る事でまともに戻っていく……という展開も考えられますが、過去の富野作品が、仕事にかまけて子供をかまわない親、を強く否定的に描いてきた事を考えると、仕事を奪われた途端に自分の居場所を失い子供にもたれにやってくる親、というのがいい目を見るとはとても思えない……(^^;
……後一応、お母さん、実は凄腕の元傭兵で、単身海賊船に乗り込んでベルリを救出した後でキャピタルに帰還するつもり、な可能性も完全に否定は出来ないので心の隅に留めておこうと思います。
与太はさておき、予告を見る限り次回かなり押しの強そうなアイーダ父が登場し、それに合わせてコミカルな言い方になっていますが、「母さん、助けてよ」というのは、予告ナレーションというメタな部分ではあるものの、ノレドには強がってみせないといけないベルリの本音の吐露にも聞こえ、この擦れ違いはかなり重そう。
で、次回、父と母と……なぜマスク?(笑)
「私はおまえの……兄だ!」
「げげーっ?!」