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『鳥人戦隊ジェットマン』感想1

前回の配信時もクライマックスの辺りだけ見たりしたのですが、改めて見たら第1話が非常に面白かったので、細かい所は忘れているしこの機会に再見して感想を書く事に決定。先を知っているというのもありますが、良く出来た第1話。というわけで、未見の人は、みんなで見よう『ジェットマン』!
〔東映公式Youtube〕
◆第1話「戦士を探せ」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:井上敏樹
199X年――地球は、衛星軌道上にある地球防衛軍スカイフォースのアースシップに24時間見守られる事により、様々な災害や犯罪から守られていた。
スカイフォースの隊員であり、名コンビにして恋人である天童竜と藍リエの活躍見せから、作戦終了後、いきなりほっぺにちゅー、というなかなか大胆な恋人演出。
そんなバカップルを、 ハイミス 妙齢の婦人である小田切長官が見ていた。
「僻地任務に飛ばしてやりたい」
「Jプロジェクト要員として、推薦したい」
Jプロジェクト――それは、スカイフォースが開発したバードニックウェーブの力により、人間を超人(鳥人)へと変え、地球を守る更なる力として特殊チームを編成するという計画。
「人間を超えるって、何か妙なものになっちゃうんですか?」
「一切の心配は無用。我々はただ、君たちの勇気に期待する」
詳しく説明する気は無い。
服従か退職か、選べるのはどちらかだ。
なおこの後、バードニックウェーブを浴びた竜が激しく藻掻き苦しむのですが、地球を守る為だから、シカタナイ。
だがそのJプロジェクト開始の日、地球に侵略者バイラムの魔手が迫る。
「跪け。我らは、あらゆるものの始まりと終わりを支配するもの。すなわち、神!」
空に偉い人の演説が映るというよくあるアレですが、コーヒーカップの中や洗面所の鏡にも映る他、田舎の家のふすまにも映るけど、縁側の老人はガン無視、というちょっとしたお遊びあり。
「お前達の俗悪なる文明を破壊し、我がバイラムは、新しい理想郷を築くだろう」
裏次元を支配し、第三次元に辿り着いたバイラムは、手始めにアースシップを破壊。混乱の中でリエは宇宙空間へ吸い出されてしまい、セットされていた残りのバードニックウェーブは地球へと照射される。錯乱する竜をボディブローでノックダウンした小田切長官は、竜と共に何とか基地を脱出し、密かに地球上に建設されていたジェットマンの秘密基地・スカイキャンプへと逃げ込む。
「気が付いた? ジェットマンの為に、密かに用意された、秘密基地よ」
目の前で恋人を助けられずに失ったばかりの男に、にこやかに秘密基地の説明を始める長官が、切れ味抜群。
「リエ…………リエを、リエを探しにいかなければ! 行かせて下さいっ、リエを探しに行かせてくださぁい!」
詰め寄る竜に、長官は平手打ち一閃。
「まだ目が覚めていないようね。彼女は、死んだのよ! バイラムに、殺されたの!」
「りえぇぇぇ!!」
「泣きなさい……二度と、泣かない為に」
バードニックウェーブを浴びた以上、もはや貴様は、笑ったり泣いたりする事は許されない、的な。
竜と長官はバイラムと戦う為、バードニックウェーブを浴びた事で鳥人と化した者達を探し、良家のお嬢様・鹿鳴館香と、農家の青年・大石雷太を見つけ出す。日常からの脱出に憧れる香は二つ返事でジェットマンを引き受けるが、農業にこだわり争いを嫌う雷太はそれを拒否。ひとまず香に雷太の説得を任せ、残り2人のメンバーを探す事にする竜だが、バイラムの雑魚兵が雷太の畑に出現し、助けに戻る事に。
飛行メカを見せ、竜が単独で初の変身。紆余曲折あって香と雷太も変身するものの、戦闘経験が無い為、全く役立たず。
竜の変身したレッドホークはなんとかバイラムの次元虫を退けるが、未だメンバーの揃わないジェットマンの前途は、辛く厳しい予感に包まれるのであった……。
本編16分程度という厳しい時間的制約の中、初回で5人揃えるのを諦める事で、ある程度の余裕を持って展開。旧来のシリーズでは、変身した途端にスーツの力で戦えてしまったりする所を、戦士として訓練を受けていない白と黄は変身しても全く戦えない、というのも面白く、マンネリ打破の為のパターン破りを目指す中で、幾つか大胆なアプローチを行っています。
適性により候補を選抜(ないし拉致)するのではなく、諸事情で戦士になる事を宿命づけられたメンバーを集める事から始めるというのは『デンジマン』『バイオマン』の系譜ですが、その上で、混成メンバーを引っ張るリーダーである赤(だけは選抜軍人)に、正義感を超える復讐心を与えているというのが、今見ても今作の面白いところ。
海のものとも山のものともつかないメンバーを集めて、強大な侵略者に5人(+1)で立ち向かうという狂気の闘争の原動力として、「復讐」という動機付けが非常に効いています。
そしてその復讐の炎を煽りまくる小田切長官が、超怖い。
第1話にして主人公(赤)が、ばっちり狂わされているという、物凄い構造(※小田切長官に、ではなく、劇作として)。
最後はバイラムの幹部が顔見せ登場し、マリアのアップで終わる、というのも面白い引き。
改めて、良く出来ています。
なお先に書いておくと、戦隊シリーズの長官系ポジションの中でも、小田切長官はトップクラスに好きな1人なので、小田切長官に関する言及は大体、愛だと思って下さい。