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『仮面ライダーW』感想35

◆劇場版「AtoZ/運命のガイアメモリ」◆ (監督:坂本浩一 脚本:三条陸
個人的に衝撃の事実:フィリップは魔少年だったのか!!
そしてナレーションではっきり「ハードボイルドに憧れる心優しき半人前」扱いを受ける翔太郎。
加頭の命令により財団Xに第二世代ガイアメモリを運んでいたヘリコプターが襲われ、襲撃者はエターナルのメモリを入手。ドライバを手にした男はエターナルを突き刺して変身すると残りのガイアメモリも奪おうとするが、財団Xの男が咄嗟に押したスイッチによりアタッシュケースが吹き飛び、25本のガイアメモリが風都上空から街中にばらまかれる事に……。
空輸中のヘリを空中で襲撃する、というシーン自体は面白いのですが、ヘリコプターと輸送機が完全にCG処理で、本編第1話のような遠めからの攻撃ならともかく、近づいてのアクションでは実物感不足はどうにも否めず、劇場版と銘打っても予算が潤沢にあるわけではないんだーーー、という心の叫びがいきなりどこからか聞こえてきます。映画の掴みとしては迫力不足で、実機使って空中スタント出来ないなら車で良かったのではと思ったのですが、それだとガイアメモリをばらまけないのか。
正直いきなりこう、脚本上のイメージに諸事情で映像がついていけなかった感じ。物語上の要請が無茶しすぎたというか。
……この辺り、あくまでTVシリーズのスペシャル版として見た方が妥当なのかもしれませんが、一応、この感想では「映画」として、見させていただきます。
ヘリから着地したエターナルの元に集まる4人の部下。
「さあ、宝探しだ。この街を、地獄にする為の」
4人はガイアメモリを手に入れる為に街へと散らばり、今、風都を未曾有の危機が襲う――!
風にマントをたなびかせるエターナル……の所で主題歌のイントロがかかり、TV本編のOPとイメージを繋げたのは素敵。
(その日はあいにくの雨だった。後々の事を思うと、これは街とフィリップが流した涙だったのかもしれない)
突然の雨漏りに困りつつもモノローグを忘れない翔太郎。亜樹子は照井に風都タワー花火大会に誘われてうきうきしていた。公園で読書中だったフィリップは、突然暴れ回るバイオレンスとアイスエイジ、かつて倒した筈の2体のドーパントと遭遇。逃げ遅れた親子を守るフィリップは、颯爽と現れた黒衣の女に助けられる。
「シュラウド?」
何故か、杉本彩に母の面影を見るフィリップ。
記憶操作の影響で「母親」というものの漠然としたイメージすらないのはわかるけど、フィリップのシュラウドに対するイメージはさっぱりわかりません(笑)
まあ、幻の母を求めるキャラクターの場合、「母さん……優しくて暖かい……」みたいになりがちな所を、ドーパントに向けてがんがん銃をぶっ放すお母さんだったらいいなぁ……、というのはとても斬新ですが。
駆けつけた翔太郎がバイクからの飛び蹴りをドーパントに浴びせ、ダブル変身。
今回、劇場版でテンション上がっているのか、全体的に翔太郎がやたら強くて何かのフラグではないかと心配になります(笑)
その頃、街では突如現れたドーパントが他にも暴れ回っていた。警察のバリケードをものともしないナスカとウェザーの前に、立ちはだかる照井。
「青いナスカとウェザー! 地獄から迷い出たかっ――――変…身!」
ダブル、バトル曲を、アクセルのテーマに上書きされる(笑)
アクセルはエンジン剣二等辺三角形斬りと、エンジン変形バイクで轢き殺すぜ、でナスカとウェザーを撃破。
「絶望がお前達の――ゴールだ」
後には霧彦とも井坂とも全く違う2人の男と、ブレイクされない、ミュージアムのものとは形状の違うガイアメモリが残されるのであった……。
一方ダブルは、ルナジョーカーのマキシマムドライブ、分身のびーるパンチ・からの・ハードボイルド半分こチョップ、によりバイオレンスとアイスエイジを撃破。その正体はなんと、ウォッチャマンとサンタちゃんであった。
アクセルのバイク変形とルナジョーカーのマキシマムドライブはTV版未使用の必殺技という事かと思いますが、ルナジョーカーのは、格好良かった。
ダブルが変身を解除し、意識を取り戻したフィリップは傍らに落ちていた小さなオルゴールを拾う。そこへやってくる、黒衣の女。
「さっきは立派だったわ、坊や」
「ぼ、ぼ、坊やはやめてください。僕は、子供じゃない」
女の正体は、国際特務調査機関員・マリア。国際指名手配を受けている凶悪な傭兵部隊を追って、この風都にやってきたのだった。そのリーダーこそが、冒頭でエターナルのメモリを手に入れた、大道克己(だいどう・かつみ)。そして風都にばらまかれてしまったのが、スロット処置無しで適性者の体内に自動的に入り込み、ブレイクする事の出来ない、最新型のT2ガイアメモリであった。
この映画の短所の一つが、この傭兵部隊5人の見せ方。多分、てかてかした黒ジャケットという衣装が一番悪いのですが、どう頑張っても、世界中で暴れ回っている凄腕の傭兵集団には見えません(^^; いっそもっとマンガチックに振り切っても良かったと思うのですが、びみょーに傭兵っぽさを出したいという色気も見せた結果、凄く中途半端な感じに。
こういう所でのリアリティ付加は尺の短い作品では難しいのですが、もう少し、設定から工夫の欲しかった所。
(彼女が……シュラウド本人だとすれば……マリアさんが、僕の、母親……)
「彼女がどうかしたか、フィリップ?  ていうかおまえも、熟女趣味あったの?! それならそうと早く言ってくれれば、俺の秘蔵の(以下、不正な処理により削除)
「いくら相棒でも、立ち入ってほしくない事だって、あるさ」
ぼんやりするフィリップを気にする翔太郎だが、フィリップは頑なになる。とにもかくにも翔太郎達は、マリアに協力して街にばらまかれたT2ガイアメモリを探す事となり、サポートアニマル、ちょろっと出番。そんな中、拾ったオルゴールがマリアのものではないかと気付いたフィリップは、オルゴールを届けに行ったところ紅茶をご馳走になり、セクシー衣装のマリアと至近距離でどっきどき。
フィリップはマリアに母親を重ねているわけでありますが、映像だけ見ると
熟女に籠絡されるフィリップ
にしか見えなくて困ります(笑)
一方、すっかり存在を忘れていたクイーン&エリザベスが高校生ルートで集めたガイアメモリを回収する翔太郎だが、そこに傭兵部隊の女が登場し、ヒートメモリによりドーパントに変身する。
普段、ダブルのフォームチェンジに使っているメモリでドーパントになる、というのは劇場版の敵怪人を設定するにあたって苦肉の策だったのかもしれませんが、面白いギミック。
バイクで走り去るヒートを追うダブルにルナドーパントの放つ分身マスカレード軍団が迫り、チェイスシーンとバイクアクション。ジャンプしたバイクに掴まりながら、前の敵をバイクで轢きつつ後ろの敵にキック、というアクションは格好良かった。
ただアクション全体としては気になる所があって、折角の劇場版だから、というのはわかるのですが、ワイヤーでぐるぐる飛ばしてみたり、普段のTV版で全くやらない事をやっている為に、TV版との戦闘の連動性が薄く、『ダブル』の戦闘らしさがかなり減じてしまいました。この辺り難しい所ではあり、劇場版仕様は劇場版仕様で楽しむべきなのでしょうが、全体的な派手さが、TV版の味付けである“軽妙さ”と相性が悪かった事もあり、見ていて違和感が先行してしまいました(^^; 作り手もそれは感じたのか、小刻みに翔太郎の台詞でかるーくしようとしてはいるのですが。
マスカレード軍団を蹴散らしたダブルは、これもTV未使用か、ヒートに向けてサイクロントリガーのマキシマムブレイク・トリガーエアスマッシャーを放つが、そこに傭兵部隊の棒術使いが乱入し、メタルドーパントへと変身。更に分身を放ったルナドーパント(金色のタコ型宇宙人っぽいくねくねした生き物)が合流する。
「ダブルと同じメモリばかりが、あたし達のもとに集まるなんて」
「まさか……こいつはルナ?」
やはりフィリップも、手元にあるから使ってはいたけど、ルナって何やねんと思っていたようです(笑)
なお、ルナドーパントに変身するオカマ役は、元格闘家の須藤元気。妙にアフレコバッチリなので調べたら、俳優としては現役格闘家時代の2002年に映画出演の経験あり。その後の出演作品数自体はTV・映画合わせて片手で数えられる程度であるものの、変なオカマを見事に演じ、良いお仕事でした。オカマキャラの有利さはあるものの、ゲスト敵5人の中では抜けて良かったです。
3対1でピンチになったダブルだが、冒頭の戦いでバイオレンスの攻撃から親子を守った緑の戦士・サイクロンに助けられ、一時撤退。ドーパントに変身する前から人間離れした力を見せる傭兵部隊についてフィリップが検索し、その正体が死者の兵士、不死身の戦士・NEVERと判明する。
それはかつて、財団Xの投資対象を園咲琉兵衛のガイアメモリと争った研究であった。プレゼンに負けたNEVERだが独自の活動を続け、今、何の因果か風都にその牙を向けたのだった。それぞれの引き合う運命のガイアメモリを手にしたNEVERの5人は、風都タワーを占拠。街に危険な炎が広がっていく中、本部から増員が来るから合流したいというマリアからの連絡で集めたガイアメモリを持っていった翔太郎達だが、そこにはNEVERのリーダー、大道克己が待ち受けていた。
「よぉ、兄弟? おまえの事だよ、フィリップ。運命的に誕生した科学の怪物。俺たちは同じ、化け物だ」
克己はシングルドライバーを取り出すとエターナルメモリを装着し、仮面ライダーへと変身する。
「変身――仮面ライダー・エターナル」
「ふざけんなよ。仮面ライダーはこの街の人達の希望なんだ。戦争屋なんかが名乗っていい名前じゃねえ」
「俺は新しい街の希望だ。間違ってはいない」
マリアにいいとこ見せたいフィリップ、自ら希望してファングジョーカーに変身。
真っ白なボディに黒マントが特徴的なエターナルは、手持ち武器が小ぶりのナイフというのは面白い。アクセルの前にはトリガードーパントが立ちはだかり、ダブルはエクストリーム化するが、エターナルはエクストリームすら圧倒。
「終わりだ。過去の仮面ライダー
そしてエターナルのマキシマムドライブの発動により、旧型のガイアメモリが風都全域で機能を停止。翔太郎達は変身できなくなってしまう。更に、マリアがサイクロンドーパントにしてNEVERの開発者であったという正体を明かし、奪われてしまうT2ガイアメモリ。
ライダーを無力化し25本のメモリを手にしたNEVERは、巨大光線兵器エクスビッカーを風都タワーに設置すると、残り最後の1つとなったメモリを見つけて持ってきた者に賞金として10億を出そうと宣言。不安と混乱に包まれていく群衆の中に、TVシリーズのゲストキャラが大量に登場。
「最後の一個……それが逆転の鍵になるかもしれんな」
失意の4人は、ファングメモリでその放送を聞いていた……って、小型TVだったのか、ファング(笑)
あくまでマリアをシュラウドと信じるフィリップだったが、その場合、母親は琉兵衛への復讐の為に財団Xと裏で繋がって様々な人間の運命を狂わせる事をいとわない復讐計画を練り上げた挙げ句に同時進行で不死身の兵士による傭兵部隊を作って世界中で暴れさせていた、という事になるのですが……それでいいのかフィリップ!
まあ今回のフィリップはアップデートに失敗したのかずっとエラー起こしっぱなしで、それが物語の軸ではあるのですが。
「女に甘いハーフボイルドは、いつもの俺の役だ。おまえらしくないぞ」
「相棒でも、立ち入ってほしくない事があるって言ったよね、翔太郎……」
フィリップは翔太郎に、全力で振りかぶったパンチを炸裂させる。
「僕らしいってなんだ! 自分自身、自分が何かわからないのに……君に何がわかる!」
自分自身を知る為に本当の親を求めるフィリップはマリアにその希望を抱いて走り去り、事務所に戻って悩める翔太郎だったが、その前にスカルの幻影?が姿を現す。
スカルの無言の示唆により、フィリップが奪われた家族を求めている事に気付く翔太郎。そしてスカルは、事務所の机にシングルドライバーを置いて姿を消す。
感想を書く為に2回目を見ていて気付いたのですが、シングルドライバーを置いた所でスカルが鳴海荘吉の姿に戻るというのは、スカルが使っていたドライバー、という解釈でいいのか。この割と肝心の所がだいぶファンタジーで処理されたのは気になった所ですが、これは最初の劇場版を見ているとまたイメージが変わるのでしょうか。
シングルドライバーを手にする翔太郎だが、そこへ、ヒートの女が殴り込みをかけてくる――!
その頃、密かに手渡されたオルゴールに隠されていたメモにより風都ホールへ向かったフィリップはマリアと再会するが、そこで大道克己こそマリアの息子である事、事故死した克己を蘇生させる為にマリアがNEVERを生み出した事、マリアがフィリップを利用する為にシュラウドを思わせる振る舞いをしていた、という残酷な真実を突き付けられる。
「この子の為なら何でもする。この子が欲しがるなら、全てあたしが与える。財団Xが、シュラウドの技術を研究して作ったT2メモリも、エクスビッカーも」
なお克己は、死んだ当時はフィリップぐらいの年齢だったのを、毎年細胞増殖によって成長させたらSOPHIAになってしまったそうで、マリアのマッドぶりが窺えます。
ヒートの女に追い詰められていた翔太郎は、最後のT2ガイアメモリが、事務所の屋根を突き破って飛び込んできていた事に気付く。この、事務所の雨漏りが伏線だったのも、2回目で気付きました(^^;
なんとかヒートの女の攻撃から逃れ、床に埋まっていた運命――引かれ合うガイアメモリをその手にする翔太郎。それは最も翔太郎にふさわしいメモリ、最後の切り札
「どうやら切り札は、常に俺の所に来るようだぜ――変身」
「おまえは?!」
仮面ライダー――ジョーカー」
この辺りでようやく、劇場版仕様の戦闘に慣れてきたのもあり、ジョーカー変身からvsヒートのバトル、トドメのライダーキックまでの流れは非常に格好良かったです。ここ一番で「ライダーキック」を持ってくる辺りは、実に今作らしい。
克己とマリアによってさらわれたフィリップは、エクスビッカーに接続され、26のメモリの力を最大増幅する為の補助回路にされていた……なぜか黒ジャケットで(笑)
ヒートの女の言葉により、フィリップがNEVERの手に落ちた事を知った翔太郎は、照井(生身)と共に風都タワーへと向かう。
「死ぬなよ――照井」
「知らないのか? 俺は死なない」
ば・か・だ!(笑)
「所長。夜までには終わらせる。花火を見よう」
亜樹子の頭をひと撫でし、バイクで走り出す照井。この直前の、翔太郎と拳を打ち合わせるシーンより、こちらの方が格好いいというのはどうなのか(笑)
フィリップを助け出し、NEVERの凶行を止める為、風都タワーへ突撃する仮面ライダージョーカーと……風都署超常犯罪捜査課課長・照井竜(生身)。異常にヒーロー力の強い照井は生身でアクセル剣を振り回し、ルナの放つマスカレード軍団を粉砕していく。照井、おかしいよ照井。さすがに少し苦戦しますが。
「左! 上を目指せ!」
「照井! おまえ大丈夫なのか?!」
「俺に質問をするな!」
「だったなぁ」
ジョーカーは内部へ突撃し、メタルドーパントをライダーパンチで撃破すると、エクスビッカーの発射設備へ辿り着き、エターナルと激突。
全体的に今作の絵作り不足には不満があるのですが、空間が狭すぎて、微妙に盛り上がらないバトルの末、エターナルの放ったユニコーンマキシマムドライブを受け、ジョーカーは敗北。遂に揃ってしまった26本のT2ガイアメモリはエクスビッカーに接続され、マキシマムドライブを発動する。
克己の目的、それはエクスビッカーによるさよなら人類光線を風都全域に照射し、風都市民を全滅させて全て死者の兵隊、NEVERへと作り替えてしまう事にあった(なおこの理屈は全く説明されないので、よくはわかりません)。
その発射直前、よろよろとやってくるヒートの女。その体は、マキシマムドライブを受けた事により細胞分裂が加速し、崩壊しようとしていた。助けを求めるヒートの女を、克己は冷たく突き放す。
「おまえの代わりは幾らでも作れる」
「ひどいよ……」
先の処理も兼ねて、NEVERの運命と、克己の非道さを描きたかったのでしょうが、ヒートの女の最期の台詞があまりに面白みが無くて、ここはげんなり。その辺りの小悪党ならともかく、さんざん世界中で大暴れしてきた凄腕の傭兵(という設定)の末期の台詞としては、薄っぺら過ぎます。
また、この設定と展開が作品として大きな問題を抱えているのですが、これに関しては、まとめて後述。
「ははははははは、いい気分だ! もう実験台の化け物は、俺だけじゃない! みんな俺と同じ、生ける死者になれ!!」
克己はエクスビッカーを発射しようとするが、フィリップがプログラムを書き換えて強引にその発動を止める。
「こんな奴に……風都を滅ぼさせはしない!」
フィリップは更に、エターナルメモリのマキシマムドライブを解除しようとし、それを阻止しようとする克己。混戦の中、マリアが克己に細胞分解酵素を打ち込みその狂気に終止符を打とうとするが、銃で撃たれて致命傷を負ってしまう。フィリップはなんとかエターナルのマキシマムドライブを停止させ、機能を復活する旧型ガイアメモリ。
「どうやら仲間がやってくれたようだ……さあ思い切り――振り切るぜ」
生身でルナとトリガー(エクスビッカー発動時には一時的に変身解除)の相手をしていた照井は、キレっぱなしでアクセルに変身。アクセルがないがしろにされずにちゃんと格好いいのは、この映画のいい所。
克己は細胞崩壊に苦しみながらもエターナルのメモリを手にしてタワーの最上階へ向かい、フィリップは倒れたマリアに駆け寄る。
「ありがとう坊や……あなたの存在が、あたしに、過ちを気付かせてくれた……。あなたの、母に、なりすますうちに……昔なくした、我が子の夢を……重ねていたのね」
「安心してください…………大道克己は……僕が、止めます」
「ありがとう……フィリップ」
「さよなら……母さん」
上層へ向かった克己は薬品で細胞崩壊を止めると、タワーの風車に蓄積されたエネルギーを地上に落とす事で風都市民まとめてラストバタリオン計画を完遂しようとするが、フィリップと翔太郎がそこに追いすがる。
「君は悪魔だ。僕が止める!」
エターナルへと変身する克己。
「俺たちは人間を捨てた、魔物同士だ!」
「いや、今なら確信が持てる。僕は悪魔じゃない! 他人の痛みを感じられない、哀れな君とは違う。この胸には、マリアさんが残した心がある! 僕は人間で、探偵で、そして――仮面ライダーだ!!」
「相棒、それを言うなら、僕たちは、だろ?」
「ああ。行くよ、翔太郎」
2人で1人の仮面ライダーはサイクロンジョーカーへと変身し、この際、倒れるフィリップが翔太郎の肩に手を置く、というのはこれまでない演出で良かった。
「「さあ、おまえの罪を数えろ!!」」
「今更数えきれるか!」
ここでルナが乱入し、エターナルは上へ。ダブルvsルナかと思いきや、そこに転がってくるメダル……と、通りすがりのパンツの戦士。
タ・ト・バ! タ・ト・バ!
次作ライダーサービス顔見せで青年は仮面ライダーオーズへと変身し、ルナと交戦。まあ、『ダブル』の世界観だと、他に仮面ライダーが居ても、これといって違和感はありません。
「イケメンで強いのね、嫌いじゃないわ!」
ルナの触腕攻撃を切り裂くオーズは、メダジャリバー一閃でルナを撃破。地上でもアクセルトライアルがトリガーを冥土というゴールへ叩きこみ、ダブルは飛行マシンでタワー最上部へと向かう。
ここからはダブル早替わりで半分こフォーム全見せによる、エターナルへのラッシュ攻撃。これはサービス満点で良かったですが、戦闘場面がほぼオールCGで(足下と背景だけのカットの場合、どこかの屋上)、露骨にゲームぽくなってしまったのは、残念。
CGが良いとか悪いというよりは、映画ならでは、という舞台装置が欲しかったところ。
風都のランドマークとしての風都タワーを決戦の地とする物語の意味はあったのでしょうし、制作の時間的事情もあったのかもしれないですが、作品全体として、ロケ地に凝って面白い絵を見せよう、という雰囲気が薄いのは、個人的な好みもあり、引っかかった所です。
TV版では“風都”という街を設定し、さりげない背景の大道具などで街物の一体感を出しているのが今作の長所だったのですが、映画にした時に、それがそのまま、映像的な広がりが少ない、という短所にひっくり返ってしまいました。
とはいえ、風都にはこんな場所もある、というのは幾らでも増やせるわけで、やろうと思えばもっと凝れたとは思うのですけど。
連続攻撃で優勢に立ったダブルはエクストリーム化するが、エターナルはゾーンのマキシマムドライブを発動すると、全身をT2ガイアメモリでドーピング。風車に溜まったX力をその身に吸収すると、ナイフの一撃で風車を切断し、それに巻き込まれて地上へと落下していくサイクロンジョーカーエクストリーム。
このまま仮面ライダーは敗れ、風都は死の街と化してしまうのか。
だがその時。

仮面ライダーーーー!!」
仮面ライダー!」「仮面ライダー……!」「仮面ライダー!」「ライダーーーーー!!」「頑張って仮面ライダー!」「仮面ライダー!」「「仮面・ライドワあーーーーーー!」」「お願い!」「仮面ライダー!」

亜樹子の叫びを皮切りに、戦いの趨勢を見守っていた風都の人々が落ちゆくダブルに声援を送る。仮面ライダー――それは、この街の人達の希望。
(負けないで、仮面ライダー
そして市民の叫びと祈りが奇跡を――風都に風を起こす。


また誰かが 突然ドアをたたく
事件の予感 Welcome to Windy city
この街には 涙は似合わないぜ
街に潜む Keyword見つけ出そう

流れ出すOP、回る風車。
ここは、文句なしに格好良かった。

「フィリップ……風だ、風都の風が!」
「僕たちに、力を!」

風都の風が落下していくダブルのベルトの風車を回し、今、6枚羽根の黄金のエクストリームが誕生する!
飛び上がるゴールデンエクストリームに対し、エターナルは自分の体に移したX力を光弾として放つが、ゴールデンエクストリームは風車を蹴って更に加速を付けると、上昇しながら人々の――街の願いをその身に込めた渾身のキックを放つ。

そこに人がいなくちゃ 街は空虚な箱さ
僕らを繋いだ風を 止めたくない!

そのキックはエクスビッカーのエネルギーを消滅させると、更にエクストリームを蹴り貫き、愛と妄執により生み出されてしまった死と狂気の兵士・大道克己は遂に二度目の死を迎え、全てのT2メモリは砕け散るのであった。
市民の声がヒーローに力を与えるというベタもベタですが、真っ正面からやりきり(よく書きますが、こういうのは恥ずかしがらないのが肝心)、ラストは非常に盛り上がりました。ダブルがあまり隠れていないヒーローである事による、“街のヒーロー”としての積み重ねと、風でベルトの風車が回るという古典オマージュも、今作らしく巧く融合。
また、翔太郎達が助けてきたTVシリーズのゲストキャラ達を群衆の中に散りばめてクライマックス以外でも数度に渡って映す事で、映画版ならではというギミックにしつつ、年間のTVシリーズとしての物語をしっかり組み込み、ただのベタではなく、クライマックスの声援に“厚み”をもたらしたのは、素晴らしかったです。
そんな過去ゲスト達の中では、ジミーとファンの人のカップルが続いているのは、微笑ましくて良かった。で、ダンス女子高生は単独出演だったので、あのクズ男は捨てたようで、これも別の意味で良かった(笑)
ヘブンズトルネードは、本当に無かったんだ!!
姫香りんと教授に関しては……見なかった事にしよう。
問題は、このネタを使ってしまうと、TV本編のクライマックスはどうなるのか(笑)
これ以上のどんな最終兵器を用意しているのか、楽しみにしたいと思います。
ラストは、風都タワーは壊れるも開催された花火大会での翔太郎達4人のやり取りに、劇場版テーマソング(これは単独で聞いた事がありましたが、好き)とスタッフロールを重ねてのエンディング。
風都タワー花火大会で風都くんの着ぐるみと一緒に写真を撮るとそのカップルは永遠に結ばれる伝説により既成事実を作ろうと目論んでいた亜樹子は、タワー崩壊で作戦が実行不可能になるもめげずに照井へのアタック続行を誓うのであった。
今回、至極真っ当なヒロインポジションだった亜樹子ですが、本編43−44話で照井と亜樹子の距離感が急速に縮まっていたのは、どうやらこの劇場版の「花火の約束」が先にあって、それに合わせる為だった模様。
ただ三条さんにはどうも恋愛ネタが得意なイメージが無いのですが、これもどこまでそのつもりなのかどうにもわかりません(^^;
照井の仕草を見ていると、照井からはやはり「妹」扱いの気はするのですが。
今回は迷惑をかけた、と謝るフィリップに、マリアを信じ続けたフィリップの勝ちだ、と返す翔太郎。相棒はお互いを認め合い、街が、人が、どんな傷からも折れずにまた立ち上がるだろう事を信じる。
「おまえ、少し大人になった?」
「ははっ」
「ははは」
「君も早くなりたまえ。置いてくよ」
うん、本当にそうだね。
花火をバックにドタバタする4人、でエンド。
映画としての総合点はあまり高くつけられないのですが、TVシリーズ最終盤の本編とリンクさせつつ劇場版らしい派手さをともない、ゲスト敵ライダーを出しながら次回作ライダーの顔見せもする、と色々ハードルが多い中、TV本編のギミック(リボルキャリーは出せませんでしたが、飛行メカは何とか出した)と決め台詞をほとんど使い、TVで使い切れなかったマキシマムドライブを含めて各フォームも用い切ったという部分は高く評価。
そういう点で、悪い部分を踏まえた上で見た2回目の方が面白く見られました。
で、その悪い部分の中でも最も引っかかる、この映画の最大の問題点が、NEVERの扱い。
後処理を面倒にしない為と、劇場版としてのカタルシスを考慮してか、NEVERの兵士はマキシマムドライブを受けると塵になって消滅してしまうのですが、この設定が極めてよろしくなかった。
仮面ライダーダブル』という物語は、悪いヤツをぶっ倒せば万事解決、という話ではなく、また翔太郎の性格を考えた時には、如何に実際は死人であっても、感情を持った相手を殺してしまう事に、葛藤がなくてはなりません。
しかしその葛藤を描く時間が無い為に、翔太郎にその気は無かったけど、マキシマムドライブで倒した後で、消滅シーンを見せるという構成になっている。
これは、はっきり言って作品が翔太郎に騙し討ちで後ろから弾丸を撃つ行為です。
物語の展開の処理上、百歩譲ってここまでは致し方なかったとしても、翔太郎がこの事実――マキシマムドライブで倒すとNEVERは消滅する――を知ってしまった以上、克己との戦いでは今度こそ何らかの葛藤が必要でした。しかし、やはりそれはないまま、ダブルは克己に死を与えてしまう。
既に死んでいた筈のものに本当の死を与える……というのは理屈の上では正当な行為に思えますし、克己を止める為にはそれしか手段は無かったでしょうが、そこを理屈で割り切れないのが、左翔太郎であった筈です。
今作はギミックは目一杯TV本編と連動させたのに、肝心の物語の背骨が、TV本編と繋がっていない。
せめて死の間際のマリアが、NEVERの限界(自分が年に一回処理しないと細胞崩壊してしまうとか、多分そういう設定だったのかとは思う)を説明して克己に死を与える事を頼むような事があればギリギリ良かったのですが、フィリップとマリアの関係を描く事にウェイトを置いた結果、翔太郎の扱いがおざなりになってしまいました。
死人の兵隊は既に怪物だから消滅させても構わない、というのは、非常に今作らしくなかった、と思います。
翔太郎がTV本編にこれを引きずっていたら、それはそれで凄いけど。
後これは、劇場版の都合でどうにも仕方ないとは思うのですが、園咲家の皆さんは無理に出さない方が良かったのではというレベル。最終盤を前に下げるわけにもいかず、しかし力を見せるわけにもいかず、ひたすら傍観しているだけだったというのは、もう一工夫欲しかったです。冴子さん、街中でちょこちょこ上から目線で思わせぶりな事を言うけど、基本、モブと同列だし(笑)
クライマックスは、「仮面ライダー」として、『仮面ライダーダブル』として、見事な昇華と融合で本当に良かったのですけど。
さて結局、「母親」というキーワードは持ち込まれ、シュラウド・フィリップと、マリア・克己の対比関係はあったものの、シュラウドの清算は劇場版では描かれず、TV本編で触れられるのかどうなのか。いよいよ、物語は最終局面へ――。
果たして、今回のクライマックスを超えるネタは用意されているのか?!