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『侍戦隊シンケンジャー』感想17

◆第二十七幕「入替人生」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子
前回、色々あったけど、やっぱりあちきは外道、と自分探しの旅に決着をつけた薄皮太夫だが、それはそれとして酔っ払いの相手をするのは面倒くさいなー、と出社拒否。三途の川には戻らず姿を消してしまう。太夫不在で少々不機嫌ゲージの上がるドウコクの前に、“さる御方”に長く仕えていたという、ドウコクも初めて見る顔のアヤカシ・アベコンベが現れ、“さる御方”の先触れを称すると人間界へと向かうのであった……。
アベコンベは、安定の檜山修之ごろつき怪人。檜山怪人とか中村大樹怪人は、毎年見ても飽きない(笑)
アベコンベの能力は、右手の触手で触れた人間と、左手の触手で触れた物の魂を入れ替えてしまう、というもの。街では人々が次々と自転車や看板、果ては空き缶などと魂を入れ替えられて奇妙な形で固まり、源太も突然、道端で丸くなってしまう。
戦いを挑むシンケンジャーだが次々と妖術の犠牲となり、丈瑠は招き猫、茉子は扇風機、流ノ介は……小便小僧と魂を入れ替えられてしまう。
(この私が、なんという屈辱……くっ)
(良かったぁ……扇風機で)
硬直ネタは基本面白くなりますが、無表情で首を左右に振る茉子、にこやかにトイレに立つ流ノ介、と皆、頑張った(笑)
千明がアヤカシの術に気付き、殿の席に鎮座する招き猫。そして丸まる源太は……寿司だった。アヤカシの乾燥肌退却で、一度、屋敷の居間に入れ替わった物(各人の魂が入っている物)が並べられるのですが、寿司は、冷蔵庫に入れておかないとネタが腐りそうな。
丈瑠達の魂は回収できたものの、街の人々は何とどう入れ替わっているかわからず、何とかアヤカシから妖術を解除する方法を聞き出すしかない……それを年少組2人で成し遂げなければいけないという状況に、力の入ることはを見て、緊張を和らげようと気を遣う千明。
成長著しい半人前、というポジションの千明は、今回は年下の女の子への細かい気遣いを披露。この辺り、流ノ介より将来的なスペックは優秀そうです。
「千明、ことは、お前達も戦いを積み重ねてきたのだ。お前達なりの戦いを、思いっきり戦え。そこに、活路がある」
アヤカシが再出現し、爺は印籠を千明に託す。激励を受けた千明は、ある秘策を思いつく。
「つまらねえ物ほど、入れ替えがいがあるってもんだ」
次々と人間の魂を物と入れ替えていくアベコンベ、その妖術の真の恐ろしさは、魂を入れ替えられた物が破壊されると、中に入った人間の魂も砕けてしまう事にあった。空き缶に魂を入れられた女子高生はリサイクルに回収され、看板に魂を入れられた中年女性は飛んできたボールで破れかけ……人が、それと知らない内に人の命を奪ってしまう、アベコンベの主である“さる御方”は、そんな地獄を望んでいた、と、ギャグ寄りから一転、えげつない展開に。
そして冷蔵庫へしまわれる筈が、アヤカシ出現のどたばたで台所に置き去りにされた源太寿司に、通りすがりの野良猫が迫っていた。
これまでの大活躍は全てこの日の為の前振りだったのか、源太に本格的な命の危機が迫る中、緑と黄色は連携プレイで、アヤカシと緑の魂を入れ替える事に成功。アヤカシの体を手に入れた千明が、緑の中に入ったアヤカシに妖術を解く事を要求するがアヤカシも当然素直に頷かず、そこで今度はアヤカシの魂をサッカーボールへ移動。
怪人をサッカーボールに変えて拷問するヒーロー
というのは、なかなか新しい境地であったかもしれません。
やむなくアヤカシは自らの頭部を切り裂く事で妖術を解き、元の体に戻る人々。風前の灯火だった源太もギリギリ助かるが、直後、寿司にかぶりつくネコの図がアップで、かなりホラー。
緑はスーパー化すると真・凩の舞でアヤカシを撃破し、アヤカシは巨大化。2人は大海真剣王を呼び出し、2人で操縦するとエネルギー消費の分担が激しいようですが、元に戻ったメンバーが全く参戦しないまま、まさかのそのまま成敗。
表向きお笑い回から新たなアヤカシ勢力のえげつさなに繋げ、新幹部?登場の布石と、テンポ良く進行。緑×黄回のようで、実質単独の緑回という内容で千明の株がまた随分と上がり、非常においしいポジションです。逆にことはは、瞬間的な破壊力は高いけど、放っておくと後ろに下がってしまうので、案外とエピソードに恵まれていない印象。
スナフキン状態の薄皮太夫は、ドウコクが適当に放り投げた際に隙間から人間界に飛び出してきた毛玉を拾い、ちらっと登場。
「ふん、一緒に居るか。1人では話し相手もおらん」
十臓における裏正と違って、うめく三味線は話し相手ではない、という所に太夫の怨念がよく出ています。謎のにぎやかしだった毛玉にちょっと意味が出てきたというのも、面白い。
そして、一山越えて3クール目に入ったけど、寿司屋は、EDには入れないのだった……。


◆第二十八幕「提灯侍」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子
「こんなに早く、終わりが来るとはなぁ……。丈ちゃんやみんなには悪いけど、せめてこれが、俺の形見だ」
暗い顔で、ゴールド寿司の提灯にモヂカラを打ち込む源太。源太が源太なので信用できませんが、何やら、深刻な入り……そんなに、EDから仲間はずれにされっぱなしな事が、心の傷なのか。
某・夜明けの刑事なんて、OPナレーションがずっと「燃えるハートでクールに戦う5人の刑事達」だったけど、めげなかったぞ!
そこにアヤカシ出現の報が入り、「もういっぺんだけ試してみっか!」という所までがアバンタイトルで、OP明けからいきなりナナシ軍団との戦闘。先に戦っていた5人に加勢しようと寿司チェンジャーを取り出した源太は、何故か嫌がりながら変身……しようとして、変身する事が出来ない。
…………もしかして、前回の件が、トラウマに?
確かに、ネコが寿司をむしゃむしゃ食うシーンのアップは、やたらホラーでしたけど。
ナナシ軍団は5人が撃破してそれ以上の襲撃はなく、志波家に戻った一行は、源太から事情を聴く事に。
「俺、寿司が怖いんだよぉぉぉ!!」
見事なPTSDでした。
廊下に体育座りで落ち込む源太、超ニコニコと世話をする姐さん(悪魔)。
前回、アヤカシの術によって寿司に魂を入れられ、通りすがりのネコにがじがじされて人生が終わりかけた源太は、あれだけ愛していた寿司を、見るのも嫌という人生のどん底に落ちていた。
「爺ちゃんにはわかんねえよ。寿司になってみろ! 食われそうなのに動けねえんだぞ! もう寿司見るだけであん時の恐怖が!」
お笑い→えげつない、と転がした前回のネタを、更に引っ張ってきたというのは面白い。やたら迫真の捕食シーンだった事にも納得で、いつもは前向きで明るい源太が、暗い表情で沈み込んでいるという落差も好演。
そして姐さんが、超楽しそう(悪魔)
その頃、三途の川のドウコクの船を、“さる御方”が訪れていた――その名を、筋柄アクマロ(すじがらの・あくまろ)。
凄い名前、というか文字列だけ見るとムキムキマッチョな愛国戦士みたいですが、見た目は公家イメージ。
三途の川の底に沈んでいたが、ドウコク夏の大感謝祭のエネルギーを受けて水面へ浮上してきた、と自称するアクマロは、ドウコクの斬撃を敢えて受け、ドウコク配下の一席に加わる事を願い出る。
「どうぞ、お迎えくださいませ。人間共を死ぬほど泣かせてご覧にいれまする。身も世も無い血の涙……おほほほほほほ、堪りませんなぁ」
これまで、基本的に骨の髄まで筋肉と殺意で出来た武士という名のモンスター、リアル板東武者だったドウコク麾下の外道衆ですが、新たに、腹に一物あるとおぼしき公家系の幹部キャラが登場。これまでも参謀役の骨のシタリが居ましたがあまり積極的に作戦行動には関わらなかったので、性格の悪そうなアクマロの登場で、アヤカシの活動にバリエーションがつく事には期待したい。
志波家では千明の音頭で、源太の引退を止めようと、源ちゃんと一緒に苦手な物を克服しよう大作戦がスタート。
ことはは納豆、茉子が粉ふきいも、流ノ介がサボテン、殿はお化け屋敷にそれぞれ挑戦するが、源太の心の傷を癒すには至らない。源太の侍とは違う親しみやすさに共感を覚えて親身になる千明が前回に続いて他者に気を遣うのですが、自分の苦手な物を出していないのは、実は用意周到な策略か(笑)
そこにアヤカシ出現の報が入り、出陣する5人。人間大サイズの大頭ナナシが現れて戦うが、突然の大雷撃でシンケンジャーとナナシはまとめて吹き飛ばされる。そこに姿を見せたのは――筋柄アクマロ。
「そうですか、あんたさん等が、今の世のシンケンジャー。吾の名は筋殻アクマロ」
妖術の達者かと思われたアクマロですが、そこはやっぱり外道衆。舞のような動きからの蹴り技や、爪を伸ばしての攻撃など、華麗に肉弾戦を展開し、5人を次々と撃破。
「この感触、久しぶり。ほほほ、堪りませんなぁ」
アクマロの戦闘力は殿をも上回り(まだ完調でないのかもしれませんが)、笏による攻撃で派手に吹っ飛ぶシンケンレッド。
その頃、源太は提灯に必死にモヂカラを打ち込み続けていた。
「頼むぜ、俺の代わりに。丈ちゃんたちの助けになってくれ」
遂に提灯に「侍」の文字が浮かび上がるが、何故かその源太の背後に、黒子を引き連れた彦馬が迫っていた。
アクマロは、4属性攻撃も弾き、五輪弾すら受け止めるという、圧倒的な力を披露。これまでも、“何となく強いアヤカシ”というのは居ましたが、基本、幹部キャラが引きこもり、十臓も一騎打ち専用という事で、如何にもな強敵(幹部キャラ)に苦戦するという展開は、28話にして初。
台詞の端々で過去のシンケンジャーとの関わり匂わせるアクマロは今の世のシンケンジャーを嘲笑い、切り紙で巨大ロボット怪獣を召喚。いわゆる式神の類と思われ、アクマロは公家だけでなく陰陽師も入っている模様。シンケンジャーが折神の力を使う事を考えると、何やら関係があるのか。
赤はスーパー化して1人で天空シンケンオーに乗り込むが、鳴き声が怪獣の巨大な式神にあっさりやられてしまう。大天空を解除され、兜が吹っ飛び、怪獣に踏まれるシンケンオー。無残にやられていますが、一度、兜無しシンケンオーを尺取って映したかったのか。
アクマロの蹴鞠攻撃で家臣4人も打ち倒され、手近のピンクにトドメの一撃が迫ったその時、提灯と新しい武器を手に、ゴールドが駆けつける。ゴールドは蹴鞠を一刀両断し、提灯から放つ秘伝ディスク連射でアクマロにダメージを与えると、続けての一撃が、ドウコクの攻撃を受けていた箇所にクリティカルヒットし、アクマロは撤退。
派手に強さをアピールしたアクマロ撤退の理由付けではあるのですが、アクマロが回避するだけの実力を持っているとわかった上で敢えてその対応を見る為のドウコクの攻撃→故意にその攻撃をかわさずに受けて恭順を誓うアクマロ→しかし受け流して出来る限りダメージを抑えたつもりだったがドウコクの一撃はアクマロの思っていたより鋭かった、と、実力者同士の探り合いが裏で展開している、というのは格好いい。
色々な意味で、シンケンジャーが置き去りですが!
「おいら、ダイゴヨウってんでい」
喋る提灯は、「大」のモヂカラで巨大化すると、人型ロボットに変形。式神ロボに立ち向かうとOPまで流れ出しての大暴れで……殿単独のシンケンオーより強い(笑)
あまりにあまりな展開に呆然とついていけなくなる5人の前で、ダイゴヨウロボは秘伝ディスク乱れ打ちで式神ロボを撃破。天才の戦列復帰と新戦力の加入により、シンケンジャーは辛くも窮地を脱出するのであった。
ここ数話、源太たたき売りキャンペーン中だったので、2話連続で源太が役立たずになるのかと思いきや、終わって見れば天才無双。不在だった博士ポジションの役割を、全て源太に振るのはどうなのか(^^;
一応今回、ダイゴヨウの強さの理由を、引退を決意した天才の魂を込めた逸品、という事で付けていますが、つまり前回のエピソード自体が、ダイゴヨウ登場から逆算して作ったネタだった模様。この構成自体は、巧かったと思います。
まあ源太の場合、侍として戦えなくても、志波家御用発明家として召し抱えればいいし、召し抱えるべきだとは思いますが(笑)
青「気になってたんだが、それ、岡っ引きじゃないか?」
金「おう、時代劇でよく見るだろ〜。そっからこー、イメージしたんだ」
青「うん。岡っ引きは……侍じゃないぞ」
金&提灯「「え?!」
ダイゴヨウ本体が御用提灯のイメージという事は、ゴールドが右手に持っていた棒状の武器(一切説明されないが蹴鞠を両断し、巨大化時は、ダイゴヨウロボの両腕になった)は、十手のイメージという事でしょうか。金のバトルスタイルが居合いなのでサンマ引退という事は無いと思うのですが、この後、どう使うのかしら。後、ディスク乱れ打ちは、銭形平次なのか。
実質的な3号ロボは、自律型のサポートアイテム兼用タイプが参戦。自律型ロボは派手に出してみたはいいけど気が付くと空気になる、というイメージが強いのですが、頑張れるか、ダイゴヨウ!
単体使用のみとは思えないので、この後どう使ってくるか次第で、とりあえず評価保留。
なお、源太の寿司恐怖症は、殿達のやり方は生ぬるい! と、彦馬が黒子に拘束させた源太の口に寿司を突っ込むという荒療治で回復。「アレルギーなんて食べさせれば治る」的で現実でやったら大問題ですが、そこはフィクションという事で(^^;
次回、早くも家出。