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『鳥人戦隊ジェットマン』感想3

◆第3話「五つの力!」◆ (監督:新井清 脚本:井上敏樹
トランが蛇口に次元虫を融合させ、水道管を伸ばして動き回る蛇口が人を呑み込むと、水の代わりに赤い血が流れ出る、となかなかホラーな入り。
未だ4人揃わないジェットマンは、小田切長官が素人3人の戦闘訓練として稽古を付け、ビールビン割りを披露。そしてバードニックウェーブを受けた鳥人達を、軽々と投げ飛ばす(笑)
その頃、最後の戦士は婦警をナンパしていた。袖にされると故意に信号無視をしてミニパトに追いかけさせると、実に最低(笑)
「やっと口を利いてくれたな、感激もんだ」
喜んで切符を切られようとする凱だが、そこへ割り込んでくる、キチガイ
「デートなら、俺がしてやるぜ」
のっけから、駄目人間とキチガイの困ったやり取りが展開しましたが、直後のバイクでのチェイスシーンは、倉庫街の狭いコンテナの間を擦り抜けていくなど、なかなかの迫力。
「滅ぶんなら滅びゃあいいさ。ま、俺としては、それまでに充分人生を楽しみたいね」
説得を拒否して走り去る凱を、熱いまなざしで見つめる竜。
その頃スカイキャンプにて、シャワー上がりでバスローブ姿の小田切長官がシャワーヘッドの攻撃を受けてカミソリで撃退するという、謎のボーナスイベントが発生していた。
単体としてあまり意味のないシーンなので、これをきっかけに長官がバイラムの新たな攻撃に気付くというくだりが尺の都合でカットされた結果、サービスシーンだけ残ったとしか思えません(笑)
タイヤを引っ張って土手を登る、という古典的なスポ根特訓を行っていた香達だが、香とアコは途中で自分のタイヤをこっそり雷太のタイヤに結びつけるというズル。アコが率先してやりそうなズルを、香から行っている、というのはちょっと面白いところ。その3人も蛇口に襲われ、ジャグチジゲンが姿を現す。
一方、ハードボイルドにビリヤードをたしなんでいた凱を追う、赤いキチガイ
「牛乳、あつーいのください」
カウンターに座って大人のバーの雰囲気を台無しにする竜に、背後からボールを次々と打ち込む凱だが、竜はそれを軽々と受け止めてみせ、雌雄を決するべく2人はオフロードコースでバイクレースを開始。だがレースの最中に観戦していた子供達が蛇口に襲われ、竜はそれを助けに向かう。
「たく、救いようのねえ野郎だ」
勝負の勝ちを宣言して走り去ろうとする凱だが蛇口ジゲンに襲われ、そこを竜に助けられる。凱は他人の為に戦う竜を嘲って今度こそ走り去り、蛇口ジゲンと戦闘員の攻撃に窮地に陥る竜を助けに来る、香達3人。
ジープに乗ってやってくる戦隊を見るのも随分と久々で、懐かしい。
だが、5人揃う事で真価を発揮するジェットマンは4人では能力を発揮しきれず、バイラムの攻撃に押されていく。その時、戻ってきた凱がバイクで蛇口ジゲンにダイレクトアタック。ヘルメットを外す時に、頭をばさっとやって、にやっと笑うのが格好いい。
「必ず、必ず、来てくれると思ってたんだ」
凱からすると、自分と全くタイプの違う男に二度も命を助けられ、それをこのまま見殺しにしてはただの負け犬、人生楽しむ為にも、ここが男のプライドの瀬戸際だったという所でしょうか。そういう本音の部分は表に出さず、表向きはキチガイに根負けした形で、再びブレスをはめる凱。
「変身するんだ! 俺たちは、鳥人戦隊、ジェットマンだ!」
「「「「「クロス・チェンジャー!」」」」
ここで5人が揃い踏み、まずは5人揃ったジェットマンの力見せという事で、5人は連続攻撃で蛇口ジゲンを叩きのめすと、最後は一斉射撃・バードボンバーで撃破。戦いは終わり、凱は竜の握手を無視して、香とアコに挨拶(笑) 香はともかくアコが凱の守備範囲とも思えないので、これは照れ隠しの要素もありそうです。そこへ、4幹部が幻影で顔見せに現れる。
「おめでとう諸君、我らバイラム4幹部、心よりお祝い申し上げる」
ラディゲはイメージ映像ながらも、突っかかる凱に攻撃を浴びせ、高笑い。
「これからも諸君らの健闘に期待する。諸君らが強ければ強いほど、我々のゲームは楽しくなるのだ」
かくして、地球(第三次元)を巡り、ジェットマンとバイラムの死闘が始まるのであった――。
バイラムは初動で地球防衛の要を破壊すると、余裕を見せてジェットマンを倒す事を目標とした余興に走る、と強大な敵組織が大規模な侵攻をしてこない事の理由付けはかなり鮮やか。
80年代中盤からの戦隊の特徴ですが、とにかく尺が短いのでポンポン話が進む中に、井上敏樹がテクニカルにキャラクター描写を詰め込み、00年代以降的なドラマ性と、80年代的なペース配分が奇妙な融合を果たしており、独特のリズムを生み出すに至っているのが、今見ても面白い。


◆第4話「戦う花嫁」◆ (監督:新井清 脚本:井上敏樹
5人揃ったジェットマンは、飛行メカ・ジェットマシンの訓練中。
“新しいヒーロー”を目指しながらも。ただ奇をてらうのではなく、この辺りのツボを押さえて構成されているのが、今作の優れた点の一つです。
機械が嫌いで飛行メカを巧く扱えない香は、特訓どころかジェットマシンを扱う事すら拒否し、しかも全く悪びれないという、お嬢様の我が儘ぶりを発揮。
「わかっていただけるかしら。私、嫌な物は嫌なんですの」
せっかく凱を加えたと思ったら新たに生じたメンバーの問題、怒髪天を突く短気なキチガイ
「いつまでもお嬢様気分じゃ駄目なんだよ!」
だがその一言が、香の逆鱗に触れてしまう。
「お嬢様でわるうございました。私、帰らせていただきます。ごきげんよう
「香さん!」
「ほっとけ! 香も戦士ならいずれわかる筈だ」
つい最近までごく普通の一般市民だった相手に対して、戦士にクラスチェンジした以上は、パッシブスキル《全てを捨てて戦う覚悟》を習得しないと許さないと迫る、激しすぎるキチガイのパワーーーーーーーッ。
本人は「信頼」と言っていますが、“信”は“信”でも、それは「狂信」です。
実家に戻った香は、許嫁の北大路総一郎から結婚を申し込まれる。スカイキャンプを飛び出してはきたものの心はジェットマンにある香は、正義のヒーロー中なので結婚できないと断るが、痛い冗談だと思われ、スルーを受ける。だがそんな2人の前に、ラディゲが次元虫と信号を融合させたロードジゲンが現れ、連絡を受けた4人が助けに。
「おまえは戦士なんだぞ香!」
自分が業務時間内に彼女とイチャイチャしていた事は棚の一番奥の方に埋め、幼い頃から許嫁が居たという香の育ちに対して理不尽に文句をつける竜なぜなら俺はリエを失ったからぁぁぁぁぁぁぁ、戦士に婚約者が居るなんて許されなァァァァァァァァァァァァァ▲◎×$#□!
バードニックウェーブを浴びた事の方がつい最近の事故なのですが、そんな理屈が通じるようでは、正義の戦士は務まりません。
「なんとか言え香! バイラムと戦う為には、個人的な感情は捨てなければならないんだっ。いつまでもお嬢様気分じゃ戦士とはいえない!」
お約束の『フルメタル・ジャケット』ネタを引用する隙もなく、泣いたり笑ったりしなくなる事を要求する竜なぜなら俺はリエを失ったからぁぁぁァぁぁぁッ、戦士に好き嫌いなんて許されなァァァゥゥィィィィィ■#□%%¥!!
「どうせ私はお嬢様です。我が儘で、戦士失格です」
発言の主旨よりも、再びの「お嬢様」呼ばわりに、こじれる香。ここは香が1人の時に、ジェットマンとして戦う気持ちがある事を見せているのが巧い所。
「そうだ、今のままでは失格だ」
香の引っかかりなど気にせず、ごく普通に返すキチガイがとにかく怖い。
「私、決めましたわ。総一郎様と、結婚します」
こじれた香は結婚を宣言するが、そこにバイラム出現の報が入り、4人はそちらへ。
「香、俺たちは信じてる。おまえを信じて、待っている」
自分の戦士としての信念を他人に強要し、信頼を押しつけるキチガイ。とにかく今回、竜のキチガイぶりがフィーバー大回転。
バイラムが街で暴れる中、あれよあれよと結婚式となるのですが、勢いでそのまま教会向かったのか(笑) 誓いの言葉と、竜達の戦闘シーンが交互に映され、決断を悩む香をせかす許嫁は、ついつい力強く、庶民を虫けら扱いしてしまう。
自分が生まれ育った世界の虚構と婚約者の醜さを知った香は笑いだし、誰かの命を守る為に戦う戦士となる事を誓う。
「じゃっかあしい! きったねえ手でさわるんじゃねえよこのスカタン!」
選民思想にまみれたお坊ちゃんと、いきなりのヤンキー言葉と、なんだか物凄く、井上敏樹を感じる所です(笑)
花嫁衣装で戦いの場に急ぐ香は、通りすがりのバイクを奪って疾走し、4人の危機に駆けつける。
鳥人戦隊・ジェットマン!」
4話にして初の、揃い名乗りが入り、5人は戦闘員を蹴散らすが、追い詰めたロードジゲンが巨大化。ジェットマシンで次々と攻撃を仕掛けていくがやはり白はうまくマシンを使えず、墜落。赤と黒が連係攻撃で助けに入ってロードジゲンは撤退するが、コックピットで白は気絶したままなのであった……で続く。
いっけん、未熟な戦士未満が決意を得て戦士として目覚めていく、という流れなのですが、その実態はキチガイによる汚染の拡大(笑)
いかにも旧来のスタンダードなヒーロー然として描かれ、作品中において“正しい事を言っている”筈の竜ですが、明らかに1話において竜の気が狂っているので、その後の全てが、狂気による感染拡大、という恐ろしい構造。
第1話前半の竜とリエの描写が、恋人同士の悲劇を強調するだけでなく、愛する者を失っておかしくなっている竜の変化を克明に炙り出しているというのが、実に計算された構成です。
そして戦いの動力源となっている復讐を、“地球と人々の命を守る為の正義の戦い”に置き換える事で、竜は自分の抱える悲しみと憎悪から自己防衛を行っているので、その戦場の狂気が天堂竜という人間を保つ為に欠かせなくなっている。
酷い(誉めてます)。
なお小田切長官はどうなのか、という話になりますと、戦隊の長官/博士ポジションが狂気を孕んでいるというのはごく一般的なので、当然、最初から向こう側の人なのです。
死して屍拾う者なし!