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『侍戦隊シンケンジャー』感想18

◆第二十九幕「家出提灯」◆ (監督:加藤弘之 脚本:大和屋暁
ダイゴヨウが源太の寿司の握り方に駄目出しを行い、売り言葉に買い言葉の末に、源太がダイゴヨウに解雇を通告。前回の今回でクビにされた提灯は、空を飛んで家出してしまう。
「飛べるのか……」
凄く普通に感心する殿、今回は全体的に緩め。
その頃ドウコクは、今日も元気に飲んだくれていた。
「まずい! だがもう一杯よこせ」
「まずいなら飲まなきゃいいだろうに」
シタリが小声でツッコんで杯を投げつけられた所へ、アクマロがちょっとナルシスト入った新たなアヤカシを連れてくる。
「お任せあれ! この俺の格好良さで、人間共を死ぬほど身悶えさせてやりましょう。ははははははは」
「なんだか気持ち悪いやつだね」
今日のシタリは、よくツッコむな(笑)
人間界では、ダイゴヨウがあちこちで就職活動を行っていたが、不採用で落ち込んでいた。提灯である事を全く気にせず、一般市民にがんがんアタックをかけるあたり、ガッツだけは溢れています。
川辺で黄昏れるダイゴヨウの元へ、天使センサーを発動させてやってくる姐さん。
「おいらはもう、皆さんとは関係のねぇ、ただの提灯でさぁ。ほっといてくだせぇ」
「ほっとけって言われても、そういうのあんまり得意じゃないんだよね」
モヂカラにより自立した意識が宿っているので、人工知能というか妖怪に近い扱いのダイゴヨウですが、無機物と女性キャラの絡みというと、大和屋さんの師匠(浦沢義雄)の得意技を思い出す所です(笑)
姐さんは、正論が人を傷付ける事もある、と生後一週間の提灯に大人の態度を説くが、説得に失敗して提灯は飛び去り、そこへ外道衆出現の連絡が入る。
「俺の格好良さを、思い知るがいい!!」
いちいちやられ芸をするナルシストアヤカシは多重分身の使い手で、斬っても斬っても本体を倒せず苦戦するシンケンジャーだが、アヤカシは乾燥肌で撤退。これは毎度の事ですしゲストライターに言う所ではないのですが、シンケンは毎度苦戦→乾燥肌撤退、が定例になりすぎているのは、マイナスな所。どんな戦隊でもある程度そうなる物語都合の怪人の一時撤退に理由を付けた所までは良かったのですが、“理由がある”為に、かえって撤退のさせ方そのものが適当になっている、というのはいただけません。
アヤカシの強力な術への対抗策を練るシンケンジャー、1人10体ぐらい分身斬ればいけるんじゃね? と、格好つけなくて良くなってきた殿は、段々てきとーな素が出てきました。実のところ殿が修行熱心なのって、強ければ殺し合いで全ての片が付くからで、十臓が殿にシンパシー感じたのも頷けます。
そう、世界を救うのは勇気でも知略でもなく、武力。
「料理が下手だってストレートに言われると傷つく気持ちはわかる」と源太に勝手にシンパシーを抱きつつ、ぶつけるつもりの牽制球を男衆に投げる姐さんは、源太と提灯の仲直りを仲介しようとするが、意地になっている源太は折れない。
「やなこった。俺はぜってぇ謝らねぇ」
「あっそう。だったらあたしが探しに行く」
茉子は街で提灯を探し回り、源太以外の4人もその後を追う事に。そして……ダイゴヨウは焼き鳥屋の軒先にぶら下がって客引きをするという、見事な再就職を果たしていた。
「姐さん……提灯てのは、なんだかわかりますか? 提灯てのは……提灯てのは世界を照らすものなんでさあ! 暗い闇を明るく照らし、人の不安を消し去り、正しい道を示す為に……おいら提灯は、その為に生まれてきたんでいっ!」
提灯、志高い(笑)
そんな提灯としての存在価値を親分(源太)に否定された事がどうしても許せない、と憤るダイゴヨウを、ぎゅっとする茉子。
提灯を抱きしめる茉子、それを遠巻きに見つめる4人、という、物凄く不思議な絵に(笑)
「もしもし、俺だ。折り入って頼みがある。焼き鳥を、買ってきてくれ」
「その必要はねえよ」
わざとらしく源太を焼き鳥屋へ向かわせようとする殿だったが、源太もまた、結局はダイゴヨウを探していた。やってきた源太は提灯に土下座して仲直り。
「結局、似たもの同士の意地の張り合いだった、て事よね」
そこへアヤカシ出現の報が入り、闇を照らすダイゴヨウに続いて、次々と格好良く名乗るシンケンジャー
シンケンジャー。長きに渡る因縁の決着、今日こそ付けさせてもらうぞ!」
「なに言ってんだ、今日会ったばっかじゃねえか」
「あいつはなんか、それっぽいこと言いたいだけでしょ」
「構うな」
前回アクマロが過去のシンケンジャーを知っている節の発言をしており(それ言うとドウコクも知ってるわけですが)、何やらアクマロ一党には血祭団とは別の因縁がある模様。
ドクロアヤカシの分身攻撃にやはり苦戦するシンケンジャーだが、ゴールドがその手に掲げたダイゴヨウがまばゆい光を放つ。
「ダイゴヨウ! 思う存分輝いて、俺たちに正しい道示してくれ!」

「外道照身霊波光線! 汝の正体見たり! 外道衆ドクロボウ!」
「うう〜、バーレたか〜」
(お約束)

により分身が消滅して本体が炙り出されるのですが…………これ、苦戦シーン、いらなかったのでは(^^; 話の流れとしては当然ダイゴヨウが活躍する流れですし、かといってダイゴヨウから言い出すわけでも、戦闘中に誰かが閃くわけでもなく、分身に苦しめられてやっぱり殿の作戦は無茶だ! となった後でゴールドが自信満々にダイゴヨウを掲げるというのは、ちょっと意味不明。
「ダイゴヨウ、十手打ち!」
やはり提灯とセットの新武器は十手モチーフのようで、ゴールドはドクロアヤカシの剣を叩き折る。殿は印籠をピンクに渡し、こんなエピソードでスーパー化した姐さんが真・天空の舞でざくっと成敗。巨大化後の分身技はダイゴヨウがディスク乱れ打ちで薙ぎ払い、最後は折神大海砲で滅殺。
寿司屋と提灯は角突き合わせながらも元の鞘に収まり、シンケンジャーに心強く志の高い仲間が増えるのであった。
というわけで、引退を覚悟した天才が置き土産のつもりで作った提灯はいざ引退を撤回してみるとなまじ魂を込めすぎた為に本人にとっては非常に鬱陶しい存在だった、という源太の立場からすると凄く腑に落ちるエピソード(笑) 注目は、凄くさらっと茉子を「姐さん」と呼ぶ提灯。早い! 調教早いよ!


◆第三十幕「操学園」◆ (監督:加藤弘之 脚本:石橋大助)
ナナシ軍団との戦闘中、何故か呆然と立ち尽くす妙な様子の学生達に戦闘を阻害されたシンケンジャーは、背後に外道衆の気配を感じ、学生達が通う鷹白学院にことは(転校生)と流ノ介(教育実習生)を潜入させる。
(半分近くの生徒がまるで人形のように覇気が無い……やはり変だ)
実は生徒達は、三途の川から妖術を用いるアヤカシ・クグツカイによって心を奪われ人形のように操られていた。学園の生徒達を全て操り人形にした上で殺し合いをさせる事が、アヤカシの目的だったのである。果たしてことはと流ノ介はアヤカシの正体を見破り、この外道の所業を止める事が出来るのか……というエピソードなのですが、この脚本家は前回担当した偽千明回もそうだったのですが、話がプロットだけで終わってしまって、そこから先の物語としての肉付けがあまりに足りない。
骨と皮だけしかないものを「料理です」と言って皿に乗せているのですが、食べる所が全然ありません。
例えば今回のエピソードは最も中心になっている部分を取り出すと、
〔ことは(と流ノ介)が高校に潜入する〕
というコンセプトなわけですが、そこで、何故ことは(と流ノ介)なのか?という部分が全く語られません。
加えて、千明より年下という事で、中退・休学中・そもそも高校に通っていない、などと色々と考えられることはが“女子高生を演じる”事によって生じるであろう様々な想いについて、一切言及されません。
そこを描かなければ、“ことはを高校に潜入させる”意味が無いのですが、ただ、ことはと流ノ介を高校に潜入させただけで、物語を書いたつもりになってしまっています。
その上、変な効果音でせわしなくことは(と流ノ介)を心配する千明や、流ノ介安定の滑り芸など、くどいぐらいのコミカルシーンで尺を使って(というか稼いで)いるのですが、そのシーン自体が悪いわけではなく、しかし、そこで尺を使うのなら、他に描くべき事がもっとあるだろうと。
なってない、激しくなってない。
そもそも単純に潜入させるだけならミスマッチで茉子と殿とかの方が面白くなるわけで(この辺りはキャラ回ローテの都合もあるかもしれませんが)、ことはを潜入させるなら、ことはの学生生活への想いなり、ことはでないと描けない要素を入れるべきでありましょう。あと例えば、最初は茉子が立候補するけど「いやー、姐さんじゃ無理があるでしょ」とかやり取りを入れておけば、花嫁回との対比になってシリーズ全体の連動性も出るわけです。
で、その辺りの意味が全く描かれていないので、ドラマの軸となる筈の、ことはがクラスメイト・恵里と仲良くなるくだりも、実に記号的。イベントですらなく、「記号」。
一応、学園に持ち込んだダイゴヨウを見られた事がきっかけになるのですが、その後ダイゴヨウが絡むシーンも特にないので、物語の要素の連動が一切ありません。
というわけで、ことはが学園に潜入する意味が描かれない→故にクラスメイトとの交流も単なる「記号」→結果、恵里を想うことはの描写も空回り、という地獄の三段跳び
更に更に、潜入初日に成果が得られなかった事に対して、彦馬が「とにかく明日こそ、かならず外道衆を見つけ出すのだ」と言ってしまうのですが、メタ的には短期で解決するとわかっていてもいいわけですが、劇中の人物達が短期で解決するつもりなら、「転校生と教育実習生」という潜入手段は極めて不自然と言わざるを得ません。
そこは本来ネタ都合で許してもいい所なのですが、何が引っかかるかというと、潜入手段そのものが不自然な為に、ラストのことはの「また転校する事になりました」という別れも、物凄く不自然になってしまう事。
明らかにこのシナリオは、最後を「また転校」というある種のお約束で締めようとしているわけで、それなら最初からそこへ向けて組み立てなければなりません。その為に重要なのは「転校生」という設定の必然性を高める事なのですが、それを自ら破壊してしまっている。
この彦馬の台詞は完全に余分なものであって、これが無ければ「転校生と教育実習生」はネタ都合で許される範囲なのですが、余計な台詞で物語から説得力を奪ってしまっています。
もしかしたら自覚があったのか、ラストでやたらに流ノ介が滑り芸を連発するのですが、それはそれでちぐはぐ。
これなら、「実はシンケンジャーとして目的があってやってきた」というのがクラスメイト達にバレた上で送り出された、という方がよほど納得がいきます(雰囲気的に皆わかった上で、ことはの演技に付き合っている可能性もあるけど)。
技術論云々とは別に、この脚本家とセンスが合わない、という可能性もありますが、物語というのはただイベントが順々に置いてあればいいわけではなく、それが有機的に繋がってこそ美しいわけです。
何が一番引っかかるかというと、これで綺麗に締めたつもりになっているぽい所が、実に腹立たしい(笑)
まあ加藤監督もこの時期はまだ、戦隊のローテ入りをした頃ぐらいなので、演出でフォローしきれなかった所や各シーンのウェイトの置き方など、割り引いて見るべき部分もあるかもですが。
で、話の方ですが、流ノ介が色々と誤爆している内に最後に残った恵里も人形とされてしまい、それを悔いることはが、恵里の手首に巻き付いた見覚えのない紐に気付く。ダイゴヨウでその紐を辿ってアヤカシの潜伏場所を暴き、シンケンジャー集合するが、操り人形達を人間の盾にするカニアヤカシ。
赤と金の即席コンビネーションによる空中攻撃もディフェンスされてしまうが、イエローがモヂカラで「穴」を作ってブルーが飛び込み、スーパー化しての地中からの奇襲で成敗。……て、今回、黄がスーパー化する順番では無かったのか(^^;
なお、たまに凄い爆弾を投げることはが、人間の盾を穴に落として無効化するのかと思った事を、ここに告白します(笑)
巨大化したアヤカシに対して折神を召喚するシンケンジャーだが、変形合体中にダイゴヨウが獅子折神を弾き飛ばした結果、ダイゴヨウを中心に4つの折神が手足になるという、シンケンオー御用が誕生してしまう。
「な、なんか、ようわからんもんなってもうた」
「あれ? 殿? 殿ーーー」
「…………」
「もういいよ。このまま行こうぜぇ!」
「そうね。なんか新鮮な気もするし」
「おまえら……また俺余ってるだろ!」
あ、覚えてた(笑)
どうやら、ダイゴヨウの手足のジョイントがシンケンオーと共通規格のようで、玩具ギミックの要請ありきかとは思いますが、ここは面白かったです。ちゃんと殿が昔の事を覚えていたのも良かった。
アヤカシにイカが奪われて大海王が吹っ飛ばされるが、折神の伸縮ギミックを用いた電光ダイゴヨウキックから、本来腕パーツとなる筈だった十手を武器に使う十手一直線により、シンケンオー御用がアヤカシを刺殺。
……もう、ダイゴヨウ以外のメカは要らないのでは。
久々に酷いシナリオを見てしまいましたが、良かった探しをすると、クグツカイはカニっぽい大枠の中に操り人形が収まっていて、どちらが本体にも見えるという、気持ち悪いかつ秀逸なデザインでした。見せ方も良かった。次回――荒ぶるダイノガッツ?