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『烈車戦隊トッキュウジャー』感想43

◆第43駅「開かない扉」◆ (監督:加藤弘之 脚本:小林靖子
「また、我々にまで、剣を向けられるような事は」
ネロ男爵、遂に気付く。
そこには、気付かないで欲しかった……。
そんなわけで、前回フルアーマー陛下ZZにずばっと斬られたネロ男爵とモルク侯爵が玉座へ向かうと、衣装の重くなった陛下は床にどかっと座っていた。
「ネロ。また吹っ飛ばされたくねえなら、黙ってろ」
威嚇されたーーー。
ゼットが手に入らないキラキラを求めるのは何故か? 推論のあるモルク侯爵は、その確認の為に、ドールハウスシャドーを放ち、4号と5号がその能力でドールハウスの中に吸い込まれてしまう。ドールハウスシャドーは、閉じ込めた2人ごとドールハウスを燃やしてしまうと予告。残った4人は、急ぎ指定された場所へ向かう事に。
「もしカグラとヒカリに何かあったら――絶対に許さない」
怒りで目の据わっているライトの様子に、違和感を覚える明。……見た目、熱出した時と演技が同じなのがちょっと困りますが(笑)
実は、シャドーラインが地上に侵攻した手始めに呑み込んだ街が昴ヶ浜であった。そしてその中に、トッキュウジャーとなる5人の子供が居た。皇帝がまだ深い闇の中にあった時の出来事は、果たしてどんな意味を持つのか……。
幹部達の言動などを素直に受け止めるとシャドーライン自体はかなり以前から存在していると思われるのですが、「はじめての地上侵攻」が昴ヶ浜だったらしく、それまでは地下に鉄道王国を築いていたのか? シャドーラインとレインボーラインの関係は話がここまで進んでも謎だらけなのですが、果たして残り話数で物語の核心に組み込まれるのかどうか。
概念的な、永劫に闘争し続ける“光”と“闇”みたいな感じも強いですけど。
4人が立ちふさがるクローズ達を蹴散らし突き進んでいる頃、ヒカリとカグラの入ったドールハウスは炎に包まれつつあった。ドールハウスシャドーがハウスを揺さぶった際に窓の隙間から飛び出したカグラの靴が、元通りの大きさで地面に転がっているのに気付いたヒカリは一か八かの脱出策を閃き、ありったけの剣玉の替え紐を結び合わせて一本に繋ぐ。
「こんな所で終わるわけにはいかないだろ。絶対、脱出する。俺たちの街へ、帰る為にもね」
その言葉に止まるカグラの手。
「どうかした? 今日ちょっとおかしかったけど」
「夢……見ちゃった。パパ達に、あたし、ってわかってもらえなくて……家に、入れなかった。わかってた事なのに、夢でもそうなってみると、凄く……帰るの、怖くなっちゃった」
アバンタイトルに置かれたカグラの夢は、家に帰ったカグラが両親からキ○ガイ扱いを受けて叩き出されるという、今作における“喪失”を真っ正面から割と尺を取って描き、なかなかえぐいシーン。
「大丈夫、って、言った方がいいんだろうけど……」
「ううん、そんなの、誰にもわからないもん」
いよいよ炎が燃え広がり、タイムリミットが迫る中、ヒカリは、出来る限り長くした紐を玉に結びつけた剣玉を構える。
「カグラ……前に言ってたよね。この剣玉、大事な人に貰ったのかも、って。……当たってる。俺のお祖母ちゃんがくれたんだ」
それは、母親が仕事で帰りが遅く、ライト達と会うまでほとんど友達もいなかったヒカリに祖母がくれたプレゼントだった。
「俺はずっと、苦労してるお祖母ちゃんと、優しいけどちょっと頼りない母さんを、守りたい、って思ってた」

――強くなりたい 野々村洸

「だから俺には、大人になるのは悪い事だけじゃない。俺の事、わかってもらえなくったって。――母さん達を守れるから」
例え自分がそこから「喪失」するとしても、今、「喪失」している家族の時間を取り戻す為に――。
この“喪失”というのは小林靖子が好んで取り扱う要素の一つですが、一つの「喪失」を先に置いておく事で、未来に待ち受けるかもしれない「喪失」と天秤ばかりに乗せてバランスを取るという、巧いけどエグい構造。エグいけど巧い。
「カグラ、俺にしっかり掴まれ。チャンスは一瞬しかない。……カグラ?」
「……私も……私もそうする。パパと、ママとダイキを、私が守る!」
イマジネーションの産物=“子供のごっこ遊びの延長線上のヒーロー”として走り出したトッキュウジャーが、記憶の回復を経て、自分達の子供時代の喪失の可能性を知る。
その上で彼等は、大人になってしまった自分達がやるべき事として、
子供時代の自分に胸を張れる、良い大人(=ヒーロー)になろうぜ
という道を選ぶ。
32話と続く33話で主に描かれたテーマの補強なのですが、今作の背骨になっているのは、
子供にとっての地続きな世界で身近なヒーローって誰だろう?
それは“良き大人”ではないか(そうあるべき、というのも含め)。
という、ヒーローの日常への着地なのだな、と。
ライトの祖父、トカッチの兄、ミオの父……それぞれがそれぞれのヒーローで、5人はその後を追いかけていく。そして5人は彼等に、そしてかつての自分達に、恥じないヒーローであろうとする。
物語の構造そのものが、受け手に向けたメッセージになっている。
決して派手では無いですがヒーロー論の一つの形として、素晴らしい構成だと思います。
正しく『トッキュウジャー』は、誰だってヒーローになれる、という物語なのだなぁ。
そしてこの構造ゆえに、そもそもの始まりが“ごっこ遊びの延長線上が意識されたヒーロー”という事が、大きな意味を持つ。
“ヒーローを夢見る子供達が、現実にヒーローになれる物語”として完成している。
素晴らしい。
展開の都合でちょっと、夢の中のイメージとはいえ、カグラの両親だけ扱い悪くなりましたが(^^;
(両親はレストラン?やっているみたいなので、カグラのパティシエ回を拾った形で憧れの存在として繋がっているという解釈はしていいと思いますが)
指定された場所に辿り着く4人だったが、その目の前で焼け落ちて灰になるドールハウス。その光景に膝をつく1号の体から、沸き上がる闇のオーラ……?
だがその時、姿を見せる4号と5号。ドールハウスが燃え尽きる寸前、ヒカリが窓の隙間から剣玉を飛ばし、外に出るにつれて元の大きさに戻っていく剣玉に引っ張られる形で、2人は童瑠匍州火炎地獄からの脱出を果たしたのであった。
意外と素早い動きのドールハウスシャドーだったが、5号との連携から4号が派手な飛び蹴りを浴びせ、倒れた所をハイパー1号がダイカイテン砲で撃破。
巨大化したドールハウスシャドーは超超トッキュウダイオーをドールハウスの中に引きずり込もうとするが、自身も一緒に引きずり込まれてしまい、同じ大きさでのドールハウス内での戦いに持ち込まれて、ジ・エンド。
どだい着ぐるみロボットは、中に人が入っているのをセットや光源、カメラ割りなどで巨大に見せているわけで、室内セットに入れてしまうのは掟破りかつ危ない手法なのですが、セットをドールハウスの内部(洋館の中)というやや非現実寄りの空間にした事で、破綻しない範囲で収めました。あと、超超トッキュウダイオーがキャタピラ移動(歩かない)、というのも活きた。
そして――この戦いの様子を見つめていたモルクとゼットは、一つの結論に達する。
「間違いありませんな。陛下がキラキラに引き寄せられる原因は……トッキュウ1号」
次回、そういえばなってなかった6号ハイパー化。
そしてグリッタ再登場、ライトの身に迫る闇、と激動の予感。
初期から可能性の一つとしてあった、光のライト/闇のライト、的なものだとお約束に過ぎる感じですが、さて、ここからどうまとめてくるか。今作の背骨のテーマについては今回である程度やりきった感はあるので、後は「乗り換え」なども含めて散りばめた要素がどこまで綺麗に繋がってどう着地するかですが、正直未だに、期待半分、不安半分ではあります(^^;(シャドーラインについてあまりに語られていないので) ただ、全て綺麗に繋がれば、大傑作になると思うので、期待を込めて楽しみにしたい。