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世界導く光になれ――『Gのレコンギスタ』感想・第16話

◆第16話「ベルリの戦争」◆ (脚本:富野由悠季 絵コンテ:斧谷稔 演出:森邦宏)
ベルリとアイーダに「会わせたい人物が居る」というフラミー達に案内されるベルリ一行。道中では、シラノV内部の環境の描写があり、オリーブの木を見たノレドが、「火星か金星から持ってきたの?」という発言。
宇宙世紀80年代の時点で人類は木星まで到達しているので、その後の歴史で火星や金星が開発されていてもおかしくはなく、旧世紀の世界観がさりげなく広がる台詞になりました。
麻や胡麻が栽培されていたり、鶏が飼われていたり、地球よりは技術文明の発達しているとおぼしいトワサンガですが、見るからにSF的な描写はほとんど無く、非常に素朴な農村の一風景、といった風情。
その一方で、
「ひょっとするとこの下が、すぐ宇宙ですか?」
「そうみたいだな」
と、あくまで地球とは異質な世界である、というギャップが描かれています。
キャピタル・タワーのナット内部も農村のような風景が描かれていましたが、「水の球を見ていると落ち着く」というチュチュミィ効果のようなもので、人間が宇宙で長期間生きていくにあたっては、大地が必要である、というのが今作の世界で構築されたモデルなのかしら。
そしてレジスタンスのリーダー格?に引き合わされたベルリとアイーダは、衝撃の真実を知る。

「生まれ故郷へご案内申し上げたいのです。レイハントン家の王女様と」
「レイハントン家の王子様」

アイーダとベルリは実の姉弟であり、地球へ亡命したレイハントン家直系の王女と王子、ドレット軍が気にしていた「レイハントン家の生き残り」だというのだ!
レジスタンス勢力はYG−111とラライヤが偵察任務を帯びて地球に派遣される事が決まった際に、YG−111にレイハントン家のDNAデータなどを組み込み、正規パイロットであるラライヤを除くと、レイハントン直系の人間しか操作できないように仕掛けを施していたのである。
様々な運命の悪戯によりG−セルフに見いだされ、導かれた2人はレイハントン家の邸宅に案内され、そこでおぼろげに“覚えのある空気”に触れると、アイーダは戸棚に隠されていた両親と幼い自分の写真を発見する。物心付くか付かないかの内にドレット軍の目を逃れる為に地球へ連れて行かれた2人は、そこで姉弟である事を伏せられたまま別々に預けられ、養子として育てられていたのである。
アメリアが「帝国」で「大統領制」で、しかし「スルガン総監が皇帝とは思えない扱い」で描かれて以降、アイーダ「姫様」というのが少し謎で、
もしかして:あだ名
疑惑もあったのですが、詳細は別として、「スルガン総監が(月の)さる高貴な血筋から預かった人物」という所まではアメリア軍内部で共有されていた、という理解で良いのか。
アイーダが養女である事について本人も周囲もこれまで全く触れていませんでしたが、姫様、“そこ”には驚いていないように見えますし……「姫様」ってずっと伏線だったのかもしかして(笑)
とすると、繋がりがあったからアイーダを預かったのか、アイーダを預かった縁で繋がりが出来たのか、の後先はわかりませんが、スルガン総監はトワサンガの保守勢力とのパイプを持っており、タブー破りの設計図の横流しを得て軍備を増強してキャピタル・タワーを占拠後、月の保守勢力と手を組むという絵図だったのかもしれません。
思えば、“宇宙からの脅威”について最初に情報を仕込んできたのはスルガン総監という事になっていますし、保守勢力からの情報で予想よりドレット軍の動きが速い事を知り、計画の修正を求められたのが現状、という事か。
この辺りは裏読みなので実際どうなのかはまだわかりませんが、そう考えていくと、ベルリとアイーダが地球における保守(キャピタル)と革新(アメリア)、別々の勢力に預けられたのは、一方的に利用されない為の用心だったようにも思えます。
「私達は、あなた方のこの仕掛けに乗せられて、とても酷い現実と対決してきました。勿論、私達を育ててくれた、スルガン家とゼナム家の気質を受け継いだという事もあるでしょう。けれどG−セルフを操れたお陰で、私は恋人を殺され、ベルリは……弟は、人殺しの汚名をかぶる事になったのです」
真実を知り、それを受け入れながらも、レジスタンスのおじさん2人を糾弾するアイーダ
…………………………こいびと?
姫様、少し、盛ってませんか(笑)
そもそもベルリに「人殺しの汚名」を被せているのって、劇中で描写されている限り、姫様だけですし、あなた達のせいで酷い目に遭ったというのを強調する為に、色々と、盛っている気がしてなりません。姫様が、自分だけではなく、ベルリの為にも怒っている、というのも事実ではありましょうが。
「あなた方に使命というもの、理想とする目的があるにしても、そのようなものは、私は私自身で見つけて、成し遂げます」
「姉さん……」
「時代は、年寄りが作るものではないのです」
ここで、アイーダの背後、上手側の窓からの明るい光をカメラが映し、かなり直球で、アイーダの台詞を演出的に肯定。13話ラストより続けて、アイーダが、物語を光へ導く存在になりつつあるようです。
一方で、この前のシーンでは「戦争を面白がる世代が出てきている」「僕の事ですか?」というようなやり取りがあり、実際に戦争大好きクリムが時代を動かそうとはしゃいでいたり、マスクが戦闘をとことん利用しようとしていたり、若者達は必ずしも善良でも純真でもなく、その中でアイーダが一体どんな道を見いだすのか、というのが今後の大きな鍵になりそう。
と、ここで姫様に姫様として、焦点が当たって参りました。
この後、OPで使われたベルリとアイーダが2人でテラスで会話するシーンを挟み、一行は一度、メガファウナへと帰還。その頃、シラノVにはスペースガランデンが近づいていた。
「トイレットペーパー1つが貴重品だというのに、コンテナを流すとは何事か! 防犯長、全員に気合いを入れておけ!」
流されたコンテナを回収するバララ機がまず描かれ、相変わらず細かく世界観を散りばめます。
太陽電池パネルの北側の光は、鉱物資源を掘り出している施設ですね」
そして、月の赤道上の人工物が、太陽光発電のパネルと判明。フォトン・バッテリーのエネルギー源はこれと考えて良さそうです。
一番最初にザンクト・ポルトを離れた筈なのに、一番最後にやってきたスペースガランデンには、いつの間にやら乗り込んでいたクンパ大佐の姿が……て、大佐待ちで遅れたのか?(^^;
「あの中心の隕石が、シラノ・ド・ベルジュラックの鼻に似ているとか」
シラノVの名前は、『月世界旅行記』の作者に由来している、という小ネタ。
ガランデンが入港を許されたアパッチ港には、クリムがアメリア大統領の息子と知られた事で、ゲスト扱いとなったサラマンドラが停泊しており、政府関係者や市民の他、マッシナーやロックパイなど軍部の人間も出迎える、と表面上は穏やか。
ここで前回、クリム達を捕らえたガヴァン隊のMSが青いフィールドを通り抜けて外へ出て行くのですが、フィールドの内側から外側へは大気が洩れない上で、物質が擦り抜け可能という、トワサンガの超技術の模様。
またも敵味方が入り乱れて一堂に会するという混沌とした情勢になっておりますが、それぞれの考えている事というと、

マスク「向こうの軍事力をいただいて帰るには、一度は仲間になってみせる」
マッシュナー「あのな、ここに入港させたら両方ともこちらのもんなんだよ」
ミック「キャピタル・アーミィがやる前に、ドレット艦隊の主導権を奪うつもりなんでしょ」

みんな、「おまえの物は俺の物」だと思っていた!
一方、ベルリはガランデンから事情を聞き出すと言って、ひとり勝手にG−セルフを出撃させていた。
G−セルフは港を出て、サウスシラノの円筒の下を進み、ベルリはその円い外壁を睨みつける。
「この上に……というより、こんな物の上に林があったり、窪んだ土地の農家や、僕の生まれた家や池もあるって事? こ、こんな景色の所が故郷だなんて。……こいつに親のDNAが仕込んであったからって、そういう事を呑み込もうと努力している時に、なんでガランデンが来るんだよ!」
真実を伝えられた当初、アイーダの前では平然としてみせていたベルリだが、思い人であるアイーダが実の姉であった事と、地球とはあまりに違うシラノVが故郷であるという事実に、苛立ちを募らせていく。
ついでの感じで触れられていますが、「池」というのがコロニーの環境を考えると、かなり“無駄”というか、水たまりそのものに、ステータスシンボル的な意味があるのかなー。
メガファウナでは、ガランデンが軍港に正面から受け入れられる事に関して、ドレット軍とトワサンガ政府の感情的確執がある、と今日も軽い感じでリンゴくんが解説。
「憎んでいるんだよ! 居残り組は艦隊の連中をさ! ね!」
「憎んでいるんですか?」
「地球に住みたいって奴等は一杯居るんだよ。だから、地球に降りられたラライヤみたいのは憎まれるから、守ってやらなくちゃならないんだ!」
騎士道精神、というよりは下心丸出しの雰囲気で、ラライヤの肩に手を回すリンゴ。
「事のついでに手を出しやがって!」
前回ラライヤが妙にリンゴに冷たかったのは、見えない所でナンパされていたのか(笑)
今作これまで、恋愛感情の有無はさておいて男女のパートナーは基本的に雰囲気が良かったのですが、女の子に言い寄って冷たくあしらわれるという、新たなパターンが登場。
ラライヤはリンゴをもぎ離してモランに乗り込み、G−セルフを連れ戻す為にアルケイン等と出撃するが、G−セルフは港へ近づく前にガヴァン隊によって囲まれていた。
「応答が無いという事はその機体、地球人が操縦しているんだなぁ!」
「なんだとぉ!」
(ここで生まれたって、地球人ってか――)
電磁ネットをかけられるG−セルフだが、ビームライフルとシールドについたバルカンで何とかこれを切り抜けると、
「お前達は事情も知らないでぇ!」
ビームサーベルを振り回して大暴れ。ガヴァン隊のザックスを圧倒する。
「こ、これ……YG、てのか……」
「殺しはしない! けど、今度僕らの邪魔をしたら、容赦はしない! 僕には姉さんだって居るんだから、今度は!」
「あ、あの姿……大昔……ガ、ガンダムとかいう……」
ガヴァン部隊は撤退し、G−セルフはアイーダ達によって回収される事に。強がって平静を装いつつも、ベルリは苛立ちを押さえきれない。
(あんなものを生まれ故郷にしろっていうのか……!)
そんな諍いとは別に、ガランデンはアパッチ港に入港し、クンパ大佐とトワサンガの首相は握手をかわす。ここでもあくまで「地球人もようやく自力で宇宙戦艦を作れるようになったので、トワサンガまで来てみたよ!」という事なのか、表向きは和やか。
どこもかしこも寝業足技腹芸の応酬なのですが、現在これで


〔キャピタル〕
スコード教キャピタル・ガード、調査部−キャピタル・アーミィ
アメリア〕
メガファウナ、大統領派、総監派
トワサンガ
ドレット軍、政府、反戦レジスタンス、ヘルメス財団
ゴンドワン
と、部分的に裏で繋がっている可能性も含めて、各勢力各派閥が入り乱れており、敵とか味方とか正義とか悪とかわかりやすい構図は一切無いというのが徹底されております。
「あの戦いは、必要だったんですか?」
「みんなこの人達のお陰でこうなったんでしょ!」
メガファウナへやってきたレジスタンスへ怒りを向けるベルリは、シャワーを浴びて一息ついたと思ったのも束の間、再びパイロットスーツを身につける。
「宇宙では生き延びる事だけを意識しろ。これはキャピタル・ガードの鉄の掟です」
「ベルが勝手にガランデンに行こうとしなければ……」
アイーダさんが、姉さんだなんて言われたら、いい加減、おかしくなるだろ!」
格納庫へ向かったベルリがヘルメットのキャノピーを閉じた後ですぐにまた開けたのはちょっとよくわからなかったのですが、あわよくばそのまま勢いで再出撃しようと思ったけど、G−セルフが電磁ネットのダメージで修理中だったので、さすがに無理だと思ったのか……?
「何が、レイハントンだ……!」
いつになくベルリが不安定となり、不穏な空気を漂わせつつ、次回へ続く。
Aパート今ひとつのれなかったのですが、最後、モチベーションとアイデンティティを激しく揺さぶられたベルリが、自分の芯として、キャピタルガード鉄の掟を持ち出してしがみつく、というのは非常に良かったです。
とはいえそれも“言い訳”に使っているだけで、真っ当とは言い難いのですが。
元々、キャピタルの権力階級の子供だったベルリが外の世界に連れ出されるという構図があったのですが、そのベルリはそもそも異郷の貴種だったという、貴種流離譚の二重構造であった事が判明。アイーダが世界導く光になる道を進みつつあるように見える中で、逆にベルリが鬱屈を溜め始める、と劇中における陰と陽のスタンスがここで逆転。姫様が姫様の道を見いだしそうな中で、果たしてベルリは自分の役割を見つけ、立ち直る事が出来るのか。
次回………………えー……あれは、オーバーマン?(^^;