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『鳥人戦隊ジェットマン』感想8

◆第13話「愛の迷路」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:井上敏樹
何事も、エキセントリックな部分だけを抽出してさも本質のように取り上げるのはあまり宜しくないとは思うものの、実に『ジェットマン』の『ジェットマン』たる要素が濃縮された凄い回。
竜が26歳の誕生日を迎え、スカイキャンプではささやかな誕生パーティが行われる。香が手作り料理を並べ、その様子にジェラシーを見せる凱は不満げ。
純粋培養のお嬢様である香に料理なんて出来るのか? と思ったのですが、アコによると一ヶ月ほど料理教室に通っていたそうで、ちょうど立ち上げ展開が終わった辺り(6話まで)で香の気持ちが明確に竜に向いた、というのが改めて裏打ち。
「おまえ、香の事、どう思ってんだ?」
成人男子として香の感情に気付かない筈はないだろうに、あくまで無頓着を装う竜に正面から豪速球を投げつける凱だが、竜はいつもの決まり文句でそれをかわそうとする。
「俺たちは戦士だ! 俺も香も戦士なんだ……ただそれだけだ!」
「ふざけるな。てめぇはいつもそうだ。なぜ本音を吐かねえ。俺たちは戦士である前に人間だ! 男と女だ! それとも何か……おまえ、一度も女に惚れた事がねぇってのか」
凱は知らず、竜の狂気の根っこをつついてしまい、亡きリエの事を思いだして無言になる竜に掴みかかる。
「これだけは言っておく。俺は香に惚れてる。必ず香をおとしてみせる。誰にも邪魔させねぇ。お前にもな!」
(凱、おまえにはわかるまい。俺だって……)
・・・しばらくバカップルの回想シーンをお楽しみ下さい・・・
リエの弾いていたピアノ――ピアノソナタ第23番ヘ短調OP.57「熱情」(ベートーベン)、の響きを思い出す竜。
(なぜ死んだんだリエ……もう一度、もう一度おまえのピアノが聞きたい……)
竜は「戦士である自分」という虚像を作る事で自己防衛しているので、「戦士である前に人間」という事を認める事が出来ない。そして極めて純粋に“人間”である凱は、その歪みにどこか気持ち悪さを感じている。
凱は竜の虚飾に本能的に気付いているけど、それこそが戦いの原動力であるので、竜はその指摘を受け入れる事が出来ないというのが、物語の土台に組み込まれていて、改めて良く出来た構造です。
その頃街では、マリアが作り出したカメラジゲンによって、人々が次々と写真の中に吸い込まれ、消失していた。自信満々の経過報告会ではラディゲがまたもマリアにセクハラし、そんな事はどこ吹く風で、人差し指一本で拙くピアノを弾くグレイ。
「変なやつだよな……ロボットのくせに音楽を愛するなんてさ!」
引き込まれるようにピアノに近づいたマリアはそれを華麗に奏で、そんな自分に困惑する。
そのメロディは――「熱情」。
スカイキャンプでは、香が手編みの真っ赤なベストを竜にプレゼントする。が……
「受け取れないな」
「え?」
「すまない。でも、どうしても受け取れないんだ」
凄いなぁ。
軽快で楽しげなBGMが一転、一気に悲しいメロディに変わり、走り去る香、それを追いかける凱。
「どういうつもりなんだ竜! 香さんを傷つけるやつは、僕が許さない!」
(すまない香……俺は、俺はリエの事が……)
「前にも言った筈だ! 惚れるんなら俺に惚れろってな! 俺を見てくれ! 俺を見ろ! おまえに惚れてる男は、ここにいる!」
香を抱きしめた凱は、強引にキスをしようとして、平手打ちを浴びる。
……凄いなぁ(笑)
「何故だ……なぜ俺の気持ちがわからねぇ!」
そこへ雑魚兵士を引き連れ、姿を現すマリア。
「ははは、お邪魔だったかしら、ジェットマン
一方、スカイキャンプでは竜にくってかかった雷太が、なぜか香に押しつけられてしまったベストを見つめてうなだれていた。
「つらいもんですね、アコさん」
「何が?」
「自分の好きな人が……他の誰かを好きだなんて」
香、モテすぎ……はまあヒロイン特権として仕方ないとして、女子高生に恋愛相談するな。
バイラムではグレイがマリアを真似てピアノを奏で、それをBGMにカメラジゲンが香と凱を襲撃。
誕生日を祝われる→一方的恋敵に突っかかられる→死んだ女が忘れられない→プレゼントを突っ返す→暴走気味に言い寄った男がはたかれる→もっさい第三の男も恋心を告白
と泥沼ジェットコースター展開の一方で、今回も充実の生アクション。激しい戦闘の末に追い詰められる2人だが、3人が救援に駆けつける。しかしカメラジゲンのレンズビームを浴び、香が写真の中に閉じ込められてしまう!
「私の思い出となれ、ジェットマン
マリアは香を幽閉したアルバムを見せつけて高笑いし、ひたすらピアノを弾いているグレイの背中で、つづく。
……凄いなぁ(笑)
サブタイトル通りに愛と(隠れた)狂気が複雑に絡み合い、それを蓑輪監督も腰を引かずに演出し、お見事。