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『侍戦隊シンケンジャー』感想28

◆第四十一幕「贈言葉」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子
外道衆総大将・血祭ドウコクの恐るべき強さを目の当たりにし、まともに戦っては勝ち目が無いという現実を噛みしめるシンケンジャー。これまでの戦いを経てきた事により、「正直、それなりに何とかなるんじゃないかと思っていた」というのはメンバーのリアルな実感として納得でき、それを打ち砕かれた事でドウコクが如何に脅威か、というのも巧く強調されています。
重傷の丈瑠を見舞い、思い悩むことは。
(殿様……あんな無茶しはるなんて。やっぱり、なんか違う……茉子ちゃん、なんか気付いてはるみたいなのに、なんでうちに言ってくれへんのやろ)
大丈夫、野郎共にも言ってないから!
ことはは彦馬から姉よりの手紙を受け取り、自分を心配する文面に目を通す。そこへ4人がやってきて、源太は初めてことはの姉の存在を知り、「もしかしたら年上のお姉様が居たかもしれないのか……」と妄想にふけるが、千明につつかれて、慌ててフォロー……はいいけど、断然ことはちゃん良かった派って、なんか危ないぞ、源太。
ちなみにここの千明のアクションは、「ことはの姉の件に安易に触れるんじゃねえよ!」なのか「姐さんの前で滅多な事言うんじゃねえよ!」なのか、どちらとも取れて解釈にちょっと悩みます(笑) 両方、かもしれないけど。
源太は時折、思い出したように“綺麗な女性に弱い”みたいな面を見せるのですが、割と適当。よくよく振り返ってみると今作、女性ゲストの出てきた記憶がほとんどなく、男性陣と女性キャラクターとの絡みそのものが少ない。
流ノ介は、姐さんに魂を背骨ごと折られて以来、女に近づかなくなったし。
そういう点でも殿:総受けという作品構造なのですが、思えば『未来戦隊タイムレンジャー』(2001)はタツヤ:総攻めだったので、えー……これ、意図的なのか?(笑)
ゴールド寿司で食事を取りながら、自分はやはり味噌っかすではないのか、もしも自分ではなく姉がシンケンイエローだったら茉子も殿様の事を相談するのではないか、とますます思い詰めることは。
(うち、甘えてるわ……)
ところでそろそろ、外で寿司食べるのが辛そうです(笑) 今作、私服戦隊なので野外シーンでは皆がっちりコート着ており、リアルに寒さが見て取れます。特にことは。若さにも限界があると思う。
その頃、シタリは六門船の床を磨きながら「へっへっへ、アクマロ様の為にピカピカにしときやしたぜー」と這いつくばって……いなかった。前回シタリを思いっきり後ろからはたこうとしていたアクマロですが、ドウコク抜きでは相手をする必要も特にないと考えているのか、シタリの事は歯牙にもかけず、配下のアヤカシに指示を下す。
「地獄というものが本当にあるのか……あるのであれば、どれほどの絶望や嘆きなのか。それを味わいたいのでござります」
「な、なんだって?」
「ほほほほほほほほ」
(こいつは頭がおかしいよ……ドウコク、おまえさん、このまま、終わりじゃないよね)
シタリさん、豪速球。
アクマロの命を受けたアヤカシ(ヤマアラシ+象?)は地上で人間に砂をかけ、その砂を浴びた人々は幾ら飲み食いしても飢えが満たされないという飢餓地獄に苦しむ事になる。アクマロがこれまで繰り返してきた、シタリ曰く「地獄ごっこ」、その真の目的は、人間の苦しみを土地に刻み込む事にあった……と、いよいよ見え始める、アクマロの野望。
悪側のバリエーションの弱さは今作の欠点の一つなのですが、ひたすらヒャッハー系のドウコク達に対し、アクマロがマッド系の面を見せてきたのは、今更ながら差別化されて面白くなって参りました。出来ればこの、アクマロの頭おかしい感じは、もう少し早く入れて欲しかったなぁ。
飢えた人々がゴールド寿司を襲い、アヤカシに立ち向かうシンケンジャーだが、焦るイエローが単身でアヤカシに挑んで苦戦。変身解除級のダメージを受けたことはをかばって青と桃が砂を浴びてしまい、続けて緑と光も砂をかけられてしまう。傷を負ったアヤカシは一時退却するが、シンケンジャー4人が飢餓の呪いによって戦闘不能に陥ってしまう。
俺にカレーを食わせろーーーーー状態となり、屋敷で縛られる4人ですが、姐さんは別に縛ってあげてください、と痛切に思う(笑)
まあこういうのはどうしても、一緒にしないと映像的にまとまりが悪くなってしまうのでしょうが(^^;
「気に病むことは無い。逆の立場であれば、おまえも誰かをかばったであろう」
縁側で横笛を吹くことはを励ます彦馬。
「でもうち、お姉ちゃんの代わりが出来てへん。殿様や、みんなが優しくしてくれるのに、甘えてたんです」
「どうかな。皆がそれほど、おまえを甘やかしているとは思わぬが」
「……うち、最近、殿様の様子が変やなって思ってて、でも、茉子ちゃんも気付いてはるみたいなのに、うちに心配かけへんように、なんも」
笛の音に目覚めた殿が、この会話を立ち聞きしている表情がいちいち映るのですが…………殿、もしかして、ことははともかく、姐さんに何も気取られてないつもりだったのだろうか(笑)
「きっと、今までにもこんなんが沢山あったんです。うちが、気付かへんだけで。でも、今日気が付けて良かった。みんなについていくだけじゃなくて、お姉ちゃんやったらしてた事、うちも」
姉の代わりにシンケンイエローとなった自分は、姉なら出来たであろう事をしなくてはならない……とことはの抱えている、憧れと入り交じったコンプレックスが、ここに来て大きく浮かび上がります。
また、姉大好きの延長線上にある茉子の理想化が、かえってことはを苦しめている、というのは面白い構造。
姐さんはことはに気を遣っているというより(ゼロではないでしょうが)、明らかに独りで抱え込むタイプなのですが、ことはにはそこが見えない。ことはの持つ劣等感と入り交じった茉子という身近な存在へのやや盲目的な美化を描く事で、ことはの姉に対する過度の憧憬が感じ取れる、というのは絶妙な案配。
今作は正直、中盤もたついていた印象があったのですが、ここに来て色々と、仕込みが綺麗に繋がってきた感じがあります。
一方、自室に戻った丈瑠は彦馬の言葉を思い出していた。
――「志波家18代目を背負うとは、その全てを呑み込んでこそ」――
(――中途半端な覚悟ほど、みっともないものはないな)
翌日、砂かけアヤカシが先日御大将がカーニバルした海岸に出現し、怪我をおして丈瑠は出陣。それに続こうとすることはを、彦馬が呼び止める。
「良いか、いつまでも、姉上の代わりだとは思うな」
「でも、うちはほんまに……」
「姉上の手紙、悪いが目を通させてもらった。姉上は一言も、自分の代わり、などと言ってはおらんぞ。おまえがそう思うから、そう読めるだけだ。どの言葉も、代わりではない、おまえ自身を思っての事だ」
彦馬に諭されたことはは、手紙の文面を思い返し、そこに込められた思いを見つめ直す。
「頑張ってる、シンケンイエロー……うちの事や」
「誰の代わりでもない、おまえにしかなれない、シンケンイエローだ」
「うちしかなれへん……うちしか、シンケンイエローに!」
悩める若者に年長者(彦馬)が助言をして導く、という展開は千明と爺が絡んだ第十幕「大天空合体」と相似。わかりやく問題児だった千明が前半早い内に更正するのに対し、優等生のことはの抱えていたねじれが噴出するのが終盤になってから、というのはシリーズ構成として良く出来ており、意図的なものと思われます。
殿の煩悶と絡めるのも含め、ことはの姉ネタをここまでキープしておいたのも、納得。
先行した殿は負傷により苦戦するが、姉の幻影を脱し、花織ことはとして一筆奏上したイエローがスーパー化。真・猿回しによる連続攻撃から、殿以外では初めて猛牛バズーカを使用して外道伏滅。……こう持ってくるならいっそ、カレー回でスーパー化しなくて良かったのでは、という勢い(笑)
諸々の都合でそういう形に出来なかったのでしょうが、本当は、それぞれが自分の中の問題と向き合って乗り越えた時(姐さんなら母との再会、流ノ介なら歌舞伎回)に初めてスーパー化出来る、みたいに組みたかったのかなぁ。
巨大化したアヤカシに対しては術の解けた全員が折神で集合し、サムライハオーへと合体。アヤカシの思わぬパワーに初めてダメージを受けるシンケンハオーだが、黄色が猿折神を単独行動させてアヤカシを攪乱し、その隙に、ハオー、バックパックごと、飛ぶ!
まさかのヘビー級大ジャンプからの「ダイシンケン・大回転斬り」という、斬撃というよりほぼ質量攻撃によりハオーはアヤカシを滅殺。そして、やっぱり土と天は余剰パーツだった!(笑)
奇策というか悲しみで前が見えませんが、一応あれか、猿が外れていたので折神大団円は使えなかったという事なのか。
(お姉ちゃん、うち、もう、お姉ちゃんの代わりって言わへん。それも甘えなんやってわかった。シンケンイエローとして頑張る。殿様や、みんなと一緒に)
誰かの身代わりでない自分自身を見つける――そしてそれは、どこまでも行っても「自分」は「自分」であるという覚悟をする事でもある――と、ことはがいい所に着地し、屋敷への帰り道、何やらそのことはの言葉に気持ちを整理できたらしい殿は心持ち柔らかさの戻った表情で振り返る。
「源太、雑誌に掲載されたらしいな。食わせろ」
ドタバタの材料のみと思われていた前回のネタですが、ちゃんと、覚えてた!
「なんだよ、最近機嫌悪かったくせに」
「実は……私もずっと、気になってはいたのですが」
殿の煩悶を、「ちょっとムッとしてた」レベルで語る千明と流ノ介。
「…………腹を壊してた」
「へ?」「え?」「は?!」「ははは……なんだよー!」
駄・目・だ、この人達。
そういう事なら今日は奢りだ、と源太が請け合って一気に明るくなる3馬鹿トリオ(もう、ひとくくりでいいですよね)…………はいいとして、ことはもそっちよりの反応なのですが、それでいいのか。
勿論、現場を目の当たりにしているという決定的な違いがあるとはいえ、無言で丈瑠を見つめる茉子と、残り4人のなんだこの、埋めにくい温度差(笑)
メンバー中4人が早々にリタイアして、殿と一緒にスポットが当たるという、第39話と近い構造で取り上げられたにもかかわらず、ことは、3馬鹿の重力に魂を引かれて、ヒロイン争いから一歩後退(笑)
どうしてこうなった。
というわけで、薄皮太夫が一歩リードのまま進む真ヒロイン争奪戦。最後に笑うのは誰だ!