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『鳥人戦隊ジェットマン』感想12

◆第19話「見えます!」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:荒川稔久
まさかの、爺や無双。
幼い香との思い出回想モードに突入した爺やの、香と良い子の約束、爺やお手製香ちゃん憲法なるものにやたら尺を取るなぁと思ったら、それが後半の布石になっているという、ビックリ展開です。全然記憶に無かったのに、やたら押されているぞ爺や(笑)
バイラムの放った占いジゲンの扮装した占い師により、精神的に追い詰められた香は、次々と的中する占いの結果を突き付けられた挙げ句に、変身した自分が死亡する映像を見せられ、恐怖から戦う事が出来なくなってしまう。
ホワイトスワンを追い詰める事で、ジェットマンの戦力を欠けさせた占いジゲンは本格的な攻撃を開始し、魔法陣に閉じ込められる4人。4人は死神のカードが暗示する異空間で攻撃を受け、こすい策謀系かと思いきや、普通に強いぞ占いジゲン。
引きこもっていた香は通信から響く悲鳴に何とかブレスを装着するが、やはり思い切る事が出来ない。
「駄目! 戦えない! 戦えない!」
「何を甘ったれてる!」
その時、般若の面を被り、木刀を装備した爺やが香に襲いかかる(笑)
「ジェントルマンを辞めようと辞めまいと、それはそなたの人生!」
ジェットマンよ!」
「だが今そなたは迷っておる。香ちゃん憲法を思い出せ!」
爺やの猛攻と叱咤を受けた香は、香ちゃん憲法第9条「自分の事は自分でする事!」を思い出すと恐怖を乗り越え、女剣士の姿で占いジゲンを強襲。4人を救い出すと占いジゲンの威圧を振り切って変身し、バイラム戦闘員を蹴散らして最後はファイヤーバズーカで占いジゲンを撃滅するのであった。
香を追い詰めていく流れに尺を取った為か、次元虫は消滅し、巨大化せず。「私の未来は、私が決めます」と高らかに香が宣言して、一件落着。
香が立ち直るくだりはかなり強引でしたが、まあ、爺や、面白かったからいいや、みたいな(笑) そして蝶よ花よと育てられたと思われた香が、存外、爺やに鍛えられていた事が判明したのは、そもそも香には割と戦士の素養があった、というフォローなのか(笑)
一方ラディゲは、実況中継を見ながら芋虫を愛でていた。


◆第20話「結婚掃除機」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:荒木憲一)
20話にして、井上脚本以外では初の凱エピソード。
人間の愛を吸い取ってしまう掃除機ジゲンが、結婚式に出没。愛を吸い取られた花嫁達が次々と結婚式を取りやめ、愛を失った事で性格まで変わってしまう。
優しかった姉が豹変した原因を突き止めようとあちこちで結婚式を張り込んでいた少女ミチルと出会った凱は、ミチルに協力を頼まれるも一度は逃げ出すが、結局はミチルに振り回される事に。
「あの女、俺の誘いにピクリとも反応しやがらねえ」
「凱は自分になびかない女性はみんな異常なんだから。不謹慎だよ、あんな時に」
「いいか、女ってのはな、人妻だろうと婆さんだろうと、男を見る時の目ってのはちらっとでも輝くものなんだ」
凱、異性に全く興味を示さないミチル姉の態度に、物凄い自分理論で、バイラムの陰謀の匂いを嗅ぎつける(笑)
バイラムの狙い、それは、結婚直前の花嫁から愛を奪い取る事で、人間社会の婚姻システムを破滅に導く事にあった。誰も結婚しなければ人類は子孫を残せず絶滅する! てまたえらく壮大な計画に(^^;
バイラムの目的は表次元の征服と人類文明の破壊、その過程における権力争いなので、作戦内容といい、トラン、マリア、グレイが妙に一致団結していたり、今回ちょっとおかしい。
……もしかして、先日嫌な上司を倒す為に3人揃ってポーズを取った時に、
(い、いける……!)
と、心の奥に眠っていた熱い何かに目覚めてしまった?
そんな3人から離れ、俺にはセミマルが居るからいーんだ、と暗い笑みを浮かべるラディゲは、苛められているのでしょうか。
マリア「ほほほ、一度は人間になったお前には、床掃除がお似合いよ!」
トラン「僕に逆らったらこの、人間の女とバドミントンしている写真を世界中にばらまくよ」
グレイ「裏ミントン伯爵には、最高級ニスをホームセンターで買ってきてもらおうか」
ラディゲ「ぐぬぬ
みたいな感じで。
結婚式場の張り込みを行っていた凱は遂に掃除機を発見し、竜達も合流。ここでバイラムの関与が認識されるが、5人は割と強かった掃除機に叩きのめされ逃げられてしまう。
「あんたなんかより、もっと強い人を探すわ」
その光景を目撃したミチルは、いきなり凱に罵声を浴びせ、立ち去ってしまう。
「彼女はね、わざとあなたを怒らせて、事件から遠ざけようとしているのよ」
「馬鹿言え! なんであいつが?」
「子供には全然鈍いんだから」
ミチルの凱への罵詈雑言は子供の身勝手ではなく、好意ゆえに、というのはちょっとひねって面白かった所。
「愛を食べる、次元獣ねぇ……」
報告を受けた小田切長官は関東一円の結婚式を全て中止させ、掃除機ジゲンを誘き寄せる餌として、凱とアコ(謎の組み合わせ)が偽装結婚式を仕掛ける事に。
定期的にある結婚式中止作戦ですが、小田切長官の指示、というこれ以上ない説得力。公権力って素晴らしい!
作戦通りに掃除機はまんまとつられるが、凱がアコにキスを迫った所に嫉妬に燃えたミチルが飛び込んできて、囮作戦がバレてしまう。掃除機はミチルの持つ凱への愛を吸収し、その愛があまりに大きかった為に、意識を失うミチル。怒りの凱は、空腹のあまりかデートスポットで暴れだした掃除機の前に一人立つ!
「待て! 力尽くで愛を奪うなんざ、モテねぇ野郎のする事だぜ!」
テーマソングと共に、スロー歩き変身を行ってしまう凱。
……この回に、この演出で、本当に良かったのだろうか(笑)
やたらな盛り上げで戦闘員を蹴散らしたブラックコンドルは、個人剣技コンドルフィニッシュで掃除機を撃破。と、かなりの贔屓されぶりですが、この“ヒーローとしてのブラックコンドルの活躍”というのは、人間的弱さと直面してそこから復活する17−18話があったからこそ、というのはあり、演出サイドではかなり満を持してのものだったのかもしれません。
ここで凱が竜に匹敵するような戦いを見せる、というのは意図的に流れを汲んだものだと思われます。
勢いで巨大掃除機に一人で立ち向かう黒だがさすがに弾き返され、そこにジェットイカロスが駆けつけると、変身の解けた凱を回収したロボットの中で、5人が揃って変身するという変則パターン。薙刀による攻撃の後、鉄球をぶつけて電磁ショックを放つイカロスクラッシャーにより、掃除機を爆砕。掃除機が吸い込んでいた愛は地上にばらまかれ、ミチル姉も元の優しさを取り戻すと、恋人と仲直りして大団円。
何故かラスト、長官が上着を脱いで肩にかけた格好いいポーズで登場。長官素敵。
次回、サブタイトルが凄い。