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戦隊列伝・赤い奴等(その1)

ふと思い立って、ここ数年で見た戦隊(感想をきちっとまとめているもの)のレッドについて、比較分析してみました。
能力表は、作品をまたいだ絶対評価ではなく、個々の作品ごとにおける描写に基づいて、独断と偏見で判断したものです。「戦闘」はそのまま、「知性」は状況判断や作戦立案など総合的に頭を使うかどうか、「精神」はメンタル面の強さ、「統率」はチームにおけるリーダシップ及びコミュニケーション能力。
何となく数値化してみたら個人的に特徴がわかりやすくなった、という程度のものなので、分析の叩き台としてのふんわかしたものだと思って下さい。
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弾北斗/ダイナレッド (『科学戦隊ダイナマン』)
 戦闘:☆☆☆☆☆
 知性:☆☆☆☆
 精神:☆☆☆☆☆
 統率:☆☆☆☆☆
メンバー全員が若き科学者にして選び抜かれた精神と肉体能力の持ち主という、万能戦士ダイナマンにおいても頭一つ抜けた能力を持つ、知勇兼備の超人系リーダー。おまけに正統派美男子。子供にも慕われ、メンバーからの信頼感も抜群と言う事無しだが、ネーミングセンスやデザインセンスは、残念。数少ない弱点である。
個人能力に優れ、リーダーシップも持ち合わせ、心優しく正義を愛す正統派ヒーロー。ここまで出来る男だと、いっそ嫌味が無いという境地に達しているが、字は汚い。
「俺たちを支えてきたのは、いつも5人のチームワークだ。武器に頼ったのが間違っていたのだ」
ジン/レッドフラッシュ (『超新星フラッシュマン』)
 戦闘:☆☆☆☆☆
 知性:☆☆
 精神:☆☆☆☆☆
 統率:☆☆☆☆☆
フラッシュ星人によって育成された復讐の超戦士フラッシュマンのリーダーにして、疑似兄妹的といえるフラッシュマンにおける長兄的存在。どんな苦境に追い込まれてもあっという間に立ち直る驚異的なメンタルの強さと、一昼夜戦い続ける驚異的なタフネスが最大の武器。
他の戦隊だったら化け物じみた存在だったと思われるが、難点は『フラッシュマン』が作品としてメンバーの個性化に失敗しており、全員が〔戦闘力:☆☆☆☆☆ 精神:☆☆☆☆か☆☆☆☆☆〕の戦隊である事(^^; また、その特殊な出自ゆえに全員が一蓮托生で目的の為に一致団結しており、ジンの統率力が優れているというよりは、フラッシュマンの団結力が異常に高い、というのが正確。決して頭が悪い感じはしないが、フラッシュマン自体が極端なパワープレイ戦隊である為、頭脳面の評価はし辛い。
例えるなら、特訓に継ぐ特訓で能力を高め全国優勝を目指してその為だけに全てを捧げる体育会系部活のエース兼キャプテン。
振り返ってみると、後の『超人戦隊ジェットマン』において天堂竜の唱える理想の「戦士」像とは、このフラッシュマンの事であるかもしれない、という純粋戦士。
「フラッシュ星、本当に酷い星だった……」
天堂竜/レッドホーク (『鳥人戦隊ジェットマン』)
 戦闘:☆☆☆☆☆
 知性:☆☆☆
 精神:☆
 統率:☆☆
知勇兼備の万能系リーダー……と見せかけて、存外メンタルが弱く統率力も低い、という変則タイプ。元来は隙も甘さもある人物だったが、恋人リエを失い、自ら「理想の戦士」を演じる事でその衝撃から自己の精神を防衛するも、同時にそれに呪縛されてしまったという、狂った復讐鬼。
その存在自体が、“狂っていなければやっていられない”という、80年代型ヒーローへのアンチテーゼともいえる。
良く言えば一本気、悪く言えば頑固で、正面からぶつかる以外のコミュニケーション方法を持たない為、人を動かすのには長けていない。その性格は戦い方にも反映され、頭脳プレイは少ないが、ファイヤーバズーカへの改造作業をほぼ単独でこなすなど、技術系スキルも有している……と思ったがジェットマン全員が整備作業などをこなしてしまうので、バードニックウェーブを浴びると《メカニック》スキルが基本セットで身につくのかもしれない。《説得》スキルは持っていないが、その真摯な姿が他人を引きつけるという、背中で引っ張るカリスマ性を有してはいる。
「探したぞ、君は、戦士だ」
天火星・亮/リュウレンジャー (『五星戦隊ダイレンジャー』)
 戦闘:☆☆☆☆☆
 知性:☆
 精神:☆
 統率:☆
戦闘力特化型のチンピラ系。立ち位置は熱血拳士の筈だが、負けず嫌いというよりは喧嘩っ早く、対人コミュニケーション能力もかなり低い。統率力に劣る(リーダーではない)場合、メンタルの強さで特徴付けられるパターンが多いが、寝坊する、サボる、依存する、と精神力も割とぐずぐず。長所は、持って生まれた気力の強さと、餃子への愛。
作品自体が既存のヒーローに対して少しひねくれた立ち位置である為、怪事件をスルー、仲間の緊急呼び出しをスルー、など正統派ヒーローらしからぬ要素を与えられた結果、ヒーロー属性が極めて低く、凄く、駄目人間。
「ばーか、餃子の方が100倍可愛いさ」
伊達健太/メガレッド (『電磁戦隊メガレンジャー』)
 戦闘:☆☆☆
 知性:☆
 精神:☆☆
 統率:☆
熱血単細胞系レッドにして、コメディリリーフとトラブルメーカーでもある、という、従来作品のイメージにおけるレッドとイエローを掛け合わせたようなタイプ。
面白いのは、戦闘力が飛び抜けているわけでも、メンタル面が強いわけでも、皆を引っ張るリーダーシップがあるわけでもない、という点。むしろ欠点と弱点が多いが、唯一無二の特技《ロボット操縦》:☆☆☆☆☆を所持。『メガレンジャー』自体が、ロボットアニメを逆輸入した要素のある戦隊であり、その特色を体現するキャラクターといえる。欠点が正当化されず、欠点のまま描かれるという点も含めて実はかなり異色のレッドかもしれない。
「喧嘩にプログラムも何もあるもんか」
タツヤ(浅見竜也)/タイムレッド (『未来戦隊タイムレンジャー』)
 戦闘:☆☆☆☆
 知性:☆☆☆☆
 精神:☆☆☆☆
 統率:☆☆
いっけん脳筋系のカラテファイターなのだが、叩き込まれた帝王学の賜物か、行動力と判断力を兼ね備えたバランス系。自らの将来設計も含め、タイムレンジャーの生活基盤を作り出すなど、社会的な実務能力も有している。ただし金銭関係はザルで、まだまだ発展途上。名目上はトゥモロー・リサーチ社の社長の筈だが、発言権は微妙。立場上、自らリーダシップを発揮するような事はあまり無いが、タイムレンジャー自体が“未熟な若者達の戦隊”であり、将来的な期待値は有望と思われる。
総攻めでオカン気質、実は料理も出来るなど、全体的にスペックが高いが、家名コンプレックスを抱えている為、対人コミュニケーション能力には若干の難あり。
「俺はやっぱり、明日を変えたいんだ」
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『アバレン』以降は、その2で。
個人的に発見だったのは、『ジェットマン』の竜が語る「戦士」とはつまり、復讐の為に戦う純粋戦士集団・フラッシュマンである、というのがわかった事(笑) ちなみに『フラッシュマン』は、井上敏樹の戦隊脚本デビュー作であったりするのですが、まあ、そこまで見ると穿ち過ぎか。
また、改めて並べてみると、非リーダーは既に『ダイレンジャー』『カクレンジャー』でやっているものの、メガレッドはかなり異色のレッド。この辺りから『メガレン』の作劇が志向していたものを考えてみるのは、少し面白いかもしれません。