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『天装戦隊ゴセイジャー』感想9

◆epic34「ゴセイナイト・ジャスティス」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子
単なる偶然だったらそれはそれで凄いですが、ここまで来ると、ゴセイナイトがジャンパーソンを多少なりとも意識している、というのはほぼ確信を持って良いのかもしれない。サブタイトルにこだわっている作品ではないですし。
肝心の内容は、色々とこねくり回した挙げ句に結局、人間至上理論に着地し、その裏付けも特に無いという、悪い意味でいつもの『ゴセイジャー』。とても面白くなる可能性を持ったテーマを、穏当にまとめてつまらなくしてしまったというのが正直な感想。せっかくゴセイナイトの変化をほぼ1クールかけて丁寧に描いていただけに、勿体ない。
OPにマトリンティス追加。
データスの調べにより、マトリンティスは4500年前に地殻変動で海底に沈んで滅びた文明だと判明する。宇宙人→古代生命体→海底人、と来たので、最終章は地底人か未来人でしょうか。
ゴセイジャーが、人類を下僕にする機械の帝国とか許さない! とかデータスの横で語り合っているのですが、アイデンティティがどこにあるのかわからないけど、データスが悪魔の誘惑とかされたら面白いのですが(笑)
海底に透明ドームで覆われた建造物、というマトリンティスのアナクロな描写は、一周回っていっそ面白い。これまでのゴセイジャーの戦いを研究し、前回の戦いもさっそく分析するマトリンティスは、やっぱり下調べ路線なのか(笑)
戦闘データを元に強化改造されたシールドメカ2号が出撃し、「そんなの私達には通用しない!」と言いつつ、ゴセイダイナミックを放つゴセイジャー。跳ね返されて「嘘?!」と驚くのですが、そもそも最近、ゴセイダイナミックが通用した記憶が無いんですが。また、「人類を統率して下僕とする」というマトリンティスの目的に対し、「上から目線がむかつく!」と反論するのですが、天使達の「人間を護る」も大概上からです。
救援にやってくるゴセイナイトだが、「マトリンティスは、地球を汚すつもりはない」「ここまで地球を汚したのは誰?」と、自分達はナイトの敵では無いというメタルアリスの主張に立ち尽くす。そう――
「お前達に聞きたい事がある。……人々は護るべき存在か、地球に必要な存在なのかどうか」
“人間の戦士”であれば、人間の為に戦う、という事は自然な前提たりえるのですが、元より人間とメンタリティの大幅に違うゴセイナイトが、“人間ではない戦士”である護星天使に、人間の価値を問う。更に、
「ならば証明してみろ。人間は護るに値する存在だと」
小学生に人間の存在価値の証明を要求する、という所までは今作の特性を活かして非常に面白いテーマ(悪人以外に、客観的に人間の価値を証明してみせる)だったのですが、ここから、ぐだぐだ……(^^;
「私は腑に落ちないのだ。多くの間違いを犯す人間を、護星天使はなぜ護ろうとする。それに人間は、愚考を重ねてもなぜ生きているのだ」
「たぶん……明日があるからじゃないの?」
「明日?」
望少年の回答が、いきなり明後日(^^; ナイトの質問の前半分に答えていない上に、それだと、特に考えてないけど明日が来るから何となく生きている、と聞こえて「そうか……ならば人間はやはりバニッシュだ(かちゃっ)」ってなりそうな気がするのですが。
前回の流れで、ナイトの似顔絵を描いた望とナイトが本格的に接触するというのは、安易にすぐ使わず溜めてきたので良かったとは思うのですが、ゴセイジャーのサポートと日常要素としては充分以上に機能しているものの、逆上がり事件以後の望は優等生発言しかしないので、作品全体のテーマに絡めた事を言わせるには、もう少しキャラクターの厚みが欲しい。
「お前は私を護ろうとした。そのお前達人間を、護星天使が護ろうとしている……」
前回、望が咄嗟に自分をかばおうとした事を思い返したナイトは、とりあえず戦いの場へ。そこではシールドメカ2号に叩きのめされながらも、ゴセイジャーが生身で戦い続けていた。
赤「俺たちは終わってない!!」
ナイト「どうしてここまで、人間を信じられるのだ」
望「アラタ達が、護星天使だからだよ」
えっえーーー?!

「人間が地球を汚したというのなら、地球を再び慈しみ、浄めることが出来るのも人間だ! 俺たちはそれを信じて……信じてるから戦うんだ!」
「それが私達の使命!」

えっえーーーーー?!
「俺たちはそれを信じて……」の前に「何故なら」が入らないといけない筈なのですが、その最も肝心な、「地球を再び慈しみ、浄めることが出来るのも人間」の根拠ゼロ。敢えて言えば、「信じてるから」。そしてそれは、「私達(護星天使)の使命」って、一歩も進んでいない。
提示したテーマに対して考えているようで、表層の言葉をこねくり回しているだけで、実は何も語っていない、という非常によろしくない展開。
本来なら、ナイトの疑問を通して、護星天使の使命を語り直す〔どうして人間を護るのか?→人間にはこんないい所があるからだ→だから命を張って戦える〕という要素も持ち合わせていたと思うのですが、〔根拠は無いけど人間を信じている→だから人間を護るのが俺たちの使命!〕と、むしろ疑問をアンドロメダの彼方に投げ飛ばしてしまいました。
結果的に、ゴセイジャーの根幹は、これまでの30数話の積み重ねと関係無く、人間を信じるように条件付けされた(としか思えない)護星天使としての使命である、と……一周回って、ゴセイナイトよりも護星天使達の方が疑問を持たないロボットぽくなってしまう(しかも対ロボット帝国編で!)というのはミラクルといえば無残なミラクル(笑)
百歩譲って、護星天使達の信念が100%揺るがしがたいものだとしても、その信念をどうやってナイトに証明するかの話だった筈なのですが、その証明手段は、自分達が体を張って凄く頑張っている所を見せつける。人間、全然、関係ありません(^^;
せめてこの30数話の物語の中で、「地球を慈しむ希望を持った人間」の姿が描かれていれば、アラタ達の奮戦に、そういう人達と触れあったからここまで頑張れるのだろうな……という納得も出来るのですが(重ねて書くけど、「物語」とは、その為にあるのです)、そんな要素が描かれた過去の登場人物はせいぜい、さなかクン博士ぐらいなので、物語の流れが全く成立していません。
故に、「使命」だけが歪に浮き上がってしまう。
「人の命を護る事が、地球を護ることに、繋がる。なぜなら、今を明日に繋げる事ができるのは、地球に生きる人間のみ。護星天使の使命の中に、私の使命がある」
そして、ナイトが問題にしていたのって、人間の行動が地球を汚す事、地球に生きる他の命を害する事、だったと思うのですが、何故か「今を明日に繋げる事ができるのは、地球に生きる人間のみ」という、極端に言うと「人間だけが大事な命」理論に取り込まれてしまい、酷い詐欺にあった感じに。
そこの納得できる根拠が劇中で全く示されていないので、単なる人間至上理論に着地してしまいました。
誤解を招かないように言うと、そこに間違いを含んでいたとしても、ゴセイジャーが人間ならば「地球を再び慈しみ、浄めることが出来るのも人間だ!」で構わないのです。人間が人間を中心に考え、基準とするのは当然であると同時に、こうあろう、という自分達の決意表明となるので。
問題は、人間では無い護星天使が「地球を再び慈しみ……」と言うからこそ、そこに「何故か?」がより強く生じ、その「何故」を人間ではない視点から語れるというのが今作のストロングポイントとして生じた筈なのに、その折角の利点を放り捨ててしまった所。非常に勿体ない。
「お前達! そんな事では何も護れんぞ!」
戦う意味を取り戻したゴセイナイトはゴセイジャーを援護し、6人共同必殺技・ミラクルゴセイナイトダイナミックで、シールドメカ2号を滅殺。
「残念だわ、ゴセイナイト。こんな簡単な計算も理解できないほど、馬鹿だったなんて」
「計算? 戦いにおける計算? 笑わせるな。今からお前達マトリンティスは、私の敵だ」
天使の力技に呑み込まれてしまいましたが(そもそも、あまり知力とか精神にはボーナスポイントが割り振られていないし)、ナイトが引き続き格好いいのが救いです……(^^;
割と意識的に絡めている感じがあるのですが、一種の“作られたもの”繋がりとして、ゴセイナイトとメタルアリスの絡みには今後ちょっと期待したい。


◆epic35「パーフェクトリーダーを探せ!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
空中を高速で飛行するマッハロボが次々と人間をさらっていき、その動きに翻弄されるゴセイジャー。駆けつけたナイトと、高速立体機動のマッハロボとの、ハイスピードの撃ち合いが滅茶苦茶格好いい。
マッハロボから、命令系統がハッキリしないから駄目なんだと指摘を受けたゴセイジャーの視線が集まるゴセイナイト。
「私はリーダーではない。ヘッダーだ」
前回の後遺症が心配されましたが、今回も激しくイケメン。
結局マッハロボに翻弄されるまま多数の人々をさらわれてしまったゴセイジャーは、今更ながら、リーダーを決めるべきじゃね? と話し合い、とりあえず おっさん 年長者で判断力のあるハイドがリーダーに任命される。ゴセイナイトが囮としてマッハロボを引きつけている間にハイドの指揮のもと、ちょっと特殊部隊ノリで人々の救出に突入するゴセイジャー
この後、色々なトラブルで次々とリーダーが交代し、最終的にはアラタの号令「こうなったら……いつも通りにやろう」で、マッハロボと戦闘。その戦いでゴセイジャーは、自分達の身に染みついた連携と信頼感に気付く。
「大事なのは、リーダーが居ることじゃねえ!」
「私達は、地球と仲間を思う気持ちで、繋がってる!」
「心の絆……それが俺たちの強さだ!」
……と、こういう感じでエピソードの主題と繋げて、角度を変えれば、ヒーロー口上もその時々の意味をしっかり持たせて、爆発的な逆転の力を生む説得力を持たせられるわけで……と香村さんが登板2回連続でいい仕事。むしろ、クライマックスでない時に無駄玉撃ってしまった感じさえ(笑)
「私は彼等に使われているのではない。上下を明確にしなければ関係が成り立たない、貴様等とは違う」
ナイトも増援に現れたアリス女史を切り払い、今回もこの二人の絡みがあって嬉しい。
巨大化したマッハに対し、ゴセイグレートはゴセイ三角を背中にくっつける強引な合体で反撃。最後は上に乗り、二刀が合体した弓による、アルティメットグレートストライクで勝利。廃棄処分にされたかと思われたグレートが復活し、滅茶苦茶な合体というのは割と面白かったです。アルティメットの空中戦艦モード、ロボット形態より好きかも(笑)
かくしてリーダー騒動は決着したが、アバンタイトルで揉めていた夕食の献立は決まらず、買い物係のアラタが「全部乗せちゃえ」と提案して、「結局、アラタがまとめちゃったね」と、ここぞで引っ張るのはアラタ……でオチ。
最初に誰がリーダーになるかという話が出た時に、皆が一回、自然とアラタに視線を向けており、変に形式ばらなくても関係と分担がある、というのを、各キャラの良い所も悪い所も見せた上で、強引なレッド持ち上げ以外でそれとなく示し、嫌味なく落としたのも秀逸回。


◆epic36「走れ、アグリ!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:石橋大助)
アルティメットグレートストライクは一発ネタではなかったのか……。
マトリンティスは、肉体能力に優れた人類を選んで改造する事による、メカ人類計画を発動。スキャナーメカが現れ、次々と身体能力に優れたアスリート達をさらっていく。ジョギング中に仲良くなった陸上選手が狙われる可能性を知ったアグリは、自らが記録会で1位を取る事でさらわれ、敵のアジトを突き止めようと天装術で100m走の特訓を開始する……。
トンデモ特訓で酷い目に遭うアグリ(に淡々と水をかけるハイド)は面白く、本命の囮作戦の事は忘れる勢いで、男のプライドとして自力で1位を取ろうとするアグリ、というのも悪くは無かったのですが……肝心な所で、人間と天使の肉体組成は一緒なのか、という(笑) スキャンした途端に、「あ、天使じゃん」と弾かれそうな気はするわけですが、結果的に成功したからそれでいいのかどうなのか。
この展開にするならその前の戦闘で、怪人に「護星天使は要らない」と言わせなければ良かったような気も。仮に変身前だと肉体的には区別がつかないとしても、ゴセイジャー全員、メタルアリス女史に顔バレしているわけで、ここから導き出される結論は、マトリンティスの指揮系統・情報管理は、実はぐだぐだ。
「夢を信じて突き進む、その力に、限界はねえ!」
こういう、護星天使と市井の人々との関わり、そこで天使達が知る人間の強さ、みたいな話を積み重ねていけば、33話にもまだ説得力が生じたのですが、順番が逆(^^;
巨大戦では、グレートと同時召喚され、棒立ちから遠隔操縦?されるアルティメットが謎。
シンケンジャー』で極薄の話を書いていた石橋脚本への期待値がとても低かったというのはありますが、ポイントポイントは悪くなかったです。