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『Gのレコンギスタ』に関する今更の気付き

『Gのレコンギスタ』の作劇の特徴に、「急に聞き覚えの無い固有名詞が出てきてもそのまま物語が進み、次の回ぐらいで話の流れで何の事かわかって腑に落ちる」というものがあり、またこれが固有名詞ばかりではなく「ある人物の思惑」や「キャラクター同士の何気ない会話」などでも、次かその次の回ぐらいで意味が取れる、というような造りがそこかしこに散りばめられています。
で、後者はともかく、前者の、「いきなり固有名詞が出てきてしばらくしてから説明される」というのはSF小説では割とよくある手法でして、長編で物語の中心になるガジェットが最初に出てから数十ページ読み進めて具体的な説明が入ったり、中短編などでは最初に提示された状況が全くよくわからないまま少しずつ事態が明かされていく、というのが作品の仕掛けそのものになっている場合があります。
当初から『Gレコ』における作劇ってそういった、「数十ページ読み進めた所で話がすとんと落ちてくるSF小説」を意識しているなぁと思ってはいたのですが、とはいえ、アニメはあくまでアニメ。
基本的には流れていくものであり、小説とは違ってページをめくる手を止めて考え込め込めるわけでも、問題の固有名詞が出てきた辺りに即座に戻れるわけでもありません。
DVDレコーダーの普及により、録画して見る、という環境が多くなっているとはいえ、受け手は流れていく話を1回だけ見るというのが基本であり、それに合わせて作るのが正統ではある筈。
故にこの、小説的な手法をアニメーションに持ち込む、というのはあまりよろしくないのでは、と思っておりました。
この時点でこちらの思い込みといえば勝手な思い込みではあるのですが、とはいえ相手は、もう50年近くアニメ制作に携わっている富野由悠季。敢えてそう作っているならば、その意図は何なのか。
繰り返し見返して読み込む、という一部ファンの行為を広く求めるのは当然間違いだと思いますし、媒体に合わせた作り方としては失敗と言わざるをえない部分(受け手に求めすぎな部分)があるのではないか…………と思っていたのですが、私、基本、DVDレコーダーに録画したものを見ているので今まで気付かなかったのですが、最近、WEBで一挙配信されているとある特撮作品を駆け足で見ている時に、ふと気付きました。
WEB上で見る場合、「ある話数の大体この辺り」をチェックするのは、TV&DVDレコーダーより簡易なのではないか。
これは家庭のDVDレコーダーの機能性によっても違うでしょうが、早いとはえ巻き戻しや早送りをともなうTVでの視聴に対し、タイムバーのマウスクリックで済むWEB上の視聴の方が、気になるエピソードの呼び出しも含めて、手軽なのではないか。
紙の書籍の利点の一つは、「大体この辺りのページ」に手の感触で即座に戻れる事なのですが、実はWEB上でのアニメ視聴は、それに近いアナログな利点を持っているのではないか。
TV放送やネットでの配信体制が制作のどの程度の段階で大枠決まるのかはわかりかねますが、『Gレコ』の場合、dアニメストアでの優先配信やガンダムチャンネルなど、スマートホンなどでの視聴をかなり意識した節は窺えます(番組途中では、「歩きながら見るなよ!」という次回予告のフレーズもありました)。
今作、放映開始前に富野監督が「こんなアニメの作り方があったのか」と、新しい事をしている旨を度々口にしていますが、これは内容もあるでしょうが、実際の根本的構造、ネット配信とそれを見るツールに合わせた作り方そのものについても言っていたのではないか。
スマホタブレットでの視聴を基本とし、正攻法のTVアニメーションという建前を取っ払い、WEB上で繰り返し触れられるものだという意識のもとに作られた作品。
あくまでTVアニメーションをネットで配信しているのではなく、TVアニメーションという枷すら取っ払った作品。
手元の端末を用いて見たい時に見たい箇所を見ている内に、以前に気付かなかった事に気付いて味わいを増していく……『Gレコ』が目指したのは、再視聴性すら超えた、そこではないのか。
だからこそ、『Gレコ』は視聴者を圧倒する情報量が画面一杯に詰め込まれ、それらが静止する事なく目まぐるしく動き回る。人々は錯綜し、細かい演技が散りばめられ、物語もこんがらがって整然とは程遠い。一度見ただけではわからない? もはやアニメは、気が向いた時に空いた時間でいつでも見られるものではないのか?
勿論そこに、見たい、と思わせるものは必要ですが……『Gレコ』は媒体に合っていないのではなく、むしろ、強い意志を持って新しい媒体の為に作られたアニメ、なのかもしれない。
と、今頃になって気付いて、すとん、と胸のつかえが下りた気分。
勿論、本当にスムーズにそれを体験しようと思うと配信先の月額会員化などのコストがかかるわけですが、現在、それほど高価なものではないですし、そういった商業面への配慮はむしろ富野監督らしいといえば、とても富野監督らしい。
あと、ツールの問題は、各人の使っているツールによって千差万別で、「え? そんな便利でもないよ」という話もあるでしょうが(^^; そこでユニバーサルスタンダードが重要になってくるわけですね、ハイ。宇宙で使う道具は誰にでも使える物でなくてはならないのです。
おまけにもう一つ、今頃気付いたのですが、4/7からTOKYO MXで再放送スタート!
今、「シャア特集」とやらで場を繋いでいる同局のガンダム枠で始まったらいいなーと思ってはいたのですが、これは、関東圏ではかなりいい時間なので良かった! ネット配信に向けて作られた『Gレコ』、について書いてきてあれですが、それはそれとして、視聴層の拡大に期待。