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戦隊列伝・赤い奴等(その2)

ここ数年で見た戦隊(感想をきちっとまとめているもの)のレッドについて、比較分析してみました。『ゴセイジャー』マラソンで中断していましたが、後半。
その1はこちら→〔戦隊列伝・赤い奴等(その1)〕
能力表は、作品をまたいだ絶対評価ではなく、個々の作品ごとにおける描写に基づいて、独断と偏見で判断したものです。「戦闘」はそのまま、「知性」は状況判断や作戦立案など総合的に頭を使うかどうか、「精神」はメンタル面の強さ、「統率」はチームにおけるリーダシップ及びコミュニケーション能力。
何となく数値化してみたら個人的に特徴がわかりやすくなった、という程度のものなので、分析の叩き台としてのふんわかしたものだと思って下さい。
−−−−−
伯亜凌駕/アバレッド (『爆竜戦隊アバレンジャー』)
 戦闘:☆☆☆☆
 知性:☆☆
 精神:☆☆☆☆☆
 統率:☆☆☆
ダイノガッツ無限教の信徒で、超前向きな善人。何となくいい人や、正義感が結果的に善行に繋がっているのではなく、“ひたすら人を信じる善良な人物”という所にアイデンティティが置かれているという、実は割と珍しいタイプ。大雑把に分類すると“何も考えていない熱血暴走タイプ”なのだが、そういったキャラクターが陥りがちな、よく考えると嫌な性格、を回避し、「結局、馬鹿が許される」という作劇も避ける為の一線を引いた造形。この「正義の味方なのだから当然いい人」なのではなく、「いい人だから正義の味方をやっている」という点を重視したのが、『アバレンジャー』における、一つの00年代的アプローチといえる。
一方で、折角の“子持ち戦士”という貴重な特性があまり活かされなかったのは残念であった。
アバレンジャー自体がいい人戦隊の為、率先してリーダーシップを振るう機会はあまり無いが、善良さと押しの強さで、対人コミュニケーション能力は高い。後半にパワーアップすると絶大な戦闘力を発揮するようになるが、全編通して超絶なメンバーが1人居るので、戦闘力は平均を取った。
「浜ちゃんさんのダイノガッツが奇跡を起こしたんですよ!」
バン(赤座伴番)/デカレッド (『特捜戦隊デカレンジャー』)
 戦闘:☆☆☆☆
 知性:☆
 精神:☆☆☆☆
 統率:☆
熱血・単細胞・戦闘とメンタルが強い、という典型的な近年の最大公約数的イメージのレッド。特にこの時期、長期シリーズ化への道を歩み出した《平成ライダー》との差別化が意識されてきたのかと思われる。
ある程度まとまった既存のチームに新しくやってきた火の玉野郎、という設定の為、暴走ぶりとそれを補う戦闘力で特徴づけられており、頭脳面は非常に残念だが、<野生の勘>LV5を所持。いわゆる“問題児”であり、問題児を問題児として描写するという点ではメガレッドの系譜。ただメガレッドが市井の男子高校生だったのに対し、れっきとした「プロのスペシャルポリス」である点と問題児描写の摺り合わせが上手く行っておらず、結果、「刑事として許されない」行動が目立つ羽目になってしまい、作品全体のブレを生んだ。
この辺り、『超力戦隊オーレンジャー』(1995)以来の純粋な職業戦隊という設定がうまく消化されなかったのかもしれない。
「正義はなぁ……正義は必ず勝つんだ!」
小津魁/マジレッド (『魔法戦隊マジレンジャー』)
 戦闘:☆☆☆☆☆
 知性:☆
 精神:☆
 統率:☆
熱血単細胞系にして未熟な男子高校生なのだが、その思慮の浅さや未熟さが“劇中で肯定されてしまう”という、困った問題児。甘やかされて育った末っ子属性にして、土壇場で秘められた力を発揮する強烈な主人公属性持ち。シリーズ歴代の中でも特に、少年マンガの主人公的な存在を志向されたと思われる。
能力を数値化してみて気付いたのが、天火星・亮にそっくりであり、深く納得(笑) 歴代でも屈指の、人間として駄目なレッドである両者だが、その共通項として「血統により高い能力を裏付けられている」というのは、なかなか興味深い(笑)
「溢れる勇気があれば、魔法は無限大になるんだ!」」
江角走輔/ゴーオンレッド (『炎神戦隊ゴーオンジャー』)
 戦闘:☆☆☆
 知性:☆
 精神:☆☆☆☆☆
 統率:☆☆☆☆
熱血・単細胞だが、戦闘力よりも統率力に優れ、メンバーの精神的支柱という、主将系レッド。コメディリリーフも兼任しているが、『ゴーオンジャー』の男性メンバーは全員がコメディリリーフ要素を持っている為、際だってコメディ要素が目立つ、というほどでもない。
視聴者目線からのヒーローではなく、劇中で与えられた力に応じてヒーローたらんとしているヒーロー。その為、ヒーローである事に酔っている節が多少見られるが、同時に、ヒーローであろうとする事が、その精神的強さに繋がっている。ヒーロー達を力強く引っ張っていく、ヒーローofヒーロー。「ヒーローとは何か?」というテーマを随所に組み込んでいた『ゴーオンジャー』らしいレッドと言える。
「いいか良く聞け。幸せの女神ってのは、後ろ禿げなんだ」
志波丈瑠/シンケンレッド (『侍戦隊シンケンジャー』)
 戦闘:☆☆☆☆☆
 知性:☆☆☆
 精神:☆☆☆☆☆
 統率:☆☆☆
外道衆を倒すという目的のみに絞って育て上げられたサムライクリーチャー。単純な強い弱いだけではなく、知性、精神力、統率力、その全てが戦働きの為に研ぎ澄まされているという、ある意味で究極の戦闘特化型。戦場では鋭い状況判断、強い胆力、優れた指揮能力、そして圧倒的な強さを発揮するが、戦場を離れるとかなり緩い生き物であり、コミュニケーション能力は壊滅的で精神面でも問題を抱えている。
戦場での判断力や、敵怪人の能力への対応策を練る姿などからは頭脳面での優秀さも窺えるのだが、基本的な結論が「修練を積んで武力で上回る」になってしまう辺り、育て方には色々と問題があった気がして仕方がない。
完全に物語の中心という事もあり、戦士としての完成度と人間としての脆さを同居させた上で性格が陰性、という歴代でもかなり複雑な造形。なおやっぱり、良血型レッドは人間性に問題がある、に当てはまる(笑)
「俺、余ってるだろ」
アラタ/ゴセイレッド (『天装戦隊ゴセイジャー』)
 戦闘:☆☆☆
 知性:☆☆☆☆
 精神:☆☆☆☆☆
 統率:☆☆☆
常に明るく前向き志向で一見ただの前のめりだが、周囲がよく見えており、冷静な判断力も持ち合わせるバランサー。洞察力においては、歴代レッド屈指と言える。単細胞な突撃マシンでもなければぐいぐい引っ張るリーダーでもない、という新機軸を模索した所は評価したいが、そんな性格の長所だけ描いて短所を全く描かなかった為、1人だけ常に怪しい気配に気付き、常に正解に辿り着くという、超直観能力を持った名探偵のようになってしまった。メンバー間の関係を取り持つレッド、という立ち位置は面白かっただけに、マイナスの部分も組み込んで欲しかったところ。また、物語都合で急に熱血キャラが前面に出る点なども、悪目立ちしてしまった。
前作の丈瑠とは対照的に、「指揮能力は高いけどコミュニケーション能力が極めて低い」のが丈瑠、「指揮能力は低いけどコミュニケーション能力が極めて高い」のがアラタ、となっている。
「とにかくやってみる!」
ライト/トッキュウ1号 (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
 戦闘:☆☆☆☆☆
 知性:☆
 精神:☆☆☆☆☆
 統率:☆☆☆☆
明るく前向きで前のめり……まではよくあるのだが、前向きさが成功に繋がると思っているのではなく、常に成功を信じ切っている為に前向き、であり、更にその根拠が自分自身の中にある、という、自分自身への信頼をエネルギーに変えて動き続ける、いわば人間永久機関自信過剰とは違い、自分が実現可能と思った事を、心底から思い込める(事により実現の為のエネルギーに変えられる)という強靱な、というか少々マッドな精神構造の持ち主であり、極めて高いイマジネーションの持ち主。いわゆるトップアスリート、の精神に近いのかもしれない。
人間関係への配慮などは全く無いが、そのパワーとテンションで何となく場の主導権を握ってしまうタイプ。
「俺には見えた。おまえの終着駅」
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戦隊シリーズは基本的にレッドが主人公ポジションであり、要所要所でメンバーを引っ張っていく、という構造ではあるものの、90年代を経て00年代に入ると、80年代のスタンダードだった如何にもリーダーというレッドが激減した事で、どういった位置づけでメンバーを引っ張らせるか、という事への試行錯誤が窺えます。
そのオーソドックスな回答が「熱血」という言葉に集約されているのですが、00年代後半になると(恐らくは、リーダー型だった『ボウケンジャー』を経て)そこから更に変化をつけていこうという様子が見える感じ。……こういうのは全網羅してこそなので、こういう事をし始めると全網羅して分析したくなってきますが、イメージに引っ張られない為には最初から最後まできちっと見ないといけないので、希望的目標という事で(^^;
今回、天火星・亮と小津魁の共通項に気付いたのが大発見だったのですが、同時に、『ニンニンジャー』の伊賀崎天晴がそれに該当すると気付いて、少し暗い気持ちになりました(笑) 良血型レッドは危険フラグかもしれない……!