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『鳥人戦隊ジェットマン』感想20

◆第31話「戦隊解散!」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:井上敏樹
ラディゲは道で拾ったラモンとゴーグをバイラム本拠へ連れ帰り、「俺の血で復活したんだから、おまえら俺の為に働けよ」と勧誘するが、断られ、反撃を受けて帰られ、嘲笑われるという、安定のコンボを披露。
「人間を大事にするべきだ!」と言う2人の魔神は街に繰り出し車に轢かれそうになった子供達や落石に巻き込まれそうになった作業員などを次々と助けるが、その放つ光を浴びた人々は、なんとパイナップルに変わり、魔神の食料になってしまう。
「我々は人間の天敵なのだ!」
凱と香が乗馬デートしている頃、迎撃に出た残り3人は魔神に惨敗。
「公私を混同するなと言っただろう。俺たちは、戦士なんだ」
遅刻していたたまれない2人に、竜のいつもの、始まる。
「戦士には、人を愛する事もできないのか」
「なにぃ?」
「もうてめぇの説教にはうんざりだぜ! 人の為に自分を犠牲にすりゃそれでいいのか。そんな人生は真っ平だぜ! 俺の夢は、俺の気持ちはどうなるんだ」
「自分を犠牲にするのが戦士の仕事だ!」
ひたすら古典的ヒロイズムを押しつけてくる竜に反発を強めた凱は香の手を引いて基地を出て行くと、ブレスを外してバイクで走り去ってしまう、と2度目の退職。3人になったジェットマンを襲撃するマリアだが、そこへ魔神コンビが乱入し、ビーム攻撃でまとめて吹っ飛ぶ4人。その衝撃で、マリアはリエの姿へと変貌する!
「リエが……なぜリエが……」
竜はリエをかばって一緒に吹っ飛び、雷太とアコと離ればなれに。目を覚ましたリエは、マリアであった間の記憶を失っており、2人はしっかりと抱きしめ合う。
「私……怖い」
「大丈夫だ! もう……大丈夫だ」
(戦いが終わったら……リエ、もう一度いちから、おまえとやり直すんだ)
ここで遂に、リエ=マリアが明確に提示され、2人の演技は迫真。だが恋人達の再会も束の間、そこへ巨大ゴーグが現れ、竜はジェットイカロスを召喚。黄と青もガルーダで駆けつけるが、5人揃っていないジェットマンはグレートスクラムを発動する事が出来ず、苦戦。その時、遂に完成した3号ロボ・テトラボーイが飛来する!
テトラボーイは、自律型のスピードタイプで、ボクシング型のフットワーク。名称からもタイタンボーイ(『超新星フラッシュマン』)は意識されていると思われますが、自律型追加ロボのはしりって、どれなのかしら。
素早い動きでゴーグを翻弄したテトラボーイは、巨大火砲テトラバスターへと変形し、ジェットイカロスに担がれると巨大ゴーグを撃滅。魔神の1体は、物凄い踏み台ぶりで死亡するのであった。
そもそもグレートイカロスが一度も苦戦した事が無いのに、すかさず新戦力を投入してくる所に、小田切長官の鬼畜ぶりが窺えます。もっとも今回、「5人揃っていないとグレートスクラムが発動できない」という致命的弱点が判明した事を考えると、それを踏まえて不測の事態に備えたといえ、周到な準備が優秀。
ゴーグを倒してリエの元へ戻る竜だが、リエはラディゲの光線を浴び、再びマリアの姿になるとリエとしての記憶を失っていた! 竜はマリアの攻撃を一方的に受け、主役が頭をぐりぐり踏まれ、女幹部高笑いというカットで次回につづく(笑)
リエ=マリアが明示されると同時に、リエをマリアにしたのはラディゲであると判明し、拾った現地人を記憶改造して同格の女幹部のように扱いつつセクハラを働き、嫌がられたり嘲笑われたりして快感を覚えるという、ラディゲのレベルの高すぎる変態性癖も発覚。
それは、バドミントンお嬢様では満足できない筈です。
時折口にしていた「おまえは俺のもの」発言が裏打ちされる形になったわけですが、面と向かって罵られつつ、実はおまえは俺に支配されているのだ、という快感に震えているのかと思うと、実に高度です、高度すぎます。戦隊史的に見ても、恐らくかなりレッドゾーン。


◆第32話「翼よ!再び」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:井上敏樹
「長官、喜んで下さい。リエが生きてたんです。今、呼んできますから」
マリアにぐりぐり踏まれている内に気を失い、基地で目を覚ました竜は、いきなりの錯乱台詞を口走り、刺激的なつづくから、刺激的な導入へ。
「何を言っているの! 彼女はまだマリアなのよ! バイラムの幹部!」
「……違う。リエは元に戻ったんだぁぁ」
暴れる竜を取り押さえる雷太の《力持ち》スキルは、作品随所で地味に便利。
マリアに単独で殺されそうになっていた竜が、基地で目を覚ますまでの経過は完全にカットされているのですが、いきなり事情を知っていたり、これは、長官が助けに行ったのか(笑)
一方、テトラバスターで滅殺されたかと思われたゴーグも辛うじて生きていた。ラモンは虫の息のゴーグと融合合体しようとするが、そこへラディゲが邪魔に入り、ゴーグの体を奪っていく。
珍しくグレイがラディゲに協力しているのですが、邪魔な第三勢力相手だからか。
ラディゲはゴーグの体に大量のバイオ次元虫を忍ばせる罠を仕掛け、改めて融合合体したラモンを魔神ジゲンにしてしまう事で、支配下に置く事に成功。まあ最初から出オチ感満載でしたが、魔神はとうとう、ラディゲの使いっ走りという、劇中でもとてつもなくヒエラルキーの低い扱いに。
“愛する者を失った衝撃”から心をガードする為に戦士の虚勢を張っていた所に、“愛する者が生きていたが、殺し合う相手だった”という別角度からの新しい衝撃を受けた竜は、振り幅の大きさに耐えきれずに遂に壊れてしまい、いちゃいちゃ妄想にふけって心を閉じると、小田切長官の叱咤すら無視する。
今作がとにかく良く出来ているのは、竜が「死んだ筈の恋人が記憶を失って敵になっていた」から壊れたのではなく、1話において一度、


「リエ…………リエを、リエを探しにいかなければ! 行かせて下さいっ、リエを探しに行かせてくださぁい!」
「まだ目が覚めていないようね。彼女は、死んだのよ! バイラムに、殺されたの!」
「りえぇぇぇ!!」
「泣きなさい……二度と、泣かない為に」
という経緯で既に狂っており、その狂気によって保っていた精神の平衡に、もう一度衝撃をぶつける事で、完全に壊しているという二段階の仕掛けになっている事。
当時の戦隊の尺で、よくぞここまで仕込んで組み上げたものです。すさまじい。
竜の事情を知ったアコと雷太は、それを香と凱に説明。
「はっ。竜の奴に言っとけ。公私を混同するなってな。あいつが普段から言ってる台詞だ」
「……そうなんだよ。いつも偉そうなこと言ってる割には、てんで情けないんだ……」
雷太の毒づき(表情や口調からは、本気では言っていないニュアンスに見える)に、凱は反射的にその首根っこを掴む。
「が、凱……」
「……竜の悪口を言うんじゃねえ。いいか。世界中で奴を……竜をけなしていいのは俺だけだ!」
雷太の手にしたブレスを手に、その場を去る凱。
街にはラディゲに操られる魔神ジゲンが出現し、竜を欠き、凱と香も戻らないまま、立ち向かう雷太とアコ。そして、
「竜、自分に勝つのよ……」
長官は、どこまでもスパルタであった。
その頃、竜はブランコを揺らしながら、緩みきった表情でストロベリー妄想にふけっていた。
「竜……」
「……凱……香。紹介するよ。俺の恋人、リエだ」
現れた凱と香に、満面の笑みで、空のブランコを示す竜。
「竜……どうしちゃったのよ、竜!」
「なんだよ2人とも。挨拶ぐらいしてやってくれよ。なぁ」
「てめぇぇ……! おまえは戦士だ! 根っからの戦士の筈だ! こんなおまえなんか、見たかねえぜ!」
凱は竜に組み付き、雷太達から助けを求める通信が届くが、竜はそれでも、妄想の過去の中に閉じこもる。
「嫌だぁぁ! 俺はここに居るんだ! リエと一緒に、ここに居るんだぁ!」
「竜ぅぅ!!」
竜を殴り飛ばそうとするが、空のブランコをすがるように見つめるその視線に気付く凱。
「この野郎がぁ!」
拳を振り下ろす代わりに、竜を抱き留める凱の、泣きたいのか泣きたくないのかわからないという表情が、とにかく素晴らしい。序盤から組み上げてきた物語の一つの山の頂に、確かに登り詰めました。
「……好きにしろ。だが俺は待ってる。俺たちはおまえを待ってるぞ!!」
結城凱というのは、格好いい所も格好悪い所も、身勝手な所もちょっと安っぽい所も全て含めて、“とにかく人間”のシンボルとして描かれていて、だからこそ、非人間的ともいえる竜のヒロイズムに対して本能的な嫌悪を持っていたのだけれども、その竜の欠落の正体を知った時に、今度は誰よりもその理由を理解できてしまう。
同時に凱は、“人間”として自分の命が大事であるが、実は“人間”であるからこそ他者の命も大事にしている。だからこそ、最優先する自分の命よりも香の命を大事にした時に、そこに真実が生まれる。だからこそ、他者の命を守る為に自分を犠牲にする事をいとわない戦士としての竜に、実は少なからず敬意を抱いてもいる。
敬意と嫌悪と、そして共感。
それはつまり、“人間”から見た、ヒーローへのどうにもできない愛憎なのかもしれない。
そしてこれだけの事をやり、竜の欠落について知った上でしかし、“人間”結城凱を持ってしても、「それでも竜にはヒーローでいてもらわなくてはならい」という、ヒーローを必要とする世界の残酷さが織り込まれているのがまた、痛切。
「香……俺も馬鹿だな。どうしようもねえぜっ」
凱と香は戦いの場へとバイクを走らせ、1人になった竜の元にはマリアが襲いかかる。ブランコを漕ぐ妄想のリエと、鞭を振るうマリアの姿が被さる狂気映像の中、竜の腕からブレスが外れ、中に収めていたエリの写真が目に入る。
「は?! おまえは。……俺は今までいったい、何をやってたんだ」
それが最後の一押しとなり、正気を取り戻した竜はマリアを説得しようとするが、鞭でしばかれる。
(リエ、もっと打て。俺の弱い心を打ち砕いてくれ)
……たまに、実はMなのではないか、という気がしていたのですが、やっぱりそうだったのか。……まあ、Mは戦士としては目覚めておくと非常に便利なスキルです。必殺技ゲージがぎゅんぎゅん上昇するようになるので。
脳内リエ(戦って、竜。戦士として、私の為に)
「リエぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ゲージが限界を突破し、新たな領域へ突き抜けた竜は、マリアを抱きしめる。
「リエ、俺が必ず元に戻してやる。だが今は、やらなければならない事がある。ジェットマンのリーダーとして」
結局この、竜は1人で戦士として立ち直らなくてはならない、というのは、『ジェットマン』の根底にある残酷さを感じる所です。その過程で、竜が自分の弱さを見つめ直して認める、という成長は描かれているのですが。
魔神ジゲンに苦戦する4人は遂に変身が解けるが、そこへ、弱い心をMゲージへ転換してクラスチェンジを果たした竜が駆けつけ、バルカン攻撃に向けて生身で直進すると、大爆発の中で、変身。

「行くぞ!」
「「「「おう! クロス・チェンジャー!」」」」
「レッドホーク!」「ブラックコンドル!」「イエローオウル!」「ホワイトスワン!」「ブルースワロー!」
「「「「「鳥人戦隊ジェットマン!」」」」」

5人揃ったジェットマンは主題歌から怒濤の連続攻撃というスーパーヒーロータイムを発動して魔神ジゲンを撃破。巨大化した魔神ジゲンに対しては、イカロスハーケンとバードガルーダが合体して巨大飛行戦艦になるという離れ業から、ハイパーGアタックで抹殺。古代の3魔神は、ここに敢えなく最期を遂げるのであった。
「おまえに受けた屈辱。忘れんぞレッドホーク。この次会った時こそ、貴様をこの手で!」
そしてマリアは、セクハラに激怒していた。
マリアは、Sっぽくて不幸系でセクハラされるけどお姫様抱っこもされるという、八面六臂の凄まじいヒロインぶりで、狂人と変態とヒロインのハイレベルぶりだけでも、改めて『ジェットマン』は凄い(笑)
ラストは、皆でリエの墓を訪れ、ここでようやく、竜の背景が皆の共有する所となり、新たな絆が生まれるジェットマン
「リエ……おまえの墓は、このままにしておく。おまえが元に戻るまでは」
「これから始まるのかもしれねえな。俺たち5人、ジェットマンとしての本当の日々が」
竜と凱は、沈む夕陽を背にがっちりと握手をかわすのであった。
中盤一つの山という事で、『ジェットマン』分盛りだくさん、カロリーの高いエピソードでした。ここでようやく、竜と凱の関係が一定の収まりを見せるのですが、一方で、前向きな目標は増えたのだけど、「戦士」から解放されない限り、竜の宿す狂気はつきまとわざるを得ない、という構造はまだまだエグい。
次回、伝説の「カップめん」を思い出す酷いサブタイトル(笑) 今回のサブタイトルが格好いいだけに、落差が(^^;