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『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想6

『ドライブ』溜まっているのでどうしようか悩んだコラボスペシャルをとりあえず見ないまま、今週の最新話を見たのですが、問題なさそうなので、コラボスペシャルは『ドライブ』追いついたら見る方向で……追いついたら。
◆忍びの6「テングの神隠し」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:下山健人)
カニンジャーとの再戦を求める蛾眉は独自に妖怪テングを生み出し、ニンニンジャーと戦闘。ニンジャ中間試験の追試中で天晴不在の4人は蛾眉に叩きのめされ、決闘の人質として風花がさらわれてしまう。天晴は決闘の場所に走るが、力は無くても娘を助けようとする旋風は好天に金縛りを受けてしまう。天晴を止める好天の前には、“終わりの手裏剣”を求めて九兵衛が姿を現し、好天は「牙鬼を“封印できなかった”のではなく、“封印しなかった”のだ」と、意味ありげな言葉を告げる……。
風花がさらわれた事で激しく動揺する父の心情&祖父との葛藤を描いたのは良かったのですが、天晴の方はここまでの描写を見る限り、誰がさらわれても(それこそ身内でなくても)反応が一緒だろうし、風花と天晴の絡みや、さらわれた風花の方でドラマが生じるわけでもなく、天晴の方に“風花がさらわれてこそ”という意味が生まれなかった為、もう一つ、詰め不足。
逆に、天晴の、(恐らく)誰がさらわれてもその為に必死で猪突猛進、というのは、描き方次第で凄く、天晴の好感度を上げられる要素なのに、むしろ負の面としてばかり描いてしまって、非常に勿体ない。
どうにも、“ヒーローだから”“主人公だから”というのが作り手の側で前提条件になりすぎていて、劇中において“ヒーローらしさ”“主人公らしさ”を描く、というのがすっぽり抜け落ちていて厳しい。
出来ればこちらとしても天晴を前向きに見たいのですが、そのとっかかりがなかなか見つけられません(^^;
一方、中間試験を前に
青「やばいな。俺まったく復習してこなかったな」
黄「居るよねそういう人」
白「ぜぇったい復習ばっちりなんだろうなー」
嫌な奴→可哀想な子→痛い子
と、自ら奈落の底へ五体投地ダイブしていく、加藤・クラウド・八雲、19歳。
ツッコミが年下組からで、年上組から完スルーなのがまた絶望的に痛い。1人だけ椅子に座っているのも、そろそろ心が空っぽになりそうなほど痛い。
今回この後、天晴の説得役(霞は人を操るのは好きだけど、人を説得するのは面倒くさいっぽい)として株を上げに来ますが、上がる好感度よりも遙かにネタで下げすぎなので、八雲はもう少しバランス取った方が良い気がします(^^;
全体的に、ちょっとした好感度上げや特徴付けなどが出来ていない為、黄と白は未だ無味無臭(黄色に至っては折角の特徴を最初のメイン回で放り捨てた)だったりするので、どちらがいいのか悩ましいですが。
単独で先行したアカは閉鎖空間での蛾眉との一騎打ちで追い詰められるが、4人が外でテングを倒して神隠し空間を解除し、救出。あくまで1人で立ち向かおうとする天晴に、八雲はチームワークの大切さを解く。
「俺たち1人ずつではまだ力が足りない。でも5人の力を合わせれば、あいつを倒せる。1人で背負い込むな!」
「そっか……そうだった。お前達はがんもや大根。――俺は卵だ!」
おでん回を叩き台にして、今度こそ4人が外部からアカを助け、改めてチームワークの大切さを身に染みて理解する、という2段構えだった構成自体は悪くないのですが、叩き台が叩き台だった為に、
「そっか……そうだった。お前達は俺を引き立てる前菜。――俺はメインディッシュだ!」
と聞こえるのがにんともかんとも(^^;
“1人だけ抜けた強さを持っている天晴が戦いを背負いがちだけど、4人がサポートして力を合わせて戦えばチームとして強敵にも打ち勝てる”
と話は組みたかったのでしょうが、
“戦闘力だけに特化した天晴がいい気になって暴走するのを格下扱いの4人が必死に止める”
という構図にしかなっていないのも、にんともかんとも。
これホント、天晴は強くて責任感のある(但しちょっと抜けてて独りよがりな)リーダータイプで良かったと思うのですが、どうしてリーダー要素を抜いてしまったのだろう(^^; そして、抜いたにも関わらず、周囲からはリーダー扱いされるという作劇なのだろう。
どう見ても天晴は自発的に何かを背負っているわけではなく、ただ1人で突撃しているだけなのですが、そんな天晴の行動を八雲が何故かやたら好意的に拡大解釈しており、作り手が本気でそういう描写をしているつもりだったら、凄く、困るなぁ……(^^;
あと、“悪い事をしている強大な敵を力を合わせて倒す”というのは戦隊の基本構造ではあるわけですが、蛾眉さんが劇中で悪い事をしている描写がここまで特に無い為、“一騎打ちにこだわる相手を5人で袋叩きにしている”という絵が無駄に強調されてしまい、微妙にスッキリしない感じになってしまいました(笑)
“ヒーローらしさ”“主人公らしさ”と同様に、“悪役らしさ”も劇中で描いてこそ物語の中に理由が生まれるわけで、どうもその辺りの不足(心配りの足りなさ)が目立ちます。
というか、人質(風花)は即座に返すし、前回の路上放置プレイへの恨み言は一切言わないし、蛾眉さん、物凄くいい人。
……この人ホント、ちょっと現代人と倫理観が違うだけで、根は人の好いただのおっさんではないのか。中身、うっ○ーだったらどうしよう。
ニンニンジャーは連携攻撃で蛾眉の角を折ると、狐に連れられて蛾眉は強制撤退。巨大テングはパオン丸で倒して、新たな封印の手裏剣を手に入れるのであった。次回――赤いニンジャが盛りだくさん。