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『特命戦隊ゴーバスターズ』感想10

◆Mission12「変装はお好き?」◆ (監督:加藤弘之 脚本:毛利亘宏)
コスプレ&そっくりさん回。
横流しの設計図を元に戦力強化を図るヴァグラスは、亜空間では入手不可能な、メガゾードのカメラアイに用いるクリスタルを手に入れる為に動きだす。クリスタルは日本国内では採れない珍しい鉱石だが、それを所有する女優が映画の宣伝で来日する事になり、特命部はそのガードをする事に。
メガゾード開発工場から、次はクリスタルが危ないんじゃね? と警告が来て特命部が動き出すという流れなのですが、開発工場があるという事はメガゾードは「工業製品」と思われ、必要な原材料が国内に無いなら当然、国外から輸入などしていると思われるのですが、そこでなぜ個人所有の宝石が狙われるのかさっぱりわかりません(^^;
輸入品は警備が厳重という事かもしれませんが、これまでの活動を見る限り、ヴァグラスもエンターもその点をさして気にするとは思えず、個人の所有品を狙うに至るくだりが、ゴーバスターズ側もエンター側もどうにも説明不足。
説明不足といえば、1クール経過しても未だに、メガゾードとは何か、がよく分からないので、亜空間から襲ってくる巨大ロボの総称だと思っていたら国内に開発工場がある、とか言われると反応に困ります。
今作は背後に色々と設定があるのでしょうが、どうにも劇中でそれらが上手く描写されておらず、色々と噛み合いません。
例えば、この世界においてメガゾードが極めて重要な役割を果たしている、という言及や描写の蓄積があれば、材料に希少な鉱石を使用する事に納得が生じます。或いは、カメラアイという聞くからに他に代替えが効きそうなパーツ名ではなく、動力回路の心臓部にどうしても必要、などその重要性を煽れば、またそこに希少な鉱石を使用する納得感が増します。
そういう段取りを組む事で、「珍しい」のレベルが上がり、個人所有の小さい宝石を是が非でも狙う、という必要性が生じる。
ところがそのどちらも欠けたままなので、そもそも希少な鉱石を使う必要があるのか?→というか、「珍しい」のレベルは結局「日本で採れない」ぐらいではないのか→個人所有のものをどうしても狙う必要が生じない、という負のループ。
始めに「個人所有の鉱石を狙う」ありきすぎて、そこに至る段取りが上手く組めていません。そしてそれが今回のエピソード単独というよりも、作品全体としての世界観の描き方の失敗と繋がっているのが、今作の大きな問題点。
そんなこんなで、クリスタルを母親の形見のイヤリングとして身につける、ヨーコと瓜二つ(二役)の女優を警護するゴーバスターズだが、人間をコピーしてヴァグラス反応を消す事が出来る怪人に逃げられてしまう。どうしても記者会見を中止したくないという女優とマネージャーの言葉を聞いたリュウジは、そっくりのヨーコを替え玉に使って怪人を迎え撃つ、囮作戦を思いつく。
ここでただのそっくりさん(二役)入れ替わりだけでなく、3歳の頃から純粋戦士として育成されて個人的な夢を持たないヨーコと、亡き母の為にも世界的女優になるという強い夢を持った女優を対比させ、ヴァグラスを倒すのは夢ではなくやらなければいけない事であり、その上で皆の夢を守る為に戦う、そしてその後にヨーコ自身の夢を見つけたい、という流れは良かったです。
そこは良かっただけに、前半の段取りがいい加減なのが勿体ない。
替え玉となったヨーコはコピーロイドの襲撃を防ぐが、イヤリングの片方を奪われてしまう。エンターはそれを手に亜空間へと去り、じわじわ進む、ヴァグラスの戦力増強プロジェクト。果たしていかなる敵がゴーバスターズの前に現れるのか?!
転送時間表示は今回も、メガゾード出現の前振りとしてのみ使用。監督変わっても継続されたので、演出陣の方で、この用法で統一していく事になったのか。
敵側の強化プロジェクトをじんわり進行、かつ悪の幹部に部分的勝利を収めさせる事でへたれ化を防いでいる、のは面白い流れです。
それにしても、今回のヨーコのこれまでの育ちの話を聞いても、改めて黒木司令は間違いなくクズよりの人だと思うのですが、EDの力の入ったダンスが面白すぎて全て許しそうになるのでズルい。