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はじめての『プリキュア』6

◆『GO!プリンセスプリキュア』#8◆
学園主催のパーティに着るドレスを自分で一から作る、と張り切るはるか。洋裁の経験値全く0で無駄に溢れるやる気しかないはるかに、今回もレッスンをつけてドレスを形にさせるミス・シャムール、超有能。
某道士とか某司令とか某所長とかに、爪の垢を煎じて擦り込みたい。
にしても、現実の厳しさを告げるきららに対して、自分基準で「人間、努力すれば大抵の事は出来る」と思っているが故に、暖かい笑顔でネジの飛んだ子を見守ってしまうスタンスのみなみ様は、割とタチ悪いなぁ(笑)
真心で人を追い詰められるタイプです。
「どんなに素敵なドレスを作っても、中身がともなわなくては、折角のドレスが台無しよ」
そして、自分基準のハードルを越えられなかった相手には、容赦ない。
ドレス制作に熱心になるあまり授業が疎かになったはるかはみなみの叱責を受けて落ち込み、その姿に懸命にはるかを励まそうとするきららは、最初に壁を示すけど、友達がいざ壁にぶつかると途端に甘やかすタイプ(笑)
みなみときらら、2人の言葉にやる気を出したはるかは学業もドレス作りもどちらも頑張り、授業の課題をこなしつつドレスを仕立てていくが、パーティー前日、完成寸前のドレスにパフが紅茶をひっかけ、大幅な直しが必要になってしまう。時間は無い……それでも自分1人でドレスを作り上げる、とはるかに手伝いを拒否されたきららは、たまたま出会ったみなみに相談するが、
「はるかは自分でやるって言ってるんでしょ。だったら、そうさせてあげればいいわ」
「みなみ、冷たいよ。はるはるの事、応援してないわけ?!」
「勿論、してるわ」
「だったら、なんで」
「はるかなら出来るって信じてるから」
みなみ様、怖いよ……!
おかんむりのきららを終始淡々と受け流すみなみ様の「信じてる」は、“はるかの能力”を信じているのではなく、“気高い人間は自分で設定したハードルは乗り越えられて当然”→乗り越えられないヤツはクズ→はるかはクズじゃないわよね?(にっこり)、という「信じてる」なので、はるかの預かり知らぬ所で魂の価値がベットされているという、超恐怖(一応、今なら降りても許す、と一度忠告に来ているのがみなみ様なりの優しさです)。
「出来ないって!」
「出来るわ。夢を心から大切にしているはるかなら、きっと」
「また夢? 夢もいいけど、現実的に考えて、時間なさすぎだよ! 間に合わないってば」
その時、ロックにより料理部の女子を素体としたゼツボーグが出現し、はるかに気を遣ったみなみときららは2人だけで立ち向かうが、そこに遅れてやってきたはるかが、猛然とオーブンレンジゼツボーグへ躍りかかる!
「なんで? あんなにふらふらだったのに」
「私、プリンセスになりたい。その夢の為に、ドレス作りも勉強も、プリキュアもっ! 全力でやる! 夢を、この手でかなえる為に!!」
いっけん良い事を言っているようですが……これ、徹夜明けのテンションによる、いわゆる修羅場モードというやつでは……(笑)
「夢を掴む為には、もっともっとがんばらなくちゃ駄目だって、そう教えてくれた、マーメイドの為にも! そして! 私の事をすっごく心配してくれた、トゥインクルの為にも! 私は頑張る! 頑張りたいの!!」
「フローラ……!」
テンションMAXのキュアフローラの姿に、みなみがはるかを理解していたのに対し、自分は余計な心配をしていただけだったのではと沈むきららだったが、即座のフォローにときめきゲージがぎゅんぎゅん上昇。
……きららさん、友達居ないから、退いたと見せかけて側面から撃つ! みたいな攻撃に弱いのです。
オーブン熱風攻撃に苦しめられるフローラを救うべく、トゥインクルが必殺技の星で防壁を破って援護攻撃。これまで、発動するとゼツボーグの活動を停止させる精神系の魔法攻撃っぽかったプリンセスの必殺技ですが、物理的な影響も及ぼせる事が判明しました。
3人はゼツボーグを撃破し、はるかのドレスも無事に完成。最初はどんな無茶な話になるのかと思ったのですが、はるかのドレス作りを通して、みなみときららのスタンスの違いを描く、という構成が面白かったです。
ざっくり言うと、
みなみは「自分に厳しく他人に甘く友達には厳しい」
きららは「自分に厳しく他人に厳しく友達には甘い」
更にもう一つ、今回のはるかの、学業とドレス作りの両立というのは、200%でモデルとプリキュアを両立する、というきららの姿と重なる所があるのですが、その上で象徴的な台詞が、
「また夢? 夢もいいけど、現実的に考えて、時間なさすぎだよ! 間に合わないってば」
と、自分の夢を掴む為に、常に現実を見据えてアプローチしているきららには、はるか(とそれを応援すると言いながら手出しはしないみなみ)の「夢」へのただ我武者羅なだけのアプローチが、言葉だけが上滑りしているように見えて納得出来ない、という所。
漠然とした夢に向かって手当たり次第にぶち当たっていくはるかと、明確な目標に到達する為に現実的な努力を重ねて道を繋げていっているきららの、「夢」に対するスタンスの違いも1つのエピソードの中に盛り込まれており、かなり凝った作りになっています
おまけで今回、プリンセスプリキュアの戦いが
「ドレス姿の人達が学園の周りで怪物を退治しているという噂」
になっている事が発覚(笑)
危なすぎる……。


◆#9◆
OPが通常バージョンに戻り、藍原少年のルートも解放された事が判明。
良かった。無視されるかと思ってドキドキしたよ……!
藍原くんには是非、はるかを散々ちんくしゃ扱いした挙げ句にキュアフローラに告白しようとして玉砕してほしいです!!(おぃ)
武闘派魔法王国では、謹慎を解かれたクローズが女王様から早くも最後通牒を受け、出撃。全体像の描かれた女王様は、どことなく『デビルマン』系のデザイン。
ノーブル学園では前回を受けてはるか待望のノーブル・パーティが開催され、眼鏡の子や藍原など、ここまでのゲストキャラがちょっとずつ登場、とこういう広げ方は嬉しい。生徒会のヅカ系の人はドレスが大人っぽすぎて、26歳・OLみたいに。前回、怪人の素体となった料理部の人がワンカットだけ登場するのですが、怪人の素材が続けて出てくるだけでも珍しいのに、えらく美少女に描かれていて、作画担当者の偏った愛を感じる所です(笑)
パーティは生徒会が中心となって運営する為にみなみ様は忙しく、はるか、きらら、眼鏡っ子という組み合わせてしばらく会場のシーンが描かれるのですが、案の定、最初に社交辞令でドレスを誉めて以降、一切眼鏡に話しかけないきららさん。それだから友達が出来ないんですよ!!
ダンスタイムに興奮しすぎて転びそうになったはるかはみなみ様に助けられ、忙しいみなみを気遣うが……
「第一、私は生徒会長が大変なんて思った事もないのよ。私のお父様とお兄様は、私よりずっと凄くて、会社でたくさん立派な仕事をしているわ。私はいつか、2人のような大人になりたい。その為には、このぐらいの仕事はこなせないと駄目なの」
やはりみなみ様は、“能力ある人間の責務”として、“やれる事をやるのは当然”と考えている人の模様。
その上で、みなみ様、別にハイソな家庭ではなかったらそれはそれで面白いですが、台詞回しなどからすると、そこまではひねってきそうにないか(はじめてのかいぐい、とかもあったし)。
「それが、みなみさんの夢ですか?」
「夢……? …………そうね」
ここで返事に少し間があり、みなみ様に関してそこかしこで匂わされてきた要素が、順調に形になってきました。
その頃、リストラ一歩手前のクローズは、パーティの撮影を担当する映画好きの少年を素体にゼツボーグを生み出し、カメラゼツボーグの持っているカチンコに、「オレ参上!」と書いてある小ネタ(笑)
ホラー映画を撮りたいゼツボーグの悪戯によりパーティ会場が停電し、配電盤を見に行ったみなみ様と生徒会男子2人だが、ゼツボーグのお化けトリック映像を追いかけた男子2人は役に立たずに気絶。みなみはマーメイドに変身するも、お化けが苦手な為に苦戦するが、そこへみなみの苦手を知ったはるかときららが駆けつける。
生徒会の女子2人がみなみと小学生からの付き合いで、過去に肝試しでヅカ系が脅かしすぎた為にみなみはお化けが苦手になった……との事なのですが、その事実を知り、情報を提供し、「ついていけば良かったかなー」と言いつつ行動には移さない所に、友情レベルの薄さを感じる所です(笑) みなみ様、ガンバ!
ゼツボーグの関与を知って変身し、へたり込むマーメイドに手を伸ばすフローラは、7−8−9話と、だいぶヒーロー力が上昇してきました。打撃系プリンセスとして、確かな成長を感じます。
「情けないところを見られてしまったわね。みんなの為に戦わなきゃいけない。でも……仕方がないじゃない。怖いものは、怖いのよ」
斜め下に視線を逸らす所といい、この自己弁護の仕方が、絶妙に駄目なエリートぽいですみなみ様!
「今日は私、学園のプリンセスを守るナイトになります!」
強さ担当のフローラはそんなマーメイドの手を取り、トゥインクルがメガホンに閉じ込められたりあったものの、反撃開始。今回かなり戦闘シーンは力の入った作画で、単独で戦うマーメイドのアクロバット回避は無駄作画の域で動きまくり、クライマックスは天井を利用したダブルプリキュア反動三角蹴りからマーメイドの必殺技でごきげんよう
「踊りましょう、ナイトさん」
無事にパーティは再開し、みなみ様は最初のダンスの相手にはるかを指名。
「これからも、たまには頼りにしていいかしら」
2人のダンスと、みなみ様の笑顔で締めて大団円。
予告から、前回頑張ったはるかが浮かれ騒ぐエピソードかと思ったら、全体的にかなり力の入ったみなみ様大反撃カーニバルでした。誰に反撃……って、それは勿論、き(以下、不穏当なので削除)。
モテるみなみ様、デキるみなみ様、可愛いみなみ様、と連続攻勢を仕掛けた上でみなみ様の背景に触れてきましたが、その上で、「夢……? …………そうね」については演技のニュアンスだけで印象づけて、今回は踏み込まずに先に引いてくれたのはとても良かったです。
何でもかんでも1エピソードで解決しないで、こういったロングスパンの仕掛けを入れてくれるのは好み。
リストラ通告を受けていたクローズは、今回も失敗で「もう帰れない」と失職してしまいましたが、シャットもロックも失敗続きなので、クローズだけ早くも追い詰められてしまったのは、少し気になる所。まあクローズは、最初にフローラ誕生を阻止できなかった分が乗っかっているのでしょうが。敵幹部の差別化は進めて欲しい所ですが……次回、無職クローズ、アウトドア生活?