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『百獣戦隊ガオレンジャー』感想3

◆Quest3「荒鷲が消える!!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希
オルグの聖域マトリックスにおいて、ハイネスデュークオルグの1柱、シュテン(CV:稲田徹)が復活。手と目がモチーフ?でグロめのデザインの割には、稲田さんが美形キャラ演技していて、私が得。
その頃ガオズロックでは、オルグ殲滅すべし、というパワーアニマル教団の教えにすっかり染まったレッドが、「ガオレンジャーであるための注意事項」をレポートにまとめて、皆に読ませていた。
リーダーである自分に報告・連絡・相談を怠るな、など、前回の今回で物凄い勢いで上から目線なのですが、調子に乗せたら駄目なタイプなのか……。
そもそも赤がリーダーである根拠が「巫女の神託」なわけですが、1年間ガオレンジャーやっていた黄が不満は見せながらもそれに従うのはまだわかるとして、前回の今回で赤がそれをあっさり受け入れて好き放題でリーダー気取りな所に、カルトの闇の深さを感じます。
いいか赤よ、君の立場は背後でのほほんとしている女の、「あ、やっぱりリーダー、黒みたい」の一言で、一気に底辺まで落下する事を忘れるな!
前回、赤に気を遣っていた白は、今回は出ていった黄を追いかけたり、仲間の間を取り持とうとする姿が重ねて描かれており、今のところ純粋いい子路線ですが、これはこれで割と珍しいか。
街には、カメラで写した人間の生命エネルギーを吸い取ってしまうカメラオルグが出現。撮影された人間は透明になってしまい、見えない人間に引っ張られたり押されたり、というのは映像的に面白い演出。
赤のリーダー気取りにやってられないと街をフラフラしていた黄色はこの現象に遭遇し、怪しげなカメラを手にした少年を追いかける。「どうして逃げるんだ……」って、道でいきなりヤンキー丸出しのガタイのいい男に「そのカメラを見せてくれ」って言われたからだと思います!(笑)
カメラオルグに脅されて嫌々シャッターを押していた少年は逃げ出し、放り捨てられて本性を現したカメラオルグと戦うイエローだが、そこにヤバイバが現れ、ナイフ二刀流で苦戦した所をカメラに写されてしまう。イエローは生命エネルギーを吸われて変身が解けてしまい透明に。シュテンによる強化を受けたカメラオルグは、自分でシャッターを押せるようになり、街で大暴れを開始する。
オルグ側は基本、オルグが自然発生→ツエツエとヤバイバが回収→強化されて暴れる、という構造になる模様。この為、1本角のオルグは偉いオルグ、と怪人が素直にデュークオルグに従う上下関係がデザインに織り込まれています。
イエローを救う為カメラオルグに立ち向かったレッドは、機転を利かして不意打ちで逆転し、生命エネルギーを封じたフィルムの回収に成功すると、それを感光させる。
「みんなの命、返してもらうぜ!」
…………下手すると、大量虐殺になっていたような(^^;
単純に、壊して(倒して)治す、からもう一ひねりしたかったのでしょうが、結局根拠は無いので、あまり変わらなくなってしまいました。……まあ戦隊はこの辺り、「怪人の撃破」と「問題の解決」をプロット上で直接繋げないといけない、というのが約束事として縛りがあるのかな、とも思われる所ではありますが。そういう点では、シナリオ展開の硬直化の一因となっているという自覚をした上で、一工夫凝らそうとした、という意識は窺えます。
イエローが復活して戦線復帰するもガオレンジャーはカメラの猛攻にピンチになり、苦しむレッド、今回もライオンと交信。
「ガオライオン……わかってるさ。負けられねぇ。俺はリーダーなんだ。みんなを助けられなきゃリーダーなんて言えない! 俺にはまだ、戦う力がある!」
ライオンファングが、銃形態であるガオメインバスターに変形し、窮地を脱して反撃スタート。
レッドのリーダーとしての責任感――引いてはその気持ちが強さになる、という姿――を描きたかったのはわかるのですが、そもそも「赤がリーダーである事を自覚する」というプロセスが抜け落ちている為、赤の1−2話までの描写と、冒頭いきなりレポートを配り出す姿からして繋がっておらず、ここまでの物語との連動性が弱い為、酷く唐突な逆転劇という印象になってしまいました。
一応、第2話のイエローの「どうする? おまえがリーダーだ。…………おまえが決めろ!」」という台詞で、赤がリーダーである事を自覚した、という事なのかもしれませんが、第2話のテーマがそこに全く無かったのと、黄が赤に対して「やる気無いのなら辞めればいいんじゃね」という態度だったのと、どう考えても赤が戦わないという選択肢を採ったら残りの4人はそれに従わずに戦うよね、という流れだった為に、全面的にちぐはぐ。
度々書きますが、「勢いで逆転する」のが悪いのではなく、「勢いに物語として説得力を持たせる為の積み重ねが足りていない」のが問題。
そんなこんなでガオレンジャーはカメラを邪気退散。巨大化後は、零距離アニマルハート、更に駄目押し、で滅却。
オルグの巨大化はシステム上、常にツエツエが前線に居る(少なくとも今回、ヤバイバと一緒に現場に居る筈なのに観戦モード)というのは結構厳しいと思うのですが、手を入れてくるのかどうか。
シュテンがちらっと顔見せして宣戦布告し、赤と黄はなんとなく意気投合。
黄色に「おまえも単独行動してんじゃん」とツッコまれて「時と場合によってはありにしようか」と赤が返したり、最後一斉に「おまえ、慎重、無理」とダメ出しを受けたりする姿には、寄せ集めのメンバーが徐々にチームとして一つになっていく姿を描きたい、という意図が見え、後に同じくメインライターを務めた『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)でも盛り込まれますが、ライトスタッフ論というのは武上さんの持っている一つのテーマ性なのかな、と思う所。