◆『GO!プリンセスプリキュア』#10◆
今回の、心に染みた名台詞。
「考えろ、考えろ俺!」 (クローズ)
追い詰められた時に、頭を使おうという発想が素晴らしいと思います(笑)
バイオレンス王子からの連絡でドレスアップキーの反応が見つかった事を知るはるか達。キーはなんとノーブル学園のどこか、“夢の集まる場所”にあるらしい。部活巡りなどをするも空振りに終わった3人は、学園の隅々までを知っているような寮母の白金なら何か心当たりがあるかもしれないと考える。神出鬼没の白金が早朝に不審な散歩をしていると聞いた3人は白金の後をつけ、隠し扉の地下通路の先で、広大なローズガーデンをその目にする……。
代々の卒業生の夢を書いたタイルを敷き詰めた小屋の建つ、崖の上の秘密の花園……というのがどうして秘密施設になっているのか激しく謎で戸惑います(^^;
ミステリアスでファンタジックな“学園の秘密”みたいな要素を入れたかったのかもしれませんが、もう一声、それを成立させる為の“真偽定かではない由来”みたいなものは欲しかった所です。
「こういう話が伝わっていて、それ以来〜」とかあればまた違ったと思うのですが、ただ単に、学園長が奇矯としか思えず、今ひとついい話になりませんでした。わけありげで変な学園長とか理事長、が劇中にちらちら出ていればまた話を広げられますが、基本的に今作ここまで、学園の偉い人、は不在ですし。
それこそ白金さんが一番、劇中において学園の権威を代表する存在だったりするわけで。寮母、実は……というのも充分に有り得ますが、今回のエピソードに関しては、後出しの設定ではなく、この場で補強が欲しい内容でした。
続きエピソードだったので、次回のラストで、革張りの椅子に腰掛けた黒いシルエットの人が猫を撫でながら「そうか……プリンセス達があの場所に気付き、キーを手に入れたのか。計画は順調に進んでいるようだな……ご苦労だった、白金。引き続きプリンセス達を監視するのだ」とかあるかもしれませんが(笑)
卒業生のタイルのシーンでは、既に言及されていたきららの母親の他に、みなみ様の兄も卒業生であったと判明。前回に続いて、みなみ様の背景が少しずつ言及されてきました。
小屋の中で、壁に潜んでいたドレスアップキー一気に3つを発見するはるか達だが、そこへ崖っぷちのクローズが来襲。クローズは卒業生達の夢の詰まった建物そのものをゼツボーグ化する事で最強のゼツボーグを作り出し、追い詰められるプリキュア。てっきり新フォームで逆転するのかと思ったら、信念のパワーから3連続必殺技でごきげんよう。
上級生べったりのはるかに雑な扱いを受け続け、私の人間としての価値って、眼鏡外した1発ギャグしか無いの……?! と悩める眼鏡っ子が後を追いかけてきていた為に、3人が正体を明かす事になるという大きな変化はあったものの、眼鏡がその後で物語に絡まないので消化不良……と思ったら、ディスピア様が登場して、次回へ続く。
◆#11◆
ディスピア空間ではゼツボーグは3倍の力を持つのだ!
というわけで、プリキュアに最後の戦いを挑むクローズともども、ディスピア空間に呑み込まれるプリキュア達&巻き込まれた眼鏡っ子。分断されたプリキュアは、強力なゼツボーグの襲撃を受けて苦戦し、見所は、
クローズ、美形になる。
今回でお別れ(?)という事でか、えらく作画に気合いの入ったクローズさんが、『ドラゴンボール』のような地形で、亀仙流のごとく大暴れ。……まあこういう、特定のキャラだけを全体の雰囲気から逸脱して描いてしまう作画、って個人的にはあまり好きではないのですが(^^;
マーメイドとトゥインクルが合流し(Aパートさんざん苦戦を煽っていて、Bパート冒頭でいきなり大技で片付けてしまうのはどうか)、3人揃ったプリキュアは、エレガントキーの発動に必要な魔法のステッキを手に入れるべく、カナタの元へ夢の力を届けようとするが、巨大な漆黒の鴉の姿に変貌したクローズがそれを霧散させてしまう。
3人がそれぞれの夢を口にする所で
「私は、兄や父のような、人の役に立てる人間になる」
と結局、みなみ様はそれでいいのか……? 前々回わざわざ戸惑うようなニュアンスを入れた後で、今回は話の都合優先といった感じになってしまったは、ちょっと残念。
ドリームコールを巨大クローズに防がれ、次々と仲間を吹き飛ばされ、さすがのフローラも絶望に膝を付いてしまう。だがその時、駆けだした眼鏡がクローズの攻撃からフローラをかばう。
「私の夢も、力になれないかな?」
夢を守ってくれたはるか/キュアフローラの為にも、必ず夢をかなえてみせる、その時も一緒にいよう、という眼鏡の言葉に、自分が夢を守る意味、戦う希望を取り戻すはるか。
「私は、私の夢を叶える。みんなの夢も守る。……だって、今の私は――プリンセスプリキュア! キュアフローラなんだからっ!」
これまで、「プリンセス」という言葉の響きに踊らされていたはるかが、ここで「プリンセスプリキュア」としての自覚を強くし、夢を守るプリンセスという立ち位置が確定。
ようやく眼鏡っ子の存在意義が出ましたが、溜めて面白くなったというよりは、放置→ベタといった使い方で、可も無く不可も無く。……この後また、イベント片付いたから、という感じで蔑ろにされそうで怖い(笑) ただ、実は改めてはるかにとっての「友達/友情」を描いた事が無かったので、その要素を正面から持ち込んだのは良かったと思います。
「私も……同じ気持ちよ。海藤みなみとして、キュアマーメイドとして、ディスダークと戦う」
「キュアトゥインクルとしては、ここは乗っからないと駄目だよね」
3人は眼鏡を交えて再び夢の力を掲げ、それはクローズの妨害を突き破ると王国へ届き、魔法のステッキとの道しるべに。新装備を手に入れた3人は、ローズ、アイス、ルナを発動し、合体光線技トリニティリュミエールで、巨大クローズを撃破するのであった。
新しいキーによるフォームチェンジは、もっと派手に変わるのかと思ったら、装飾品以外は、並べないとわからない感じ。この辺りはあまり、個体認識が難しくならないように、という所なのでしょうか。
巨大クローズを撃破して、黒い羽根が舞い散る中で、フローラが悲しそうな顔で目を伏せるのは、意識を持った存在を消滅させた自覚あり、という事なのかなぁ……。これまでゼツボーグとの戦闘は、外装を封印して素材の人間を解放する、というイメージだったので、明確な“敵の撃破”というのは劇中初なわけですが、基本的にそれを避ける設定で通常戦闘を展開していたと思われるので、敢えてそれをやってきたのを、どう活かすのか気になります。
フローラもフローラで、通常、人権派の主人公なら試みそうな《説得》などは一切していないわけですが、そう、プリンセスプリキュアの辞書に、「和平」の文字は無いのだ!
まーその辺りの事情も含め、しれっと復活しそうな気もしないでもないですが(笑)
パワーアップの踏み台として登録抹消さたクローズですが、戦闘をやたら盛り上げてしまい、役職上は同格の上にこれまでもさしてパッとしていない残り二人の今後がとても心配です(^^; しかもそのクローズが限界突破の強化した所を、新フォームで瞬殺してしまいましたし。まあ、残り二人も電光石火で始末して、OPからもデリートする、という方向性もあるかもしれませんが(笑)
前後編でのパワーアップ展開で、存在の限りなく透明なクリスタルだった眼鏡っ子をフィーチャーして改めて「友達」を描き、合わせてキュアフローラの立ち位置を確定しましたが、出来は2話とも今ひとつ。
絶望的に強大な力の敵に立ち向かうが大逆転、というプロットが全く一緒になってしまいましたし、逆転のキーとしての友情と強化アイテムを2話に引っ張って用いた結果、前編は消化不良、後編は悪い意味でRPGのイベント戦闘のようになってしまいました。もらい物の強化アイテムに対して主人公達の感情が乗っていないので、淡々とムービーを進める為にボタンを押している気分というか(^^;
友情の確認と夢を守りたいという意志が、「強化アイテム」そのものと繋がれば良かったのですが、「強化アイテムを手に入れる手段」になってしまったのが、少しピントがずれてしまったように思えます。
あ、謎のシルエットの悪い人は居ませんでした、ハイ(初めから妄想です)。