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『百獣戦隊ガオレンジャー』感想14

◆Quest19「猛牛、脱退!?」◆ (監督:坂本太郎 脚本:赤星政尚)
月齢に力を制限されるロウキが新月でお休みし、ここまで1人で書いていた武上純希もお休み。
ジラフを奪われた事に落ち込む青をなだめていた黒は、街でかつて勤めていた花屋の同僚・詩織と再会。勢いで車に乗り込むと、青を放置して走り去ってしまう(笑)
それを見ていたツエツエとヤバイバは、眼鏡をかけさせた人間に取り憑く能力を持つメガネオルグをスカウトして詩織を操ると、「草太郎くん、あたしと、結婚して」とブラックへ対して猛アプローチをかけさせる。
ずっと、「くさたろう」だと思っていたのですが、「そうたろう」でした!
かつて怪我で力士を廃業後、たまたま出会った詩織に一目惚れして花屋で働き出した黒だが、詩織が男性と逢い引きしているのを目撃して失恋した所をパワーアニマル教団に勧誘されて、失踪。心の隙間を信仰で埋めていた黒であったが、詩織は今も心に残る思い人であり、目標を見失っていた人生から立ち直らせてくれた恩人でもあったのだった。
黒は以前にも一目惚れラブコメをやっているので、詩織からの恋人アプローチだけだと単なる軽い男になってしまう所でしたが、「詩織の事情(父の体調と花屋の経営が危ない)」「一度失恋している」「片思いと同時に、人生の恩人」と理由を重ねる事で、惚れっぽいという所は崩さないまま、黒の真剣な迷いを描く事が出来ました。
2人のデートを出歯亀していた青は物陰から様子を窺うツエツエとヤバイバに気付くが、恋の魔法で配線がショートしてしまった黒が戦力にならず、逃げられてしまう。青から「ガオレンジャー失格」と言われた黒は悩んだ末に詩織のプロポーズを受けようとするが、ツエツエとヤバイバが現れて、詩織を人質にガオの宝珠を要求。
「みんな……すまん」
詩織の為にバイソンの宝珠を渡す黒だが、そこで本性を現すメガネオルグ。宝珠を手にツエツエ達は姿を消し(ガオの宝珠の運搬役として人間の体が必要、というのは細かく秀逸)、それを追うガオレンジャーだが、詩織の言葉が全てオルグによる嘘だったと知った黒はショックに膝をついてしまう。
「いつまでそうしてる気だ。立てよ!」
「……ブルーの、言った通りだ。自分は、ガオレンジャー失格だ……!」
「そんな事言ってる時じゃないだろ! オルグに操られているあの人を、このままにしておけるのか?! 助けるんだよ! あの人がおまえをどう思っていようと、ガオレンジャーを辞めてまで一緒になりたい! そう思うぐらい、あの人の事が、好きなんだろブラック!」
ここで、ヒーローを辞めてもいいほど好きな相手だからこそ、それが破れても、ヒーローとして守れ(戦え)! と持ってきたのは良かった。
またそれを、イノセントなヒーロー路線であるレッドではなく、色恋沙汰にぶれやすく、同じような心の揺らぎを持っているブルーに言わせる事で、上辺だけでない説得力も増してはまりました。
……と、前半比較的悪くなかったのですが、後半、詩織を人質にした犯行グループの要求がエスカレートし、他の宝珠も奪い取れと言われたブラックが4人に襲いかかった所で、力技で内側から洗脳を打ち破る詩織。
……ん?
…………そこはブラックがヒーローらしい活躍を見せて詩織を解放する所ではないのか。
この後、詩織を助けるも、どさくさの内にバイソンの宝珠が海に落ちてしまい、それを取り戻す為に崖から飛び込むブラック(高所恐怖症でしたっけか)のシーンで盛り上げるのですが、個人的に期待していた方向からズレてしまいました。黒が一生懸命、水中の宝珠を探すのですが、そこは海の得意な青がさくっと拾って友情ネタでも良かったような。
しかも地上の4人は、黒とか別にいらなくね? という勢いでツエツエ達を圧倒(笑)
なおここでの注目は、メガネオルグに爪ラッシュを浴びせ、「女性に暴力を振るうとは最低」と批判されて思わず謝ってしまい反撃を受けるも、場面切り替わるとライオン砲でさくっとガオラオする走先生、超クール。
巨大化したメガネオルグに対して合体できないパワーアニマルは苦戦するが、無事に黒がバイソンを発見して、復帰したバイソンが猛攻でメガネバリアーを打ち破り、最後は友情のサメソードで成敗。
ガオキング(或いはマッスル)になれない事でのピンチから逆転で盛り上げる意図はわかるのですが、結果としてブラックの存在よりもロボットの下半身が大事という構成になってしまいました(^^; アニマルと戦士の紐付けも強化したかったのでしょうが、出来れば通常戦闘の段階での黒の見せ場が欲しかったです。
草太郎くんも、ガオレンジャー、頑張って」
裏切り者として脱退を決意していた黒だが、迎えに来る4人。詩織は改めて、全てはメガネオルグの嘘だったと告げると花束を渡してその背中を見送る。けれど――
草太郎くん、君を好きってのだけは、あの頃から言えなかった、本当の気持ち、そのままなんだよ。草太郎くん、頑張って)
草太郎が詩織に彼氏が居ると勘違いした光景はむしろ、詩織が男の告白を断った場面だった、と詩織のモノローグでエンド。
……てっきり、ガオズロックに戻った所で貰った花の花言葉から、詩織の秘めた思いがそれとなく匂わされるとかそういうオチかと思ったのですが、物凄くストレートに独白されてしまいました。
ブコメから、ヒーローとして戦うとは何か、と持っていってくれたのは良かったのですが、惜しい。


◆Quest20「巫女 囚わる!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:武上純希
イエローの過去が、割と真っ当に更正して自衛隊でファイターパイロットを目指して訓練中に電波巫女にさらわれて社会的に抹殺されるという悲惨なものであった事が判明。
それは、後から入ってきた連中に「戦士になるつもりなら、今までの名前を捨てろ」と宣告するわけです。
簡単に、社会復帰なんてさせない!!
そんなイエローとテトムが2人だけで示し合わせて、こそこそと出かけていくのに気付いてストーキングする4人……て、こんなのばかりだなぁ(笑)
誰も知らない半年間に、イエローとテトムの間にロマンスがあったのでは、と盛り上がる出歯亀4人。ねばねばコンビが抱き合ってちゅーしようとして、白がちょっとムッとした感じで青の頭を掴んで止めているのですが、この間アプローチしてきたのに本命はそっちなの?! という嫉妬なのか、単純に気持ち悪いから止めたのか、判然としません。
おどろおどろしいオルグ墓場?でイエローとテトムが目にしたのは、ロウキによって破壊された封印と、復活したバイクオルグの姿であった。
「俺は昔の50ccの原付じゃねえ。大型二輪免許が必要な、ナナハンオルグに、パワーアップしたんだぜぇ」
イエローがバイクにやられている間にテトムがロウキにさらわれてしまい、過去の事を語らぬまま、その後を追おうとするイエロー。
「待てよイエロー! 何があったんだ! 俺達5人の間に秘密があっていいのかよ!」
貴方たち、秘密だらけだろう(笑)
それともやはり、黄色の知らない所で4人は交換日記とか回しているのか。
イエローは口をつぐむが、テトムの回想により、原付オルグは、入信したてのイエローが初めて戦ったオルグであると判明。
(本当に弱かったのよね、あの時のイエロー)
率直な毒を吐くテトムですが、当時のイエローは1人では原付を倒しきれず、テトムに渡された札で封印。その事をずっと気にしていたイエローは、自分が弱かったという恥ずかしい過去を仲間達には秘密にしておきたかったのだった……て、中途半端にオルグを封印したので、邪気退散しきれずに封印の周辺がオルグ墓場化してしまったのを悔やんでいた、とかそういう重い事情かと思ったら、全くそんな事はありませんでした(^^;
バイクの封印場所、雰囲気出しが行きすぎて、骸骨みたいなものが沢山ぶら下がっていたのですが、封印云々が関係ないとすると、教団の処理施設か何かなのか(や、言及されないだけで邪気の影響かもしれませんが)。
テトムの身に付けている宝石から、ムラサキという名を思い出したロウキはそれがテトムの祖母であると知る(以前のテトムの回想シーンでは老婆でしたが、ロウキ回想シーンでは若い頃という事か、テトム役の女優さんが銀髪のかつらを被って二役)。テトムはムラサキと先代ガオレンジャーがロウキを封じたというが、ロウキの記憶の中のムラサキは、微笑みと共にロウキに花を渡すのであった……記憶の混線に惑うロウキの千年の恨みとは、フられた腹いせにストーカー行為に走ったら警備員に封印されてしまったとか、そういう事なのか?!
そこへガオレンジャーが乗り込んできて、成長したイエローの剣技と、5人の力でバイクオルグを邪気退散。ロウキの力で巨大化したバイクを、マッスルラリアットで撃破(今回のフラグ)するが、復讐者にシンパシーをいだくロウキが「バイクオルグの復讐、引き受けた!」と仲間意識を発揮して盛り上がり、マッスルとハンターの必殺技がぶつかり合って相討ち。
「テトムとやら。ムラサキの話、続きが聞きたい」
テトムをさらおうとするロウキの前に立ちふさがるイエローは果敢に一騎打ちを挑むも敗れ、子熊を凍結されてしまうが、手傷を負ったロウキも割と痛かったのか、テトムを諦めて撤退。そしてテトムは、ロウキのこぼす、“赤い血”に気付くのであった……。
やたらに主導権を握りたがる所と、高圧的な情報統制から規律の厳しい組織人を思わせ、一度は元警察官ではないかと推測した黄色ですが、前職は自衛官という事で、何か納得。オルグに対する苛烈な姿勢や、戦いの中での気の張り方にも過去の経緯と合わせて繋がり、落ち着く所に落ち着きました。劇中ではギャグっぽく扱われましたが、ガオレンジャーとしての真剣さの一因に、テトムにちょっと気がある、という要素はあっても良いかと思っていたので、ラストでもう一つテトムと絡めてくれたのも良し。
そしてじわじわと明かされるロウキの過去の因縁。果たしてその正体は、タチの悪いストーカーだったのか?! 次回、夏の怪談。