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世界蛇と夏アニメ色々(1週間分)

◇『ヨルムンガンド
終了ー。
前半、個人エピソードが、え? これが個人エピソードだったの? 扱いだったルツが可哀想だと思われたのか、終盤になってやたら喋るので命が危ぶまれましたが、スキル《呪われた俺のケツ》が発動し、生きながらえました。良かったねルツ!
ヨルムンガンドの正体が明かされ、決裂するココとヨナ。重苦しい雰囲気の中で幾つかの結末が想定されましたが、ココは新世界を発動し、結局ヨナはココの元に戻る……そして新世界が恥の世紀を過去のものとする日を目指し、彼等の旅は続く……。
と、思えば、今作の登場人物たちはずっと、最低に狂った世界で陽気に生きている連中だったわけで、その狂気を認めながら出来る事をして生きていく、という今作らしいネアカさが貫かれた結末になりました。
ラストでキャスパーの元を辞めてヨナと再会したメンバーが、喜んで口々にココのチームへの復帰を促すのですが、あれ、「おまえもこっち側に来ようぜ」というお誘いなのかと思うと、いいシーンなのだか何だか(笑)
マオさんもスポット回以降、あれ、この人、本当はヤバい……? 感があったのですが、あの局面で「ビジネスだから」で済ませて、本当にヤバい。あのチーム、マオとかワイリとか、いっけん温和な人ほど実はヤバくて、タチ悪い。
そういう点でルツは、チームのメンバーの中では比較的常識人という事で、終盤の役目が回ってきたのだなぁ、と納得。
惜しむらくは、1クールの締めから2クールの頭にかけてスポットを当てたアールとエコーが、最終盤では消え去ってしまった事で、回想シーンで一言二言ぐらい欲しかったです。余りあの2人の死の影響を重くしすぎたくはなかったのでしょうが、そういう使い方をしていたので、そこは収めてほしかったかな、とは。
ちょっと面白かったのはキャスパーの使い方で、性格のねじ曲がった食えない頭脳派という事で、特にココと敵対しているわけではないとはいえ、踏み台っぽい扱いにされるのかなと思っていたのですが、最後までキャスパーはキャスパーを貫き通しました。ある意味、今作最強キャラという扱いだったようで。
ロケット発射後のキャスパーの台詞は、今作の根っこのテーマでしょうが、作品全体に広がりが出て良かったと思います。

「この世から武器が無くなると本当に思うか、ココ? ――航空兵器が駄目なら海戦兵器を売ろう。船が駄目なら戦車を売るよ。銃を売ろう。剣を売ろう。鉈を売ろう。鉄を封じられたなら、棍棒を売ろう。それが我々、武器商人だ」

で、そう考えると、今作において「武器商人」=「人間」という事になり、武器商人に純化した2人――真っ黒に煮詰めた「人間」のカリカチュアともいえるココとキャスパー――は、1人は闘争の道具を手にし続け、1人は世界を憎んだ末に永久の平和を求める、という二面性とアイロニーが今作の芯だったのかな、と。
最後、スケアクロウがキャスパーの方に絡むのも、キャスパーがなんか面白がってスケアクロウ放置するのも納得というか(笑)
エンディング、美しいバラードに乗せて主要キャラクターのその後を描きつつ、“何も飛んでいない青空”を見せる演出は格好良かったです。……というか、途中まで、全く気付かなくて、おお、と思いました。
演出といえば、随所でけっこう動画節約している今作ですが、顔アップで台詞、ではなく、目のアップまで持っていった(特に終盤)のは面白かった所。画を節約しつつ、人の内側の狂気を滲ませつつ、キャラクターデザインの為に作品の特徴も出る、と、面白い工夫でした。
元永監督というと個人的に、TV版『吸血姫美夕』(だいぶ昔ですが、名作)の演出(まだ監督になる前)で印象深かったのですが、再度注目したい。
昨今の分割アニメがどうにも肌に合わないーと愚痴っていた時に、今作を紹介して下さった西家さん、ありがとうございました。面白かったです。


◇『うしおととら』第1話
既に20年前、1990〜96年にマンガ連載という原作をどう調理してくるのかと思いましたが、いきなりガチンコで喧嘩する父子、女性キャラのデザイン、シリアスな局面から瞬間で切り替わる罵り合いのギャグシーン、幼馴染みに気があるけど表向き否定する親友に対し「じゃあ私がもらっちゃう」とからかうやり取り、などなど、90年代の少年マンガを、かなりそのまま持ってきました。
原作読者としては、90年代の少年マンガにおけるバディものの一つの完成形として懐かしさと安心感がありますが、全く新規の視聴者にとって、これが吉と出るか凶と出るかは、気になる所。
女性キャラのデザインを少し今風に垢抜けさせようかどうかぐらいの話はあったのではないかと思うのですが、かなり意識的に押し切りにきているようなので、後はそれを視聴者に納得させるパワーがアニメから出せるのかどうか、出せればいいなぁと思う所。
物語は非常にストレートですが、今見てもとらの、立ち上がった時に、人間でも動物でもない、とハッキリわかる異形のデザインは秀逸。


◇『GATE』第1話
突如、銀座の大通りに巨大な<門>が開き、そこから異世界の侵略軍が姿を見せる。それを迎撃した自衛隊は、数ヶ月後、その異世界へと部隊を向かわせるのであった……と、異世界の怪物vs自衛隊、というファンタジー要素を主眼にしたもう少しマイルドな話かと思ったら、オークやゴブリンぽい魔物の軍勢は明確に人間が指揮しており、自衛隊は飛竜に乗った騎士を戦闘ヘリで撃ち落とし、敵も民間人も死傷者多数、と思いがけずハードな展開でビックリ。
その中で、1話の中心を異世界meets自衛隊というファンタジー部分でもなく、もし異世界の軍隊が国内に侵攻してきたら自衛隊はそれにどう対応するのかという架空シミュレーションでもなく、「民間人の命が危機に曝された時の自衛官の覚悟(行動)」、に置いてきたというのが、なかなか興味深いです。
主人公が、仕事はあくまで趣味(を充実させる稼ぎ)の為にやっているというポリシーを持ち、同人誌即売会にウキウキと向かう、という姿を重ねて強調した上で、しかしそんな主人公も自衛官として咄嗟に敵兵を殺害できる、と焦点を合わせたのが、2話以降の物語の中でどんな形で活きていくのか、というのが気になる所。
あと別に殺伐としているのが好きなわけではないのですが、敵が人間(生物学的に同種かはわかりませんが)だとわかった時点で、引き金を引くか否かにごちゃごちゃ悩まれると(そこを主なテーマに話を進められると)物語としては面倒くさいなぁと思ったので、その辺りの基準を1話ですっきり作ってくれたのは良かったです。
この先どうなるかわかりませんが、基準なく悩むのと、基準があった上で悩むのとではまた、意味も変わるので。
ところで主人公が女性(年齢の別なく)に対して妙に気取った感じ、というのは明確なキャラクター付けで、それで異世界でも女性トラブル(?)を引き起こす、という感じなのかしら。
あまり、1人の主人公が全女性キャラをひっつけて回るというタイプの物語が得意ではないので、その辺り、巧く見せてくれると嬉しいのですが。ちゃんと、いい男がいい男として描いてあれば、モテても別に不満は無いのですけど。


◇『Classroom☆Crisis』第1話
オリジナルのSFっぽいので見てみたのですが、うーん……舞台が“火星の宇宙都市”というだけで、特にSFをやろうという気は無いみたいだなぁ……。宇宙船開発という要素を持ち込む為の広義のファンタジーとしての背景であって、あまりそこにポイントは無い様子。
宇宙船はちょっとそこまで、の感じで宇宙に飛び出してしまうし、小惑星帯は、崖崩れで埋もれた山道とか、細く入り組んだ路地裏、程度の道中の障害物扱いですし。勿論、何を見せるか、というのは作品によりますので、それはそれで良いのですが、折角宇宙を舞台に組み込んだのだから、もう少し宇宙らしい演出の欲しかった所です。
宇宙空間がごく身近なので、登場人物達にとって宇宙へ出る事が重要ではない、という見方も出来ますが、それならそれで、宇宙が身近であるという描写が必要なわけですが、それはそれで無いですし。
まあ、世界観を最後に見せる、という手法を使いたかったが為にそういった描写をしないという意図はあったのでしょうが、そうだとすると、どうもちぐはぐな事に。
基本は部活物にビジネスの論理が持ち込まれるという感じになりそうですが、とりあえず、もう1話見てみます。


◇『乱歩奇譚』第2話
さすがにメガネくん犯人は穿ち過ぎでしたね、ハイ。しかしまあ、これといってこれといった所はないので、これで終了。
もう少し、演出に統一感があればなぁ……。