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もやしとたまねぎ――『Gのレコンギスタ』感想・第22話(Aパート)

お久しぶりの『Gレコ』感想。MXの再放送が終わってしまう前には、とにかく何とか1回まとめ終えたい……(^^;
◆第22話「地球圏再会」◆ (脚本:富野由悠季 絵コンテ:宮地昌幸斧谷稔 演出:河村智之)
というわけで前回、ジット団をかわしてロザリオ・テンにとりつき、ラグー総裁と会談にこぎ着けたメガファウナ一行。シー・ディスクの穴を塞ぐ為にキアを失ったジット団は、地球へ向けてフルムーン・シップを出航させる。
「フルムーンシップは、キア・ムベッキ隊長の遺言を受けて、レコンギスタの道を開くものである」
立ちはだかるポリジット部隊を蹴散らし、躍動するジット団のMS。ここで、クンの新型MSもビームウィップを振るって顔見せ。シー・ディスクの底を埋めたコンキュデベヌスは、まるで地球へ向けて真っ直ぐに向けられた瞳のようで、フルムーン・シップは満艦色をもってキア隊長への手向けとすると地球を目指す――。
と、まるで善玉サイドのヒーローを悼むような感傷的なシーンが展開し、先週まで当面の悪玉サイドであった事を忘れさせる勢い。
善悪を鋳型に流し込んで固定しない今作らしい作劇ですが、最終回まで見終えた後で改めて見ると、この演出自体がここからのクライマックスの混沌を暗示するようで、大きな布石とも思えます。
一方メガファウナ組では、ジット・ラボから 略奪 接収したMSを運用、調整中で、巨大な一本足のMAジーラッハをノレドが操縦しようとして、一騒動。
「マニィに出来る事なら、あたしに出来ないわけがないでしょ」
ベルリの為に自分に出来る事を探していたノレドが何やらマニィに対抗意識を燃やしたようですが、個人的にはノレドにはMSに乗ってほしくなかった(MSに乗らなくても物語の中で意味のある存在になってほしかった)ので、ちょっと残念。
17話辺りからのノレドの変化には、出来ればMSに乗る以外の回答が欲しかったです。
勿論、役に立たない人間を宇宙戦艦に乗せて連れ歩くわけには行かないので(そこに居るだけでコストがかかるので)、戦艦のスタッフとしてある程度働く所までは仕方ないとして、結局MSに乗せないと確固たる居場所を築けない、というのは少々楽な方向に行ってしまったのではないか、と。ノレドには何かそこを飛び越える可能性を期待していた所があって、物語としてもここまでMSからは遠ざけていただけに、他の道が見たかったです。
メガファウナがバタバタしている頃、アイーダはラグー総裁と単独で会食中。

「あの円の内側の空間を、大型バッテリーで埋めるのですか?」
「地球そのものを隣の銀河に飛行させようとすれば、あのような規模のものが、あと3つは必要でしょう」

キャピタルによるエネルギー供給権の独占は是なのか? トワサンガの人々の主張は正しいのか? そもそもフォトン・バッテリーとは何なのか?
――多くの疑問の答を求めて遠くビーナス・グロゥブまでやってきたアイーダ姫様御一行ですが、ここでヘルメス財団の目的が「壮大な夢想」であると判明し、物語のメインストリームから切り離されてしまう、というウルトラC。
答を探して異邦の果てまでやってきたけれど、そこにシンプルな答は用意されていない、というのが今作の答、という厄介極まりない展開ですが、ここでそれに落胆する間もなく、じゃあ地球帰れ、とそのエピソードの内に地球圏へ戻ってしまうのが良くも悪くも恐ろしい所です。
ヘルメス財団に関する背景設定などは全く知らないので、劇中でわかっている限りの事から類推しますが、これまでどのぐらいの時間をかけているか知りませんが現在も建設中の、巨大フォトン・バッテリーによる球形の外殻(ヴィーナス・リング)がまずあり、その内部を大型バッテリーで埋める、そしてそれを最低3つ、という計画は、少なくとも数百年規模のものと思われ、更にそれによって「地球を隣の銀河に飛行させる」とくれば、壮大な夢想と言ってしまって良いでしょう。
19話のエル・カインド艦長曰く、「人類を、永遠に生き延びさせる為」の計画のようですが、ここで例えば、巨大なエネルギーを用いての、恒星間航行による植民、とかならまだ話はわかるのですが、地球そのものを銀河系レベルで移動させるというのが、ちょっとまた不思議な話。
まあ、月や火星、木星に人類が居住しているのならば、地球だけを引っ張っていく事、に意味があるのかもしれず、地球を巨大な宇宙船と見立てれば、銀河間の種の散布と同時に、地球人類の強制的な変革を求める計画、としてヘルメス財団なりの道理はあるのかもしれません。
既に手段が目的になってしまっている人達、という感もありますが。
で、ヘルメス財団の目的が地球そのものの別の銀河への移動という事になると、どうしてそれだけに注力する事なく、地球へ無償でフォトン・バッテリーを配給しているのか……という理由は、地球を種の苗床、巨大な遺伝子サンプルと考えている、というのがしっくり来る気はします。
故に、地球という星だけではなく、そこに住む地球人も生かしておく必要がある、と。
こう考えると、13話ロックパイの「貴様達は地球上で、もやしのような歴史を作れたのだぞ!」という台詞は、嫌味以上に、なかなか示唆的。
そうするとアグテックのタブーなども含め、ヘルメス財団から見ると、地球は適当に野生味を残しつつ大枠では自分達の管理下に置いている、という感覚はあるのではないか、と思える所あり。
20話冒頭に「ジット団は、僕たちをクンタラにするって言ってるんです」という台詞がありましたが、大きな意味で、ビーナス・グロゥブの人々にとって、地球人はまとめてクンタラなのかもしれません。
……なお今、思いついた事を思いついた勢いで書き殴っているので、辻褄合うのか考えていません。
「しかし私は、こんな技術は、地球人には知らせてはならないと考えました」
「どうしてなのでしょう?」
「ジット団のような存在を知れば、人類というものは、そう簡単に変われるものではないとわかります」
台詞は、技術を闘争に用いる人々への非難のようでありつつ、視線は、レストランで食事を楽しむ着飾った人々、に向けられているのが皮肉で複雑。
そして総裁は、20年近く前にビーナス・グロゥブで起きた、ピアニ・カルータ事件に触れる。生まれ育ちはわかりませんが、ここで、クンパ大佐がヘルメス財団の関係者であった事が判明。
「彼が、ここで人が劣化していく姿を見て、地球上で人間に弱肉強食の戦いをさせて、人の強化が必要だと、宣言をしたのです」
闘争が人を進化させるというのはよくあるテーゼですが、これは、ヘルメス財団(上層部)が地球人を遺伝子サンプルと考えていると思うと、納得のいく思考。
「宣言、ですか」
「6つ目の海が、潮で満ちるようになれば、人々の心も緩んでくるのでしょう」
それは、クンパ大佐の傲慢を言うのか、金星圏の環境にも慣れていく人々をの事を言うのか。
「クンパ大佐ひとりの意見などで」
「……ボディスーツは、ご存じないでしょう?」
「はい」
「その実態を知れば、人類に絶望もしますよ。……ご覧になる勇気は、おありかな」
「私は見栄っ張りで、強がっているだけの女かもしれないと、いつも恐れています」
立ち上がったラグーが派手なカツラと豪奢な衣装を外すと、若々しく健康そうな彼の肉体が、実は外面を繕うボディスーツであった事が判明する。スーツの中の本当のラグーは、痩せ老いた老人のそれであった。地球を遠く離れた人類の肉体に起きる変異――ムタチオンの姿を、アイーダは目を逸らさずに見つめる。
「貴女は……お強い方です」
ここでヘルメス財団の人々が、そうまでして人類を永遠に生き延びさせる為の使命に殉じている人々、として肯定的に描かれているのかというとそうでもなくて、財団は財団で“みんなで幸せになる方法を模索して試す事を恐れている”のかな、と。
だからこそ、地球へレコンギスタしようというジット団の人々の方がむしろ力強く、何かをなそうとしている者を肯定する形で描かれているような気はします。富野監督作品である『オーバーマン・キングゲイナー』で描かれた「エクソダス」に近いのだな、と。
クレッセント・シップは地球へ向けて出航し、ラライヤはG−ルシファーを担当。接収した機体をチェックした老人コンビは、すかさずひそひそ話。
「これらのものをアメリア軍に提供するというのは、どうだろうか?」
「そんな」
実に最低で素晴らしい(笑)
耐熱コーティングや耐熱マシンなど、クライマックスへの伏線が張られつつ、G−セルフはパーフェクトバックバックを装備する。
「マニュアルに書かれている事なんて、技術屋の理屈なんだから、このまま出来るわけないですよ」
「でもな、パーフェクトバックパックって言うんだから」
「それが信用できないんですよ」
「……ヤツは最前線。こちらは後方だもんな」
この辺りさすがに圧縮しすぎて、一気に新MS/兵器が出過ぎなのは、ロボットアニメとしての今作の欠点。特にG−セルフのバックパックに関しては、ロボットのギミックとしてはもっと煽って出さないといけないと思うのですが、物語の焦点が合わない所で入手して、どさくさの中で性能を発揮してしまう、というのは勿体なかったな、と思う所。
こうしてメガファウナをくっつけたクレッセント・シップは地球圏へ帰還するが、そこでは未だ、キャピタル・アーミィアメリア、トワサンガ、の各勢力が三つ巴の睨み合いの真っ最中。母とキャピタル・ガードの現状を気にするベルリの為に、メガファウナはアーミィの前線基地になっているらしい第3ナットへと部隊を向ける……。
「結局、母さんはキャピタルアーミィに負けちゃったの?」
以上、もう少しざっくり気味に書こうと思ったのに結局Aパートまでですよ! というわけでBパートに続く。