はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『百獣戦隊ガオレンジャー』感想22

◆Quest29「鹿が癒す」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:赤星政尚)
千年の邪気から墓石オルグが誕生。今作のデザイン傾向から、墓石まんまから手足が伸びているような姿かと思いきや、墓石そのままは頭部だけで、意外と人型。墓石の強固な装甲に苦戦するガオレンジャーだったが、シルバーの攻撃を陽動に用いた傭兵レッドが懐に飛び込んでライオン砲を零距離射撃し、墓石、壮絶な出オチで爆死。
開始5分で巨大化した墓石に対し、ガオレンジャーは今回もバージョン違いを召喚。ナレーション、勝手に<アナザーアーム>と命名し、無軌道な浸食が止まりません。
忘れられていたキリンとゾウが援護攻撃をするも墓石ボディに跳ね返され危機に陥るガオキングだが、突如現れたガオディアスが墓石の動きを封じ込める。ガオディアス……それは、癒しの力を持った鹿のパワーアニマル。その能力はパワーアニマルには回復をもたらし、逆にオルグに対しては邪気を弱める力となる。
ディアスを仲間に出来れば連戦で傷ついたアニマル達を治せる、と喜ぶガオレンジャーだが、今日までディアスが姿を見せなかったのには一つの理由があった。それは千年前――ムラサキの歌声を聞く事を何よりの喜びとしていたディアスだが、ムラサキとシロガネがいちゃいちゃしていた所に赤いオルゲットが乱入。シロガネをかばって喉に傷を負ったムラサキは以前のように歌う事が出来なくなり、それ以来、ディアスは教団の前からその姿を消していたのであった。
……けっこう昔から、駄目男でしたシルバー!
シルバーは笛を奏でてディアスを呼ぶと土下座を敢行するが、男の土下座に興味ないとスルーされる。だがその時、ガオゴッドに導かれたテトムがそこに姿を見せる……。
一方、ディアスの戒めを解いた墓石が再起動し、ガオレンジャーは筋肉ストライカーで挑むが、アルマジロシュートすら弾き返されてしまう。5人の危機に、負傷をおして戦おうと申し出るパワーアニマルだが、無理をさせる訳にはいかない、とそれを止める赤。
イエローの「おまえがリーダーで良かったぜ」から、諦めずに逆転に賭けるガオレンジャー、そこに被るディアスに向けたテトムの歌、という流れは良かった。……歌っているのはテトムですが、映像はほぼムラサキで、ムラサキ、圧倒的ヒロイン力。
テトムの歌で機嫌を良くしたディアスは教団への協力を約束し、回復魔法で復活するアニマル軍団。一方、筋肉ストライカーも一か八かの零距離射撃からの飯綱落としで墓石の撃破に成功する。
いつもの今作だと、ディアスで回復→大逆転! と簡単に繋いでしまう所ですが、現場のガオレンジャーがガッツを見せて、自力で逆転、という展開を挟んだのも良かった所。
墓石から溢れ出る千年の邪気をどうすればいいのか……悩むガオレンジャーの元にシルバーとテトムが駆けつけ、ディアスの宝珠をホワイトに託す…………女好き?
ディアスは鹿になっているけど、つまり、ユニコーンのイメージなのかしら。
回復魔法で復活したガオキングにディアスが百獣武装してガオキング<クロスホーン>が誕生し、聖属性の必殺技で千年の邪気を泡の中へと封印。
銀「さらば……千年の因縁よ」
……え、あれ、、これだけ引っ張って、こんなあっさり終わり?(^^;
「ガオディアスの力で、ガオレンジャーは、千年の邪気を封印する事が出来ました」
ナレーションさんまで追い打ちした?!
千年の邪気の扱いと行く末は非常に不安ですが、墓石オルグを粉砕する流れがしっかり盛り上がって、『ガオ』にしては割と面白かったです。テトムのヒロイン力が3上がったのに対して、ムラサキのヒロイン力が30上がったのが気になりますが!


◆Quest30「満月が狼を殺す!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:酒井直行)
前回、遂に千年の邪気を封印したガオレンジャー……だがそれは全て、ウラの計画であった!
ロウキを復活させて千年の邪気を解放し、それを素材に生み出したオルグガオレンジャーに倒させる事で熟成し、より強大になった邪気を敢えて一度封印させる事で一つにまとめ、捕らえたシルバーに再注入して最強最悪のロウキグレートスーパーデラックスを生み出す……と見せかけて、シルバーがはね除けた邪気を自らに吸収し、ウラは、ウラ究極体へと変身。
全てはこの日の為、だそうなのですが、途中で負けたフリは必要だったのかとか、ディアスがガオレンジャーについたのはどう考えても計算外では、とか疑問が色々つきません。仮に全てがウラの計画通りだったとすると……
百鬼丸に故意に敗れる → 闇狼の面の存在を匂わせ、シロガネにオルグパワーの儀式を行わせる → (シロガネ、ロウキに) → 先代ガオレンジャーにロウキを封印させる → 千年熟成してから復活させ手駒に → わざと放置して記憶を混乱させる → ここぞという所で、ロウキの正体をガオレンジャーにリーク → シルバー復活後、何も言わずにしばらく姿を消す → ガオディアスに教団への接近を促す → ディアスは女好き、という情報をテトムに流してディアスをガオレンジャー側につける〕
シロガネ(ロウキ)に関わる全ての知識を持った上で、実に都合の良いタイミングでガオレンジャーに重要な情報を伝達しながら、肝心な時には姿を見せないあの存在が浮かび上がります。
……そう、つまり、ガオゴッド=ウラ!
不可能なものを消去していった時、最後に残ったものが如何に奇妙であっても、それこそが真実なのだよガオレンジャー
まあそんな感じで誕生したウラ究極体は、発酵されきった邪気による強大無比なオルグパワーでガオレンジャーのあらゆる攻撃を跳ね返し、先陣を飾ってガオブルー、メット割れで死亡。信仰の力を超える圧倒的暴力の前に、ガオレンジャーは、このまま壊滅してしまうのか?!
どうにもこうにも、ウラの賞味期限が私の中で尽きてしまっている為に、今更ウラが何をやっても盛り上がりきれず(^^; 仕事しなかったり一度は死にそうになったウラが実は……という事なのでしょうが、3ヶ月以上かけている計画通りなので、これなら一貫してウラが有能な策士であった方が、個人的には素直にノれました。
また、物語の端々の要素で、千年の邪気で何をするのか、それでロウキを復活させてどうするのか、ウラ究極体になってどうするのか、という「そしてどうするのか」の目的部分が一切語られない為、進行している事態に対して、それを止めなくてはいけない、という脅威に対する煽りが存在せず、盛り上がり不足に拍車をかけています。仮に最終目的が「ウラが物凄く強くなる」事だとしても、そこに至る経過の途中途中で「シルバーがスーパーロウキになったらこんな大変な事になる!」という視聴者に対する危機感の提示が必要だと思います。
それがあってこそ、止めた!→だが! となるわけで、物語の構成がどうにも杜撰。
トドメにナレーションが「ガオシルバーは、勝ったのです」「とんでもない事になってしまいました」と、肝心の所でいつもの調子でいつにも増して緊迫感をジャーマンスープレックスで破壊しにくる場外乱闘で、実に盛り上がらないエピソードになってしまいました(^^;