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そして少年は旅立つ

◇『うしおととら』 6−7話
第6話、海でテンション上がったとら、アルバイトで仕事を引き受けて割と本格的に死にかけるの巻。
一方、母親を失った悲しみと寂しさから心を閉ざし、海水浴の客に悪戯を繰り返す少年と出会ったうしおは、幼い頃の自分を思い出して苛立ち、同じくそれを思い出した麻子は少年の心を開こうと努める……と、海上のとらと浜辺のうしお、という二つの場面で展開。これに、とらの過去の名前、海面を割って現れる超巨大なあやかしのスペクタクル、麻子の語るうしおの過去、うしおと少年の心の繋がり、など各要素が綺麗に連動して組み立てられ、非常に良く出来たエピソードでした。
タツヤ、俺と一緒に、母ちゃんにいいとこ見せようぜ!」
少年マンガのヒーロー物として、年上のお姉さんにドキドキしつつも、男と男の約束と格好つけが、きっちり入っているのも、熱い。
また、あやかしに追い詰められたとらがうしおに助けを求める羽目になるのですが、あやかしの体内で麻子と少年を助ける事で、互いの関係をイーブンに留めておく辺りの構成も巧い。
とかく「ツンデレ」という言葉が人口に膾炙して以降、作り手も受け手も何でもかんでも「ツンデレだから」で済ませてしまいがちな傾向があると思うのですが(その方がウケが良かったりもしますし)、やはりこういった関係は、設定上の語句で処理してしまうのではなく、物語上の出来事でバランスを取っていかなくてはと思うのです。
その辺り、しっかりやってくれるのが、安定感があって素晴らしい。
もちろん監督の手腕もあるでしょうが、長大な原作をまとめる都合により、脚本上の情報圧縮と多面展開を得意とする井上敏樹の手腕がここまでのところ非常に良い形で振るわれており、既にあるレールの中で井上敏樹のテクニックを楽しめる作品としても面白い。
今回はCGを巧く交えつつ、人の世に人ならぬものが姿を見せる時、という海座頭の登場シーンや、超巨大なあやかしの見せ方など、演出面も凄く良かったですが。
スタッフがノってきた感じで、この勢いで疾走して欲しい。
第7話、OPとEDで結構堂々ネタバレしていた父、実力を見せるの巻。
物語が大きく動きだす重要な布石の回ですが、やはり前回かなり作画リソースを注いでいたのか、割とおとなしめ。ある程度、誤魔化し誤魔化し作る、みたいな回のコンテを監督自ら担当しているというのは、何となく好感が持てます。
今作、完結済みの長編を一話完結方式で再構成して進行している事により、枝葉を刈り取らざるを得ない面はあるものの、結果として“物語のエッセンス”が非常にわかりやすく抽出されており、ベーシックな骨組みをどう脚色していくのか、という物語作りの教材として凄くいいサンプル。
そんなわけで、父と拳を交わした少年は、相棒と共に母の秘密を追う旅へ――。